風の旅人さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

ウルフウォーカー(2020年製作の映画)

4.0

温かみを感じさせるアニメーションは目を見張るものがある。
イングランドとアイルランド、キリスト教とケルト信仰、人間と狼(その中間のウルフウォーカー)、様々な対立構造を軸に親子の絆が描かれる。
歴史的・
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劇場版「鬼滅の刃」無限列車編(2020年製作の映画)

4.0

強さとは何か?
同じ技量の者同士が戦った場合、フィジカルの秀でた方が勝つ。
故に格闘技は階級制を設け、PFP(パウンド・フォー・パウンド)という概念で、同じ体重だった場合、誰が一番強いかを議論する。
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コンフィデンスマンJP プリンセス編(2020年製作の映画)

3.5

「本物も偽物もない。
信じれば、それが真実」

今作は前作のような将棋盤をひっくり返すような大どんでん返しはなく、ドラマパートに重点が置かれた作りになっている。
したがって前作に比べて驚きは少なく、コ
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劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン(2020年製作の映画)

4.5

ヴァイオレットの少佐への強い想い、少佐のヴァイオレットへの深い想いに涙腺崩壊。
時を超えて伝播し、継承されていく想いの連鎖が飛翔する手紙のイメージで表現されていたことに感心した。
時代と共に変わるもの
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TENET テネット(2020年製作の映画)

4.5

『TENET』というタイトルが示すように過去と未来からの「挟み撃ち」を描いた映画。
それは第三次世界大戦を防ぐための作戦だった。
難解な印象だが、ストーリー自体は至ってシンプル。
しかしプロットは複雑
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宇宙でいちばんあかるい屋根(2020年製作の映画)

4.0

清原果耶の透明感と桃井かおりの仙女感のコントラストが素晴らしい。
邦画にしては珍しく、多くを語らず余白を残した作りになっている。
星ばあ(桃井かおり)の存在の曖昧さは観客の想像に委ねられる。
ある者に
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青くて痛くて脆い(2020年製作の映画)

4.0

「キモチワル」

想像していた話とは違い、スケールの小ささに驚いた。
これは予告詐欺だ。
まんまと騙された。

秋好寿乃(杉咲花)は社会という中間項を飛ばして、私と世界を結びつけるヤバイ奴。
人付き合
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劇場版 Fate/stay night Heaven's Feel Ⅲ.spring song(2020年製作の映画)

4.0

善と悪。
聖人が罪を犯すこともあれば、悪人が善行を施すこともある。
人間とは矛盾した存在だ。
愛する者のためであれば、人は何だってする。
すべての人を守りたいというヒーロー思想は偽善に過ぎない。
ただ
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映画ドラえもん のび太の新恐竜(2020年製作の映画)

3.5

のび太の分身のようなキュー。
逆上がりができないのび太は、羽があるのに飛べないキューに自分を重ねる。
キューとミューを育てる過程で、成長していくのび太の姿に感涙。
相変わらず、劇場版のジャイアンはいい
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白ゆき姫殺人事件(2014年製作の映画)

4.0

「人の記憶ってのは捏造される。
人は自分の都合のいいようにしか記憶を語らねぇ」

人は誰もが幼い頃から自分と他人を比較し、あるいは比較されて生きてきた。
しかしどうあがいても人は自分以外の誰かにはなれ
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おとなの恋は、まわり道(2018年製作の映画)

3.0

キアヌ・リーヴスとウィノナ・ライダーの会話劇。
この作品を観ると、「ビフォア〜」シリーズやウディ・アレンの作品がいかに優れているかがわかる。
それらと比べて、本作は圧倒的に会話がつまらん。
哲学風でイ
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レイニーデイ・イン・ニューヨーク(2019年製作の映画)

3.5

今をときめくティモシー・シャラメとエル・ファニング主演。
しかし二人がいっしょに映るシーンは少なく、大半は別行動を取る。
著名人の気まぐれに翻弄され、一夜の冒険に出ることになったアシュレー(エル・ファ
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ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -(2019年製作の映画)

