林林檎さんの映画レビュー・感想・評価

林林檎

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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.8

原爆を作ってしまった男。

個人的な感想から入ると、すごく好きです。

3時間でないと描ききれない物語を巧みな構成で飽きずに見せる技術に、
視覚と聴覚で時系列と心情をつないで案外観やすい印象。

核の
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フォロウィング 25周年/HDレストア版(1998年製作の映画)

4.1

ヤバい男を尾行してしまった男。

クリストファー・ノーランのデビュー作。
インディーズ映画の質感やミニマムさに痺れます。

時間を乱した編集による仕掛けは、低予算で映像的なスペクタクルを作りたかったの
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スーパー!(2010年製作の映画)

4.3

陰キャおじさんがマフィアに寝取られた嫁を取り戻しに行く。

やっぱり内容も時期もあって『キック・アス』と比較してしまうけど、
素人がビジランテになる話として、
期待に応えるはちゃめちゃなのが『キック・
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マッチング(2024年製作の映画)

1.2

このレビューはネタバレを含みます

マッチングアプリに登録したら人生めちゃくちゃになった女。

っていうけどさ、
話はツッコミどころしかないし、
訳のわからないシーンに不気味な音楽をつけただけでまったくハラハラしないし、
同じ回想シーン
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マダム・ウェブ(2024年製作の映画)

1.3

このレビューはネタバレを含みます

未来予知に目覚めた女が、蜘蛛男から女の子たちを守る。

細かいところもツッコミどころありすぎんだけど、
一番マズったのは、アクションできない能力の主人公なのにアクション映画の文法で作っちゃったことなん
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変な家(2024年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

変な家に入っていく人たちの話。

雑なまとめ方だけど、よく考えるとあんまり中身ない映画かも。

でも、序盤はぐいぐい引き込んでくる。
終盤はだいぶ雑でガバガバな感じでした。
チェーンソーばばあとか、な
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

3.4

青年が運命に従い、役割を受け入れる話。

原作未読で、前編もハマらなかった中で観に行きました。

続き物の真ん中らしく、見どころが続くのはいいんだけど、アクションをあんまりカッコよく見せる気がないのが
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.6

人に理解されにくい病を抱える男女。

人間誰しも悩みを抱えてるものだけど、同じような悩みでないと、理解はおろか否定すらされてしまうもの。

そういう感じを、丁寧なに日常を積み重ねながら、優しさの渡し合
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キック・ミー 怒りのカンザス(2023年製作の映画)

3.8

うだつの上がらないおじさんが、カンザス州カンザスシティで一晩中酷い目に遭い続ける話。

はちゃめちゃで訳がわからないような感じが、実は一番手に負えない面白さなんだと思う。

出鱈目に理不尽な目に遭い続
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ゆきゆきて、神軍(1987年製作の映画)

4.3

戦争を終わらせられない男の戦い。

初めて観た上に、映画館で原一男監督と阪本順治監督のトークつきという贅沢でした。

昭和天皇の戦争責任を問いながら、闇に葬られた南方戦線の従軍で起こったことを40年越
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ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)

4.1

終電を寝過ごしたおばちゃんが家に帰るために夜の街をさまよう。

そして、
人生初の寝過ごしは、日常に対して抱えていたものが溢れ出す瞬間でもある。

夜の街はやっぱり厳しくて、でもたまに親切だったりする
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ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)

4.6

書いた中身が現実になってしまった小説家と彼女を守るスパイのバディもの。
そして、
一流スパイは世界を騙す。

いつも通り安心のマシュー・ヴォーンの映画。
途切れない展開。
緊張と弛緩とツイスト。
ブラ
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

夫の不審死の裁判で無罪を勝ち取ろうとする妻。

スリリングで面白かった。
のだけど、
そのスリルは観る側の下世話な欲望に呼応しているものだったと思う。
週刊誌を流し読みするようなあの感覚と同じで。
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劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦(2024年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

バレーバカがドライな策士の心を動かそうとする話。

ネタバレっても、原作まんまのアニメシリーズにネタバレも何もないんですけど。

というわけで、原作は全部読んでるけど、アニメは最初のシーズンしか観てな
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はちどり(2018年製作の映画)

5.0

居場所のおぼつかない少女。

94年の韓国・ソウルに暮らす中学2年の少女の日々の物語。
家父長から女性への支配の重さが暴力で描かれつつも、中学生の塾通いから万引きや喫煙までといった、どんな国にもあるよ
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

母から逃れられない男。

よくもこんな映画を作った。

日頃盲信してしまっているものを一つずつ外して、宙ぶらりんにしてくる。
その中には物語の構造や理屈も含まれていて、これまで以上に不条理になっている
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ペイ・フォワード 可能の王国(2000年製作の映画)

3.8

クソみたいな世界を変えたいと願い、行動した少年の話。

『ペイ・フォワード』を訳すなら「恩送り」となるだろうか。
「恩を次に返す」ことを広げることで世の中を良くしようとした少年と、周りの大人たちの話で
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DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

2.6

貴族の息子が革命を志す話。

っていうのもあんまりだなあ……。

……退屈はしないんですけど、
長いのによくわからなかった。

複雑な世界観をいちいち言葉で説明しないのは必ずしも悪いことではないんだけ
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

