yoshikoさんの映画レビュー・感想・評価

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ナチ刑法175条/刑法175条(1999年製作の映画)

4.0

1999年制作のドキュメンタリー。証言した人たちが今はもう故人だ。それだけでも貴重だが、実際に話す内容、話しているうちに恐怖の記憶がよみがえる様子、この人たちにとっても忘れたくても忘れられないこと、し>>続きを読む

流転の地球/さまよえる地球(2019年製作の映画)

3.4

中国映画界の総力を注ぎ込んだ、大作というのにふさわしいSF大作。山場が次々と訪れて、最後まで緊張感満載でした。主役の呉金はカンフースターとして好きだったのですが、数年前の「戦狼」の中国プロパガンダに超>>続きを読む

白日青春 生きてこそ(2022年製作の映画)

4.2

主演のアンソニー・ウォンはアクション映画の時代からファンですが、彼が演じる年老いたどうしようもないタクシー運転手が素晴らしく、パキスタン移民の子どもとのやり取りがあちこち心に残っていて、映画館で見てか>>続きを読む

コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ー(2022年製作の映画)

4.2

めっちゃお勧めします。近年では「バービー」に匹敵する面白さ。1970年前後のシカゴを舞台に、「ロー対ウェイド」判決に至る女性たちの闘いの歴史を描いているのですが、ストーリーはハラハラドキドキ、サスペン>>続きを読む

ブルーイマジン(2024年製作の映画)

4.0

映画界での性暴力という、現在進行形で明るみに出て言える課題に向き合った作品。被害を受けた女性たち、その周囲の女性たち、共通する、あるいは異なる経験をしてきた女性たちの心の揺れと、互いにつながりあうこと>>続きを読む

映画 ○月○日、区長になる女。(2024年製作の映画)

4.0

杉並区長が誕生するまで、誕生してからの地域の変化をていねいに追っています。自分も区民の一人になったように気分で見ました。映画としてはもう少し工夫があってもいいのかなとは思いましたが、困ったこと、これは>>続きを読む

ビバ・マエストロ! 指揮者ドゥダメルの挑戦(2022年製作の映画)

4.2

難民映画祭で見ました。ドゥダメルのこと、よく知りませんでした。こんな困難を抱えていたとは。ベネズエラにも帰れないなんて、言葉もありません。世界的な指揮者が「難民」なのです。オーケストラの団員たちも世界>>続きを読む

劇場版 ヤジと民主主義(2023年製作の映画)

4.1

ニュースなどで事件や裁判の概要は知っていましたが、映像で見ると改めて戦慄します。冒頭は、大杉さんや桃井さんが警察官に腕をつかまれたり、しつこくつきまとわれている状況が、当事者の撮影映像などでしばらく続>>続きを読む

ガザの美容室(2015年製作の映画)

4.4

今こそ見たい、多くの人に見てほしい映画です。2015年の映画ですが、現在のイスラエルによる攻撃下のガザを想像させてくれます。ほぼ女性たちの会話だけで成り立っている映画です。会話の中に身近なことから政治>>続きを読む

キングダム 運命の炎(2023年製作の映画)

3.5

大沢たかおの王騎と、清野菜名のアクションが見たくて公開最終日に映画館へ。王騎を堪能したし(ほとんど快感のレベル)、清野菜名のアクションはもっとよく見たかった。

でも、相変わらず突っ込みどころが満載。
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燃えあがる女性記者たち(2021年製作の映画)

4.3

すごい映画だ。インドの下層カーストのダリトの女性たちが新聞「カバル・ラハリヤ」を創刊したのは、プログラムによると2002年のこと。撮影隊が入った時はちょうど、紙から動画に完全に移行するプロジェクトが始>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

4.2

冒頭から笑いが込み上げてきて、最後まで大爆笑。一人で見たけれど、いつもジェンダーについておしゃべりしている友人たちと一緒に見たら、むちゃくちゃ盛り上がること間違いなし。ストーリーは単純には進まず、意味>>続きを読む

wakka(2023年製作の映画)

