花俟良王さんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

花俟良王

花俟良王

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ファーストラヴ(2021年製作の映画)

3.5

甘く感じるところもあるけれど、このテーマ(小児性愛、子供・女児への無理解)の脚本を女性が書いているということの説得力が重みとなる。

北川景子は吉永小百合に見える時がある。それはそれとして、悪夢から覚
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燃えよデブゴン/TOKYO MISSION(2020年製作の映画)

3.5

イップ師匠、ローグワン、追龍と日本ではシリアス系が多かったドニーさんがここに来てアホ程陽性になって降臨!

『五福星』辺りのあの軽さを懐かしみつつ楽しんだ。

竹中直人の使い方を心得てるのはさすが谷垣
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すずしい木陰(2019年製作の映画)

3.5

『すずしい木陰』を観た。いや、体験した。

絶賛する人、呆れる人、どちらの気持ちも分かる。ハンモックで微睡む柳英里紗を、陽の動き、蝉の声、風が揺らす木々の音と共に固定カメラで見続ける96分間。

突如
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ある画家の数奇な運命(2018年製作の映画)

4.0

189分飽きずに楽しめました。

昼メロ的との声にも頷けるけど、画力の説得力が違うので丁寧な映画を観る喜びに満ちている。

敵役となるセバスチャン・コッホの再登場の仕方が上手く、思わず唸った。

朝が来る(2020年製作の映画)

4.0

『朝が来る』、見応えあった。

是枝裕和の『そして父になる』を思い出したけど、こちらはより社会派。

ミステリー要素はあるけど、特別養子縁組におけるひとつのケースのルポルタージュであり、痛切な啓蒙にも
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脳天パラダイス(2019年製作の映画)

4.5

最高です。文句なしです。あっぱれです。

閉塞した現在にこの映画を観れたことに感謝。錆びつかない山本政志監督のセンスに感動。

ダサさ、気まずさをギリギリで回避するテンポが素晴らしく、しっかり出鱈目を
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佐々木、イン、マイマイン(2020年製作の映画)

4.0

照明はもちろん、モブや小物に至る細部まで行き届いた画面に生きる人物たちへの共感。

内山監督と共に脚本を書くだけでなく、佐々木を演じた細川岳の覚悟のようなもの。

青春映画だけでは収まらない充実の人間
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STAND BY ME ドラえもん2(2020年製作の映画)

3.5

色々言いたいことはあるけど(存在自体から既に)、3DCGのアトラクションと捉え、その表現に感心しながら接しました。

やはりアニメ版より年齢層は少し高く、コンテンツビジネスの拡大…、いやいつまでも愛さ
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KCIA 南山の部長たち(2018年製作の映画)

4.0

1979年、韓国大統領が腹心に暗殺されるまでの40日間を描く実録サスペンス。見応えあった。

自国の暗部を照らし秀作を連発する韓国映画界の醸成が羨ましい。

イ・ビョンホンの熱演に加え、独裁大統領役の
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サクリファイス(2019年製作の映画)

3.5

指導教授・篠崎誠監督譲りの不穏表現には荒削りをカバーする説得力があり、最後まで飽きずに観た。

草野康太、三浦貴大らが要所で締めるが、若い演者たちの表情・佇まいも魅力的だった。

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)

4.5

案の定良かった。はあ、切ない…。

監督、キャストに始まり、男性性からの脱却と解放があらゆるシーンに息づく。

恋愛映画の新たなマスターピースになるのだろう。

榎田貿易堂(2017年製作の映画)

4.0

おススメしてもらった2018年公開の『榎田貿易堂』、面白かったなぁ。

渋川清彦、伊藤沙莉、森岡龍、滝藤賢一らがゆるくとも気の利いた会話で繰り広げるR15+の伊香保コメディ。

下品過ぎる「珍宝館」の
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彼女はひとり(2018年製作の映画)

