HidekiIshimotoさんの映画レビュー・感想・評価 - 33ページ目

鉄輪(かなわ)(1972年製作の映画)

3.5

乙羽さんの丑の刻参り五寸釘撃ち込みのド迫力。けど能装束のぶっ飛んだデザインの方に釘付け。能面も人面造形の極致。一個欲しい。怖いけど。能舞台上の全てが極致。いにしえの日本文化はかくもハイレベルだった。そ>>続きを読む

PROMISE プロミス(2005年製作の映画)

-

大阪港から中国行きのフェリーが出てると知り乗ってみたことがある。年末だった。上海行き往復に一泊付きで3万ちょっきり。けど片道一泊丸々二日もかかる超スロー旅。友人に自慢したら飛行機だと同じ値段で3時間く>>続きを読む

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)

4.5

新作『サスペリア』に360°ほど首かしげてねじ切れちゃった頭を膝の上に置き、期待度60くらいで鑑賞、したらまあなんという豊かさ。こんなに水も大気も音も光も果実も蝿も人も性も会話も学問も豊かな生活がある>>続きを読む

風が吹くまま(1999年製作の映画)

5.0

日本人としてキアロスタミのイラン映画を観てると、欧米人が小津映画をどんな気分で観て陶酔しているのかが判る気がする。自分らのとはぜんぜん別の生活様式と、そこに生きてる人々の何でもないような会話。そういう>>続きを読む

タクシードライバー(1976年製作の映画)

5.0

もう観るの何度目なのか分からないけど、これ以上映画らしい映画もないなぁとまたも没入。トラビスとアイリスほど映画らしい人物もいないし、スコセッシにもデ・ニーロにもこれこそが最高傑作だと思ってしまう。もち>>続きを読む

しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス(2016年製作の映画)

4.0

まるで『道』のジェルソミーナとザンパノが銀幕転生したかのようなモードとエヴェレット。それだけでももうウルっとくる。いかにもザンパノ風にツンケンしてたのも束の間、どうみてもザンパノアイテムな手押し車に乗>>続きを読む

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版(1991年製作の映画)

5.0

冒頭で「大人たちの不安を背景に子どもたちは徒党を組んだ」とか説明が入る。現在に続く台湾と中国の大人たちのすったもんだがその背景な訳だけど、どの世の子どもたちも自分らのすったもんだの起源が大人にあるとい>>続きを読む

告白小説、その結末(2017年製作の映画)

4.0

老いても魔女な嫁エマニュエル・セニエvs引き継ぐ魔女エヴァ・グリーンの魔女対決に勝敗などもちろん無いわけで、負けるのはただ観てる俺ら男どもだけ。魔女二人vs俺らを仕掛けるのはドヌーブ等歴代魔女たちに仕>>続きを読む

ドリーマーズ(2003年製作の映画)

4.0

ポランスキーの『告白小説、その結末』のエヴァ・グリーンのまるで衰えない美にクラクラ、のついでにこのデビュー作を再観してみて確信、おまわりさんこの人魔女です!裸体が犯罪です!老巨匠ベルトルッチを回春させ>>続きを読む

アントマン&ワスプ(2018年製作の映画)

4.0

前作で一番アガったのは量子世界突入シーンだったので、今作が全編量子ワールドでのアントマン&クマムシだったならば⭐️5つなんだけど、それ2時間観たらやっぱ脳が溶けるのか。ともかく⭐️3つはついにハリウッ>>続きを読む

カメラを止めるな!(2017年製作の映画)

3.0

えらい評判だけどまあDVDでいいっしょとツタヤで借りて観始めて予告編集のどれもこれものあまりのくだらなさと低脳笑いにちょっとおまえら30年くらいカメラを止めろや❗️叫びたくなる不幸な導入だったのだけど>>続きを読む

麦秋(1951年製作の映画)

4.5

原節子という人は日本の昭和の代表のような風貌と何となく思い込んでいたけど、改めて見るととても大陸的な雰囲気を感じさせる不思議な人。西洋的、というかハリウッド的って気もする。ローレン・バコールやバーグマ>>続きを読む

オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分(2013年製作の映画)

3.5

トカゲ貪り喰ってたマッドマックス。全身ほぼ岩だったベイン。暴れ回る岩だったブロンソン。そんな獣人演技がもの凄いトム・ハーディが車内座りっぱなし電話会話のみで魅せる。役者トムの底力。うまいなぁ。もう四面>>続きを読む

夕やけ雲(1956年製作の映画)

5.0

東京タワーが建った翌年制作の昭和映画。冒頭「この大都会の片隅で‥」の文字からはじまり、ああアレのもとはコレかぁともだえる。ああたまらんなぁ。面白いなぁ。けどこれ超弩級長男号泣映画。たぶん。次男の俺でさ>>続きを読む

秋刀魚の味(1962年製作の映画)

5.0

考えたあげく2018年〆映画として『ボヘミアンラプソディー』ではなく『アベンジャーズ ・インフィニティーウォー』をまた観、新年開始映画としてこの小津遺作を選んでみた。正解だった。ほのぼのしみじみの薄皮>>続きを読む

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)

4.5

神がかったというかもはや映画の神イーストウッドなのだから当然なのかもしれんが、やっぱとんでもない映画だったよ。よくもまあこんな再現を当人達にやらせたもんだよ。どうやってこんなメタ演出したのかまさしく神>>続きを読む

ジーサンズ はじめての強盗(2016年製作の映画)

