ヒロインの成田初(堀未央奈)は自分というものを持たず、好意を寄せられては靡く「空っぽの器」として描かれる。
彼女を取り巻く男たちはみんな一癖も二癖もあり、現実離れしている。
幼馴染でモデルの小田切梓(>>続きを読む
反復される言葉、行動、仕草(シャカサイン!)、イメージの連鎖に涙する。
既存の曲ではなく、書き下ろしの新曲を使用することにより、物語と共に曲が成長していく過程を見ることができた。
作品は鑑賞者の人生と>>続きを読む
劇的にではなく、ごく自然に恋に落ちる二人。
年齢差は40歳以上。
年老いた男は自分がもっと若ければと思うが、女は意に介さない。
互いの孤独を分け合うように言葉を交わし、沈黙を愛する。
しかし男にはある>>続きを読む
人は浮遊するもの、飛翔するものに憧れ、また畏怖する。
我々は空中に浮かび上がるジーン・グレイ(ソフィー・ターナー)を目撃して、天使のような神々しさを感じ、崇高な感情に囚われる。
チャールズ(ジェーム>>続きを読む
どんなに現実で貧しくても地位がなくても、「物語」の中では王子にも英雄にもなれる。
「物語」は人々の願いを叶え、辛い現実を忘れさせ、夢の世界へと誘ってきた。
「物語」が果たしてきた役割は、現代になり映画>>続きを読む
人が物事を考える時に当たり前のように前提にしている枠組みを突破する力が音楽にはあると思う。
だから音楽映画は物語が平板でも音楽の力によって感動作へと昇華する。
しかし秦基博とあいみょんを作詞作曲に起用>>続きを読む
ダー子(長澤まさみ)とジェシー(三浦春馬)のラブロマンス編で流れるfox capture planの二つの挿入歌「One Side Win」と「Walking Away」のクオリティが高く、引き込まれ>>続きを読む
コレットと言えば、『シェリ』『青い麦』『牝猫』『ジジ』などで有名な作家だが、この映画はそれ以前の彼女の「修行時代」を描く。
私の学生時代(今から15年ぐらい前)、20世紀のフランス文学と言えば、真っ先>>続きを読む
二郎と菜穂子がフランス語で言葉を交わす馴れ初めのシーンに胸がときめいた。
しかしそこから二人のロマンスが始まるのかと思いきや、物語は遅々として進まず、10年の歳月を要して、菜穂子が美しい大人の女性に成>>続きを読む
正義とは何か?
すべての人を救いたいという「理想」を掲げるアベンジャーズと、それを偽善だと看破するサノス。
増え過ぎた人口によって崩れた宇宙の均衡を保つために、宇宙に生息する生命の半分をランダムに消去>>続きを読む
冒頭、マモちゃん(成田凌)からの電話に出るテルコ(岸井ゆきの)の横顔がアップで映される。
マモちゃんのお願いに、会社にいるからいいよと応えるテルコだったが、その瞬間カメラが引いて、自宅にいることが明か>>続きを読む
それを「偶然」と取るか「運命」と取るかの違い。
同じ事象を経験しても、感じ方は人それぞれで、タイミングやその時の心境によっても変化する。
肉食系女子のサマー(ズーイー・デシャネル)は草食系男子のトム(>>続きを読む
アイデア倒れの作品。
リュック・ベッソン監督、スカーレット・ヨハンソン主演から期待される面白さではなかった。
脚本が練られておらず、中途半端な印象を受けた。
しかし嫌いにはなれない妙な魅力がある。
ラ>>続きを読む
アトリエに踊りながら現れる夏生(松田リマ)と、螺旋階段をゆっくり下りてくる怜(永夏子)。
怜は春馬(安藤政信)の写真を気に入り、自分の性器を撮って欲しいと依頼する。
怜は春馬の写真を「時間がなくなった>>続きを読む
冒頭、ライヴを終え、車に乗り込むなり咳き込み、酒を搔っ食らうジャクソン(ブラッドリー・クーパー)。
車窓からは首吊りのロープを連想させる看板が見え、破滅への道の途上にあることが示唆される。
劇中歌の「>>続きを読む
オムニバス形式の三つの短編。
言葉は言霊であり、人を呪い殺すこともあれば、祈りとして捧げられることもある。
殺人鬼・浅上藤乃の存在感が際立っており、彼女が登場しただけで場がホラーテイストに変わる。
「>>続きを読む
未来視には二種類ある。
すなわち実現したい結果のために選ぶべき現在が見える未来測定と、視覚で得た情報の記憶から結果を見る未来予測。
前者の未来は決定しており、現在はただ未来への通過点として存在する。>>続きを読む
「式」でも「織」でもない原型の人格「両儀式」との対話。
初めに肉体があり、次いで肉体が人格を生み、最後に脳が知性を生む。
しかし近代人は知性が人格の統治者だと勘違いし、肉体を過小評価する。
普段「両儀>>続きを読む
