HidekiIshimotoさんの映画レビュー・感想・評価 - 27ページ目

テルマ&ルイーズ(1991年製作の映画)

3.5

いつのまにか90年代のアメリカンニューシネマと言われてる本作。ニューシネマって"物質的豊かさの下に隠れた精神的苦悩の暴発"って感じだから確かにそうかなと思って観直したら、いわゆるマチズモってやつの下で>>続きを読む

父ありき(1942年製作の映画)

3.5

小津が戦時下で撮った唯一の作品だそうで、けどそういう影はほとんど見えない。まだ戦局そんな悪くなかったのか?と思ったら戦後になって軍国的な部分ぜんぶ切ったそうな。年代記ってほどじゃないけど小津作品にして>>続きを読む

(1948年製作の映画)

4.0

幸薄いを絵に描いたような女と小悪党を絵に描いたような男の面白すぎる生態学映画。情に流されやすいを絵に描いたような女に性根の腐ったを絵に描いたような男がまとわりつく。追いつ縋りつを阿保みたいに繰り返す女>>続きを読む

裏窓(1954年製作の映画)

5.0

冒頭のワンカットで主人公が何者か、何故ギブスに車椅子で動けないか、何故みんな窓開けっ放しかを理解させ、カメラが主人公の部屋から出るのは最後の数カットのみ、という観るほどに面白い完全セット撮影の壮大な箱>>続きを読む

突撃(1957年製作の映画)

4.0

冒頭で「愛国心は悪党の最後の口実」と叩きつける日本会議のクズども観とけ映画。続く見せ場の大突撃は『プライベート・ライアン』のあのシーンの元ネタか?と思いきや室内軍法会議シーンがメインの映画だった。そし>>続きを読む

歓呼の町(1944年製作の映画)

3.5

戦意高揚目的で撮らされた『陸軍』を驚異のうっちゃりで反戦映画に仕立て上げて陸軍省に目を付けられた木下恵介。がその同年に疎開をテーマに撮った次作ってことで興味もって観た。さすがに同じアクロバットは難しか>>続きを読む

淑女は何を忘れたか(1937年製作の映画)

3.5

こんちわ。
OZらしく品のいいコメディだったです。そして妙に静か。芸者さん達もぜんぜん喋らんし。意図的なのか?OZなのだし、全て緻密に意図的なんやろなぁ。世界一静かなコメディとか呼んでみたい。けど見飽
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白い恐怖(1945年製作の映画)

3.5

美神イングリッド・バーグマンとローマのペックを主演に王道ヒッチコックの幕開けだぜ。なんつっってもバーグマン。あの上品な立ち姿、頬骨の影、鼻のライン、唇、微笑み、そして閉じた眼、おおこれぞ眼福。しかも演>>続きを読む

ダイアモンドは傷つかない(1982年製作の映画)

3.5

良作バブル映画の一つか。確かこの頃から個性的な自立女主人公が増えてきたか。その代表はもちろん桃井かおりに決まってるけどこの田中美沙子も相当かわいい。この手の女子を「トンでる」と表現してドラッグなしでも>>続きを読む

フランケンシュタインの花嫁(1935年製作の映画)

3.5

検索して頭に出るのハビエル・バルデム版なのにトムのミイラがコケたせいでまだ未公開。古典のこっちは観てたような観てなかったようなで『フランケンシュタインの憂鬱』なら3回くらい観たなと。ぽんぽんバタバタと>>続きを読む

戸田家の兄妹(1941年製作の映画)

4.0

俺のコロナ対策としてU-NEXT31日間無料体験をポチってみた。月額高いだけあって何度も観たい古典名画、取りこぼしてる古典名作が盛り沢山だよヨダレだよ。で手始めにこれだ。廊下に鎧兜が置いてあるような財>>続きを読む

100 Years(原題)(年製作の映画)

5.0

観ました。…ウソです。現在生きてる人間ほぼ誰も観れない映画をわざわざつくる酔狂なロドリゲスに5点満点。

テル・ミー・ライズ(1968年製作の映画)