4.0

新鋭・中川奈月監督の中編『彼女はひとり』。

手堅い語りと、歪に他者との関係を構築(破壊)していく福永朱梨の意地らしさで面白く観た。

さらりと霊が出る映画はいい。決定的シーン、学校廊下の照明が刺さっ
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プラットフォーム(2019年製作の映画)

4.0

謎の竪穴超多層住居、一階層二人、下の階になる程食べ物減少、総階数不明な中で定期的な階層シャッフル……。

『CUBE』の不条理と『スノーピアサー』のディストピア感を陰惨にアップデート。

終幕をどう見
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無頼(2020年製作の映画)

4.0

見応えありました!

戦後からバブル崩壊まで疾風怒濤に駆け抜けたやくざ道。

人間関係よりも時代を語ることに重きを置いてるから混乱はするけど、思い切ったテンポと作り込まれた画面に146分退屈知らず。
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ニューヨーク 親切なロシア料理店(2019年製作の映画)

4.0

ビル・ナイ出てるし軽いヤツでしょ?(⇦偏見)とたかを括って見たら想像以上にハード。母子の行く末を本気で案じてた。

失業、DV、鬱、ホームレス…、社会の問題は決してなくならないけど、良くも悪くもそこに
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ターコイズの空の下で(2019年製作の映画)

4.0

日本・モンゴル・フランス合作。

冒頭の馬を駆りながらのジャンプカットに心奪われ、特別な感性の映画だとワクワクする。

映画的リズムが定型ではないので戸惑う可能性もあるが、柳楽優弥を通して目に見えぬ大
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Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)

4.0

異物を飲み込む「異食症」の女性を描く心理ドラマ。

性的興奮を促すフェチとしてではなく、正気を保とうとする防衛行為なのが肝で、物語は拡がり意外な後味を残します。

エンドロールの淡白な背景が多くを語っ
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FUNAN フナン(2018年製作の映画)

4.0

70年代カンボジア、ポル・ポト政権とクメール・ルージュの恐怖と対峙した家族(監督の母)の壮絶な記録。

辛い、辛い、辛い!!

それでも観るべき作品だと思う。膨大なリサーチで得た情報を、抑えたアニメ表
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Mank/マンク(2020年製作の映画)

4.0

ネトフリで『マンク』ようやく。

ゲイリー45歳設定はどうなの?とは思いつつ、フィンチャーらしい清潔な画面に30年代のハリウッドが贅沢に再現されて眼福。

父親の遺稿というのが泣かせるが、純粋フィンチ
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ノッティングヒルの洋菓子店(2020年製作の映画)

3.0

ライトに雰囲気を楽しむにはいいかもしれない。とやかく言うのは野暮だろう。

と言うことは上っ面だけの浅い映画とも言えてしまう。

そもそもあの3人が疎遠で久しぶりに顔を合わせたみたいだが、サラの葬式は
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聖なる犯罪者(2019年製作の映画)

4.5

とても良かった。設定上、決して弛緩することない緊張感の中で、罪、信仰、体裁、赦しについて考えさせられる。

抑えた色調だが小気味良いテンポが重苦しさを与えない。主人公の表情も雄弁だ。

鮮烈なラストに
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ハッピー・オールド・イヤー(2019年製作の映画)

4.0

胸が痛い!断捨離する時は余計な事考えちゃいけないって分かってるけども!

