ハマジンさんの映画レビュー・感想・評価

ハマジン

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ポール・ニューマンの 女房万歳!(1958年製作の映画)

2.0

郊外在住の子持ち夫婦、地域活動に熱心な妻に対し欲求不満気味の男が、出張ばかりで留守がちの夫にこれまた欲求不満をつのらせた近所の人妻に誘惑をしかけられる、という三角関係。そこに地域の土地が軍事目的(内容>>続きを読む

肉の蝋人形(1953年製作の映画)

3.5

どちらかと言われたらマイケル・カーティス33年版の方が好きだが、こちらも素敵な仕上がり。ド・トスは階段のアクションよりも、吊るす/ぶら下がる/落ちるなどの垂直の運動に注視するふしがあるように思う。
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肉の蝋人形(1933年製作の映画)

4.0

『ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ』を観たときにも感じたが、マイケル・カーティス、階段の撮り方がめちゃくちゃに上手い。中盤のジグザグ形から終盤のゆるやかならせん状まで、劇中2段構えで登場する地下室へと>>続きを読む

男の争い(1955年製作の映画)

4.0

赤狩り以降のアメリカ映画が失ったものと、代わりに同時代のフランス映画が得たものの大きさについてついつい思いを馳せてしまう。デュヴィヴィエ、オータン=ララ、カルネなどのセットメインの撮監だったフィリップ>>続きを読む

現代やくざ 血桜三兄弟(1971年製作の映画)

3.5

陰キャ童貞青年「モグラ」こと荒木一郎、あの前髪のかぶさり具合からして迫真。一年後、『白い指の戯れ』で虚無的で格好いい掏摸役を演じる役者だとはとても思えない。失恋をし、ブランコに揺られながらヤケクソ気味>>続きを読む

夜ごとの美女(1952年製作の映画)

3.5

ルネ・クレールお得意のナンセンス・コメディ。平凡な男が退屈で冴えない日常に嫌気をつのらせ夢想する「古き佳き時代」への無限後退。明らかに『ミッドナイト・イン・パリ』の元ネタなのだが、ウディ・アレンが作中>>続きを読む

サラゴサの写本(1965年製作の映画)

4.0

分厚い写本の中の挿絵、褥で睦み合う2人の美女と絞首門に吊るされた2人の男(全編を覆う「反復の呪い」を表す図像)、それぞれのページの隣にはタコとロブスターがでかでかと描かれている。このシュルレアリスム的>>続きを読む

無防備都市(1945年製作の映画)

4.0

中庭でのサッカーと同じノリで爆弾テロをかますガキ共の集団が、どこまでもリアルに生々しくガキんちょをやっている。近所の大人や親のふり見てパルチザン道まっしぐら。この「大人の影響」がナチス政権を経た占領下>>続きを読む

拷問の魔人館(1974年製作の映画)

3.0

インスパイア元とされる『悪魔のいけにえ』よりも、ディケンズやバーネットなどの古き良きイギリス文学の感化院/矯正院/寄宿学校ものに女囚エクスプロイテーション・フィルムをミックスしたような、奇妙に端正な佇>>続きを読む

ディメンシャ13(1963年製作の映画)

3.0

『サイコ』の○番煎じな題材に無駄なお色気ショット(水中に飛び込むための唐突な下着姿や透け透けのネグリジェ)、威勢のいい首チョンパなど、ロジャー・コーマン印の低予算早撮りスリラー路線に漂う、どこか優雅で>>続きを読む

Three Crowns of the Sailor(英題)(1983年製作の映画)

4.0

暴動下のワルシャワ、師匠の骨董商を殺害した学生が、船乗りを名乗る正体不明の男に「古い3クローネ硬貨」と引き換えに船に乗せてやると誘われ、ダンスホールで奇想天外な物語を聞かされる。バルパライソからシンガ>>続きを読む

島田陽子に逢いたい(2010年製作の映画)

