otomisanさんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

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ウィッシュ・ルーム(2019年製作の映画)

4.0

 レストランや体験型施設の営業、オーダーメイドホテルでメロウな一夜を、なんてどうだろう。ところが消費に真っ先に走ってしまうのが人情か?第一号が酒瓶と云う辺り、以下、ヨッパライ頭の考えそうな事というわけ>>続きを読む

アイデンティティー(2003年製作の映画)

4.0

 はて?キラー息子ティミーと共に炎に消えたジニーはすると何に相当するのだろう。殺人鬼を宿した子どもの頃のマルコムにも手に掛けられない誰かがジニーであるなら、マルコムはフロリダの楽土、オレンジ畑に母親の>>続きを読む

太陽を抱く女(1964年製作の映画)

3.6

 誰がなにを抱いたとな?

 終わってみればヒロイン?真理明美が家政婦で入った代々木上原の家のみんながそれぞれ夢か希望か何かを抱きとめた格好なんだが、肝心の真理はテレビ通販ショーかな?飛び入りモデルの
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スプリー(2020年製作の映画)

4.1

 おもしろい事に小学生の多くが将来ユーチューバーになりたいと言い出しているそうだ。ちょっと前までお菓子屋さんとか野球選手とか具体的な仕事がわかる話しを子どもでもできていたのにユーチューバーではただ自営>>続きを読む

ヘカテ デジタルリマスター版(1982年製作の映画)

4.1

 新米外交官㊙現場教程之一、色仕掛け。などと読んでは興ざめか?とはいえ、この退屈な地中海の向こう岸で年老いた国家フランスが伸ばす新芽一本を翻弄する熟女の正体不明だなんて気持ちよくあるまい。

 仕掛け
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小さなスナック(1968年製作の映画)

3.9

 奈々と弘のためにパープル・シャドウズが新曲を披露してくれるという。この奈々が実はひとの妻で、彼女の一家には命綱だという事なら「15で年老いた」マルグリットのラ・マン記が思い出される。
 Mが倍は年上
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陽のあたる場所(1951年製作の映画)

4.0

 死刑を待ちながらジョージがアンジェラとの事を反芻するようだ。そうすることで殺したんじゃないアリスの事を胸底に塗り込め、将来あるアンジェラを庇い彼女との関係を口外しないよう努める心の歯止めとするのだろ>>続きを読む

チェイシング・エイミー(1997年製作の映画)

4.2

 ひとめぼれなんだ、と言って押しかけて来る男がいる。何の脈絡もない通り魔がいきなり切り出してくる言葉の暴力には違いない。こんな手合いを追っ払うならレズだよと示してやりゃあ、たいがい悪態の二つ三つ吐いて>>続きを読む

夏をゆく人々(2014年製作の映画)

4.3

 ラクダなんぞを連れて来ておかみさんからは出てけと云われるヴォルフガング。ドイツ人らしい響きで、トスカーナの山中、はちみつ採りで女ばかりの家族6人を率いているのが不思議な感じだが、流れ者の雄が養蜂家族>>続きを読む

魂のゆくえ(2017年製作の映画)

4.1

 さて、SDGsなためには何がまず改革されるべきだろう。イーサン演じる実は人生にも信仰にもくたびれ切った牧師エルンストの場合、「豊かな暮らし」を唱える教団の傘下で合衆国最古級教会「第一改革派教会」の看>>続きを読む

世界から猫が消えたなら(2015年製作の映画)

4.0

 いそうでいないのが神様なら、いないだろうと思っていたのに会ってしまったなんてのが死神かもしれない。「自己視」なんて、自分自身と出会ってしまうと間近の死が避けられないという。そんな死神のような「自分」>>続きを読む

秘密と嘘(1996年製作の映画)

4.1

 たまにはこういう、男が小じっかりした話に接するとほっとする。細君がかかえる辛い事情も姉貴の嵌まった困難もこうすればどうにかなるだからそうしなよ、といえた問題ではない。どちらも20何年にわたる厄介事だ>>続きを読む