4.5

ここに恵まれた快適な生活と日常がある。かたや遠いどこかに地獄のような場所がある。それも人為的な地獄。ある特定の権力機構の都合で生まれた地獄。どの時代にも必ずどこかにある地獄。何かの機会にその地獄側の事>>続きを読む

LIFE!(2013年製作の映画)

4.0

一回目観た時、あれ?感動しちゃった俺?と思ったけどアホ映画の金字塔『ズーランダー』のベンスティーラー監督主演だからそんなはずねえスペースオディティとショーンペンが良かったからだうんそうだと抵抗したけど>>続きを読む

スカーフェイス(1983年製作の映画)

4.0

何もかもが『ゴッドファーザー』の対極極道映画。かたやクラシカルなNY、こっちはペカペカのマイアミ。かたや家族愛マフィア、こっちは家庭愛破壊ギャング。かたや荘厳なニーノロータ、こっちはペラペラ80'sの>>続きを読む

ヒューマン・フロー 大地漂流(2017年製作の映画)

4.0

いくつもの紛争地から逃げ出して行き場のない難民達をアイ・ウェイウェイがつぶさに観ていく、世界視野でみれば現代は戦時なんだと思わざるを得ないようなドキュメンタリーだった。まあ世界視野では有史以来ずっと戦>>続きを読む

ラッカは静かに虐殺されている(2017年製作の映画)

4.0

タイトル自体が市民ジャーナリスト集団の名前だった。元数学教師や元お気楽大学生のメンバー達は確かにジャーナリストっぽくない。ニュートラルな表情でプカプカ煙草すってパソコンとスマホばっかりみてる。けど観て>>続きを読む

暁に祈れ(2017年製作の映画)

4.0

実話と知って驚いた。で今とにかく知りたいのは主人公ビリー以外のタイ人囚人は何?役者なの?何なの?刺青本物なの?に尽きる。あの人数の誰も彼もが鯉かよってぐらいビッシリ刺青。密度濃すぎ。ずらっと並んでる様>>続きを読む

モンスター 変身する美女(2014年製作の映画)

4.0

へんちくりん映画は『ロブスター』とか色々あるけど、この映画は『ビフォア・サンライズ』×『フロム・ダスク・ティル・ドーン』みたいなヘンさで、同監督の『アルカディア』もまあへんちくりんだった。問題のある美>>続きを読む

ナイトクローラー(2014年製作の映画)

4.5

自分に都合よけりゃ何でもあり他人様は俺様の飯のタネ、を国のリーダーが体現する資本主義社会末期なのだから、格差の下っ端にこの主人公みたいなのは増えて然るべしか。それを人相まで変えてギンギンに体現してみせ>>続きを読む

コンドル(1939年製作の映画)

4.0

『紅の豚』イズムの元ネタか?とことん飛行機乗りたちの男イズム。ロマンティックキスの帝王ケイリーグラントのアゴイズム。酒と煙とマッチのハワード・ホークスイズム。美女など後回しだ。男だったら煙草を吸いまく>>続きを読む

義兄弟 SECRET REUNION(2010年製作の映画)

3.5

完全に世界的名優になったガンホ兄貴につられて観たら『タクシー運転手』監督の前々作だった。イケメンは『1987、ある闘いの真実』の兄ちゃんだった。韓国の北朝鮮関係映画は多々あるけど、これ観て改めて大変な>>続きを読む

アイ・ウェイウェイは謝らない(2012年製作の映画)

4.0

常に穏やかなクマさんみたいな現代芸術家アイ・ウェイウェイ。インタビュアーに子供は?と聞かれて、妻じゃなくて友だちとの間に出来ちゃった子だけど、と穏やかに答えるアイ・ウェイウェイ。そんな彼が穏やかな声を>>続きを読む

インターステラー(2014年製作の映画)

4.0

何度観ても板ロボット角こわいから近寄んなと思う。ノーランさんBB8が嫌いなのかと思う。何度観てもヘルメットちっちぇーよと思う。けど観る度に面白くなる。マコノヒーも熱演。けど何度観ても『2001年…』に>>続きを読む