成人女性の肉体に生まれた新生児の成長。

味気ないまとめ方ですね……。
ただ、その思考実験的な面白さと、
19世紀末にその一部スチームパンク的なものを取り込んだ世界観、特に視覚的な部分含めての面白さ、
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Here(2023年製作の映画)

4.8

スープを配る眠れない男と蘚苔学者の出会い。

写真集のような美しいショットの連続と、心地よい環境音、繊細な言葉によって作られた、静かで豊かな映画。

ストーリーラインで語るよりも、映像を通して観客の感
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ラスト・アクション・ヒーロー(1993年製作の映画)

4.1

不死身の刑事と彼が主人公の映画に迷い込んだ映画大好き少年の話。

ジョン・マクティアナン×シェーン・ブラック×アーノルド・シュワルツェネッガーという、
まさに90年代アクションという感じだけど、
それ
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アクアマン/失われた王国(2023年製作の映画)

2.6

このレビューはネタバレを含みます

半魚人の王がかつて敵対した弟と世界を救う。

ハイテンションで、ド派手にかましてくれるのは良かった。
けどツッコミどころが多すぎるのはやっぱりキツかった。
前作に続いて登場人物がいい加減なのが苦手で、
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ある閉ざされた雪の山荘で(2024年製作の映画)

1.8

このレビューはネタバレを含みます

劇団員が合宿中に1人ずつ殺されていく話。

俳優設定も相まって、普通のミステリって感じ。
あまりドラマでおっと言わせる感じではなかった。
仕掛けを楽しむ話ではあるけれど、その辺のトリックやばらし方はユ
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パーム・スプリングス(2020年製作の映画)

4.4

クズな男女が1日をループし続ける話。

ある種享楽的な2人が、ループでリセットされるから、それを受け入れてダラダラしまくるのは新鮮だったと思う。
でも逆に言えば、約束のない日曜日のテレビの前のような、
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明日への地図を探して(2020年製作の映画)

4.8

1日をループし続ける若い男女が出会う話。

いやあ、驚いた。
ボーイミーツガールの瑞々しさに、ループから出たい男と、出たくない女の謎が程よく絡んで実に心地よい。
そして、ループから出るためではなく、終
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恋はデジャ・ブ(1993年製作の映画)

4.3

自分勝手な男が田舎町での1日をループし続ける話。

ループものの歴史的名作。
1日のループでできることをほぼやり尽くしているのではないだろうか。
更に、ループの理由も特にないからこそ、人の心情と変化に
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レオノールの脳内ヒプナゴジア(半覚醒)(2022年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

映画を愛する老いた女性監督と、彼女を母として愛する息子の話。

と暫定的にまとめたけれど、一言で語るのが難しい。

すれ違う母子の日常から、描きかけの脚本の映画の世界に迷い込む母と、それを救い出そうと
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エド・ウッド(1994年製作の映画)

4.6

自分の映画を撮るためなら何でもする男。

史上最低の映画監督と呼ばれたエド・ウッドの伝記映画。

十数年ぶりに見返したのだけど、二十歳前後の学生の立場としては、とことん夢を追う姿に魅せられた部分が強か
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レザボア・ドッグス デジタルリマスター版(1992年製作の映画)

4.6

信念のために命を賭ける男たち。
…なんか違う気もするけど。

強盗団の裏切り者探しの物語。
実は初見だったけど、オチはむしろわかりやすかった気がするし、ハナからそこで魅せようという感じでもないと思う。
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宝くじの不時着 1等当選くじが飛んでいきました(2022年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

38度線を越えて翔んでった一等宝くじを巡って、北朝鮮と韓国が人質交換する話。

政治的対立をウォームな笑いで包んだ一本。
一方で、お金や政治のサスペンスさも、様々なトラブル解決が一本に収束する感じとか
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ウィッシュ(2023年製作の映画)

3.6

独裁者と戦う少女の話。

100周年にゴリゴリのリベラルな映画をぶつけてくるとは思わなかった……。
その意志がそもそも凄い。
その分、道徳的でわかりやすい話になってしまっているし、あんまり新しい感じも
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キラーカブトガニ(2021年製作の映画)

1.5

このレビューはネタバレを含みます

放射能で変異したカブトガニたちが街を襲う。

発想はいいんだけど、なんか物足りなかった。

もっとゴリゴリに殺しまくったりしてほしかったのもあるけど、
人が死んでる時点で「ヤバい!」ってなって、緊張感
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翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~(2023年製作の映画)

4.0

埼玉県の革命家が大阪府の陰謀を阻止する話。

はい。
このバカバカしい物語、前作同様にやり切った快作といったところでしょうか。
今回は食から政治まで、攻め方もスケールアップした印象。

とはいえ、日常
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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.3

アル中男と文無し女の恋。

ラジオから流れる戦争が、褒められた人間ではない2人にのしかかる苦しみの象徴のようで、
優しくない世界でどうしようもない2人に差し込む光がじんわりと心に響く。

カウリスマキ
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ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.5

開拓時代のアメリカの貧しさの中で生きる2人の男。

とことんシンプルに磨き上げられた物語の中で、楽しさも苦しみも、優しさも残酷さもそのまま目に映る。
展開も単純で自然なゆえか、苦しいだけじゃない不思議
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TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

母親の死を受け入れられない娘が、降霊パーティーに行ってみた。

って書くとだいたい流れ読めると思うところだけど、ルールや定番のパターンを利用して物語を上手く引っ張ってる感じで、
個人的には展開がなかな
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