ごろちんさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

ごろちん

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世紀の光(2006年製作の映画)

3.9

『ブンミおじさんの森』でパルムドールを受賞したアピチャッポン監督の作品。

スピリチュアルに溢れるこの作品は「肩の力を抜け。魂で感じろ」と訴えているようで不思議な感覚を覚える。

前半は緑に囲まれた田
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寝ても覚めても(2018年製作の映画)

1.1

このレビューはネタバレを含みます

皆さんの白い目をひしひしと感じますが、言わせて頂きます。

ファンタジーでもない、SFでもない作品でありながら、リアリティが全く感じられず。全ての出来事がタイミングよく起こり、テンポ重視で時間の枠が決
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ファミリー☆ウォーズ(2018年製作の映画)

3.4

「高齢者が餅を食べて死亡」というニュースを目にするたび、何で家族は注意してなかったんだろ、、と思ってたけど、まさにそこを逆手に取った面白い脚本。

認知症を発症したおじいちゃんが暴走、疎む家族にさらに
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南京!南京!(2009年製作の映画)

4.1

1937年12月に首都南京を陥落した際、日本陸軍が犯した(一部の人は無かったと主張している)南京事件をテーマとした作品。

このテーマを聞くと「どうせ日本兵を鬼畜扱いしたプロパガンダ映画だろw」と思わ
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息子のまなざし(2002年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

ダルデンヌ兄弟の作品はまるで文学小説を読んでいるかのよう。
言葉は最小限に抑えて、表情や間合い、動作で心情を語っている。

職業訓練所で指導するオリヴィエのもとに、少年院で刑期を終えたフランシスが入所
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形のない骨(2018年製作の映画)

3.5

リアリティのある台詞と動きで感情の機微を描いた好みの作品でした。

それにしても観てる人少なっっ!

メジャーな俳優さんが出てないからかなあ。個人的にはこれからの俳優さんがメインの作品の方が感情移入で
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子どもが教えてくれたこと(2016年製作の映画)

-

難病の子どもたちが出ているドキュメンタリーなんて、観る前から泣いてまうやろ、と思っていた自分がめちゃくちゃ恥ずかしい。

だいたい、「難病にも関わらず健気に頑張っている子どもたち」という見方は、健常者
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カメラを止めるな!(2017年製作の映画)

4.6

フォロワーさんたちの熱いレビューを読み、これはぜったい面白いから!!と、鑑賞を渋る妻を説得して何とかユーロスペースへ。家族揃っての映画館は『ハリーポッターと死の秘宝2』以来約2年ぶり。

ゾンビ映画
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ミルコのひかり(2005年製作の映画)

4.6

驚いた!!いや、この作品の素晴らしさに対しては勿論なんですけど、主要な映画祭で無冠、しかも監督はこの作品しか撮っていないっぽい…。なんでなん?どなたか教えてくださいませ(*´-`)


不慮の事故から
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ひめゆり(2006年製作の映画)

4.4

ポレポレ東中野で鑑賞。毎年沖縄慰霊の日から1週間限定で上映されているそうで、今日はその最終日でした。

ひめゆり学徒隊だった彼女たちは、壕の中で負傷兵を昼夜寝る間もなく看病をし、敗戦時には多くの女学生
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夜の浜辺でひとり(2016年製作の映画)

3.7

個人的に映画のストーリーがどうとかより、女優キム・ミニにやられました…。
だってたいして飲んでないのに酔っ払って突然絡むとことか、ひとり浜辺で死んだように寝てるとことか、かわいすぎますやん。キム・ミニ
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肉弾(1968年製作の映画)

4.3

敗戦間近の日本。
神様に祭り上げられ、肉弾として特攻隊員に任命されたある青年の苦悩を、ユーモアを交えながらコミカルに描いた作品。

特攻隊出陣を前に、24時間の自由時間が与えられ、21才の主人公「あい
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神のゆらぎ(2014年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

テーマは「神の存在」。

「エホバの証人」の信者である若い男女と、墜落するキューバ行きの飛行機に居合わせる人たちの群像劇。各々の人生が交差し合い、「奇跡」が起こる。それは神のみわざか、それとも・・・。
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枝葉のこと(2017年製作の映画)

4.2

これ、個人的にもろ好きなタイプの映画っす。

橋口監督『恋人たち』、春本監督『かぞくへ』、小説でいえば西村賢太の作品が好きな人ならたぶんハマるでしょう。

何が良いかって、エンタメ要素がまったく無い(
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サムライと愚か者-オリンパス事件の全貌-(2015年製作の映画)

3.2

「飛ばし」
巨額の不良資産を隠すため子会社に負債を付け替える粉飾決算の手口。

2011年に明るみになったオリンパス事件のことを、当時解雇されたマイケル・ウッドフォード元社長や、事件を取材した雑誌の編
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野火(1959年製作の映画)

3.9

塚本晋也監督のリメイク版『野火』は、悪趣味なほどグロテスク(ちょっと『HAZE』ぽい)な映像で恐怖とインパクトを与え、戦争の惨たらしさを訴えていました。

市川崑監督のオリジナル版『野火』はグロテスク
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私はあなたのニグロではない(2016年製作の映画)

3.8

まずストレートなタイトルに驚く。そしてこのタイトルから本気度が伝わってくる。

キング牧師暗殺から50年、もしキング牧師が生きていたらオバマが黒人初の大統領になったことに感涙していただろうか。マルコム
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タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜(2017年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

フォロワーさんから『ラッカは静かに虐殺されている』と一緒に観ると「伝えること」の大切さが一層分かる、と伺い鑑賞しました。

前述作と比べて伝える手段は異なるけれど、「真実を伝える」ということの大切さ、
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砂の女(1964年製作の映画)