3.7

男が長い水道管を担いで北海道の荒野を歩き、水道管を建てる。途中でアイヌ民族の祈る男、赤い服の女と会う。水道管から水は出るのか。

それだけの話。風景も何か特徴があるわけではない。なのに、一つ一つのシー
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福田村事件(2023年製作の映画)

4.0

日本に住む私たちが知るべき事件を、上手にドラマ化したと思います。日本では、日本人が加害者になった事件を劇映画で描き出すことが非常に少なかったので、加害と正面から向き合い、全国公開にこぎつけた姿勢と努力>>続きを読む

ウーマン・トーキング 私たちの選択(2022年製作の映画)

4.2

この共同体の女性たちは字が読めない。女性には教育を受けさせていないのだ。共同体のすべては男性が決める。女性は何かの意見を求められた経験すらもたない。そういう女性たちが、今後どうするかを議論する。そこに>>続きを読む

シモーヌ フランスに最も愛された政治家(2022年製作の映画)

4.2

フランスの政治家、シモーヌ・ヴェイユの生涯。名前を知っている程度だったので、これほど激しく困難な人生を送ってきたのかと驚いた。刑務所内の待遇改善に奔走し、エイズ患者の話を直接聞くことにこだわり、誹謗中>>続きを読む

カンフースタントマン 龍虎武師(2021年製作の映画)

3.9

いろいろ懐かしかった。有名なアクションシーンでも、こんなにスタントが使われているとは知らなかった。サモハンはやっぱりすごい。

現在、中国本土では武術学校がたくさんあってスタントマンの供給源となってい
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.1

ミシェル・ヨーのファンなので見ました。すっごく変な映画。圧倒的な迫力で感覚をごちゃまぜにされるのは間違いないです。露悪的なギャグも満載だけれど、あまり嫌な感じがしない。めちゃくちゃ変てこりんなシーンが>>続きを読む

KIMI サイバー・トラップ(2022年製作の映画)

4.1

面白かった。ゾーイ・クラヴィッツ、かっこいい。主人公の造形と時代背景がまさに現代そのもので、神経質な動きを続ける彼女が最後で爆発するアクションシーンがすごかった。

ウーマン・キング 無敵の女戦士たち(2022年製作の映画)

4.4

奴隷貿易時代に西アフリカに実在した、女性戦士の部隊の物語。主演のヴィオラ・ディビスの威厳がすばらしい。私の大好きなミシェル・ヨーを思わせる。女性たちの尊厳をかけた戦いの物語であるとともに、家族の情愛の>>続きを読む

SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

4.5

性暴力を加害者個人の問題に還元せず、社会や組織の構造の問題として描く。ワインシュタインがほんのわずかしか登場せず、顔も映さないのがその象徴だ。被害を受けた女性たちが長い年月沈黙を強いられたのはなぜか、>>続きを読む

るろうに剣心 最終章 The Beginning(2021年製作の映画)

3.7

このシリーズはアクションが好きです。日本の殺陣の約束事を打ち破り、しかも物語の中にしっかり入り込んだアクションを俳優陣がキレのいい動きで見せる。本作もアクションを堪能しました。

しかし、抜刀斎と巴の
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戦争と女の顔(2019年製作の映画)

4.2

主役の女性2人は独ソ戦の戦友だけれど、戦闘シーンは出てこない。観客は想像するしかない。のっぽのイーヤのおどおどした振る舞いと、戦友のマーシャのいたずらっぽくも見える笑みを浮かべた自信に満ちた振る舞いは>>続きを読む

キングダム2 遥かなる大地へ(2022年製作の映画)

4.0

清野菜名の切れのいい動きと大沢たかおの王騎将軍♡に4点。豪華な俳優陣も見ごたえあります。

原作を読んでないのですが、違和感があったのは、戦闘が始まる時に将軍など指揮官が先頭を走ること。そんなことあり
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歩いて見た世界 ブルース・チャトウィンの足跡(2019年製作の映画)