シティ・オブ・ゴッド(2002年製作の映画)

4.5

『二人のローマ教皇』も良かったフェルナンド・メイレレスの初期作は有名なコドモがコドモ撃ち殺すシーンばかりが印象に残ってたけど、改めて観るとチキン逃走の使い方から何からめちゃくちゃよく出来てて、この大殺>>続きを読む

ジャッキー ファーストレディ 最後の使命(2016年製作の映画)

3.5

『レオン』のかわいい子役で登場し『クローサー』や『スターウォーズep3』あたりでたまらんええ女になり『Vフォー・ヴェンデッタ』や『ブーリン家の姉妹』あたりで頑張ってる美女優になり『ブラックスワン』で凄>>続きを読む

ミッドサマー(2019年製作の映画)

4.0

冒頭シークエンスではや沸き上がるストリングスと慟哭から一分の隙もないアリ・アスター恐るべし。けど恐くない。本人が言うようにこれはホラーじゃないんだろう。ビビりの俺がギン眼で観れるんだから確かにホラーじ>>続きを読む

白いリボン(2009年製作の映画)

5.0

アリス・ミラーという思想家の「ヒトラーとその支持者はなぜ生まれたのか?」研究の話を『シークレット・オブ・モンスター』レビューに書いたけど、久々でこのハネケ作品観てみたらまんまその研究結果をテーマにして>>続きを読む

ファイト・クラブ(1999年製作の映画)

5.0

ようやっとオスカーゲットしたブラピだけど「ほんとはファイトクラブで獲っててよかった」と町山氏が言ってんの聞いてウンウンと思った。けど俺的には助演男優賞というより最優秀マッスル男優賞。『ワンス・ア〜』で>>続きを読む

ホーリー・モーターズ(2012年製作の映画)

4.5

もう一昔になっちゃったけど、カラックスのデビューはほんとに鮮烈だった。鮮烈の半分はカラックスの分身ドニ・ラヴァンにあった。本作も早8年前になっちゃったけどドニ・ラヴァンの鮮烈さはまったく衰えていない。>>続きを読む

魂のゆくえ(2017年製作の映画)

4.0

この神父は信仰については何も悩んでないからベルイマンではないと思う。終末感の中で浮遊の引用はあるけどタルコフスキーでもないと思う。これは『生きものの記録』や『ザ・イースト』と同じ非常にストレートな、祈>>続きを読む

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

4.0

とりあえず祝ブラピ映画なわけだけど、観終わっての実感は不思議な祝シャロンテート映画だった。ポランスキーはこれ観て何を思うんだろう?史実の再現を使命の一つとしてきた映画はタランティーノにおいて史実の改善>>続きを読む

シンドラーのリスト(1993年製作の映画)

4.0

歴史的悲劇をエンタメ化したとかって批判もあったらしく、ああそれそれと俺も思ったしちょっとアンチだったけど久しぶりに観てみればなんだかんだでやっぱ歴史的名作。そう思ったのはホロコースト現場をとことんリア>>続きを読む

日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)

4.5

玉音放送を耳にしたのはほとんどが映画の中でだったしそれだけ多くの映画でこのエポックは取り上げられてるのだけど、そこに至る24時間にどんな事があったかはこの作品で初めて知って仰天したもんだ。リメイク版も>>続きを読む

アイズ ワイド シャット(1999年製作の映画)

5.0

今に思えばトムクルーズがキューブリック映画に出てたってちょっと意外。けどこのトムは完璧にスカした完璧イケメン。けどその完璧トムのスカしたプライドとメンタルをズタズタに引き裂くこのニコールキッドマンはも>>続きを読む

惑星ソラリス(1972年製作の映画)

4.0

『2001年宇宙の旅』がスターウォーズ的活劇SFの対極にある形而上SFの金字塔ならば、この映画は銀字塔、最近作『メッセージ』『アド・アストラ』あたりが銅字塔とか勝手に思ってた。活劇SFと形而上SFの最>>続きを読む