風の旅人さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

LOVE【3D】(2015年製作の映画)

3.0

所々で面白いシーンがあるものの、大部分はセックス描写で占められているので、退屈極まりなかった。
Love story(過程)が盛り上がっていないのに、Love(結果)だけ見せられても何の感慨もない。
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半分の月がのぼる空(2009年製作の映画)

3.5

よくあるお涙頂戴の難病ものと見せかけて、なかなかテクニカルな映画だった。
池松壮亮と大泉洋の雰囲気が似ているなと思いながら観ていたら、後半の仕掛けになるほどと感心した。
『君の膵臓をたべたい』と似てい
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きみの声をとどけたい(2017年製作の映画)

4.0

高校生の頃、私は毎日のようにラジオを聴いていた。
ラジオは発声者の姿が見えず、声だけが届くので、色々想像するのが楽しい。
私はラジオを聴きながら寝るのが好きだった。
今はラジオの代わりに町山智浩の「映
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空の青さを知る人よ(2019年製作の映画)

4.5

子供の頃に描いた理想や夢は、いつしか記憶の片隅に追いやられ、現実の厳しさに諦念を抱くようになる。
今の自分をあの頃の自分が見たらどう思うだろうか。
「ここではないどこかへ」憧れた子供時代、ここは自分の
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ライリー・ノース 復讐の女神(2018年製作の映画)

3.5

主演はテレビドラマ『エイリアス』のジェニファー・ガーナー。
未だに彼女の代表作は『エイリアス』で、その後作品に恵まれていない。
そんな彼女が50歳を目前にしてアクション映画に出演ということで期待してい
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ジョーカー(2019年製作の映画)

4.5

「誰かの願いが叶うころ あの子が泣いてるよ」
(宇多田ヒカル「誰かの願いが叶うころ」)

悲痛な叫びのような映画だった。
終始暗く、救いがなく、一欠片の希望もなかった。
好きか嫌いかで言えば、嫌いな映
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蜜蜂と遠雷(2019年製作の映画)

4.0

説明的な台詞やナレーションを排し、表情と行動で登場人物の内面が表現されていた。
近年の邦画に見られるテレビドラマ的な演出とは一線を画す映画だった。
したがって登場人物の過去は断片的にしかわからず、我々
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アイネクライネナハトムジーク(2019年製作の映画)

4.0

映画にあるような劇的な出会いなど、めったにあるものではない。
映画が繰り返し描いてきた「運命の恋」を本作は否定する。
「恋愛って、そんなドラマチックなものじゃなくて、もっとゆるゆるしたものじゃないかし
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HELLO WORLD(2019年製作の映画)

3.5

世界の「外」に出られない人間は、今目の前に広がっている世界が現実なのか夢なのか認識できない。
もしかしたらベッドの上で寝ているのかもしれないが、夢は目覚めてから初めて「夢だった」と認識できる過去形の経
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サマーウォーズ(2009年製作の映画)

3.5

面白いんだけど、違和感の残る映画。
その違和感の正体は、恐らく日本の伝統的な家族制度の賛歌と、そのために用意された御都合主義的なキャラ設定に因るのだと思う。
一つ屋根の下に、世界を脅かすハッキングシス
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記憶にございません!(2019年製作の映画)

3.5

その昔、三谷幸喜は田村正和主演で『総理と呼ばないで』(1997)というドラマを撮ったことがある。
個人的に好きなドラマだったが、視聴率は伸び悩んだようだ。
本作は三谷幸喜が作った久しぶりの総理大臣もの
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恋人たち(2015年製作の映画)

4.0

「綺麗は汚い、汚いは綺麗」
(シェイクスピア『マクベス』)

綺麗に格好よく生きることなんてできない。
誰かを傷つけ、誰かに傷つけられ、みっともなく、這いつくばりながら、つづいていく人生。
どんな高貴
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かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~(2019年製作の映画)

3.5

くだらねぇ。
わざわざ高い料金を払って映画館で観る価値はないし、映画的演出は皆無だけれど、嫌いではない。
人によっては全然笑えないだろうが、個人的には面白かった。
アニメのような演出で、登場人物は表情
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ヒア アフター(2010年製作の映画)

4.0

我々は死後の世界に興味を持ちながら、それについて語る者を訝しみ、排斥する。
スピリチュアルな題材だが、本作のテーマは死後の世界の存在を云々することにあるのではなく、死に取り憑かれた人間の再生を描くこと
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ピアノ・レッスン(1993年製作の映画)

4.0

ピアノに心を閉じ込めた女性の解放の物語。
6歳で言葉を発することをやめてしまったエイダ(ホリー・ハンター)は、ピアノと共に生きてきた。
エイダは娘のフローラ(アンナ・パキン)とピアノを連れて、スコット
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トイ・ストーリー3(2010年製作の映画)

4.0

持ち主であるアンディが大学生になり、屋根裏部屋に保管されるはずだったおもちゃたちは、手違いでサニーサイド保育園に寄付されてしまう。
これで永遠に子供たちに遊んでもらえると喜んだのも束の間、そこは夢の国
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天空の城ラピュタ(1986年製作の映画)

4.5

宮崎駿の最高傑作。
空から女の子が降ってくるという夢のようなシチュエーション。
空への憧れと、地に根を張った生活。
海賊の女首領であるドーラのインパクト。
どれを取っても完璧なエンタメに仕上がっている
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トイ・ストーリー2(1999年製作の映画)

4.0

おもちゃは子供が成長するに伴い、やがて必要とされなくなり忘れ去られる、という身も蓋もない現実を突きつけてくる二作目。
ジェシーの過去が切なかった。
こんな辛い思いをするくらいなら、いっそのこと博物館で
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劇場版 おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~(2019年製作の映画)

