ゴリアテの憂鬱さんの映画レビュー・感想・評価

ゴリアテの憂鬱

ゴリアテの憂鬱

映画(807)
ドラマ(1)
アニメ(0)

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.1

ノーランの凄いところはたくさんあると思いますが、僕が特に気に入っているのは彼がこんなにSF的な作品をたくさん撮っているにもかかわらずCGを一切使わずアナログ撮影に拘っているところです。

カラーとモノ
>>続きを読む

怪物(2023年製作の映画)

4.1

物語を立場の異なる3人の視点から描いた作品。

子供を取り巻く社会の不条理と繊細な少年の心が、見事な構成で描かれています。

この世はなぜこうなのか?
なぜ善人ほど生きづらく、損をするのか。

あまり
>>続きを読む

VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

4.2

ノエ、やりますな。

スプリットフレームの構図が面白い。
初期以外は、カオスな人でしかないイメージでしたが、こんな人生の晩年の夫婦の生き方を見事に描いた作品も撮れるなんて。

お見それしました。

不都合な真実2:放置された地球(2017年製作の映画)

3.8

アル・ゴアはちょっと胡散臭いですが、基本的には良い活動をしていると思うのでまぁ許そう。

でも、原発のこともちゃんと否定してほしかった。

オオカミの家(2018年製作の映画)

4.0

チリのストップモーション・アニメ。

ヤンシュバンクマイエルの影響も大きいのでしょうが、本作の方がもっと絵本的で観やすいです。

レオンとコシーニャによる本作の造形は素晴らしい。

パトリシオ・グズマ
>>続きを読む

ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争(2023年製作の映画)

4.2

本作の原題は、『決して存在することのない「奇妙な戦争」の予告編』

“奇妙な戦争”は、生前のゴダールが企画していた構想でしたが、その映画は完成することはなくゴダールは安楽死を選びました。
長編映画の完
>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.2

ランティモスの才能は、本当に素晴らしいです!

豪華絢爛な衣装や映像にはうっとりさせられ、ストーリーは知的でありつつもクセが強い。

しかもブラックユーモア満載。

僕はいつもランティモスのツボからは
>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.2

今作の制作の背景には、ユニクロでお馴染みのファーストリテイリング社の柳井康治氏が発起人となったプロジェクト, THE TOKYO TOILET (以下,TTT)があります。

TTTは、渋谷区にある
>>続きを読む

アウトサイダー(1981年製作の映画)

3.9

タル・ベーラにしては珍しいカラー作品である2作目の長編。

描かれるのは、社会不適合な人格を持つバイオリンを奏でる音楽家の末路。

この時点では後のタル・ベーラらしい作風は見つけられてなかったのだろう
>>続きを読む

スリ(掏摸)(1959年製作の映画)

4.3

本作の主人公,ミシェルの精神は、ドストエフスキーの『罪と罰』の主人公,ラスコーリニコフそのものでした。

その隠喩を楽しめるのも、小説を読んだからに他なりません。

本当のスリ師が伝授したと言う、端正
>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

4.3

この時代にカウリスマキの新作を映画館で観れるという幸せ。

2024年冒頭から大地震が起こり、飛行機は事故を起こし、今もウクライナやガザ地区では戦争が続いている。

こうして平和に映画を楽しんでいる自
>>続きを読む

聖なる泉の少女(2017年製作の映画)

3.9

ジョージアの山村を舞台に、静かで美しい映像美。

人間の思考は主に3つ。
科学的、宗教的、詩的、神話はこの全てを内包している。

そして、この映画は、それらから科学的要素のみが取り除かれたような作品で
>>続きを読む

小公女(2017年製作の映画)

3.9

自分の棲家よりもウェスキーとタバコを優先するような生き方は、他人から見れば狂ってるのでしょうが、不器用な人間には金持ちには持ち合わせていないような人間的な魅力があります。

日本でも増税や値上げラッシ
>>続きを読む

アシスタント(2019年製作の映画)

3.6

憧れの世界で働く新人アシスタントの過酷な環境を、ある一日に密着したような作りで問題提起した作品。

働き方、セクハラ、パワハラ、モラハラetc…
現代における社会問題が詰め込まれています。

さすがに
>>続きを読む

つみきのいえ(2008年製作の映画)

3.9

なんと哀愁と温もりのある、美しい短編作品であろうか。

ナンバー・ゼロ(1971年製作の映画)

3.4

タイトル、メチャかっこいい。

ユスターシュの祖母であるオデット・ロベールの話を2つのキャメラで撮影したドキュメンタリー作品。

語られるのは、オデットの半生、および彼女の曾祖父母から曾孫たちへいた
>>続きを読む

夜空に星のあるように(1967年製作の映画)

3.9

ケンローチの長編デビュー作。

ケンローチは最初から一貫してテーマがブレてないんですね。
素晴らしいです。

パラダイスの夕暮れ(1986年製作の映画)

4.1

若かりし頃の僕にも、初デートでビンゴに連れて行くセンスがほしかった。

奇跡の海(1996年製作の映画)

