109maniaさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

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リトル・フォレスト 冬・春(2015年製作の映画)

4.0

 夏・秋編を含め積み上げられてきたエピソードの中に、少しずつ盛り込まれたいち子のくすぶりが、ラスト30分ぐらいで動き出す。急に動いたと思うと、また元どおりの淡々とした描写。この緩急が、うまいな、きれい>>続きを読む

リトル・フォレスト 夏・秋(2014年製作の映画)

3.5

 料理と小森の自然と農家の営みが、静かに、心地よく語りかけてくる。
 橋本愛の魅力も充分に伝わってくる。整った顔立ちを遠慮なく接写しているのが特徴的。一人称で語るナレーションも、料理を味わう時の咀嚼音
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最強のふたり(2011年製作の映画)

3.5

 スラム育ちドリスのシンデレラストーリー。大富豪の障がい者フィリップに対しても腫れ物に触る感がなく心地よさををもたらす。無遠慮な振る舞いは嫌悪感に繋がることも多いが、明るく陽気な性格のドリスの場合はそ>>続きを読む

百円の恋(2014年製作の映画)

4.0

 自分自身を振り返った時、一子のようなタイプの女性と関わることがなかった。言ってしまえば「そんな32歳になるまでに、もっと生き方あったでしょ」という感じではあるが、そこからの変貌ぶりは凄まじい。こじら>>続きを読む

ミッドナイト・イン・パリ(2011年製作の映画)

4.0

 特に作品のことを調べずに、ゴッホタッチのパリの夜のジャケット(サムネイル?)をみて、原田マハの小説のような映画かな、と思って鑑賞することにした。あるいは、少し前に映画館で見たアニメ映画「ディリリとパ>>続きを読む

横道世之介(2013年製作の映画)

4.5

 映画とは本当に色々な撮り方があるものだ、とつくづく思う。
 一人の青年が大学に入学して、友人ができ、恋人ができ、激動とまでは行かない、むしろ平凡だけど色んな出会いに満ちた2年間(たぶんそれくらい)を
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いぬやしき(2018年製作の映画)

2.5

 CGをふんだんに使った映像に、リアリティがあり、終始ハラハラドキドキしながら観ていた。日本映画ということもあり、寄生獣を思い出す。この技術的側面は、この映画で好意的に感じた要素だ。
 二人の人間が、
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はじまりのうた(2013年製作の映画)

5.0

 これほどまでにインスパイアされた映画は記憶にない。
 音楽の映画でもあり、青春グラフィティでもあり、恋の物語、家族の物語、復活の物語、友情の物語でもある。散らかっているようで有機的にまとまっていて、
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しゃぼん玉(2016年製作の映画)

4.0

 いくつかの作品に同じ感想を書いているとわかっているが、この作品でも感じた事がある。
 完全にいい人もいなければ、完全に悪い人もいない。一人の人間の中にいいところと悪いところ、自分自身好きになれるとこ
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アイ・フィール・プリティ! 人生最高のハプニング(2018年製作の映画)

3.0

 シンプルで笑えるこれぞアメリカ映画。
 そういう映画を見ようと思ってみているわけなので何の不満もないが、最初から展開は読めるし、特にサプライズもない。こういうコメディでも泣き所も用意されているのが普
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ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)

4.5

 心温まる素晴らしい映画。ちょうど昨日読み終えた、ブレイディみかこの「僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー」の世界観とも共鳴し、涙が何度も頰を伝った。
 「太陽系」の比喩で、太陽としての存在を示す
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東京タワー オカンとボクと、時々、オトン(2007年製作の映画)

4.0

 親の目線で子供の成長ぶりを喜び、子供の目線で母親のことを愛おしく思う。そんな気持ちにさせてくれる、素敵な映画だ。「日々之好日」然り、「あん」然り、万引き家族然り。樹木希林の演じる役は、樹木希林が演じ>>続きを読む

翔んで埼玉(2018年製作の映画)

3.0

 埼玉県民の自虐ネタを面白おかしく盛り込んだ作品。
 遠慮して、なかなかそこまでは言いにくい、といったようなこともバンバン役者に言わせているところが、まさに翔んでる感じでGOOD。
 最初は、深イイテ
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レ・ミゼラブル(2019年製作の映画)

4.0

 楽しいだけが映画ではない。見ていて辛くなるような映画も、大きな存在価値を持つ。この作品は、三人の警官に、見る人の負の側面を映すことを狙ったように感じたが、どうだろう。たまたま自分がそのように見ただけ>>続きを読む

ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像(2018年製作の映画)

3.0

 落ち着いた、北欧らしい雰囲気を持つ佳作。
 画商という仕事をしている人は身の回りにはいない事もあり、とても興味深い。画商といえばお金持ちの印象だが、主人公は商材を買うお金もままならない。オークション
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劇場版 おいしい給食 Final Battle(2020年製作の映画)

4.0

給食というミクロなテーマで笑いと感動のストーリーを紡ぐ。

たまたま、どの映画にしょうかな、という感じでチョイス。ユルめのくだらない感じを期待して臨み、その期待は確かに外れてはいなかった。それだけでな
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Fukushima 50(2019年製作の映画)

3.5

有事の指揮官をカッコ良く描く秀作。

福島原子力発電所を襲った惨劇について、知っていたつもりで実は十分には理解してなかったかもしれない、と思う。
「回避された大惨事」を、その時点では念頭に置いて戦って
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ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ(2018年製作の映画)

2.5

なにみてんだろう?