3.5

映画としてはスローモーションを多用した演出と時限爆弾の使い方が気になった。
話自体は面白かったが、映画ならではの魅力を感じられなかった。
あくまでドラマのファンに向けた作品だろう。
とは言え、ギャグセ
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天使の恋(2009年製作の映画)

4.0

佐々木希の裸体が美しい。
原作がケータイ小説だけあって、脚本は酷い。
しかし佐々木希の存在感が凄まじく、彼女が画面に映るだけで絵になる。
私はこの映画を観て、天使=佐々木希という等式を知った。
そんな
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トイ・ストーリー(1995年製作の映画)

3.5

「飛んでるんじゃない。落ちているだけだ。格好つけてな」

自分がスペース・レンジャーだと思い込んでいる新しいおもちゃのバズと、アンディのお気に入りになったバズに嫉妬するウッディ。
ウッディはバズに対し
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HOT SUMMER NIGHTS ホット・サマー・ナイツ(2017年製作の映画)

3.5

ホットパンツ→靴紐が解けたコンバース→日焼け止めクリームのココナッツの香り→ロリポップキャンディのシェア。
という一連の流れが最高過ぎて何も言えねぇ。
冴えない少年が上昇気流に乗り、そして落ちていく様
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風の谷のナウシカ(1984年製作の映画)

4.0

未だに日本のアニメはナウシカを超えるヒロイン像を提示できていない。
ナウシカは凛とした女性の代表格である。
敵味方の区別なく、誰とでも対話をしようとする姿勢に頭が下がる。
たとえそれが異形のもの(蟲)
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溺れるナイフ(2016年製作の映画)

4.0

ロジカルに物語を組み立てることを放棄し、感情の迸りを捉えることを優先した映像が素晴らしい。
小松菜奈の魅力が十全に引き出されていた。
特に彼女が「走る」姿に心を動かされた。
どこか浮世離れした夏芽(小
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恋する惑星(1994年製作の映画)

3.5

それまでまったくの他人同士だった二人が恋に落ちる過程をエモーショナルに切り取った作品。
エイプリルフールにメイ(5月)という名前の彼女に振られたモウ(金城武)が、自分の誕生日(5月1日)までその日が消
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紅の豚(1992年製作の映画)

4.0

余裕のある男性って素敵ですね。
ポルコは豚の姿をしていても、自分に自信を持ち、常に余裕を感じさせる。
好きな女性に対しては余裕がなくなってしまうものだけれど、ポルコはジーナに対してもフィオに対しても余
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雲のむこう、約束の場所(2004年製作の映画)

3.5

ヒロインがてんで魅力的でない。
その点でこの手の映画としては致命的だと思う。
しかし『君の名は。』や『天気の子』に連なるモチーフも見られ、新海誠の重要な作品であることは間違いない。
風景描写の美麗さに
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天気の子(2019年製作の映画)

4.5

「何を犠牲にしても 守るべきものがあるとして
僕にとって今君が それにあたると思うんだよ」
(Mr.Children「Everything(it's you)」)

世界の救済と愛する人の命を天秤にか
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映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ(2016年製作の映画)

3.5

石橋静河は不思議な女優だ。
見る角度によって美人に見えたり、不細工に見えたりする。
しかし存在感だけはやたらにある。

物語は昼は看護師、夜はガールズバーで働く美香(石橋静河)と、工事現場で日雇いの仕
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COLD WAR あの歌、2つの心(2018年製作の映画)

4.5

音楽舞踏学校の教師をしているヴィクトル(トマシュ・コット)は、オーディションにやってきたズーラ(ヨアンナ・クーリグ)を一目見て恋に落ちる。
ヴィクトルにとってズーラは「ファム・ファタール(運命の女)」
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トイ・ストーリー4(2019年製作の映画)

4.0

子供は成長するに従って、必要とするおもちゃを変え、やがて要らなくなったおもちゃはゴミとして捨てられる。
この現実から目を逸らさず、おもちゃ生について考察したのが本作である。
実のところ、私は「トイ・ス
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P.S. アイラヴユー(2007年製作の映画)

3.5

「君は僕のすべてだった。
でも僕は君の人生の一部でしかない」

ジェリー(ジェラルド・バトラー)のこの言葉がすべての映画。
人を本気で好きになると、その人のことで頭がいっぱいになり、迷惑も考えないで突
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あと1センチの恋(2014年製作の映画)

3.5

ロージー(リリー・コリンズ)とアレックス(サム・クラフリン)は幼馴染で、友達以上恋人未満の関係。
お互いを大切に想いながらも、距離が近過ぎて、恋愛にまで発展しない。
離れ離れになって漸く、自分の本当の
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ルビー・スパークス(2012年製作の映画)

3.5

処女作がベストセラーになったことで、二作目に苦しむ作家が、自分の夢に出てきた女性の物語を書いたら、現実にその女性が現れたという話。
とにかくルビー・スパークス(ゾーイ・カザン)がかわいい。
衣装がカラ
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エターナル・サンシャイン(2004年製作の映画)

3.5

なるほど、アカデミー脚本賞を受賞しただけあって、脚本が凝っている。
時系列をシャッフルした構成で一見難解さを装いながら、クレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)の髪の色(緑→赤→橙→青)で時間軸が分か
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海がきこえる(1993年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ヒロインの武藤里伽子が全然魅力的でない。
わがままで協調性がなく、周りを巻き込む。
両親の家庭問題で里伽子は東京から高知に転校してくる。
学校という狭い世界しか知らない高校生にとって、転校生の里伽子は
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