風の旅人さんの映画レビュー・感想・評価

風の旅人

風の旅人

映画館主義者。
可能な限り映画館で観ます。
過度に難解な芸術作品も大衆に媚びた娯楽作品も評価しません。
評価基準は内的なモチーフをエンターテインメントとして昇華できているか否か。
映画を一回的な「出来事」として捉え、作品に「驚き」を求めています。
好きな監督はニコラス・ウィンディング・レフン、オリヴィエ・アサイヤス、ドゥニ・ヴィルヌーヴ。
レビューは加筆修正しています。
since2017

映画(303)
ドラマ(1)

コレット(2018年製作の映画)

4.0

コレットと言えば、『シェリ』『青い麦』『牝猫』『ジジ』などで有名な作家だが、この映画はそれ以前の彼女の「修行時代」を描く。
私の学生時代(今から15年ぐらい前)、20世紀のフランス文学と言えば、真っ先
>>続きを読む

風立ちぬ(2013年製作の映画)

4.0

二郎と菜穂子がフランス語で言葉を交わす馴れ初めのシーンに胸がときめいた。
しかしそこから二人のロマンスが始まるのかと思いきや、物語は遅々として進まず、10年の歳月を要して、菜穂子が美しい大人の女性に成
>>続きを読む

アベンジャーズ/エンドゲーム(2019年製作の映画)

3.7

正義とは何か?
すべての人を救いたいという「理想」を掲げるアベンジャーズと、それを偽善だと看破するサノス。
増え過ぎた人口によって崩れた宇宙の均衡を保つために、宇宙に生息する生命の半分をランダムに消去
>>続きを読む

愛がなんだ(2018年製作の映画)

4.2

冒頭、マモちゃん(成田凌)からの電話に出るテルコ(岸井ゆきの)の横顔がアップで映される。
マモちゃんのお願いに、会社にいるからいいよと応えるテルコだったが、その瞬間カメラが引いて、自宅にいることが明か
>>続きを読む

(500)日のサマー(2009年製作の映画)

4.0

それを「偶然」と取るか「運命」と取るかの違い。
同じ事象を経験しても、感じ方は人それぞれで、タイミングやその時の心境によっても変化する。
肉食系女子のサマー(ズーイー・デシャネル)は草食系男子のトム(
>>続きを読む

LUCY/ルーシー(2014年製作の映画)

3.5

アイデア倒れの作品。
リュック・ベッソン監督、スカーレット・ヨハンソン主演から期待される面白さではなかった。
脚本が練られておらず、中途半端な印象を受けた。
しかし嫌いにはなれない妙な魅力がある。
>>続きを読む

スティルライフオブメモリーズ(2018年製作の映画)

3.7

アトリエに踊りながら現れる夏生(松田リマ)と、螺旋階段をゆっくり下りてくる怜(永夏子)。
怜は春馬(安藤政信)の写真を気に入り、自分の性器を撮って欲しいと依頼する。
怜は春馬の写真を「時間がなくなった
>>続きを読む

アリー/スター誕生:アンコール・バージョン(2018年製作の映画)

5.0

冒頭、ライヴを終え、車に乗り込むなり咳き込み、酒を搔っ食らうジャクソン(ブラッドリー・クーパー)。
車窓からは首吊りのロープを連想させる看板が見え、破滅への道の途上にあることが示唆される。
劇中歌の「
>>続きを読む

劇場版 空の境界/未来福音 extra chorus(2013年製作の映画)

3.5

オムニバス形式の三つの短編。
言葉は言霊であり、人を呪い殺すこともあれば、祈りとして捧げられることもある。
殺人鬼・浅上藤乃の存在感が際立っており、彼女が登場しただけで場がホラーテイストに変わる。
>>続きを読む

劇場版 空の境界/未来福音(2013年製作の映画)

4.0

未来視には二種類ある。
すなわち実現したい結果のために選ぶべき現在が見える未来測定と、視覚で得た情報の記憶から結果を見る未来予測。
前者の未来は決定しており、現在はただ未来への通過点として存在する。
>>続きを読む

劇場版 空の境界/終章 空の境界(2010年製作の映画)

3.5

「式」でも「織」でもない原型の人格「両儀式」との対話。
初めに肉体があり、次いで肉体が人格を生み、最後に脳が知性を生む。
しかし近代人は知性が人格の統治者だと勘違いし、肉体を過小評価する。
普段「両儀
>>続きを読む