こんまり信奉甚だしい身勝手な主人公が仏心を見せたが最後、己の過去と対峙する身辺整理ドラマ。

笑いと共感に加えてビターな問題提
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ザ・ライフルマン(2019年製作の映画)

4.5

良かった。シニアは往年のテレビ西部劇と間違いそうだが、『1917』も恐れ入る少年の地獄の彷徨を臨場感ゴリゴリで描く戦争映画。

恥ずかしながら全くノーマークだったラトビアの映画力とセンスに驚かされた。
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ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒(2019年製作の映画)

3.5

『KUBO』のハードさが好きな自分としては物語的には少々物足りなかったけど、冒険譚のワクワクと、ライカの素晴らしい技術(ディテールの細かさ!)を堪能するだけでお釣りがくる。

豪州出身おヒューさんも英
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ホワイト・ストーム(2019年製作の映画)

4.0

テレビ1クール分ぐらいのボリュームを99分にまとめた脚本も凄いが、アンディ・ラウの老けなさも凄い。

ラストのカーチェイスではそこに入るか!と普通に「はぁ!?」と声が出た。香港映画のサービス精神を改め
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ストレイ・ドッグ(2018年製作の映画)

4.0

ニコール・キッドマンが理由ありやさぐれ刑事を熱演するハードボイルド。

『ガールファイト』『インビテーション』のカリン・クサマ監督は万人受けを狙わずに、リアリティ重視の抑えた演出で緊張感と悲哀を醸し出
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この世の果て、数多の終焉(2018年製作の映画)

4.0

ここまでハードな内容とは思わなかった。

フランス領でありながら日本にも支配されていた1945年のインドシナでの魂の地獄巡り。

語り過ぎず突き放した演出に賛否あろうがこのヒリヒリ感は好きだなぁ。

スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話(2019年製作の映画)

4.5

良かった。説教臭さよりも、実在する人物を演じたヴァンサン・カッセルらのペーソスに引き込まれ、共に悩み、怒り、笑った。

ケアする方もされる方も陽の目を見ない。だから映画にする意味がある。

もがいて、
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超擬態人間(2018年製作の映画)

4.0

やられた!素晴らしいテンポが醸し出す迫力で、観客に突っ込む隙を与えずに駆け抜けて行ったぞ!

胸糞悪い秀作『狂覗』の藤井監督だけに登場人物の裏設定も冴えている。大真面目なテーマもあるんだろうが、今はた
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ブリング・ミー・ホーム 尋ね人(2018年製作の映画)

4.0

辛そうで後回しにしてたけど、案の定充実してました。

サスペンス映画というよりはツイストの効いた社会派映画。イ・ヨンエがブランクを感じさせない熱演。

コメディリリーフやユーモアを排除した潔さも作り手
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VIDEOPHOBIA(2019年製作の映画)

4.0

宮崎監督のそれぞれ趣の異なる過去3本の長編の集大成というだけでなく、作家として次なる領域に達しているのが頼もしい。

好き嫌いは別れるだろうし、分かり易さという意味では不親切かもしれない。だからこその
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鬼手(2019年製作の映画)

4.0

囲碁の知識ゼロでも大丈夫。テクニカルなことは一切描かず、異常な劇画テンションで筋肉モリモリ人死に続出囲碁バトルを堪能させてくれます。

しかしこのキャラとエピソード量を、駆け足ながら106分でまとめた
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慶州(キョンジュ) ヒョンとユニ(2014年製作の映画)

4.0

不思議な魅力で好きな作品だった。

古墳の街、慶州(キョンジュ)を訪れた男の次第に溶解していく24時間を時にユーモラスに描く。

とにかく「死」(過去)のイメージに溢れているが清潔感で冷静さを保つ。明
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劇場版「鬼滅の刃」無限列車編(2020年製作の映画)

4.5

原作でも泣いた話だったけど、素晴らしいアニメーションの効果により迫力も感動も倍増。

煉獄さんの言葉に泣いて、それを受けての炭治郎の「悔しいなぁ…」で号泣。

活況のシネコンは以前なら辟易したかもだが
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わたしは金正男を殺してない(2020年製作の映画)

4.0

見応えありました。

既に(一応の)終幕を迎えているのに、当時ニュースであれだけ衝撃を受けたのに、事件はこんなにも激動の展開を見せたのに、その後のことを一切知らなかった自分の軽薄さ。

不時着なんて絶
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