3.5

本当によかった。『いくつになってもやりたい男と女(別題:たそがれ)』を見た時の、しみじみとした余韻を思い出す。撮影現場から逃げ出した島田陽子演ずる「島田陽子」と、偶然タクシーに乗り合わせた余命いくばく>>続きを読む

ほかげ(2023年製作の映画)

2.5

劇中登場する銃の扱いが、のちの展開に向けた「ためにする」作劇になっており、シナリオ的にまったく納得がいかない。そんなに子どもに銃を持たせたておきたくないのなら、趣里演じる居酒屋の女が弾を抜いて手許で管>>続きを読む

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

3.5

画面をゆっくりと横切る川船の冒頭ショットで「あれ?ジェームズ・ベニングの映画見にきたんだっけ?」と一瞬錯覚(カット尻の鋭利さでライカート作品と確信)。予想以上にサスペンスとしてよくできた映画で、特に、>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

1.5

雨でずぶ濡れな人間が家に駆け込んでの第一声が「雨でずぶ濡れだ!」ってとこで「あっ、山崎貴の映画だ……!」とちょっとした謎の安心感とともに盛大にずっこけて以降の記憶があまりない。

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

2.0

海外の監督、ことヴェンダースに東京描写の正確さを求めるのもどうかと思いつつも(『夢の涯てまでも』からしてすでに東京・日本パートがトンチキだったので……)、メゾネット風2階構造のくせに2階部分に外階段が>>続きを読む

サクリファイス(1986年製作の映画)

3.0

近代文明への呪詛を延々独り言でつぶやく無神論者の男、エルランド・ヨセフソン。いざ核による世界終末の危機が訪れると、「動物的恐怖」から思わず神に縋り犠牲を誓ってしまう。タルコフスキー映画の主人公、Twi>>続きを読む

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)

4.0

開始数秒、「バンザーイ」という喚声のなか提灯の群れがぼうっと浮かび上がる冒頭ショットであわてて襟を正す。本気と書いてマジのやつ。『この世界の片隅に』はもちろん、『この世界~』原作漫画の先行作品である滝>>続きを読む

制服私刑(リンチ) ねじり込め!(1991年製作の映画)

4.0

改題『黒タイツの制服 内緒の蕾』。
赤い満月の夜毎、マザコンで知恵遅れの男にメトロノームで催眠をかけ、自らの経血を舐めさせ女を暴行し殺害するよう仕向ける、セーラー服姿の少女森村あすか。そんな彼女を「ミ
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色情妻 肉の誘惑(1976年製作の映画)

3.0

ジプシー老婆(の姿をした男=悪魔)のタロット占いで「セックスしないと死ぬよ!」と予言される。そこから起こるすべての事象は、欲求不満の有閑夫人がひととき見た白昼の妄想だったのかもしれず。
窓の外から聞こ
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ノスタルジア(1983年製作の映画)

4.0

キチガイの意志を継いで「世界の救済」を試みる異邦人のキチガイの話をキチガイの監督が撮ったマジキチ映画。過去/現在、夢/現実だけでなく、正気と狂気の境にまで揺さぶりをかけてくる音響と照明の精度が半端では>>続きを読む

地球に落ちて来た男(1976年製作の映画)

2.0

ニコラス・ローグの映画ってやっぱ悪趣味だよなーと若干ゲンナリしつつ、「70’sデヴィッド・ボウイのドキュメント」という貴重な一次資料として最後まで見た。浅薄なジャポニズム丸出しの日本舞踊とハメ撮りでは>>続きを読む

人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした(2023年製作の映画)

2.5

「元アイドル」も「おっさん」もわりとブラフで、フタを開ければ「30手前独身女性の人生と生活(特に金銭)の行き詰まり」というもっと普遍的な話だった。その意味で、バームバック&ガーウィグ『フランシス・ハ』>>続きを読む

昼顔(1967年製作の映画)

3.5

心ここにあらずの上の空な眼差しをどこともなく向けるカトリーヌ・ドヌーヴ、その「対象の曖昧な欲望」が彼女を突き動かし、しかし核心へと到達することのないまま横滑りを続けた挙句、あろうことかラストでふたたび>>続きを読む

