otomisanさんの映画レビュー・感想・評価 - 17ページ目

otomisan

otomisan

映画(1067)
ドラマ(8)
アニメ(0)
  • List view
  • Grid view

旅の重さ(1972年製作の映画)

4.2

 これの感想を爺目線で書くことになろうとは。
 大人はいやでも子供から見られていて真似されている。真似て、あるいは真似ようかと思っていやだと感じれば大人を嫌うかもしれない、さもなければセカンドオピニオ
>>続きを読む

未来世紀ブラジル(1985年製作の映画)

4.1

 一見すると"爆笑"と記した方が気の利いた風に聞こえそうな話だがそれはこころないことだ。
 無茶で錯雑な感じの設定がディストピア風で、その世界を泳ぎ渡り損なう主人公の夢と現実の綯い交ぜが潰えるまでなの
>>続きを読む

memo(2008年製作の映画)

4.0

 死期を悟った叔父さんが死に際を知らせに来たのか?あれだけあからさま佐藤二朗的にびょうきだと心配する気も失せてしまいそうだったんだが。そんな叔父さんが英恵の気鬱を払ってくれるのだろうか。
 メモ書き症
>>続きを読む

犯罪河岸(1947年製作の映画)

4.2

 事件ものとして眺めるとさしておもしろくもない成り行きだが、実は全くの人情噺で、それも話の核となるジェニ=モーリス夫婦に気を取られていては物語の真価を味わい損ねてしまうことだろう。
 全編ほとんど擦れ
>>続きを読む

グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

4.4

 最高の、といってもロビー・ボーイ。ロビー・ボーイといってもグランド・ブダペスト・ホテル。ここで最高のとなれば先々何が待ち受けているか計り知れない。なんて事が伝説になるホテルマンの世界。これが旧世界の>>続きを読む

スケアリーストーリーズ 怖い本(2019年製作の映画)

1.0

 子どもらにとっては爺ちゃん世代の昔話に過ぎないのだろう。呪いの館に失踪した子供たち、背景に百年越しの公害問題、ベトナム戦争、68年選挙を置いてるのにそれらがさっぱり絡んで話を膨らませて来ないのが悪い>>続きを読む

ビッグ・バグズ・パニック(2009年製作の映画)

3.7

 いかにも「B級でござい」という感じのシロモノだが、何の用意もない普通の人たちのC級危機対応に、俺ャアも少しマシな事するぜと気をデカくさせてくれそうで、大目に見ちゃおかなんて思わせる。
 でも世界全沈
>>続きを読む

女ざかり(1994年製作の映画)

4.1

 女ざかりと聞けば未亡人。こんな直感をなぜかとも思うが、当たらずとも遠からじ、夫を廃し一女の母にして大手新聞の家庭欄記者、論説委員にまで登用される三ことも四事も持ち合わせの煩そうな女となると女のさかり>>続きを読む

東京は恋する(1965年製作の映画)

3.5

 まったくじれったい話で、映画のなかで舟木がきれいさっぱり片付くことがあるんだろうか?破れた恋の数だけひとにやさしくなれたらある意味人生の達人というべきだろうが、誰に向かってそうおなんなさいと勧めるん>>続きを読む

時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!(1993年製作の映画)

4.1

 空から落ちたカシエルが空飛ぶ人間たちに教わって、も一度空へ舞上がって . . . もう戻ってきませんでした。代わりに女の子を解放して悪党どもをやっつけてほかのみんなは心あらたまる船出になるんだろうか>>続きを読む

太陽の下の10万ドル(1964年製作の映画)

4.1

 マカロニ・ウェスタンならフレンチ・ウェスタンで、馬の蹄の音かと思いきやトラックが。ただ、荒野の馬泥棒ならぬ砂漠ロードのトラック泥棒をどう始末する?
 C.イーストウッドさえあっさり縛り首の本場と違っ
>>続きを読む

白鳥の歌なんか聞こえない(1972年製作の映画)

