晴れない空の降らない雨さんの映画レビュー・感想・評価

晴れない空の降らない雨

晴れない空の降らない雨

鑑賞直後の余韻でつい高めにつけた点数を、シラフになってから下方修正するクセをいい加減やめにしたい。

映画(290)
ドラマ(0)

サマーウォーズ(2009年製作の映画)

4.6

 何となく本作はイマイチだった記憶があったが、あらためて観ると意外なほどよかった。おそらく、映画館で観たときは「『ぼくらのウォーゲーム』じゃん…」という印象が強すぎて、それを引きずってしまったのだ。こ>>続きを読む

暗黒街の弾痕(1937年製作の映画)

3.8

 ボニー&クライドにインスパイアされた最初の作品だが、愛の逃避行だけヒントを得ていてあとは無関係。犯罪者としての設定もはるかに同情できるものに変更されている。ストーリーも映像も後半になるまでは楽しくな>>続きを読む

シンデレラ(1979年製作の映画)

4.6

 ソ連版『人魚姫』の監督による『シンデレラ』(シャルル・ペロー版に基づく)。『人魚姫』では現代社会の風刺をもりこみ、映像面でもアーティスティックな冒険をしていたのに、今回はやや普通のアニメーションにな>>続きを読む

時をかける少女(2006年製作の映画)

4.6

 細田守の独立第一作。わずか13館での公開から口コミで広まり、ロングランに。
 改めてみると、タイムリープを利用した作画のリサイクルをはじめ、明らかにカネがかかっていない。ところが、節制という理由もい
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人魚姫(1968年製作の映画)

5.0

 原作どおりのソ連版『リトルマーメイド』。『雪の女王』といいロシア人はアンデルセン童話が好きなのか(ディズニーはあまり取り上げていない)。
 美の結晶みたいな作品。気絶した王子と彼を見守る人魚姫を朝日
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陽なたのアオシグレ(2013年製作の映画)

3.2

 新海誠の初期作品における台詞の気持ち悪さほどではないにせよ、とにかくドラマの人工的なピュアさが耐えがたい。本当の意味での「直球」というのは、もはや時代的に不可能だと思う。単にコテコテだから悪いという>>続きを読む

フミコの告白(2009年製作の映画)

-

 疾走と飛翔というアニメーションの快で、それこそ突っ走ろうとしているのだが、90秒すらもっていない気がする。なぜだろう。これでもかと色気ないパンツ見せて「逆にいやらしくないでしょ」感を狙ってんのも、好>>続きを読む

M(1931年製作の映画)

4.6

■オフスクリーンの音声
 フリッツ・ラングの初トーキーだが、犯人の口笛が、聴覚情報に敏感な盲目の風船売りのヒントになるという仕方で、音という新要素を物語に巧みに組み込んでいる。また、オフスクリーンもと
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アンダーグラウンド 完全版(1995年製作の映画)

-

 5時間以上にわたる盛大な茶番。主要人物が全員クズかキ印で、最初から最後まで躁病的テンションのまま振り回される。
 とにかく勢いだけはすごい反面、随所でイライラするし疲れる。ナタリアの弟はホンモノの病
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孤狼の血(2018年製作の映画)

3.8

 この映画が参考にしている、どころではないであろう任侠映画をまったく知らんので、そういう部分では評価できない。話だけ抜き取ってみれば結構面白い部類だったけど、それって原作のおかげだし、こういうときはだ>>続きを読む

パンドラの箱(1929年製作の映画)

4.2

 サイレント時代のパプスト映画をつまむ。本作は『嘆きの天使』とならぶ悪女映画の古典とされている。あちらはディートリヒだが、こちらで主役を張るはアメリカ出身のルイーズ・ブルックス。この映画は、ただ彼女の>>続きを読む

万引き家族(2018年製作の映画)

4.0

 一度はニュースで見聞きしたことがあるようなトピックを手際よく詰め込んでおり、台詞のそこかしこに含ませた毒も適度に批評的で、しかし声高に告発するのでもない、よく言えばバランス感覚に長けた作品だった(監>>続きを読む