シンプル・フェイバー(2018年製作の映画)

3.7

優雅で洗練されたエミリー(ブレイク・ライヴリー)が車から降り立つ初登場シーン。
カメラはまず足元を捉え、徐々に上へと向かい、最終的に顔を映す。
それは典型的な「ファム・ファタール(運命の女)」を予感さ
>>続きを読む

劇場版 空の境界/第七章 殺人考察(後)(2009年製作の映画)

3.7

顔のある他者を殺す殺人と不特定多数の人間を殺す殺戮。
「人は一生に一度しか人間を殺せない」
なぜなら二度目からは行為に慣れ、禁忌を犯す畏怖の念が薄れるからだ。
それはもはや殺人のための殺人であり、相手
>>続きを読む

キャプテン・マーベル(2019年製作の映画)

4.0

クリー人の特殊部隊“スターフォース”に所属するヴァース(ブリー・ラーソン)は、断片的な記憶に悩まされながら、上官であるヨン・ロッグ(ジュード・ロウ)の訓練を受けていた。
しかしヨン・ロッグはヴァースが
>>続きを読む

運び屋(2018年製作の映画)

4.0

家族を顧みず、仕事一筋に生きてきた男の贖罪の物語。
マッチョイズム溢れるアール(クリント・イーストウッド)がお茶目で笑う。
特にマフィアが仲間同士揉めている中で、我関せずリップクリームを塗る姿が印象的
>>続きを読む

劇場版 空の境界/第六章 忘却録音(2008年製作の映画)

3.5

陰と陽。
黒桐幹也を想う二人の女性。
今回は陰キャの両儀式ではなく、陽キャの黒桐鮮花が主人公のため、シリーズのダークな雰囲気が緩和されていた。
人は出来事の起源(origin)を忘却し、空白を埋めるた
>>続きを読む

映画ドラえもん のび太の月面探査記(2019年製作の映画)

3.7

定説と異説。
人類の歴史を振り返れば、定説が間違っており、異説が正しかったこともしばしば。
その最たるものが天動説と地動説だろう。
今では天動説を支持する者はほとんどいない。
しかし当時の科学では地動
>>続きを読む

グリーンブック(2018年製作の映画)

3.7

なるほど、賛否両論も頷けるウェルメイドな「美談」だった。
そつのない脚本、そつのない演技、そつのない音楽。
すべてが平均点を上回り、老若男女誰が見ても感動できる完成度の高い作品だった。
逆に言えば、飛
>>続きを読む

劇場版 空の境界/第五章 矛盾螺旋(2008年製作の映画)

4.2

太極図。
「陰と陽、光と闇、生と負、男と女。
矛盾を抱えた互いに相克する螺旋。
陰陽道ではそれを『両儀』と言う」

直線でも円環でもない螺旋の時間イメージ。
時系列をシャッフルした構成が面白かった。
>>続きを読む

翔んで埼玉(2018年製作の映画)

3.5

都会指数によるクラス分け、東京に入るための通行手形、草加せんべいの踏み絵etc。
ファンタジーでありながら、その根底には「分断された社会」という現実がある。
しかし話が進むに連れて、くだらなさが増して
>>続きを読む

劇場版 空の境界/第四章 伽藍の洞(2008年製作の映画)

4.0

もう一つの人格「織」を失った両儀式は孤独感に苛まれていた。
生と死の境界でどちらを選ぶこともできず、心は伽藍堂だった。
式の心の隙間を埋めることができるのは黒桐だけだ。
記憶(過去)ではなく、今の積み
>>続きを読む

劇場版 空の境界/第三章 痛覚残留(2007年製作の映画)

3.7

無痛症。
痛みを感じられなかった少女は、限界状況の中で痛みを覚え、その痛みが引き金となって眠っていた力を発動させる。
しかし復讐のための殺人は、やがて「生の実感」を得るための殺戮へと変わっていく。
>>続きを読む

劇場版 空の境界/第二章 殺人考察(前)(2007年製作の映画)

3.5

恋は盲目。
雪の中での出逢いは、やがて血の赤に染まっていく。
恋に落ちた相手は殺人犯かもしれない。
しかし人は見たいものだけを見、見たくないものは見ようとしない。
死体の前で佇む式を見ても、黒桐は式を
>>続きを読む

アリータ:バトル・エンジェル(2018年製作の映画)

