早世したムルナウがアメリカで撮った2本の最初のほう。都会でいきなり始まる喜劇(かけらも面白くない)や、教科書通りの三幕構成がアメリカ仕様に合わせました感ある。その三幕では、サスペンスホラー(田舎)→>>続きを読む
黄金期といわれる1920年代ドイツ映画を代表する一本。エーリヒ・ポマーがプロデュース、フリードリヒ・ムルナウが監督、カール・マイヤーが脚本、カール・フロイントが撮影と、当時のトップランナーたちが結集>>続きを読む
一番ワクワクしたのが、トレーラーハウスを積み上げた集合住宅を降りていく冒頭のシーンだった。カーチェイスまでは楽しめたかな……。
その後は第一の謎解きのショボさ(いや誰か思いつくだろ…)に始まり、現>>続きを読む
すごく今更感あるけど……次々と大作が公開されるなかでロングラン続けているので、さすがに観ておくかと思った次第。でまぁ正直、少年時代の初々しい恋から新婚さんがボロアパートの屋上でクルクル踊っているあた>>続きを読む
打ちのめされた。山田尚子、行くとこまで行っちゃったな……。高校3年生という青春の最後のきらめきを、唯一無二の感性でひたすら切り取ってきた彼女の到達点といってよい作品ではないだろうか。いちおう『響け!>>続きを読む
16世紀伊の画家カラヴァッジョに始まるとされる、強烈な明暗対比とダイナミズムは17世紀前半に欧州で全盛期を迎え、その後は飽きられて衰退する。ところが、美術後進国のイギリスでは、産業革命期になってもこ>>続きを読む
「ギリシア=アンゲロプロス」というくらいテオ・アンゲロプロスの映画が好きな自分は、いつかロケ地巡礼に行く妄想をするほどだが、本作の終盤に描かれるギリシアは、典型的な東欧の「歴史もなければ現在もない、>>続きを読む
『響け! ユーフォニアム』の続編にあたる『響け! ユーフォニアム2』は、原作小説2冊を1クールにまとめた分、第1巻のみの1期目よりもテンポよく展開するし、登場人物もより深く掘り下げるからドラマとして>>続きを読む
この作品(テレビアニメ含む)は何度観ても素晴らしい。すべてが完璧で、どのキャラクターも生き生きと輝いている。
山田尚子の監督第2作にあたり、他のメインスタッフも『けいおん』シリーズから続投している>>続きを読む
山田尚子監督(というか京アニ)は作を追うごとに形式的洗練を突き進めている印象。つっても、ちゃんと追っているわけではないけど。今からみると、監督デビューを飾った本シリーズの第1期はまだ大人しいが、それ>>続きを読む
派手なアクションはなく、心理的な駆け引きで緊張を保たせる、正しいスパイ映画だった。罠につぐ罠、強烈な暴力シーン、意外な「モグラ」の正体と、まぁまぁ楽しいし、伏線も見事。アメリカ人の彼氏はお人好しすぎ>>続きを読む
あいかわらず引き算を知らない、色々な意味で押しつけがましい映画で、「デル・トロはやっぱ俺に合わねえな」と思った。バートンしかりデル・トロしかり、現代ハリウッド・メジャーのなかで表現主義志向のつよい監>>続きを読む
I★JAPANに何らかの意味は……ないか。
ハネケの映画としては地味であることは否めないが、それは本作の意図から必然的にもたらされたものだろう。
作中の事件や事故の多くは実際には描かず、>>続きを読む
基本的にハネケ作品におけるクラシック音楽は、西洋の伝統的な高級文化の代表ととらえて間違いないだろう。本作では、現代において老化がもたらす個々人の精神的問題と、現代における高級文化の衰退という社会の精>>続きを読む
撮影から編集まで知性が行き渡っているうえに、脚本まで徹底的に理詰めで構成されている。本作のことは、何も知らずに観た公開当時から脳裏に焼き付いていた。
■不可視のドラマ
『ピアニスト』におけるユ>>続きを読む
極彩色の洪水に溺れながら、常時笑いとスペクタクルを忘れないピクサーのサービス精神に安心して物語を追っていると、いつの間にか今日的で重要なテーマに真摯に向き合っている。ピクサーは本作で、「家族」の称揚>>続きを読む
2019.09.18追記 ブルーレイで見返したら普通に良かった。公開当時の下のレビューでは「モブに画一性を感じる」と書いているが、服装がちゃんと一人ひとり作り込まれていた(まぁ男性キャラクターの顔につ>>続きを読む
あまり良い評判を聞かないというか、とにかく存在感が薄いので、単に地味で今ひとつの出来なんだろうと思い込んでいたが、予想よりも何というか奇妙な作品だった。
たしかに、Tレックスと行動を共にするあたり>>続きを読む
冒頭5分で嫌気がさした。それが監督の狙いだというのだからお手上げである。なぜかくも瞬時に不快にさせる人間、やりとりを作り出せるのか。
