もりのはこさんの映画レビュー・感想・評価

もりのはこ

もりのはこ

悼む人(2015年製作の映画)

3.0

主人公の触れる、亡き人に集まる柔らかな言葉が印象的。怒るでも憎むでもなく、悼むことで、互いが癒されていく。
対照的に、強烈な表現がなければ感情を受け取れない不安も、描かれる。劇中にもあるように、『悼む
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キングダム(2019年製作の映画)

4.0

凄い。中国四千年がどこからカウントされるか分からないものの、地球規模で見ればひと握りの人間模様。原作漫画が膨大なので、ギュッと手早く詰め込むのかと思いきや、丁寧だった。この調子なら幾つも映画ができそう>>続きを読む

TENET テネット(2020年製作の映画)

4.0

『現在』のみが進行するタイムトラベラー。五感の起点は全て自分であり、巧くいけばそれが最善だったのだと身体に残る。無知と直感。
人生はあらゆる大きさの出来事が入れ子状態にあると思っているのだが、出来事の
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バンビ(1942年製作の映画)

4.0

初めてちゃんと鑑賞。
草木や動物がよく観察されていて、とても魅力的。無理に擬人化されていない。川辺や花畑はもちろん、雪原や雷雨も、どれもが気持ちよさそう。森の中にゆっくり埋もれたい。
とは言え。『ファ
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グランド・ジャーニー(2019年製作の映画)

4.0

翼をください♪
環境問題は複雑すぎて思考を放棄したくなるのだが、そう難解ではない。自然には美しい均衡があるから、その一部に還りたいという、帰巣本能みたいなものなのかも。
ニルス少年を通すことで、永く続
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劇場版 ムーミン谷の彗星 パペット・アニメーション(2010年製作の映画)

3.0

北欧の妖精。
1980年前後、ポーランド製作。
トーベ・ヤンソンも携わったそう。こちらの『ムーミン』の顔立ちや仕草には、スウェーデン語やフィンランド語がしっくりくる。観ている間はあまり深く考えずとも、
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オーケストラ!(2009年製作の映画)

4.0

1980年代からの千夜一夜物語。
ある瞬間に時間が止まってから、ひと昔もふた昔も前になった臭いが随所に染みついている。自分の臭いは自分ではたいてい分からないものだけど、ふと、気になる。あの夜は呪詛か伝
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パブリック 図書館の奇跡(2018年製作の映画)

4.0

伝わるひとには伝わる。
喧騒に紛れた静かな抵抗。館員・警察・市長・報道・市民の、外と内の気温差が興味深い。ブリザードはどこから吹くのか。

パブリックはビジネスの真逆に位置していて、損得や効率から距離
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エジソンズ・ゲーム(2019年製作の映画)

4.0

1880~1892年。
ナイアガラとフェンス。
数々の逸話が盛り込まれ、等身高め。
ビジネスは競争や闘争であり、肯定的な印象が薄いのだけれど、効率や利便を抜きにして、大衆は生きられない。技術や知識を、
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恐竜が教えてくれたこと(2019年製作の映画)

3.0

とんとととんとん・ん・とんとーん♪

オランダ北部の島。
一週間の海辺のバカンス。
子どもの世界から飛び出して、他人の世界に影響を与えられるようになるまでの、冒険。10代の頃の1歳分はとても大きく、家
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残穢 住んではいけない部屋(2016年製作の映画)

3.0

ホトトギスの鳴く夜に。
原作者のかしこまった文体がとても好きなのだが、映画には向かない気がして、期待半分不安半分。けど、俳優さんの佇まいに説得力があって良かった。『続く・続かない』の命題は原作者の真骨
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スナッチ(2000年製作の映画)

3.0

学生時代から気になっていたヤツ。
『カウボーイ・ビバップ』とか『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』とか、芋づる式に渋いおじさんたちの記憶が蘇る。公開から20年も経っていると、その間にあった作品を妙に紐づ
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オーシャンズ8(2017年製作の映画)

3.0

『すばらしき世界』や『レ・ミゼラブル(2019年:ラジ・リ監督)』のあと、ほぼ同時期に観てしまい、いやいや、まあ、ありえないからこそ、素晴らしき人間模様。湿度や粘度を限りなく0%にできるところがフィク>>続きを読む

ヒューゴの不思議な発明(2011年製作の映画)

3.0

映画の映画♪
J.メリエス氏の物語だと知っていて観るかが感想を分けそう。予告でははっきりしなかったため、急にスイッチバックしたように感じたけど、主人公たちと一緒に驚きを共有できたかな。
モノをつくる時
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ラストエンペラー(1987年製作の映画)

5.0

Open the door!

庭師と蟋蟀。
荘厳で妖艶で、鈍重で軽薄で、どんなに言葉を並べても全てを語るには足りない。大きく変革する時代を生きたひとり、清朝そのもの。まぎれもなく、彼なくして、現代中
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ナミヤ雑貨店の奇蹟(2017年製作の映画)

2.0

東野圭吾氏らしい、閉じた世界での出来事。
現実でも、もっと早くに出逢いたかったとか、もう少し遅くに出逢っていればとか、時の運が目まぐるしく交差することがある。そんな交差点の先を生きる若者からの言葉は、
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アラジン(2019年製作の映画)

4.0

A Whole New World!
自由について、明確に、まったく新しい世界が歌い上げられる♪

語り手はあくまでもジーニー。
アニメ版よりマクラとサゲが整えられて、願いの本質がよく見える。親切な信
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タッチ・オブ・スパイス(2003年製作の映画)