チャイニーズ・ブッキーを殺した男(1976年製作の映画)

4.2

 もともと堅気には見えなかったコズモだが、まさかそんな前があろうとは。
 二晩で5人を斃し、二派のギャングから賞金首とされてるはずなのに、いかにもついでの事といわんばかりだ。これは監督が肩透かしを食わ
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パリの灯は遠く(1976年製作の映画)

4.1

 ナチス占領下のパリで商売に弾みがつくなんてよほどの嫌われ者だろうが、A.ドロンが演じるとそれも様になってしまうからなおさら癪にさわる。しかし、彼はこの手の役が似合っている。それどころか、こんな物語の>>続きを読む

アメリカの影(1959年製作の映画)

4.0

 カメラが道端で立っているとベンが道の向こうからやって来て、ハトに豆鉄砲でも食らわせているわけである。ホゥという感じでそいつにくっ付いていくとあれこれ起こるわけである。
 このベンが色黒の白人なのか色
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レザボア・ドッグス(1992年製作の映画)

4.0

 黒タイとツラ付きを見ればどの筋のものかは知れるものの、あれじゃ知れ過ぎだろう。マドンナの巨根が中国女のウェイトレスにチップで税金をと、和気あいあい朝食会の意味不確定井戸端会議野郎どものダベリを聞かさ>>続きを読む

ドリームランド(2019年製作の映画)

4.2

 1955年、三十路も間近なフィービー・エバンスが語りだす20年音沙汰なしな兄の話が、語られる経緯も分からないまま続いてゆく。姿も見せず、人殺しの兄から取り残されて物語を終えるフィービー、当の兄の物語>>続きを読む

タレンタイム〜優しい歌(2009年製作の映画)

3.9

 学校に制服があるのは学友としての一体感を演出し、個々の生徒の背負う文化やその家庭の社会的位置、経済状態などを覆い隠してカーストも階級も外形上は生み出させまいとする配慮にもなっている。
 それでも学校
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君のためなら千回でも(2007年製作の映画)

4.0

 ものごころの付き方なんて子どもそれぞれで、置かれたところ、親のようすや事情によっても具合が変わってくるもんだ。そこが親の背中を見て育つという所以だが、アミールも父親のムスリムらしからぬ暮らしぶりとい>>続きを読む

女優(1947年製作の映画)

3.7

 山田五十鈴には黒髪、黒紋付が似合う。松井須磨子でノーラとはいえ白髪頭の五十鈴顔、この五十鈴顔も野良から上がったばかりな風から始まって研修生正子の颯爽としたまではいいのだが、いまひとつ須磨子とノーラの>>続きを読む

鷲は舞いおりた(1976年製作の映画)

4.0

 気を付けないといけないのはドイツには議会もなく、ナチスにはヒトラーの下知を評定する仕組みもなく、ヒトラーが思いついた秘策は達成されなければならない事だ。
 きのうムッソリーニを生還させたなら明日はチ
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ウルフズ・コール(2019年製作の映画)

3.6

 フランス艦のソナーは艦内「事情」もよく聞こえるようだ。豪州がドイツからフランスに製造を乗り換えたのが原子力推進を念頭に置いたためだとしても、乗員がこの映画を見たらボイコットしたくなったかもしれない。>>続きを読む

ウナ・セラ・ディ東京(1965年製作の映画)

4.0

 なにしろミルバのイタリア語であるから、この意味深遠な語感のトーキョーが、元は「東京たそがれ」というものであって、なるほど、鰐淵と園井の始まるや忽ち遠ざかっていく恋愛のたそがれ感を、アアこれが、ある青>>続きを読む

寒い国から帰ったスパイ(1965年製作の映画)

4.0

 生きようか死のうか、冷戦下の東西を分ける壁の上でひとりぼっち。とっさの判断を迫られたリーマスは先に逝ったナンシーのかたわらで死ぬ事を望む。咄嗟とは言え、それはリーマスが生きた39年を清算する判断であ>>続きを読む