3.0

姉のエイミーとヴァイオレットの交流を描いた前半部と、妹のテイラーとC.H郵便社の面々の関わりを描いた後半部。
正直前半部だけでよかったような気がする。
前半部はそこそこ楽しめたが、後半部は退屈で死にそ
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渇き(2009年製作の映画)

3.0

サンヒョン(ソン・ガンホ)はワクチン製造のためにウイルスの実験台になり、唯一人生き残るが、その代償としてバンパイアと化す。
幼馴染のカンウ(シン・ハギュン)と再会したサンヒョンは、その妻のテジュ(キム
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悪女/AKUJO(2017年製作の映画)

4.5

「ヨンスさんは、演技は上手だけど、ウソは下手ですね」

驚きの一人称視点で始まる本作。
オープニングの怒涛のアクション。
しかしアクション映画だと思って観ていたら、まさかの胸キュンラブストーリーが展開
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ラン・オールナイト(2015年製作の映画)

4.0

殺人現場を目撃して命を狙われた息子のマイク(ジョエル・キナマン)を守るため、ジミー(リーアム・ニーソン)は自分が仕えるマフィアのボスの息子ダニー(ボイド・ホルブルック)を射殺してしまう。
ボスのショー
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クローサー(2004年製作の映画)

4.0

群衆の中で一際目立つ赤い髪の女に男は目を奪われる。
女も男に気づき、視線を交わした次の瞬間、女は交通事故に遭う。
近寄った男に女は、
「Hello stranger(ハロー、見知らぬ方)」
と第一声を
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回転(1961年製作の映画)

3.5

家庭教師として採用されたギデンズ(デボラ・カー)は、屋敷の中で存在しないはずの人間を目撃する。

映像的な怖さというより心理的な怖さ。
ホラー映画が苦手な人でも観られる。
フローラ(パメラ・フランクリ
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シングルマン(2009年製作の映画)

4.0

恋人のジム(マシュー・グード)を交通事故で失い、失意のジョージ(コリン・ファース)が自殺を決意した日に起こった予期せぬ出来事。

1962年、同性愛が今以上に認められていなかった時代、それを知られるこ
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女ガンマン・皆殺しのメロディ(1971年製作の映画)

3.0

「女は強くない。男が弱いんだ」

馬を奪うために牧場を訪れた三人の銀行強盗に夫を殺され、レイプ被害にあったハニー(ラクウェル・ウェルチ)は、賞金稼ぎのプライス(ロバート・カルプ)に師事し、復讐の旅に出
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ビフォア・ザ・レイン(1994年製作の映画)

4.0

マケドニアを舞台にマケドニア人とアルバニア人の民族紛争をテーマにしたオムニバス形式の作品。
美しい山岳地帯の風景と人間の残虐行為が対比される。
三部構成で、一部〜三部がメビウスの輪のように繋がっており
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SHAME シェイム(2011年製作の映画)

3.5

セックス依存症の兄ブランドン(マイケル・ファスベンダー)と恋愛依存症の妹シシー(キャリー・マリガン)。
ブランドンは心の隙間を埋めるようにセックスとオナニーに明け暮れ、シシーはブランドンの上司デイヴィ
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袋小路(1965年製作の映画)

3.5

序盤からテレサ(フランソワーズ・ドルレアック)によって女装させられるジョージ(ドナルド・プレザンス)は、去勢されたように男性性が稀薄である。
反対にテレサは自由奔放に振る舞い、リチャード(ライオネル・
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思い出のマーニー(2014年製作の映画)

3.5

上質の材料を使いながら、調理に失敗した料理のような作品。
夢とも現実ともつかない「夢現(ゆめうつつ)」の世界は魅力的で、私も杏奈のようにマーニーに恋をした。
しかし和彦にマーニーを取られてから、私のテ
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Re:LIFE リライフ(2014年製作の映画)