4.0

1959年~
トルコとギリシャの狭間。
去る時は未来を語るものという言葉を片隅に置きながら、故郷や信仰が過去から離れない。社会的にはもはや失われているのに、鮮やかな香りが充満していく。料理は、五感を刺
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ドクター・ドリトル(2020年製作の映画)

3.0

ビクトリア女王の時代。
治世1837~1901年は黄金期。
ロマン主義・紅茶・動物園・水晶宮・世界旅行・スエズ運河など、そこかしこに新しいものが目白押し。次代への推進力に惹かれながら、保守的な可笑しさ
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コードネーム U.N.C.L.E.(2014年製作の映画)

3.0

1960年代。東西冷戦の頃。
こだわりがあるほど優秀なスパイなのか、最後までこだわりのジャムたっぷり。会話や服装や小物のセンスを楽しめるよう、全体のテンポはゆっくりお菓子を食べながら、といったところ。
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コヤニスカッツィ(1982年製作の映画)

3.0

某テレビドラマにて知り、某検索サイトにて調べ、某動画サイトにて観る。手に入れる、という行為が簡単に完遂された。
データそのものの価値はあまり省みられず、表現力によって新しい価値基準が生まれている。そう
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ディープ・インパクト(1998年製作の映画)

4.0

突然の再鑑賞。
公開当時は、いわゆるヤングアダルト以上の作品を探り始めた頃で、色んな感情を擬似体験。衝撃を受け止めきれず、しばらく眠れなかった。何年経っても、心臓の場所を思い出す。苦しさ、厳しさ。
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グレイテスト・ショーマン(2017年製作の映画)

4.0

新年度、栄養のあるものを。
1840~70年くらいのニューヨーク、史実に基づいたミュージカル♪
夢想の『A Million Dreams』、自愛の『This Is Me』、渇望の『Never Enou
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コンフィデンスマンJP(2019年製作の映画)

3.0

HK。
全ては空中庭園の魚。
ラストのラストが良かった。(*●▽◎*)
上に伸びているのか下に堀りこんでいるのか分からない、香港の建物群。井戸の底みたいで、好きなアングル。
中身でも外見でもなく、アイ
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南極料理人(2009年製作の映画)

4.0

面白かった~♪
国際電話1分740円の1997年。
久々に観ると、昭和から平成に向かう小道具があちこちに。懐かしい。(笑)

食卓に着く順番や食事に執着する程度など、だんだんと個々の性格がはっきりして
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レ・ミゼラブル(2019年製作の映画)

4.0

悪い草も悪い人間もいない
育てる者が悪いだけだ

という、小説『レ・ミゼラブル』のイラクサ摘みの場面の引用で終幕。
新しい『人間』をつくるまでの連鎖が、最後の一秒に集約されたようだった。そうやって街の
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ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019年製作の映画)

3.0

ミステリー研究会のミステリー。
犯人は誰か・真相は何か、推理を楽しめるつくり。前半で人物相関と内部事情が並べられて、後出しの変な秘密情報がほぼないところが好印象。(笑)

階級や移民について、コミカル
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すばらしき世界(2021年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

時間の矢は前にしか進まない。
優しさが暴力にもなりうる世界で、優しさが優しさとして機能していって、嬉しかった。生きることに対して適当ではないから、一生のうちに出逢うはずのひとがひとときに集まって、社会
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さんかく窓の外側は夜(2021年製作の映画)

2.0

各方面のファンからは呪われるかもしれないけど、『ONE PIECE』も『MAJOR』も仲間集めの頃が一番好きなので、いわゆる前哨戦ではないかと邪推しながら鑑賞。

三竦みとも三つ巴ともとれる、いくつか
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愛と闇の物語(2015年製作の映画)

4.0

イスラエルやユダヤ人という広いくくりではなく、主人公やその周囲人の生活を通して、ヘブライ語や伝道師ラビを知ることとなった。

『私は正しい』と『貴方は間違っている』は必ずしもイコールではない。
対比を
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ファーストラヴ(2021年製作の映画)

4.0

内容は愚劣だけど、後味は爽やか。
しかし、それこそが愚劣の温床ではないか。

複数の他人に自分のネガティブな出来事を話すことは、生きて前に進むために最も大事な行為だと思っている。その結果がどうであって
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博士の愛した数式(2005年製作の映画)

3.0

観る度に時間の経過が効く。

自然の中の数学が明るく温かい。
一個人に与えられた数が、ひとと係わることで色んな数式をつくる。子どもの素直さは暴力でもあり友愛でもあり、新しい数式をつくる力。

Dr.パルナサスの鏡(2009年製作の映画)

4.0

物語は続く。
未来を想像する時、色んな選択によって明暗が決まる。選択の始まりは自覚しているのに、だんだんと袋小路にはまって、どこへ進んでいるか分からなくなる。
望みは具体的なイメージがあるほどその通り
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紅の豚(1992年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

F:Que c'est beau!Le monde,c'est rudement beau!

P:La mer et la terre sont belles.Mais c'est un vrai
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日日是好日(2018年製作の映画)

2.0

1993年~~2018年。
20歳から24年間の足運び。
『まず形から』という基盤が頼もしい。

ハイキングで滝を見て、書の滝を見て、自分の内なる滝を見て。居間のドアを開けて、和室の襖を開けて、自分の
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茄子 アンダルシアの夏(2003年製作の映画)

4.0

2003年、アンダルシア。
カラッと、気持ち良い!好き!


ブエルタ・ア・エスパーニャと記されていたか見落としたのですが、ツール・ド・フランス100周年記念、とのこと。私がロードレースを知ったのもそ
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