無理心中日本の夏(1967年製作の映画)

3.9

 うつろな男と生きものまる出し女が屍を乗り越えてファイトで"一発"かますまで。そのあと安らかに一服喫いつけて権力?体制側?に投降するのか「アンチ」の偶像かなんかで名を残すのか。時代が時代だしどっちでも>>続きを読む

トスカの接吻(1984年製作の映画)

4.0

 ヴェルディの館でなんで「トスカ」なんだと思ったら話中、実際に「トスカ」が始まってしまう。歌姫トスカをサラ・スクデーリで、対する悪役スカルピア警視総監はロカーポ。接吻に替えてナイフを繰り出しロカーポの>>続きを読む

過去のない男(2002年製作の映画)

4.0

 過去がない、とはワケありという事。午前4時のヘルシンキで往く当てもなくついでに記憶まで失くしてしまい、そのワケはお預けという次第。

 自分が誰だか知らなくても身についた習性は変わらないわけで、この
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ワイルド・アパッチ(1972年製作の映画)

4.2

 夜の闇に紛れて犬も手懐けてひっそり馬を盗み出すウルザナらの動きは荒事を厭わないアパッチには不似合いだ。幽閉同然な居留地を抜け出して目指すのは米墨国境、追っ手を引き離すなら先ず気付かれない事だ。アパッ>>続きを読む

レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ(1989年製作の映画)

4.0

 フィンランドとスウェーデンが仲良く作った映画から30年後、今度はNATOに加盟したいという。むかしはちょうどバルト三国が相次いで主権を宣言した時分で、怨敵ソ連のペレストロイカも始まりから何年も過ぎて>>続きを読む

裏切り者(2000年製作の映画)

4.1

 ホアキン・フェニックスの酷薄ささえよく調った悪人面にはどこか、あるいは、悪党風だからこそかもしれない、除け者、はぐれ者の辛さがよく映える。こたびは地下鉄電車の保守整備会社、看板こそ堅気だが、そこの営>>続きを読む

秋津温泉(1962年製作の映画)

4.1

 ヒモ男アキヲを結わい付けた茉莉子の臍帯が断たれて、ようやっとアキヲも自立できるのかもしれない。
 一方、それを男運とは言いたくないのだが、十七で茉莉子がめぐり逢ったのがアキヲでなかったら、とつい思っ
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チワワちゃん(2018年製作の映画)

4.0

 チワワちゃんのおイタ以外実現無理なスイッチオンでアッて間に600万スチィール。これでみんなの人生が狂うかと思うかな?
 考えなくても一人あたま100万そこそこ三日もあれば使い切るのが当たり前。しかし
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プライド 運命の瞬間(1998年製作の映画)

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 「判官びいき」があるように「東条ぎらい」もまたあるのだろう。その東条が、東京裁判の判事のひとりでありながらその在り方に疑いを持ち、東条を始め被告らの無罪を主張したパル判事を紹介するはずの映画を乗っ取>>続きを読む

途切れない電話/Call Waiting(2020年製作の映画)

4.1

 どういう家庭なんだろう。アパートでシングルマザーに兄妹はやっと6歳と3歳?職業は救急電話の受付。いつもならベビーシッターも託児所も使えるのだろうが、コロナのロックダウンの下でさらに緊急要請でなければ>>続きを読む

白い炎(1958年製作の映画)

3.8

 ちゃぶ台返しが見られる映画も珍しいだろう。戦争前くらい古いものならありそうな気もするが、占領も「戦後」も終わって主演男優も非戦闘員な雰囲気の時代も終わって、ちゃぶ台返しありな男が復権したんだろうか?>>続きを読む

この空のある限り(1964年製作の映画)

4.0

 生き別れとなった母親に会いたいとはどんな心境だろう。あるいは、どこかで自分と会う事なく暮らしているその人の、未だ現にいるかもしれない、いなくなる間際かも知れない、という。そんな母親の不在、同時に自分>>続きを読む