炭坑(1931年製作の映画)

4.6

 『西部戦線一九一八年』の死闘〜病院ほど圧倒されるシーンはなかったものの、炭鉱という特殊な舞台と、火災や落盤、水没といった惨事が迫力たっぷりに映されていて今作もすばらしかった。前作同様けっこうな金がか>>続きを読む

生きのびるために(2017年製作の映画)

4.2

 『ブレンダンとケルズの秘密』『ソング・オブ・ザ・シー』が非常によかったので楽しみにしていたカートゥーン・サルーン・スタジオの新作。映画館で観られないのは残念といえば残念だが、円盤買わなくても好きなだ>>続きを読む

西部戦線一九一八年(1930年製作の映画)

4.6

 圧巻のラスト30分。ワイマール時代の中~後期におけるリアリズム映画の旗手パプストが、ヒトラー政権誕生前夜に撮った反戦映画の傑作。この1930年代の前半に、パプストは本作や『炭坑』のような左翼的な映画>>続きを読む

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)

4.6

 不勉強・無教養な自分にはとても把握できないヨーロッパ映画史の参照によって成り立つ、美の極地のようなショットの数々に陶酔させられていると、いつの間にか輝かしい夏から冬に切り替わっている。そして、分かり>>続きを読む

犬ヶ島(2018年製作の映画)

4.4

 ウェス・アンダーソンの作風はやはりアニメーション、とくにストップモーションに向いていると思った。もともと直線・直角の2D的な画面をつくる人だし、人工的な冷たさとポップさを併せもつ美術感覚も同様だ。細>>続きを読む

ムーンライズ・キングダム(2012年製作の映画)

3.0

 黄色を中心としたカラーリング、凝りすぎた構図とそれがもたらすミニチュア感、直線・直角のカメラワーク。そして色々こじらせた子どもに、大人になりきれない大人。まごう事なきウェス・アンダーソンの映画なのは>>続きを読む

ファンタスティック Mr.FOX(2009年製作の映画)

4.2

 カラフルでポップな画面はお菓子のように幼児的だが、着色料のように人工的でもある。初見では面食らうような極端な横スクロールやPOVでのアクションなども、往年のテレビゲームのようだが、やはり人工的な印象>>続きを読む

ドナルドの海水浴(1939年製作の映画)

-

 のちにハミルトン・ラスクやウィルフレッド・ジャクソンらとともに長編を指揮しつづけるクライド・ジェロニミの初監督作品。1930年代初めにはすっかり国民的キャラクターとなったミッキーは以前ほど破天荒なふ>>続きを読む

街の灯(1931年製作の映画)

4.2

 時代はすでにトーキーだったが、あくまで音響・音楽のみに使用を限定し、おのれの声を隠し続けるチャップリン。ちなみにチャップリンの娘ジョゼフィーヌは本作が一番好きらしい(淀川談)。
 正直あんまり面白く
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ミッキーの移動住宅(1938年製作の映画)

5.0

古き良きカートゥーンで疲れた脳みそを休めようとしたのだが、それどころじゃなかった。移動住宅の生命的な柔らかさ、ミッキーたちの軽快な芝居、水等のエフェクトや背景における自然描写、ぜんぶハイカロリー。シリ>>続きを読む

サンライズ(1927年製作の映画)

3.8

 早世したムルナウがアメリカで撮った2本の最初のほう。都会でいきなり始まる喜劇(かけらも面白くない)や、教科書通りの三幕構成がアメリカ仕様に合わせました感ある。その三幕では、サスペンスホラー(田舎)→>>続きを読む

最後の人(1924年製作の映画)

4.2

 黄金期といわれる1920年代ドイツ映画を代表する一本。エーリヒ・ポマーがプロデュース、フリードリヒ・ムルナウが監督、カール・マイヤーが脚本、カール・フロイントが撮影と、当時のトップランナーたちが結集>>続きを読む

レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)

3.0

 一番ワクワクしたのが、現実世界におけるトレーラーハウスを積み上げた集合住宅を降りていく冒頭のシーンだった。カーチェイスまでは楽しめたかな……。
 その後は第一の謎解きのショボさ(いや誰か思いつくだろ
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グレイテスト・ショーマン(2017年製作の映画)

3.8

 すごく今更感あるけど……次々と大作が公開されるなかでロングラン続けているので、さすがに観ておくかと思った次第。でまぁ正直、少年時代の初々しい恋から新婚さんがボロアパートの屋上でクルクル踊っているあた>>続きを読む

リズと青い鳥(2018年製作の映画)

5.0

 打ちのめされた。山田尚子、行くとこまで行っちゃったな……。高校3年生という青春の最後のきらめきを、唯一無二の感性でひたすら切り取ってきた彼女の到達点といってよい作品ではないだろうか。いちおう『響け!>>続きを読む

ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男(2017年製作の映画)

3.6

 16世紀伊の画家カラヴァッジョに始まるとされる、強烈な明暗対比とダイナミズムは17世紀前半に欧州で全盛期を迎え、その後は飽きられて衰退する。ところが、美術後進国のイギリスでは、産業革命期になってもこ>>続きを読む

女は二度決断する(2017年製作の映画)

3.4

 「ギリシア=アンゲロプロス」というくらいテオ・アンゲロプロスの映画が好きな自分は、いつかロケ地巡礼に行く妄想をするほどだが、本作の終盤に描かれるギリシアは、典型的な東欧の「歴史もなければ現在もない、>>続きを読む

劇場版 響け!ユーフォニアム 届けたいメロディ(2017年製作の映画)

-

 『響け! ユーフォニアム』の続編にあたる『響け! ユーフォニアム2』は、原作小説2冊を1クールにまとめた分、第1巻のみの1期目よりもテンポよく展開するし、登場人物もより深く掘り下げるからドラマとして>>続きを読む

たまこラブストーリー(2014年製作の映画)

4.8

 この作品は何度観ても素晴らしい。すべてが完璧で、どのキャラクターも生き生きと輝いている。
 山田尚子の監督第2作にあたり、他のメインスタッフも『けいおん』シリーズから続投している『たまこまーけっと』
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映画 けいおん!(2011年製作の映画)

4.4

 山田尚子監督(というか京アニ)は作を追うごとに形式的洗練を突き進めている印象。つっても、ちゃんと追っているわけではないけど。今からみると、監督デビューを飾った本シリーズの第1期はまだ大人しいが、それ>>続きを読む

レッド・スパロー(2017年製作の映画)

3.4

 派手なアクションはなく、心理的な駆け引きで緊張を保たせる、正しいスパイ映画だった。罠につぐ罠、強烈な暴力シーン、意外な「モグラ」の正体と、まぁまぁ楽しいし、伏線も見事。アメリカ人の彼氏はお人好しすぎ>>続きを読む

シェイプ・オブ・ウォーター(2017年製作の映画)

3.4

 あいかわらず引き算を知らない、色々な意味で押しつけがましい映画で、「デル・トロはやっぱ俺に合わねえな」と思った。バートンしかりデル・トロしかり、現代ハリウッド・メジャーのなかで表現主義志向のつよい監>>続きを読む

ハッピーエンド(2017年製作の映画)

3.8

 I★JAPANに何らかの意味は……ないか。
ハネケの映画としては地味であることは否めないが、それは本作の意図から必然的にもたらされたものだろう。

 作中の事件や事故の多くは実際には描かず、
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愛、アムール(2012年製作の映画)

4.2

 基本的にハネケ作品におけるクラシック音楽は、西洋の伝統的な高級文化の代表ととらえて間違いないだろう。本作では、現代において老化がもたらす個々人の精神的問題と、現代における高級文化の衰退という社会の精>>続きを読む

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