若い頃に観たときは、フィレンツェの美しい風景にも二人のすれ違いラブストーリーにも憧れに似た想いを感じていた。
だけど、この年になって観ると、自殺した恩師のことが気にかかる。一度目に観たときには記憶に>>続きを読む
「殺人は罪」という意識を嘲笑うかのように、小気味よく人が死んでゆく。「人が死ぬ」と「小気味よく」は本来結びつかない言葉なのに、本当にテンポよく、軽快に人が死んでゆく。
ストーリーなど不問。加瀬亮のイ>>続きを読む
松田龍平の鮮烈なデビュー作。
人も組織も、ささいなことから狂っていく。でも、「狂う」って誰のものさしなんだろう。狂って、何がいけないんだろう。
セリフがボソボソしすぎて、よく聞き取れないのが難点。>>続きを読む
ミステリーと人情話、どっちつかずで中途半端。せっかく演技派を揃えていたのに、ちょっともったいない。
この映画で鍵を握っている信人にたっぷり感情移入させる森山未來の演技で救われてる。
気の遠くなるような命題に情熱を燃やす偏屈者を松田龍平が好演。
いかにも邦画らしい、淡々としたストーリーに“旨み”を感じられないのは、やはり日本人らしくない濃淡はっきりした性格のせいか。
実直に生きる兄の、奔放に生きる弟への閉じた想い。
知らねえよ。それがテメエで選んだ人生だろうが。
香川照之とオダギリジョーが適役すぎる。
「世間一般の幸せ=結婚」にみずからの幸せを委ねる浅はかさ。そこに付け入る夫婦のあざとさが痛快。
西川美和監督の人間の描き方には、きれいごとがなくて好感が持てる。
「オジサンたちの奮闘」という意味ではミスチル『くるみ』のPVと似たところがあるが、後者のほうが圧倒的に良い。
宮崎あおいありきで制作されたような作品。佐藤浩市は、なんで引き受けたんだろう。
絶対に交わらない、届かないと思っていた領域は、じつはすぐそこにある。
「バカな女」などと浅はかな評価を下す人間とは、仲良くなれそうもない。
大島優子が意外に名演技。
主人公は、神木くん(映画部・前田)でもなく、桐島でもなく、登場人物の一人ひとり。
でもなく、「おまえらだよ」と言われてる気がした。
橋本愛の透明感。
守るために戦う、の肯定。
そこから解放される幸せ、への賛辞。
ハウルが時折、幼稚な面をのぞかせるのがいい。
「男のロマン」を盾にして、大切な人を振り回す。犠牲にする。そんな身勝手を美化するような物語に胸くそが悪くなったのは、どこか心あたりがあるからか…。
もっと、もっと深いメッセージが込められているのだと思う。
何年かごとに見返して、少しずつそのメッセージに触れていけたらいいな。
思春期だったら、キュンキュンしたんだろうなあ。
でも、「淡い恋×謎解き」の組み合わせは、オッサンが観ても面白かったけど。
緊迫した展開で引き込まれた前編に比べると、ややダレる。
大出は濡れ衣だったけど、自業自得。
宮部みゆき作品の映像化。よくできていて、引き込まれた。
大規模なオーディションで選ばれたという藤野涼子の“普通っぽさ”が、物語に正当性を与えていたのかも。
佐藤浩市の演技だけで成り立っているような作品。
小説だと面白いのかしら。
男性でこの作品が好きという人もいるのかな。
メリル・ストリープがビッチという役どころに違和感がついて回り、いまいちストーリーに入っていけなかった。
ABBAの曲はいい。海も綺麗。
サスペンスとしては、かなりスリリングで引き込まれる。さすがは東野圭吾。だが、「原発の是非を問う」という遠大なテーマには、皮肉にもサスペンスとしての出来が良すぎたために、いまひとつ迫りきれていない気が。>>続きを読む
それぞれの物語が最後に交錯するのかと思いきや、交わるのは観客の視点のみ。でも、それぞれが胃炎になりそうなほど切ない物語。
世界のケン・ワタナベがかすむほど出演者たちの演技が秀逸。森山未來も、綾野剛も>>続きを読む
洋画ばかりを鑑賞していて、ひさしぶりの邦画。淡々と、ただ淡々と。起伏がないままに、何となくラスト。
『万引き家族』で話題の是枝作品ということで期待もしていたけど、物足りなさは否めない。
「美女の博>>続きを読む
与えられたカードで最大限の努力をして生きていくしかない。
だけど、与えられたカードによって、必要になる努力量にあまり大きな差が出てくる社会にはしたくない。
常に主役になる人生もしんどいけれど、その>>続きを読む
才能が魂を食い殺す怖さ。幼い人間性に、カネと欲が襲いかかる。
そこから彼を救ったのは、母の愛と、妻のリスペクト。
中盤のクスリ⇄オンナのループがややダルいが、事実だったのだから仕方ない。ジェイミー>>続きを読む
アメフト×人種差別の映画。
白人と黒人が打ち解けていく様子がとても自然に描かれていて、落ち着いて観ることができた。鼻につく説教臭さがなかったのが良かった。
それにしても、人種差別を描いた映画におけ>>続きを読む
スティーブ・ビコの人権闘争の話なのか、ドナルド・ウッズの脱出劇の話なのか、まるで途中から別の映画にでもなったかのようで困惑した。
「一粒で二度美味しい」という捉え方もあるのかもしれないけど、ちょっと>>続きを読む
『太陽と北風』を連想させる。「君は何も悪くない」の連発が、閉じたワインを、じっくり、じっくり開かせていく。
でも、この歳になってくると、ウィルの葛藤よりもショーンやランボーの葛藤に共感を覚えてしまう>>続きを読む
「何かしゃべろ」と拷問される冒頭のシーンが、主人公がのちに陥る境遇の暗示となっているなど、随所に工夫を凝らした演出が光る。
だが、そもそもなぜ主人公はあそこまで窮してもなおトーキーを拒み続けたのか、>>続きを読む
フィルム・ノワールというんだ。後味の悪さは秀逸だなあ。
ジャック・ニコルソンのギラつきが、退廃的な物語にかろうじてエネルギーを与えている。
フェイ・ダナウェイの抑えた演技が、終盤で明かされる忌わし>>続きを読む
ありがとう、ジャッキー・ロビンソン。
ありがとう、ブランチ・リッキー。
これを「いい映画だなあ」とほっこり思えない自分は、いろんな経験をし過ぎてしまったのだろうなあ。
純真に、愚直に生きることがきちんと幸せに結びつくだなんて、やっぱり無理があるよ……と思ってしまう。>>続きを読む
これも20年ぶりくらいの鑑賞。
こんなにもロバート・デ・ニーロの演技は天才的だったっけ。
こんなにもロビン・ウィリアムズの笑顔はあたたかかったっけ。
こんなにもポーラとのダンスシーンは美しかったっけ>>続きを読む
あらすじを読んで想定したストーリーからほとんどズレがなかった。サプライズも感動も、そして大した疑問もない。あれ、こんなコメント、『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』でも書いたな。モーガン・フリーマ>>続きを読む
思っていたほど甘酸っぱい気持ちにならなかったのはなぜだろう。銃やタバコといった日本の小学生という現実からはあまりにかけ離れた小道具のせいだろうか。それとも、自分はこのストーリーに負けない“冒険”をして>>続きを読む
20年ぶりくらいに鑑賞。あの時は完全版ではなく、オリジナル版だったかな。
これまで観てきた映画の中で最も美しい映像かもしれない。チャン・イーモウ監督の描く人工的な美しさは別として。
ロマンとエゴは>>続きを読む