青山祐介さんの映画レビュー・感想・評価

青山祐介

青山祐介

わたしはフラヌール(遊歩者)である。街をさ迷い、カフェで夢想し、映画を観る。あらゆるものを蒐集して書斎に飾る。わたしは蒐集家である。

映画(104)
ドラマ(0)

悪魔の陽の下に(1987年製作の映画)

4.5

『われ平安を汝らに遺す、わが平安を汝らに與ふ。わが與ふるは世の與ふる如くならず、なんぢら心を騒がすな、また懼るな。』ヨハネによる福音書14-27(文語訳)

モーリス・ピアラ「悪魔の陽の下に(SO
>>続きを読む

女と男のいる舗道(1962年製作の映画)

4.3

『(アンナ・カリーナは)あとでカンカンに怒っていました。わざと醜く撮られたと、思ったからです…この映画をつくることによって、私が彼女にきわめて大きな打撃を与えたと思ったからです。そしてそれから、われわ>>続きを読む

ラルジャン(1983年製作の映画)

4.5

『シネマトグラフの真実は、演劇の真実とも小説の真実とも絵画の真実でもありえない。ロベール・ブレッソン「シネマトグラフ覚書」

ロベール・ブレッソン「ラルジャン(L’Argent)」1983年 フラ
>>続きを読む

プリンセス・シシー(1955年製作の映画)

3.5

エルンスト・マリシュカ「シシィ(SISSI)」1955年 オーストリア、西ドイツ映画

≪永遠の女優、ロミー・シュナイダーに愛をこめて≫
『私はシシィなんかじゃない!』ロミー・シュナイダーの叫び
>>続きを読む

奇跡(1954年製作の映画)

4.8

『いな、われわれには神はわからない。われわれキリスト教徒にも彼がなぜ沈黙しているか、なぜとっくに悪魔をしめ殺さなかったのか理解できない。…だからこそ神はわれらにイエスを与えたのである。…われわれは啓示>>続きを読む

夏の夜の夢(2014年製作の映画)

4.8

ジュリー・テイモア「夏の夜の夢(A Midsummer Night’s Dream)」2014年 アメリカ
良いことも悪いこともすべては夏の夜のようであった!
さあ、さあ、御見物の皆様方『な
>>続きを読む

ストーカー(1979年製作の映画)

4.8

アンドレイ・タルコフスキー「ストーカー」1979年 モスフィルム ソ連映画
『映画によって、時間はどのような形式で刻み込まれるのか?…この形式を事実の形式と規定したい。…事実の形式と現象の中に刻み込
>>続きを読む

マーラー 君に捧げるアダージョ(2010年製作の映画)

2.5

『もしそれが芸術なら、それはすべての人のためにあるのではない。そしてもしそれがすべての人のためのものなら、それは芸術ではない』…民の声は神の声ではなく『民の声は悪魔の声』である。(マーラーの秘蔵子弟子>>続きを読む

ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ(1990年製作の映画)

4.0

『<ドン・キホーテ>と<ハムレット>…この二つのタイプの中に人間の本性の根本的なしかも相反する二つの特徴が具現されている…(この)二元性の中に、あらゆる人間生活の根本法則を認めなければならない』ツルゲ>>続きを読む

ストリート・オブ・クロコダイル(1988年製作の映画)

4.0

『大鰐通りは現代のために、また大都会の腐敗のために、私たちの街が開いた租界であった』ブルーノ・シュルツ「大鰐通り」

スティーヴン・クエイ/ティモシー・クエイ「ストリート・オブ・クロコダイル」
>>続きを読む

めぐり逢う朝(1991年製作の映画)

4.5

アラン・コルノー「めぐり逢う朝(Tous les Mating de Monde)」1991年 フランス
原作・脚本:パスカル・キニャール
出演:ジャン=ピエール・マリエール、ジェラール・ドパルデ
>>続きを読む

砂時計(1973年製作の映画)

3.8

『たくさんだ、時間から手を引け、時間とは触れてはならぬもの、挑発してはならぬものなのだ!空間だけでは不足なのか?…だから、神かけて、時間に手出しをするのはやめてくれ!』ブルーノ・シュルツ「砂時計サナト>>続きを読む