3.7

物語的には平板で見るべき点はない。
サイボーグの少女が人間の男に恋をし、失った記憶を取り戻していくストーリー。
だがしかし、アリータのキャラクター造形が素晴らしく、引き込まれる。
顔、髪型、性格、ボデ
>>続きを読む

劇場版 空の境界/第一章 俯瞰風景(2007年製作の映画)

3.7

想像していたのと違い、哲学的で難解な物語だった。
「生の実感」を得られない人間は、空を眺め、街を見下ろし、強烈な出来事を求める。
運命の恋、ヒーロー願望、過剰な暴力etc。
リア充にはわからない空しさ
>>続きを読む

サスペリア(2018年製作の映画)

4.2

次の瞬間画面に何が映るかわからないことの恐怖。
突然の場面転換に驚く。
まるで統合失調症患者の世界に放り込まれたような感覚。
トム・ヨークの劇伴が相乗効果を上げ、終始不気味さが漂っていた。
美と醜が表
>>続きを読む

シュガー・ラッシュ(2012年製作の映画)

3.5

30年間同じ仕事をしていれば飽きるのは当然で、自身の役割に疑問を持っても別段不思議ではない。
本作はそんな中年の危機を迎えたラルフのアイデンティティをめぐる物語である。
ヒーローと悪役はコインの表と裏
>>続きを読む

劇場版 Fate /stay night - UNLIMITED BLADE WORKS(2009年製作の映画)

4.0

「すべての人を救いたい」という衛宮士郎の理想を偽善だと看破するアーチャー。
他人を助けるために自分の身を犠牲にする衛宮士郎は歪で壊れた機械のような存在だ。
現実を知るアーチャーと理想を掲げる衛宮士郎の
>>続きを読む

チワワちゃん(2018年製作の映画)

3.5

600万円と共に消え失せた青春の輝き。
陰キャである私には彼らのような散財はできないので羨ましかった。
二宮監督は前作の『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY リミット・オブ・スリ
>>続きを読む

劇場版 ソードアート・オンライン オーディナル・スケール(2017年製作の映画)

3.5

最初の方のニーハイソックスの歌姫がゲームに勝利したアスナにご褒美のキスをするシーンにその後の百合展開を期待した瞬間がクライマックス。
「VRが仮想世界を現実化するのに対し、ARは現実世界を仮想化する」
>>続きを読む

劇場版 Fate/stay night Heaven's Feel I. presage flower(2017年製作の映画)

3.5

可愛らしいピンクのフォントで表示されるタイトルロゴ。
いささか長いプロローグの後、空気を切り裂く剣戟で物語は動き出す。
テレビアニメの総集編のような内容で、Fate初心者が楽しめる内容ではなかった。
>>続きを読む

劇場版 Fate/stay night Heaven's Feel II. lost butterfly(2018年製作の映画)

3.7

シリーズ初見。
でも面白かった。
登場人物の関係性もストーリーも知らなかったけれど、迫力のある戦闘シーンに見入り、衛宮士郎の「みんなの」ではなく、「君(間桐桜)だけ」のヒーローになりたいという想いに胸
>>続きを読む

クリード 炎の宿敵(2018年製作の映画)

4.0

イワン・ドラゴ(ドルフ・ラングレン)の息子ヴィクター(フローリアン・ムンテアヌ)とアポロ・クリードの息子アドニス(マイケル・B・ジョーダン)の因縁の対決。
イワンはロッキー・バルボア(シルヴェスター・
>>続きを読む

ドラゴンボール超 ブロリー(2018年製作の映画)

3.5

やはり『ドラゴンボール』はフリーザ編で終わるべきだった。
フリーザの絶望的な強さを前にして、悟空が初めてスーパーサイヤ人になったときの衝撃は今でも忘れない。
しかしその後スーパーサイヤ人の大量生産が始
>>続きを読む

シュガー・ラッシュ:オンライン(2018年製作の映画)

3.7

変われない男と変わっていく女。
町山智浩が本作と『アリー』『ラ・ラ・ランド』の類似性を指摘していたが、ヴァネロペがインターネットという新しい世界で自分の居場所を見つけるのに対し、ラルフは古き良きゲーム
>>続きを読む

アリー/ スター誕生(2018年製作の映画)

4.7

単なるシンデレラストーリーではない。
スターになることの代償を描いた映画。
ジャクソン(ブラッドリー・クーパー)に才能を見出されたアリー(レディー・ガガ)は、「Shallow」や「Always Rem
>>続きを読む

>|