4.0

閉館直前の岩波ホールで見ました。若い時、ヘルツォークの「アギーレ・神の怒り」や「フィッツジェラルド」に衝撃を受けました。ドキュメンタリーですが、彼自身の作品のシーンも入り混じる、不思議なつくりです。チ>>続きを読む

グロリアス 世界を動かした女たち(2019年製作の映画)

4.3

グロリア・スタイネムの伝記映画。はっと気がついたら公開が終わりそうになっていて、しかも都心の映画館では上映していなくて、慌てて見に行ったらすごく良かったのでパンフレットを買おうと思ったが作られてない涙>>続きを読む

教育と愛国(2022年製作の映画)

3.8

最も印象に残るのはやはり、伊藤隆東大名誉教授の「歴史から学ぶ必要はない」との断言だろう。後藤田正晴らのオーラルヒストリーの取り組みで知られる人だというが、「学ぶ必要はない」ならなぜ、実証研究をするのだ>>続きを読む

メイド・イン・バングラデシュ(2019年製作の映画)

4.2

私たちが来ているTシャツを縫うバングラデシュの女性たち。1日に1650枚を仕上げる(!)のに、彼女の月給は彼女が縫ったTシャツ2、3枚分にすぎない。工場で火事が起きたのをきっかけに人権団体とつながった>>続きを読む

金の糸(2019年製作の映画)

4.0

ソ連崩壊後は政治家として活躍したというラナ・ゴゴベリゼ監督、91歳の作品。主人公は足を悪くして外出できない79歳の作家で、彼女の元恋人(彼も車いす)、彼女の娘の夫の母親の、3人の老人を軸に物語が展開す>>続きを読む

ある職場/些細なこだわり(2020年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

ホテル職場でおきたセクハラ事件の被害者を元気づけようと、同僚たちが小旅行をする。しかし、被害者の個人情報をネット上でさらし、誹謗中傷している人物が同僚の中にいるらしいとわかり、互いに疑心暗鬼になる。>>続きを読む

われ弱ければ 矢嶋楫子伝(2022年製作の映画)

3.2

矢嶋楫子に関心があり、見る必要があって見ました。手練れの俳優陣をそろえ、劇的な要素に事欠かない素材だけれど、心に響かなかった。女性への差別の描き方が型にはまっていて、「差別を努力して乗り越え、他の女性>>続きを読む

Wの悲劇(1984年製作の映画)

4.0

薬師丸ひろ子と三田佳子の演技に圧倒された。特に薬師丸ひろ子の記者会見のシーンはすごかった。ストーリーの入れ子構造も練り上げられている(劇中劇の方は突っ込みどころがありそうだけど)。

この映画では、「
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金子文子と朴烈/朴烈(パクヨル) 植民地からのアナキスト(2017年製作の映画)

4.3

gyaoの無料配信でようやく見ました。彼らの烈しさは時代が生んだものなのかもしれないけれど、この映画が多くの人を惹きつけるのは、21世紀の今にも通じる問題が深く刻まれているからだと思う。何より、天皇制>>続きを読む

アイヌプリ埋葬・二〇一九・トエペツコタン(2021年製作の映画)

4.0

亡くなった女性をアイヌ民族の伝統にもとづいて土葬する様子を記録している。一つ一つがとても興味深い。舞台挨拶では、著作権を映画会社ではなくアイヌ民族自身が持つことの重要性を強調していました。

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

4.2

圧倒的な世界観。皇帝とか公爵とか古めかしいのはお約束なのでしかたがない。せっかく重量感がある音と空間なのに、公開の最後の方だったので小さなスクリーンだったのが残念だった。巨大なスクリーンに覆いつくされ>>続きを読む

由宇子の天秤(2020年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

「真実とは何か」という根本的な問いを突き付ける映画。取材する者もまた取材することで決して中立でも客観的でもなくなるということを、取材者である主人公自身の身の上に起きることと重ねて描いていく。後味のすっ>>続きを読む

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