すぐ目につく『ファニーゲーム』との共通点としては、顔の代替物と>>続きを読む
『トイ・ストーリー3』(2010)後のピクサーのラインナップは2000年代と比べて見劣りするのが正直なところだが、古参がメガホンを撮った本作は文句なしの出来で、ピクサーの美点をいくつも備えていた。>>続きを読む
「プリンセスもの」byピクサー
さらに舞台もまた、スコットランド・ケルトをモデルにしたファンタジー世界であり、ピクサーが初めて近代文明以前の世界を描いた作品である。そんな本作には、6年もの制作期間>>続きを読む
前作『WALL・E ウォーリー』につづき、なかなか冒険的な作品だった。高齢者を主人公に選んだことに始まり、序盤に7分近くセリフがない箇所があったり(結婚生活~死別後)、その後も『ウォーリー』と同じよ>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
正直何回も観たい映画ではないが、いまだにハネケといったらこれ的なところがある。『シャイニング』を思い出す、何も知らない犠牲者を乗せた車を空撮で追うオープニング。オペラの安定した歌声と不穏に揺れる画面>>続きを読む
マリーこと岡田麿里の初監督作品。正直、近年の彼女の仕事に鑑みて不安は拭えなかったのだが、他方で、アニメにさほど詳しくない自分でも本気だとわかる名前が主要スタッフに並んでいたので、どうしても期待がこみ>>続きを読む
これといって何の感想も浮かんでこなくて困った。CGも5年前くらいまではまだ可愛げあったけど、今や何でもできて当たり前だから進歩に感心するということもない。発展途上のときは、「リアルさ」の追求に価値が>>続きを読む
宮崎駿の『風立ちぬ』に出てくる「創造的人生の持ち時間は10年」論を、当の宮崎に当てはめようとすると結構悩むけど、ラセターの10年についてはさほど時間をかけずに結論を出せる。『ルクソーJr.』(198>>続きを読む
何度となく停止ボタンを押しそうになりながら美点を探していたら、エンドロールが始まった。これまで観たピクサー作品のなかで初めて「退屈」としか言いようのない作品だった。
アメリカ社会の内輪ネタが十分に>>続きを読む
ジョセフ・フォン・スタンバーグは、ドイツ映画『嘆きの天使』を撮った同年に、それも同じマレーネ・ディートリヒを使ってアメリカ映画『モロッコ』を撮っている。こうして本作は、ディートリヒのアメリカデビュー>>続きを読む
マレーネ・ディートリヒの太ももに殺される中年童貞のお話。文学一筋の教授が、商売女にイチコロにされる前半の運びの説得力。女の慣れた手管に男のウブな反応(照れ笑いが可愛い)の脚本もそうだが、やはり主役2>>続きを読む
やっぱピクサー作品の高品質にはいつも感嘆させられる。本作の翌年公開されたドリームワークスの『カンフーパンダ』を最近観たから、その凄さが改めてよく分かった。カンフーパンダも決して低いわけではないのだが>>続きを読む
吸血鬼ドラキュラを題材にした最初の映画作品で、ワイマール期ドイツ映画を代表する一本でもある。ただ、ムルナウによるこの映画は、『カリガリ博士』やラングの監督作のような典型的なドイツ表現主義と違って、ロ>>続きを読む
このアニメは『とらドラ!』の3人が今度はオリジナル企画でやってみました、ということだと思うが、あっちのラノベ臭が抜けてより普通の青春小説になっている。視覚的にも、覚えている限りではマンガ的な表現もな>>続きを読む
同じストップモーションでもこないだ観た『KUBO』とはまるで違い、ハンドメイド感あふれるキャラクターと舞台セットで、こちらのほうがよりストップモーション観ている感じがある。70分しかなくてドラマが弱>>続きを読む
マリーこと岡田麿里といったら世間的には『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』なんだろうけど、PAワークスの作品のほうが好きだ。実をいうと本作よりも『true tears』『凪のあすから』のほうが>>続きを読む
せっかくだからトーキー・デビュー作にしようかと思ったけど、借りられなかったので代わりに同じく未見のトーキー3作目を鑑賞。うーん、当時世間的にはいつもどおりの成功作という扱いでも、自分としてはやや外れ>>続きを読む
ドイツ時代のルビッチ作品。ルビッチはすでに有名な映画監督だったが、この年は歴史大作『マダム・デュバリー』(英題『パッション』)も公開され、いよいよ大陸を股にかけて名を馳せることに。しかも、この年のル>>続きを読む