細切れのカットで時間が行ったり来たりしているのはわかるが、ストーリーの輪郭がはっきりしておらず、キャッツのような予備知識もなかったので、モヤモヤ感が半端ない。
後半は最近はやりな
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1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

3.0

軍隊組織の中で、上官の命令に忠実であろうとする姿や、命をかえりみず、友との約束を果たそうとする姿には感動する。
ストーリーに派手さはなく、シナリオとして起伏が少ない淡々とした映画だ。戦場における人の内
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his(2020年製作の映画)

3.0

マイノリティを生きる事の苦しさと、どうしても諦めないといけないことに直面する悔しさ、そんな中でささやかな喜びを、ちゃんと幸せと感じられることの大切さ。そんなメッセージが伝わってきた。戸田恵子が演じる弁>>続きを読む

キャッツ(2019年製作の映画)

3.5

心あたたまる猫達のひとよ。

人間たちと同様に、若い猫もいれば、年老いた猫もいる。うまくいっている奴もいれば、落ちぶれている奴もいる。誰かに勇気を与えたり、もらったり。励まされることで成功に導かれ、励
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リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)

2.5

少し謎な映画だ。
クリントイーストウッドってこんな作風だったかしら?

なにが謎かといえば、共感すべき人とそうでない人がわかりにくい点。言い方を変えると、この人結局いい奴?やな奴?の答えを微妙に分かり
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mellow(2020年製作の映画)

4.0

独特の雰囲気を持った笑って泣けるステキな映画だ。タイトルに違わずあまーいストーリーだが、ただ甘いだけではないのがこの映画の魅力。

前半、笑いを狙ったシーンが多い。コント風だがドタバタとしたコントでは
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ラストレター(2020年製作の映画)

4.5

わたしは岩井俊二が好きだ。
小説家としての岩井俊二が好きなんだと思っていたが、この作品を小説、映画両方とも鑑賞し、映画の作り手としての岩井俊二も大好きになった気がした。

手紙をモチーフに、10代の真
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

3.0

着想の良さがキラリと光る佳作。

前半、テンポ良く話が進む。コンフィデンスマンJP のように、シナリオ通りに騙しの策略がハマっていくところは痛快だ。これだけの技能をそれぞれが持っていれば普通に職を求め
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この世界の(さらにいくつもの)片隅に(2019年製作の映画)

4.5

やっぱりいい。

一作目と同じ感想になってしまうのだが、時代のせいにせず、環境のせいにせず、生かされている居場所で、ちゃんと生きようとするすずの姿には心を打たれるし、勇気付けられる。おっとりしながらも
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私のちいさなお葬式(2017年製作の映画)

3.0

とても可愛らしいおばあちゃんの終活の物語、と予告編を見て思った。ちょうどこの年末年始に両親と3人でしばらく過ごしたこともあり、テーマ設定にそそられて見ることにした。
原語のタイトルはチェックしていない
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スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(2019年製作の映画)

3.5

スターウォーズシリーズの完結編となれば、もはやバイアスなしでのレビューは難しいことを最初に断っておく。

本作品、いかにもスターウォーズらしく、またシリーズ完結編らしい。大きな話の流れは明快で、いいも
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第三夫人と髪飾り(2018年製作の映画)

3.0

ため息が出るほど美しい。あるいは、息を止めてしまうといったほうがいいかもしれない。冒頭10分ぐらいの心理描写も風景も、性の描写も技巧的だ。
19世紀後半という時代背景やベトナムの山あいの集落を舞台にし
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ルパン三世 THE FIRST(2019年製作の映画)

3.5

プロローグからのオープニングテーマはお馴染みの曲。タイプライターの音と共に提示されるタイトル。この時点で、すっかりルパン3世の世界観に引き込まれる。シリーズ初の3Dアニメーションもなかなかいい感じで始>>続きを読む

アナと雪の女王2(2019年製作の映画)

3.0

北欧の雰囲気の音楽が聞いていてとても美しく、フォークソング的なコーラスの曲は自分でも歌いたくなる。前作以上に、音楽要素、歌要素を前面に出していた印象だ。
ただ、映画というよりも音楽メインの映像作品とい
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ひとよ(2019年製作の映画)

3.0

良くも悪くも手堅い感じの映画だ。
まずは役者の皆さん、とても安定感があり、少しユーモアを交えた描写も、シリアスな描写もしっかりと演じている。特に松岡茉優は相変わらずの安定感と言って良い。日本映画になく
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永遠の門 ゴッホの見た未来(2018年製作の映画)

4.5

偉大なる画家、フィンセント ファン ゴッホを描くにふさわしく、とても美しく、静かで、丁寧、芸術性の高い作品に仕上がっている。
フィンセントと周辺の人物、例えば弟のテオや、画家として影響与え合う、ポール
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マチネの終わりに(2019年製作の映画)

3.5

脇役の存在感あり過ぎやしませんか?

福山雅治と石田ゆり子。自分と同世代の美男美女によるオトナの恋愛ドラマが見たいからこそのこの映画。予告でも、そこを推してたはず。二人芝居的な展開で十分なのに何故こん
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ボーダー 二つの世界(2018年製作の映画)

3.5

人間、種としての本性と社会性の間で揺れ動くティナの感情に思いをはせる。なかなかうまくはいかないのが、それもこの映画の狙いなのか。

ティナが森の民に回帰して、喜びに浸る姿はうつくしくもあった。隣人に不
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空の青さを知る人よ(2019年製作の映画)

4.0

何年後かの自分を思い描きながら今やるべきことに没頭することの充実感。何年か前の、情熱に燃えていた自分を思い出し、もう一度頑張ってみようと奮起する高揚感。そんなポジティブな気持ちを思い出させてくれる、>>続きを読む