降霊 KOUREI(1999年製作の映画)

3.5

「あーあ、何かいいことないかなー」とポツリと呟く妻(風吹ジュン)の、この変わり映えのない停滞した生活が一生つづいて人生が終わるのか、という底の知れない深い絶望と、「あるよ。そのうち」とノーテンキに答え>>続きを読む

ザ・キラー(2023年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

Amazon席巻時代の殺し屋稼業ブラックコメディ、もとい零細下請フリーランスはつらいよ映画。狙撃をミスった代償に命と身内を狙われ、仕返しに関係者(と、不運にも関係したタクシー運ちゃん)を凡ミス繰り返し>>続きを読む

40歳の童貞男(2005年製作の映画)

3.0

家電量販店のTVモニター売り場が画的にとても効いてる。マイケル・マクドナルドのライブ映像から『ドーン・オブ・ザ・デッド』、果ては妊婦の超音波画像まで、てんこ盛りの画面内画面の数々が楽しい。店のトラック>>続きを読む

ミンナのウタ(2023年製作の映画)

2.5

別バージョンのエンディングが監督の本望であったことは一目瞭然なのだが(サイリウムの青い光に染まった早見あかりの正面バストショットは当然、あの「首をかく」仕草を反復させる前振り以外ありえないだろう)、だ>>続きを読む

ハント(2022年製作の映画)

3.0

クリーニング店員に変装した北朝鮮のスパイが、Yシャツのカフスの裏にほどこされた刺繍のパターンから暗号文を受け取るくだりを見て、ディケンズ『二都物語』に出てくる編み物のパターンで革命による死刑囚名の暗号>>続きを読む

キリエのうた(2023年製作の映画)

2.0

キッツイ人工甘味料を煮詰めに煮詰めて出来上がった178分の煮凝り猛毒映画。言葉のあらゆる意味で「ヤバい」ブツ。『リップヴァンウィンクルの花嫁』にはかろうじて存在していた作品に対する批評的距離(特に役者>>続きを読む

モデル連続殺人!(1963年製作の映画)

3.5

マリオ・バーヴァ映画の背後につねに横たわる「死の舞踏(La Danza Macabra)」の世界観。事件の真相/犯人のことなぞもはやどうでもよく(後半2/3あたりであっさり明らかにされる)、殺す者、殺>>続きを読む

メランコリア(2011年製作の映画)

4.0

何度見ても好きな映画。地球滅亡映画は他にも定期的に見返していきたい。フェラーラ『4:44 地球最期の日』とか。

「地球の生命は皆邪悪だからすべて滅んだほうがいい」という鬱病人の希死念慮込みの破滅願望
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ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間(1992年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

TVが派手にぶっ壊される冒頭、TVシリーズに対するリンチ&フロストの鬱憤晴らしに「おっ『悲愁物語』か!?」と高揚。全身に「意味」をまとった「いとこのリル」が示すとおり、リラダンばりに「意味?そんなもの>>続きを読む

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)

3.5

再見というかスクリーンで初浴びしてきた。

改めて、映画冒頭の語り口の只事じゃなさがハンパではない。
アイドルソング『愛の天使』前奏と共に野外ステージに躍り出たヒロイン未麻がライトを正面から浴びるカッ
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ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

4.0

再見。思いのほか第二次世界大戦の痕が刻まれた作品だったことに、今さらながら気づく。ジャンヌの死んだ夫は、二人が出会った当時連合国軍として従軍している(「チョコレートやチューインガムを配った」とあるので>>続きを読む

ハズバンズ(1970年製作の映画)

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にしてもタクシー、バス、地下鉄、飛行機と乗り物が頻発しながら、とことん「自分の車を運転しない」アメリカ映画であることよ。ベン・ギャザラがマイカーのエンジンをふかした瞬間カットをブツッと切って、電車に乗>>続きを読む

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