109maniaさんの映画レビュー・感想・評価

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インフィニティ・プール(2023年製作の映画)

4.0

 予備知識を入れて劇場鑑賞するのは、あまり好きではないので、たまに自分の好みではない映画に出くわすことがある。

 本作品はまさにそんな映画だった。暴力、ドラッグ、SEXにまみれた狂気の世界が繰り広げ
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パリ・ブレスト 〜夢をかなえたスイーツ〜(2023年製作の映画)

3.5

 私自身、学生時代にレストランのホールスタッフ、厨房スタッフとして働いていたが、忙しい時でも慌ただしさと冷静さが共存している緊張感ある厨房の雰囲気が好きだった。その懐かしさを感じられる作品だ。
 
 
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12日の殺人(2022年製作の映画)

4.0

 先日見た「落下の解剖学」もフランスのサスペンス、本作品もそう。ネタバレになってしまうかもしれないが、共通しているのは、答えを提示しないところ。この寸止め感がなんとも言えず、私の心を掴んでくる。
 解
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.0

 シンプルに科学者、研究者の苦悩を描く作品かと思いきや、妬みや嫉み陰謀などの要素も絡み、時間も行ったり来たりして、少し迷いながらの鑑賞だった。

 基礎研究成果や技術そのものを恨むのは筋違いだとは思う
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52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)

4.0

 昨日、日本アカデミー賞の様子をテレビで見ていた。注目していた主演女優賞。市子の杉咲花を推していたが最優秀に選ばれたのは、安藤サクラ。納得感がないわけではないが、杉咲花の演技にはもっと注目が集まって欲>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.0

 殺人事件なのか、事故なのか。
 いわゆるサスペンスものだが、フォーカスが当たるのは、その謎解きというよりも容疑者の母とその子供の内面だ。
 どんな人も完全な善人も悪人もいない。その両面が心のうちにあ
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一月の声に歓びを刻め(2024年製作の映画)

3.5

 前田敦子は映画界に欠かせないポジションを築いている。この映画でもいい演技をしているなと強く感じた。

 この作品は三部構成(四部とも言えなくもないが)になっている。組み写真のような、短編のオムニバス
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カラーパープル(2023年製作の映画)

3.0

 ミュージカル映画で人が突然歌い出すのはなんなのだろうか。私なりの解釈は、ほとばしる感情が言葉だけでなくリズムやメロディを伴って表現されているのだと考えている。

 それを踏まえてのこの作品。
 黒人
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.5

 ダニエル◦キイスのアルジャーノンに花束を思い起こさせる。パンチの効いた描写に衝撃を受け、そして一気に引き込まれた。
 話としてはシンプルで分かりやすい。幼くて無邪気なベラは、人との関わりの中で次第に
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カラフルな魔女~角野栄子の物語が生まれる暮らし~(2024年製作の映画)

5.0

 笑いながら泣いた。
 私よりも35才も歳上の彼女はとってもチャーミングで精力的でクリエイティブでオシャレで食欲旺盛。アラナイ世代も悪くない。これほどまでに勇気と希望とヤル気を起こさせてくれる作品はあ
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窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)

3.5

 開戦から戦中かけての原作者黒柳徹子の周囲の人たちを描く作品。押し出される強い主張はないが、父親や校長先生の生き方を通じて、反戦の思いだったり、生きる上での大切なものは何か、など様々なことを語りかけ、>>続きを読む

ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)

3.5

 北海道の白老町にあるウポポイに妻と二人訪れたことがある。その前にアイヌ文化の予習になればと、コミックゴールデンカムイを読んだ。少し前の話なので内容の詳細は忘れてしまったが、アイヌに対するリスペクトの>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

3.5

 無口で質素なアパート暮らし、職業はトイレの清掃員。静かな暮らしに世捨人的なイメージを持ってしまう。でも、物語が進んで行くと自分の先入観、偏見を覆すようなちょっとした痕跡やエピソードが種明かし的に描か>>続きを読む

ポトフ 美食家と料理人(2023年製作の映画)

4.5

 穏やかで、上品で、少しばかりスノッブな感じの大人の恋愛映画。あるいは料理という芸術作品の制作秘話。
 カット少なめでかなりの尺をとって調理や給仕の様子が描かれるが、ドキュメンタリーチックでもあり、見
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ウィッシュ(2023年製作の映画)

3.5

 カップリングの短編から始まる本作品は「星に願いを」をテーマとしている。シンプルなメッセージを力強いコーラスに乗せて悪に打ち勝つ様子は素直に心温まる。
 文字通り、星が願いを叶えてくれるのだが、そこに
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屋根裏のラジャー(2023年製作の映画)

4.0

 クオリティの高いアニメーションとファンタジックなストーリーは相性がいい。空想世界の友達の冒険譚は、きっとアニメーションだからこそ描ける世界観だ。
 この作品は、ストーリーも作画もとても満足度が高かっ
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市子(2023年製作の映画)

4.5

 法律や福祉といったセーフティネットからぬけ落ち、苦しみの中にいる人達。この映画はそういった人たちを描く側面がある。観ていて苦しくなるが、それも映画の魅力。私の好きなジャンルでもある。ただこの映画はそ>>続きを読む

(2023年製作の映画)

2.0

 戦国時代を描いた映画やドラマでお馴染みの主題、本能寺の変。その前後の数年を描く作品で、色々な脚本家が独自の解釈で描くところにこの主題の魅力がある。木村拓哉が信長を演じた作品が記憶に新しいところだ。こ>>続きを読む

花腐し(2023年製作の映画)