4.0

 労もなくほんのひとり二人の伝手を経るだけで知の巨人の謦咳にも触れられるような浪人生である、尋常の悩みなど持ちはしまいし、みち子ともまりことも今を明日をどうするか等と、心轟かすには自身の余計な知の詰込>>続きを読む

永遠の門 ゴッホの見た未来(2018年製作の映画)

4.0

 2016年になって画帳が発見されたそうな。知人宅の古い帳簿に成りすましてたそうで分からんはずだ。なるほどそれならゴッホ他殺説だってこの先何か資料が出ないとも限らない。銃撃の経緯をゴッホの夢うつつに紛>>続きを読む

無宿 やどなし(1974年製作の映画)

4.0

 すれ違い続ける勝と健、二人に引きずられる梶、仇と討たれて健を生きる側に押しやる安藤、この長い序章のあと意外にも、冬を迎える浜で健が討手との渡り合いで差し違えもせず、健を追うように患い付いていた梶が死>>続きを読む

うず潮(1975年製作の映画)

3.9

 逆立ちしたってバカ映画にしか見えない?いやいや、イブ・モンタンがドヌーブと遭遇してC'est si bon.とならない事に我々は異常を汲み取らねばならない。モンタンのスケベ顔は困ったドヌーブのためな>>続きを読む

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019年製作の映画)

4.0

 一癖も二癖もあるのは序の口。警察が自殺と踏んだ富豪作家の死亡事案、直前開かれた誕生日祝い、集まった家族関係者7人全員のきな臭い当日の様子と供述のウソが仲良く並んで自己紹介されれば、一番怪しい看護人マ>>続きを読む

はるか、ノスタルジィ(1992年製作の映画)

4.2

 小樽の75日、その痛切な嫌悪とともにある記憶を封印し、代わりにウソで固めた砂糖菓子少女恋愛物語で盛り立てる墓守小説家「綾瀬」。その悪夢的桎梏を払うための救済劇が刺激すぎなのか、没義道と映るのか意外と>>続きを読む

ニューヨーク 最高の訳あり物件(2017年製作の映画)

4.0

 "Forgetaboutnick"を0.8秒で言い切ると相当怒ったように響くだろう。しかしそれは見かけのこと、もしくは昔話。昔とはできたてほやほやの元妻のもとに薹が立った元元妻が乗り込んできたから。>>続きを読む

赤い砂漠(1964年製作の映画)

4.1

 わけの分からない顛末にお手上げだが、例えばメディチーナで「星の音」を聞く事と夢の浜辺で遊んで暮らす娘が白帆の大船が現れては立ち去るのを境に識る不明な歌声とが同じ未知なものであると想像するなら、現と夢>>続きを読む

邪魔者は殺せ(1947年製作の映画)

4.2

 フレンチ・ノワールのつもりでジャン・ギャバンを待っていたら、深夜0時終演となってしまった。Rankの銅鑼の音でおかしいと思ったら実は英国の"Odd man out"が正体だった。
 で、それは「爪弾
>>続きを読む

恋愛ズバリ講座 第一話 吝嗇(1961年製作の映画)

4.0

 時計仕掛けの天知茂?バックグラウンドの「けちんぼ」が通奏低音するなかケチのオン・パレードの不意を衝いて若いもんらが大金を掠め取る辺りアハハというべきか。これが最後の新東宝、ノーギャラでやってるそうな>>続きを読む

恋愛ズバリ講座 第二話 弱気(1961年製作の映画)

4.3

 弱気な弱気な淳子と文太が原発誘致で強気な村長はじめ助役、議長の向こうを張って駈落ちにおん出るが、次の停留所で早速気弱にバスを降りる?かと思いきや降りないんだな。
 こうやってホロホロとふたりが去る傍
>>続きを読む

恋愛ズバリ講座 第三話 好色(1961年製作の映画)

4.0

 さよなら新東宝にふさわしいブラック三原の男も女もごちそうさま映画。たとえノーギャラでも満腹でお終いの事でしょう。それにしても'61年、拙者もおしめ時代のこと身に覚えもないけれど、キャバレーだかなんだ>>続きを読む

怒号する巨弾(1960年製作の映画)