4.2

砂穴の底で暮らす女と、罠に嵌められ一緒に暮らすことになった男の物語。

安部公房の小説は心理描写が巧みなので、映像化するとどうなるんだろ、、って思いながら観ました。

正直、砂穴に閉じ込められた男の疑
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いのちの食べかた(2005年製作の映画)

3.2

淡々と、とにかく淡々と牛、豚、鶏の畜産動物(たまに果物)が機械と人の手によって食肉処理される過程を撮ったドキュメンタリー。

ナレーションやBGMも一切無く、とにかく淡々と(しつこい)食肉処理場の作業
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ラッカは静かに虐殺されている(2017年製作の映画)

4.5


「スマホは剣よりも強し」

市民ジャーナリスト集団〝RBSS〟は、母国シリア、とりわけISが拠点とするラッカの現状をSNSで世界に伝えている。彼らが配信する映像は凄惨な現場そのもの。ISもメディアの
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ゆきゆきて、神軍(1987年製作の映画)

4.2


車体にデカデカと「田中角栄を殺すために記す」の文字。右翼の街宣車も真っ青の車に乗っているのは、バッテリー商を営む自称「神軍平等兵」奥崎謙三氏。

普段、裕仁天皇の戦争責任を糾弾している男が、終戦直後
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夜と霧(1955年製作の映画)

-

このホロコーストの記録映画を観た後は、悲しみや怒りとは少し違った感情を抱くかもしれません。

そもそもこの映画では、人間に対して憐れむ以前に、人間が人間として存在していない。

骨と皮になった大量の死
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戦争のはらわた(1977年製作の映画)

4.1

『戦争のはらわた』(原題は「鉄十字勲章」)って邦題、エグいですよね…。まず、『死霊のはらわた』みたいに腹わたがブシャーーッ、という映画ではありません。その点なら『プライベート・ライアン』や『ハクソー・>>続きを読む

ニッポン国 vs 泉南石綿村(2017年製作の映画)

5.0

このドキュメンタリー映画はニッポン国に住んでいる人にはぜひ観て欲しい、いや、観とかなアカン映画。

国を相手取った訴訟は決して対岸の火事ではなく、誰でも起こり得る。そのとき訴えられた我が国は国民に対し
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ハッピーエンド(2017年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

『ベニーズビデオ』よろしく録画映像から入るOPに胸が騒つく。

日本で起きた母親毒殺未遂事件。ハネケ監督がどういう経緯で知ったのかは知りませんが、『ベニーズビデオ』で扱ったような「生」に対する意識の薄
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愛、アムール(2012年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

ハネケ監督の最高傑作。

ハネケ監督が「愛」という普遍的なテーマをタイトルにすると、どうしてもその裏側に潜むテーマを推測したくなります。

妻の介護を余儀なくされた夫は、甲斐甲斐しく世話をします。そこ
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カフカの「城」(1997年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

小説を読みました。ハネケ監督がどうしてカフカの『城』を映画化したかったのか知りたくて。元々はテレビ映画だったらしいので、「ハネちゃん、これ撮ってよ」とプロデューサーに頼まれて嫌々作らされていなければの>>続きを読む

アンダーグラウンド(1995年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

祖国ユーゴスラビアに対する熱い想いが込められた大作。

始まりから終わりまで登場人物たちの熱量が凄い!!まるで将来ユーゴが解体するときに放つエネルギーがそのまま登場人物に乗り移ったかのよう。

合って
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彼の見つめる先に(2014年製作の映画)

4.4

身体や性差の垣根は、高校生の好奇心の前では道路の段差にしか過ぎないのかも。

人が人の中身を好きになるというのはこういうこと、と嘘臭くなく、さり気なく見せてくれる。

Belle and Sebast
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ファニーゲーム U.S.A.(2007年製作の映画)

3.6

オリジナル版に出ていた母親役のスザンヌ・ロタールが余りにも素晴らしい演技だったので、これ以上の演技は無いと思い、こちらはスルーしていました。

ストーリー、台詞はオリジナル版と全く同じなので触れません
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白いリボン(2009年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

今まで現代の社会病理を背景とした作品ばかりだったけど、この作品は第一次世界大戦前のドイツ。てことはその時代じゃないと表せないテーマで子どもが主役だと考えると、やっぱりアレですかね。

村で起こる数々の
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かぞくへ(2016年製作の映画)

4.6

期待を大きく上回る映画に出会えた。
台詞、行動、表情全てがナチュラルで誇張がない。発した言葉と裏腹の感情に深く共感する。

結婚を直前に控えた男女の慢心から生じる微妙なズレ。

「あの人ならきっと分か
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僕の村は戦場だった(1962年製作の映画)

3.9

一面に広がる白樺林、トラックに積まれた沢山の果実とそこから溢れた果実を食べる馬、海辺で戯れる兄妹。今まで観てきた戦争映画とは違って、瑞々しい映像の連続にちょっと戸惑いました。

ただ、両親と妹を戦争で
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隠された記憶(2005年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

この作品は、サスペンス映画として「犯人は誰か」と想像して観るよりも、「監督のメッセージは何か」と想像しながら観る方が断然面白いです。

ハネケ監督がハリウッドのような分かりやすい映画を好んでいないのは
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牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版(1991年製作の映画)

4.5

紛うことなき傑作。

少年の小四(シャオスー)が同級生小明(シャオミン)と出会った時は、他人にまで関心が及ばない思春期の入りたてだった。初めは何とも思っていなかった小明と心を通わせるうちに、小四の中で
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