4.0

 2組の男女の恋愛模様を、回想劇として描く。この構成が洒落てるなと思う。ふとしたことから出会った少し歳の離れた二人の男性が、自分の過去の恋愛話を語り合うという設定だ。
 R18なので、性的な描写も多い
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.5

 スキマ時間でなんか映画を見ようと思い立ち、フィルマークスで意外と評価の高い本作品を鑑賞することにした。気になる所はあるにせよ、評判に違うことなく確かに面白かった。
 劇場鑑賞の醍醐味の一つに、音響の
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愛にイナズマ(2023年製作の映画)

3.5

 好きな俳優さんがたくさん出演しているということで、鑑賞。松岡茉優のこじらせぶりは勝手に震えてろを彷彿させ、そうそう、この感じ、と嬉しくなった。
 他のキャストも、流石とうなってしまうほどに非の打ちど
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

4.0

 昨日鑑賞した福田村事件もそうだったが、人のネガティブな内面にフォーカスを当てる作品。200分を超える尺で、しかも終始気を抜く場面がないものだから、見終わった時の疲労感は半端ない。

 映画の見どころ
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福田村事件(2023年製作の映画)

5.0

 これに目を瞑ることは、許されない。
 映画のキャッチコピーの転記だが、今の自分の心境でもある。
 在日朝鮮人差別や部落差別を、朝鮮から引き上げできた夫婦の目線からだけではなく、民主化を目指す村長、新
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キリエのうた(2023年製作の映画)

3.5

 監督自身の過去の作品であるスワロウテイルを踏襲する。圧倒的な世界観の作り込みに衝撃を受けた25年以上前の作品とシンクロさせながらの鑑賞だった。 
 Chara(YEN TOWN BAND)の音楽で映
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BAD LANDS バッド・ランズ(2023年製作の映画)

4.5

 安藤サクラはどんな役柄も演じ切る。ますますファンになった。
 特集詐欺に関わる犯罪集団の一人として受け子を束ねるちょっと面倒見のいい姐御的な役柄といったところか。
 否。そう思ったのは最初だけで、話
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ミステリと言う勿れ(2023年製作の映画)

3.5

 連続ドラマシリーズので映画版なのだが、主役の久能整以外の登場人物はちょっと違った。警察官コンビが大学生の整くんに頼ってしまう構図がドラマシリーズの魅力なのだが、映画にはその要素がない。なのでちょっと>>続きを読む

バカ塗りの娘(2023年製作の映画)

4.0

 漆器についてこれまで特段関心を寄せたことはなかったけど、この映画を見て津軽塗の魅力に触れた気がしたし、津軽地方を旅してみたいとも思った。地方発の映画、なかなかいいじゃないか。もっと見てみたい、そんな>>続きを読む

春に散る(2023年製作の映画)

3.5

 ボクシングを題材に「やり切った感」の心地よさ、やり切った後のリスタートの清々しさを描く。やっぱ、ボクシング映画好きだわ、と再確認した。
 
 キャストがいい。主役の二人もさることながら、山口智子、片
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リボルバー・リリー(2023年製作の映画)

4.0

 コントラスト感が魅力の上質な映画。白のドレスと血。リボルバと美しい女性。女性スパイを演じる綾瀬はるかは圧巻で、衣装や映像の美しさを伴って、血生臭いアクションシーンが繰り広げられる。
 心象世界と現実
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658km、陽子の旅(2023年製作の映画)

3.5

 コミュニケーションが苦手な人に対して、その内面としっかり向き合うことができたなら、その人との関係性は随分と変わるだろう。

 東京から青森へのヒッチハイクの中で、陽子は色々な出会いを経験する。嬉しい
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.0

 母を無くした少年が、新しい母を受け入れるための心の整理を描いたのだろうか?少年の成長譚?謎解き?カテゴリに当てはめようとしてもすり抜ける。
 主人公の真人が最初から大人びているだけに、解釈が難しい。
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劇場版 おいしい給食 卒業(2022年製作の映画)

4.0

 この映画の時代設定は、私が中学時代を過ごした時期とほぼ同じ。生徒には厳しいが権威に対しても屈しない武闘派の教員は確かにいた。
 給食が好きすぎて周りが見えなくなる甘利田先生にもそんな一面がある。この
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怪物(2023年製作の映画)

5.0

 怪物とは自分の中にある猜疑心なのか。

 見終わった後の充実感は、他の映画を圧倒する。私は、よく泣いたとか、社会的メッセージを受け取ったとか、そんな感想をよく書いているが、この映画はそのうちのどれか
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帯広ガストロノミー 帯広市開拓140年 市制施行90年記念長編作品(2022年製作の映画)

4.0

 大泉洋主演の「そらのレストラン」を観たのは2019年。次男が地元の農業高校を卒業し、北海道の農業大学に進学が決まっていた時。北の大地で素敵な出会いがありますようにと願いつつ鑑賞してたなあと思い出す。>>続きを読む

リトル・マーメイド(2023年製作の映画)

4.0

 ディズニーのミュージカル映画はとても大好きだが、アニメ版もこれまでみる機会がなく、この「超実写版」が初めての観賞となった。実写とコンピュータグラフィックスを融合した圧巻の映像美。前半の海中のパート、>>続きを読む

はざまに生きる、春(2022年製作の映画)

3.5

 想像していた内容とは随分と違ったが、満足度は高かった。
 誤解を恐れずに言えば、私が思い描くアスペルガー症候群の人のイメージは、その生きざまが不器用、という事だ。
 特別な才能やこだわりを持っていた
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