マザー、サン(1997年製作の映画)

4.2

『(ソクーロフの描く)この世界は … 愛情の果て、極致であり、その向こうに本物の何か
が秘められている。…ある意味でこの親子は、あたかも一体化した存在となり、永遠の自
然という奇妙で美しい世界に没頭す
>>続きを読む

(1951年製作の映画)

4.5

『私の映画作家としての形成に大きな影響を及ぼした要素の一つとして疑いなく水を挙げることができる。<水>抜きの映画など私には考えられない』
(ジャン・ルノワール自伝より)

ジャン・ルノワール「河
>>続きを読む

巴里の空の下セーヌは流れる(1951年製作の映画)

3.0

『古いパリはもうないのだ(街の姿は変わってゆく、ああ!死すべき者の心よりも早く)…パリは変わってゆく』シャルル・ボードレール「悪の華 ― 白鳥」(ミシェル・ドゥギー「ピエタ ボードレール」鈴木和彦訳 >>続きを読む

枯葉 〜夜の門〜(1946年製作の映画)

3.5

『ああ!思い出しておくれ/ぼくたちが恋人だったしあわせな日々を、/あの頃 人生は今日よりもっと美しく/太陽はもっと輝いていた、/枯葉はシャベルで集められる(つもる うずたかく)―ほらね ぼくは忘れてい>>続きを読む

離愁(1973年製作の映画)

4.3

女優ロミー・シュナイダーは『生きながら皮を剥がれた人体標本である』共演回数が一番 多く、心をゆるしあった「偉大な俳優」ミシェル・ピコリの謎めいた言葉です。
(佐々木秀一著「ロミー 映画に愛された女
>>続きを読む

ザ・デッド/「ダブリン市民」より(1987年製作の映画)

4.5

『雪が宇宙のなかをしんしんと降りそそぐのを、そして、すべての生者たちと死者たちの上に、最後のときが到来したかのように、しんしんと降りそそぐのを耳にしながら、彼の魂はゆっくりと意識を失っていった。』(ジ>>続きを読む

サクリファイス(1986年製作の映画)

4.5

『憐れみたまえ、わが神よ、したたり落つるわが涙のゆえに!/こを見たまえ、心も目も、汝の御前にいたく泣くなり。/憐れみたまえ、憐れみたまえ!』
J.S.バッハ≪マタイ受難曲Nr. 47 ARIE≫
>>続きを読む

ファウスト(1994年製作の映画)

4.0

『この文明は危機に瀕している。…ファウスト神話はこの文明の鍵となる神話のひとつである。その解釈は無数にある。「ファウストの教え」は、私がこの映画をそう呼びたいように、そのような解釈的回帰のひとつとなる>>続きを読む

悪魔の美しさ(1950年製作の映画)

3.5

『(道化)…だからひとつふんばって、見事なお手並みを見せてもらいたいものですな、
空想の音楽を高く奏で、それにありったけの合唱隊をつけるのです、理性や感情や分別や情熱をね。でも忘れちゃいけませんぜ、<
>>続きを読む

ファウスト(2011年製作の映画)

3.5

『ああ、おれは哲学も法学も医学も(顎間骨論も、植物変態論も、色彩論も、自然学も、黒魔術も、占星術も、錬金術も)いまいましいことには、役にもたたぬ神学まで、骨を折って、底の底まで研究した。そのあげくがこ>>続きを読む

黒水仙(1946年製作の映画)

4.0

〈裸の女神〉…あの山は『カンチェンジェンカ(偉大な雪の5つの宝庫)と云って、人々はそこに神が住むと考えています。誰も、あの山を征服することは出来ません。―神を慕って、気が狂うだけです。あの山には、山を>>続きを読む

永遠と一日(1998年製作の映画)

4.8

『また見つかったよ! 何がさ? 永遠。太陽にとろける海さ。』
アルチュール・ランボー〈地獄の季節〉鈴村和成訳2011年

テオ・アンゲロプロス「永遠と一日」ギリシャ=フランス=イタリア映画 199
>>続きを読む

八月の鯨(1987年製作の映画)