優雅で洗練されたエミリー(ブレイク・ライヴリー)が車から降り立つ初登場シーン。
カメラはまず足元を捉え、徐々に上へと向かい、最終的に顔を映す。
それは典型的な「ファム・ファタール(運命の女)」を予感さ>>続きを読む
顔のある他者を殺す殺人と不特定多数の人間を殺す殺戮。
「人は一生に一度しか人間を殺せない」
なぜなら二度目からは行為に慣れ、禁忌を犯す畏怖の念が薄れるからだ。
それはもはや殺人のための殺人であり、相手>>続きを読む
クリー人の特殊部隊“スターフォース”に所属するヴァース(ブリー・ラーソン)は、断片的な記憶に悩まされながら、上官であるヨン・ロッグ(ジュード・ロウ)の訓練を受けていた。
しかしヨン・ロッグはヴァースが>>続きを読む
家族を顧みず、仕事一筋に生きてきた男の贖罪の物語。
マッチョイズム溢れるアール(クリント・イーストウッド)がお茶目で笑う。
特にマフィアが仲間同士揉めている中で、我関せずリップクリームを塗る姿が印象的>>続きを読む
陰と陽。
黒桐幹也を想う二人の女性。
今回は陰キャの両儀式ではなく、陽キャの黒桐鮮花が主人公のため、シリーズのダークな雰囲気が緩和されていた。
人は出来事の起源(origin)を忘却し、空白を埋めるた>>続きを読む
定説と異説。
人類の歴史を振り返れば、定説が間違っており、異説が正しかったこともしばしば。
その最たるものが天動説と地動説だろう。
今では天動説を支持する者はほとんどいない。
しかし当時の科学では地動>>続きを読む
なるほど、賛否両論も頷けるウェルメイドな「美談」だった。
そつのない脚本、そつのない演技、そつのない音楽。
すべてが平均点を上回り、老若男女誰が見ても感動できる完成度の高い作品だった。
逆に言えば、飛>>続きを読む
太極図。
「陰と陽、光と闇、生と負、男と女。
矛盾を抱えた互いに相克する螺旋。
陰陽道ではそれを『両儀』と言う」
直線でも円環でもない螺旋の時間イメージ。
時系列をシャッフルした構成が面白かった。>>続きを読む
都会指数によるクラス分け、東京に入るための通行手形、草加せんべいの踏み絵etc。
ファンタジーでありながら、その根底には「分断された社会」という現実がある。
しかし話が進むに連れて、くだらなさが増して>>続きを読む
もう一つの人格「織」を失った両儀式は孤独感に苛まれていた。
生と死の境界でどちらを選ぶこともできず、心は伽藍堂だった。
式の心の隙間を埋めることができるのは黒桐だけだ。
記憶(過去)ではなく、今の積み>>続きを読む
無痛症。
痛みを感じられなかった少女は、限界状況の中で痛みを覚え、その痛みが引き金となって眠っていた力を発動させる。
しかし復讐のための殺人は、やがて「生の実感」を得るための殺戮へと変わっていく。
浅>>続きを読む
恋は盲目。
雪の中での出逢いは、やがて血の赤に染まっていく。
恋に落ちた相手は殺人犯かもしれない。
しかし人は見たいものだけを見、見たくないものは見ようとしない。
死体の前で佇む式を見ても、黒桐は式を>>続きを読む
物語的には平板で見るべき点はない。
サイボーグの少女が人間の男に恋をし、失った記憶を取り戻していくストーリー。
だがしかし、アリータのキャラクター造形が素晴らしく、引き込まれる。
顔、髪型、性格、ボデ>>続きを読む
想像していたのと違い、哲学的で難解な物語だった。
「生の実感」を得られない人間は、空を眺め、街を見下ろし、強烈な出来事を求める。
運命の恋、ヒーロー願望、過剰な暴力etc。
リア充にはわからない空しさ>>続きを読む
次の瞬間画面に何が映るかわからないことの恐怖。
突然の場面転換に驚く。
まるで統合失調症患者の世界に放り込まれたような感覚。
トム・ヨークの劇伴が相乗効果を上げ、終始不気味さが漂っていた。
美と醜が表>>続きを読む
30年間同じ仕事をしていれば飽きるのは当然で、自身の役割に疑問を持っても別段不思議ではない。
本作はそんな中年の危機を迎えたラルフのアイデンティティをめぐる物語である。
ヒーローと悪役はコインの表と裏>>続きを読む
「すべての人を救いたい」という衛宮士郎の理想を偽善だと看破するアーチャー。
他人を助けるために自分の身を犠牲にする衛宮士郎は歪で壊れた機械のような存在だ。
現実を知るアーチャーと理想を掲げる衛宮士郎の>>続きを読む
600万円と共に消え失せた青春の輝き。
陰キャである僕には彼らのような散財はできないので羨ましかった。
二宮監督は前作の『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY リミット・オブ・スリ>>続きを読む