3.0

アカデミー賞脚本賞を受賞したこともある落ち目の脚本家が、過去の栄光から解放され、今の自分にできることを見つけるまでの物語。
機知に富んだ会話、脚本の授業は面白かったものの、ストーリーに起伏がなく、あま
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オンリー・ユー(1994年製作の映画)

3.5

子供の頃の占いで、「デイモン・ブラッドリー」という男性が運命の人だという啓示を受けたフェイス(マリサ・トメイ)は、結婚式の十日前、同姓同名の人物からの電話を受ける。
フェイスは運命の人を追いかけて、ウ
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ラブソングができるまで(2007年製作の映画)

4.0

落ち目の元スター歌手と元作家志望のエステ経営者の恋物語。
アレックス(ヒュー・グラント)とソフィー(ドリュー・バリモア)のやり取りがコミカルで、相性のよさを感じさせる。
一つの「ラブソング」を二人で共
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PとJK(2017年製作の映画)

2.5

カコ(土屋太鳳)の実年齢がわかった瞬間、豹変する功太(亀梨和也)が怖かった。
しかもあんなに怒っていたのに、その数時間後には結婚を申し込む急展開に引いた。
廣木監督はカメラワークが巧みなので、原作さえ
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ReLIFE(2017年製作の映画)

3.5

高校生の中に一人大人(異物)を混ぜるという実験の被験者になった海崎新太(中川大志)。
27歳から17歳へ、経験はそのままに身体だけ若返る。
設定の雑さに目をつぶれば、なかなかの良作。
ただ新太が簡単に
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伊藤くん A to E(2017年製作の映画)

4.0

「何遍も恋の辛さを味わったって 不思議なくらい人はまた恋に落ちてゆく」
(Mr.Children「シーソーゲーム〜勇敢な恋の歌〜」)

伊藤くん(岡田将生)を巡る女性たちの成長譚。
自意識過剰で傷つく
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去年の冬、きみと別れ(2018年製作の映画)

3.5

途中まではかなり面白かった。
しかし後半大失速。
種明かしに時間を割き過ぎて、映画の運動が止まってしまった。
説明過多も甚だしい。
イニシャルの献辞を何回映したら気が済むのだろう?
どれだけ観客を信じ
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高台家の人々(2016年製作の映画)

3.5

人の気持ちがわかるってどんな気分だろう?
心が読まれてしまうのも嫌だけれど、読めてしまう方がもっと辛いと思う。
知りたくもないことも知ってしまうし、人間不信になりそう。
片想いの相手が、顔は笑っている
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ハッピーメール(2018年製作の映画)

3.5

マッチングアプリを使った出会いを描いた恋愛映画。
まだまだこのジャンルは開拓の余地がある。
厳密に言えば、出会い系サイトとマッチングアプリは違って、前者が遊び目的なのに対し、後者は真剣な交際が目的らし
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ただ、君を愛してる(2006年製作の映画)

3.5

誠人(玉木宏)と静流(宮崎あおい)のやり取りは微笑ましく、面白かったのだけれど、静流が誠人のもとを去ってからの展開に鼻白んだ。
別にこの物語は難病の設定がなくても、同じ強度を保てたのではないかと思って
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ぼくは明日、昨日のきみとデートする(2016年製作の映画)

3.5

小松菜奈が小松菜奈たる所以を余すことなく発揮した作品。
福寿愛美を小松菜奈が演じていなかったら、目も当てられない映画になっていたのではないかしら?
とにかく小松菜奈が可愛い。
あんな目で見つめられたら
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桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)

4.0

桐島という不在の中心を巡る群像劇。
トップの桐島がいなくなることで、高校のヒエラルキーに変化が起こり、勝ち組負け組の価値観が揺らぐ様が爽快だった。
それまで勝ち組にいた運動部と帰宅部が自身のレーゾンデ
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