4.2

『私たち、年をとったものにとっては、過ぎ去ったものの中にたたずむことは許されており、慰めにもなります。…(この映画)の背後には一つの命が花咲いているのです。かつてそれは甘美だったのです。』へルマン・ヘ>>続きを読む

裁かるるジャンヌ(1928年製作の映画)

4.8

『主の名においてアーメン。ここに記載するところは、さきに我等の裁きにより断罪された
俗称 “乙女(la Pucelle)”なる女に対する信仰の審理の記録である。』
ジャンヌ・ダルク処刑裁判1431年
>>続きを読む

火刑台上のジャンヌ・ダルク(1954年製作の映画)

4.0

『異端、魔女、裏切者、神の敵、王の敵、民衆の敵、地獄の娼婦、黒魔術の虜、悪魔の手先、連れて行け!死を!殺せ!火あぶりに!…ジャンヌ!神の娘よ!進め!行け!』

○ロベルト・ロッセリーニ「火刑台
>>続きを読む

ジャンヌ・ダルク裁判(1962年製作の映画)

4.5

『俳優なし。配役なし。演出なし。…では何があるのか。人生のなかから掴み取ってきた〈モデル〉を使うこと、これだ。見せかけること(俳優)ではなく、在ること(モデル)』
「シネマトグラフ覚書」
ロベール
>>続きを読む

ノスタルジア(1983年製作の映画)

4.5

『この映画での私の基本的な課題とは、世界や自分とのあいだに深い不和を体験している人間、現実と望ましい調和とのあいだの均衡を見出だすことができない人間の内的状態…存在の全一性にたいするグローバルな憂愁に>>続きを読む

インド夜想曲(1988年製作の映画)

4.0

『これは、不眠の本であるだけでなく、旅の本である。不眠はこの本を書いた人間に属し、旅行は旅をした人間に属している。(これはまた現実の旅のガイドブックである。それが)…《影》の探求であるこの《夜想曲》に>>続きを読む

アーノルト・シェーンベルクの《映画の一場面のための伴奏音楽》入門(1972年製作の映画)

4.0

ジャン=マリー・ストローブ/ダニエル・ユイレ「アーノルト・シェーンベルクの《映画の一場面のための伴奏音楽》入門」1972年/ドイツ=フランス 16ミリ短編映画
(Einleitung zu Arno
>>続きを読む

アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち(2008年製作の映画)

4.0

アストル・ピアソラのタンゴの原点を知るために見た映画
― 古きタンゴの黄金時代(1940年代)とブエノスアイレスを知るために見た映画
― タンゴを通して、ブエノスアイレスを知るために見た映画 ―
>>続きを読む

犯罪河岸(1947年製作の映画)

3.5

『演劇と映画の結婚は、両者ともどもの根絶なしにはありえない』
ロベール・ブレッソン

アンリ=ジョルジュ・クルーゾー「犯罪河岸(Quai des Orfevre)」
フランス映画1947年
原作は
>>続きを読む

パプーシャの黒い瞳(2013年製作の映画)

4.2

『あてもなくさまようジプシーの時代は、はるか遠くに過ぎ去った。でも、わたしにはその姿が見える。ジプシーはかしこく、たくましく、水のように澄んでいる。
ほら聞こえるでしょ、さまよう人たちの声が。ジプシ
>>続きを読む

魔笛(1974年製作の映画)

4.5

『愛の力、愛による成就、これこそがこのオペラのアリアドネの赤い糸である…ここで、わたしたちは初めて”魔笛”の寓意と存在理由を、突然に思い出させられる。』
(イングマール・ベルイマン「演出ノート」より
>>続きを読む

汚れなき悪戯(1955年製作の映画)

4.0

イエスは言われた…『心を入れ替えて子供のようにならなければ、決して天の国に入ることはできない…わたしの名のためにこのような一人の子供を受け入れるものは、わたしを受け入れるのである…』マタイによる福音書>>続きを読む

>|