3.7

トリアーらしい着眼点とストーリーの持っていき方。

絶望と希望。

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

2.8

今産まれたばかりの人が将来この映画を観たらとても新鮮にお思うのでしょうけど、リアルタイムで観続けている僕にはちょっと新鮮さが失われてきています。

映像ももちろんアップデートされているんでしょうけども
>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

3.6

とても現代的な感覚の作品でした。

今の時代、クラシック音楽でさえその音楽家のプライベートの生き方も評価に加えられる。

近年パブロ・ピカソの絵画がオークションで下落しているのも同じ。

個人的には突
>>続きを読む

タブロイド紙が映したドリアン・グレイ(1984年製作の映画)

3.9

世界観は好きでしたが、自分にはちょっと宝塚っぽい劇チックにも感じてしまいました。

ニュー・ジャーマン・シネマなSF感は堪能できました!

オッティンガーは映像の魔術師でした

フリーク・オルランド(1981年製作の映画)

3.0

これはごめんなさい。
自分には合わず。

「小さな世界劇場」という形で、過ち,恐怖,権力の渇望,恐怖,狂気,残虐行為,そして日々の生活を含んだ世界の始まりから今日までの歴史が、5つのエピソードで語られ
>>続きを読む

アル中女の肖像(1979年製作の映画)

4.3

オッティンガーもブルーメンシャインも素晴らしい!

ファスビンダーとはまた一味違うバチバチ感。
痺れました。
酒一滴も飲めないのに、痺れました。

天使の影(1976年製作の映画)

4.1

ファスビンダーが書き下ろした戯曲『ゴミ、都市そして死』をダニエル・シュミットが映像化した作品。

まず、このアートワークのシーン。
なんてロマンティックな構図なんだろうと思ってましたが、実際は相当にク
>>続きを読む

13回の新月のある年に(1978年製作の映画)

4.7

暑い夏には、スパイスカレーとファスビンダー。

冒頭の精肉工場の映像から超鮮烈!

ノエの『カルネ』がカロリーカット商品に思えるほどの屠殺シーンでした。

ファスビンダー自身がパートナーを失った直後に
>>続きを読む

わたしの叔父さん(2019年製作の映画)

3.1

ピーダセン監督は小津安二郎を師と仰いでるそうですが、本作にはあまり小津感は感じられず。

監督の伝えたいことはわかりますが、セリフも少なく音楽も使わない静かな作りの割には感情が伝わり過ぎている気がして
>>続きを読む

アレクセイと泉(2002年製作の映画)

3.9

かつて原発事故で汚染されたベラルーシ東部のブジシチェ村で過ごす人達を映したドキュメンタリー。

社会派色を強く押し出している訳でもなく、残された住民たちの生活を哀れんでいる訳でもない。
ただ、辺境の村
>>続きを読む

別れる決心(2022年製作の映画)

3.6

パク・チャヌクによるエログロ抜きの不倫サスペンス劇。

〝不倫物〟〝サスペンス物〟でも、パク・チャヌクが作るとそこはやはり相当に歪んだストーリーで面白かったです。

世界で人気のあるような韓国映画(チ
>>続きを読む

1PM-ワン・アメリカン・ムービー(1971年製作の映画)

4.2

1968年の秋に企画されたゴダールとダイレクト・シネマの旗手ペネベイカー&リーコックのタッグによる『1AM(ワン・アメリカン・ムービー)』

しかしこの共同作業はそれぞれがお互いの主張を譲らず、編集段
>>続きを読む

ニューヨークの中国女(1968年製作の映画)

3.8

ニューヨーク大学の大学院生たちとゴダールとの議論の様子を収めたドキュメンタリー。

この当時は若者の政治や社会問題への関心が世界的に高かった時代だったと思います。

この映像が撮られた日(1968年4
>>続きを読む

ザ・ホエール(2022年製作の映画)

3.7

ほぼ全編が薄暗いアパートメントの一室で繰り広げられ、登場人物も5人と最小限。

このミニマルな構成をハリウッドの馬力で表現しているバランス感覚がお見事でした。

ストーリーも良かったし、役者の演技にも
>>続きを読む

中国女(1967年製作の映画)

4.0

アンヌ・ヴィアゼムスキーの自伝を読み終えたのと、『ニューヨークの中国女』を観に行こうと思ってるということもあり、その前に本作を鑑賞しました。

このご時世では何かと批判を浴びそうなタイトルです。

>>続きを読む

シェルタリング・スカイ(1990年製作の映画)

2.9

今年亡くなった坂本龍一さんのアルバム『acync』の8曲目〝fullmoon〟に、本作の末尾で原作者のポール・ボウルズが語っている「あと何回満月を眺めることがあるだろう」という台詞がサンプリングされ様>>続きを読む

サラゴサの写本(1965年製作の映画)

4.6

冒頭に登場する見るものをたちまち虜にする〝写本〟のように、本作の視聴者を幻想的な迷宮に迷い込ませる入れ子構造な作りは、昔ピラミッド作りを考えた人のような壮大なロマンを感じました。

ストーリーも難解過
>>続きを読む

>|