4.1

 こんなタイトルを聞けば列車砲のような化け物を想像するところだが、ついに出てきたのはなんと中世騎士の馬上槍試合、いろいろ考えてるわい。素直に受け止めれば、誇り高き天知と宇津井の一騎打ちに犯罪者も刑事も>>続きを読む

ダゲール街の人々(1976年製作の映画)

4.2

 小間物屋、パン屋、肉屋、床屋、変わったところで自動車教習員の日常、といっても店の営業風景である。そこになぜか町内のお楽しみ会?のマジックショーが挟まって、町内にはあんなにいるのかと思う。まあ上階の住>>続きを読む

GO(2001年製作の映画)

4.2

 そう、根なし草になっちまえば国境で悩む必要なし。といっても、どこに落ち着く場所も無し、関所破りのお尋ね者、という前に大抵べつな事案で指名手配の出入国監視対象なわけで具合が悪い。ならどうしようか分から>>続きを読む

ハミングバード・プロジェクト 0.001 秒の男たち(2018年製作の映画)

4.0

 生き馬の目を抜くよな世界、早い者勝ちミリ秒の差が年何億ドルもの損得の分かれ目になると言われると、得しか生まない必勝の仕組みを拵える輩はどんな切れ者かと思うだろう。だが、そこがみる者にこの映画の焦点の>>続きを読む

仲間たち(1964年製作の映画)

4.0

 吉永より釣合いがいいかもしれない。吉永のような妙な出来過ぎ感がないのが松原のいいところだ。だが討ち死に覚悟で迫るなら吉永で死にたい。
 というわけで、生きて眺めるなら浜田・松原・舟木トリオ。熱っぽく
>>続きを読む

風ふたゝび(1952年製作の映画)

4.0

 こころなしか小津映画の原節子より華やいで見えることに戸惑いを覚える。あんなに美しい髪であったかと思うのもなにか目がざわつく様で奇妙でもある。
 原を際立たせる道具立てとして豊田監督もよい原作を得たも
>>続きを読む

ブロークバック・マウンテン(2005年製作の映画)

4.3

 死んだ元の相方のロッカーに失くしたと思ったオレのシャツがヤツのと重ねて架けてあったらなんて、こいつは戦慄しそうだ。なにぶんそちらの気はないので。
 二十年間そうやって一緒に在った事がまるで断ち切れな
>>続きを読む

ハンニバル・ライジング(2007年製作の映画)

3.0

 ハンニバルを扱うというのに物議を醸す事を恐れてどうするのだろう。まずまず映りのよい絵には仕上がったが美しさも醜さも高貴さも卑俗さも物足りないのがいただけない。どうせ大儲けを期待した事ならもひとつ、裏>>続きを読む

レッド・ファミリー(2013年製作の映画)

4.1

 死ぬ間際、大失敗の北の潜入一家が演じる隣人、南のトラブル一家の痴話げんかのくだらなさに、あんな醜態ではあるけれど心おきなく吐き出すことも地ではできず、他人のふりを真似てうらやましさを叫ばないとならな>>続きを読む

タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜(2017年製作の映画)

4.2

 '83年頃ソウルからの留学生が朴大統領この方「"嶺南"にあらざれば人にあらず」なんて云うのだと話していた。"嶺南"とは釜山、大邱、浦項を含む慶尚道で朴-全-盧三代の軍人大統領が出ている。これに対して>>続きを読む

スウィング・キッズ(2018年製作の映画)

4.1

 捕虜収容所ということは戦場と違って敵同士隣り合わせで暮らさないといけないわけだ。戦地なのに捕虜だから人道的な扱いが要る反面反乱も脱走も力づくででも止めにゃならない。だから古来ドラマも一杯なんだがダン>>続きを読む

青春群像(1953年製作の映画)

4.4

 おなじ男でも生まれの違いで午前3時に出勤する子どもと無為な一日を閉じる深夜にやっと孤独を迎える大人の差が起きる。ところがこのふたり、子どもと大人の差の所為か不思議と屈託を感じない。だが、あんな会合を>>続きを読む