3.5

国家と銀行がグルになって無力なジーサンズから年金と家を容赦なく奪っても野放し。のまるで笑えないアメリカの現状。に対して「年寄りを敬うのは社会の義務」とプロ銀行強盗に言わせるあたり、強烈な皮肉でなんとも>>続きを読む

ファントム・スレッド(2017年製作の映画)

4.5

引退宣言しといて超傑作で復帰、を繰り返してしまういわゆる駿病。これを患えばというか患えることが希少な、どうも死ぬまで治りそうにない難病。どうやらこれを患ってしまったらしいダニエル氏には誠に気の毒なこと>>続きを読む

バトル・オブ・ザ・セクシーズ(2017年製作の映画)

4.0

ポンポンとテニスのような場面展開にウマいなぁと唸り、素晴らしいスティーブ・カレルの「I'm sorry too」に泣き、バトル・オブ・セクシーズはあっちの勝ちだったけどバトル・オブ・役者キャリア快進撃>>続きを読む

ジュラシック・ワールド 炎の王国(2018年製作の映画)

4.0

このあまり評判良くないけど俺は良かったな〜具合とすごく似てて思い出した『エイリアン3』。どうも低評価の原因のような"このジャンルで何故この設定?"ってとこ、どうもそれ自体が俺という種は好きなようでD・>>続きを読む

モリのいる場所(2018年製作の映画)

3.5

良かった。何となくブンミおじさんのモリ、のいる場所。って感じで、だったらほのぼのコメディ路線じゃなくてアピチャッポン路線でもいける気がするしこの主役二人ほどそのミクロコスモスドラマに相応しい役者はいな>>続きを読む

タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜(2017年製作の映画)

4.0

韓流やKポップに浮かれる少し前の韓国がこういう軍事政権ゴタゴタの殺戮やってたなんて普通の日本人はあまり知らない。と思うし俺もほとんど知らなかった。けど動乱勃発時には韓国内でもこのタクシー運転手みたいな>>続きを読む

アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダル(2017年製作の映画)

4.0

美の頂点に立ったハリウッド美女優が演技の実力でその美を破壊するのはひとつのトレンドになってるようで、『モンスター』の娼婦役も『エディト・ピアフ』もこのトーニャ役もわざわざシャーリーズ様やマリオン様やマ>>続きを読む

グッバイ・ゴダール!(2017年製作の映画)

4.0

ゴダールこそが映画芸術であるそのゴダールをゴダール映画世界の中に放り込み政治映画制作にジガジガとトンガリ続けていくゴダールを映画芸術じゃないポップな痴話映画に仕立てたって感じで、ゴダール役やってんのが>>続きを読む

第七の封印(1956年製作の映画)

5.0

ベルイマン映画観る時だけは神っつーものを信じるっつーかいるのですかと葛藤してみたりする。悪魔ならいると思うし下っぱなら日々のニュースや国会中継でよく見かけるし、本作の美しさも神々しいというより悪魔的な>>続きを読む

野火(2014年製作の映画)

4.0

メジャーデビュー前の自主製作で「背中から電柱が生えている少年が鋼鉄の吸血鬼が支配する近未来の世界へタイムスリップし吸血グループが制作している超大型暗黒兵器の完成を止めようとする」なんて壮大な話を廃材集>>続きを読む

MILES AHEAD マイルス・デイヴィス 空白の5年間(2015年製作の映画)

4.0

ちーどるがマイルス?顔長すぎないか?とか思ってたけどちゃんとマイルスだった。あの声もプレイもしっかりマイルスだった。画質もアルバムジャケット画質まんまだった。ジャズ映画というよりドラッグ&ギャング映画>>続きを読む

ハンター(2011年製作の映画)

4.5

『ホモ・デウス』のベストセラーにより、すでに地球上の大型動物の9割が人間と家畜ばかりで、その家畜達はただ人類に喰われるまでのすし詰アウシュビッツ状態、という認識が広まればキャップの説くヒューマニズム、>>続きを読む

TOKYO FIST 東京フィスト(1995年製作の映画)

4.0

塚本晋也は頭がおかしい。何かに取り憑かれていく人間を取り憑かれたように撮り続ける塚本晋也は制作から何からがもう徹底的に独特。その独特さはもう毒と苦ってぐらい独特。いやもう怒苦闘喰ってぐらい独特。時に土>>続きを読む

テトロ 過去を殺した男(2009年製作の映画)

5.0

若いハンソロどっかで観たと思ってたらあ!これだった!と思い出したコッポラの傑作。アメリカのコッポラが撮ってるけどもはやアメリカ臭微塵もなし。前作『胡蝶の夢』もビンビンに無国籍な感じの傑作だったし、この>>続きを読む

モンスタートラック(2016年製作の映画)

3.5

まるでクリチャー版『アイアンジャイアント』やんけ!と高まって観てたらずんずん『シェイプ・オブ・ウォーター』になっていった。設定からキャラからものすごく似てた。けどつくられたのはこっちが先。後だったらパ>>続きを読む

インセプション(2010年製作の映画)

4.0

現実が夢なのか?夢が現実なのか?の胡蝶の夢的なことつらづらおもってたらまた観たくなって観てみたらなんだこれってくらい豪華キャストで得した気分。今更だけど。当時只のオッさん認識だったオッさんはトム・ハー>>続きを読む

30年後の同窓会(2017年製作の映画)

4.0

会話映画の東の横綱タランティーノ、が猥雑よもやま話突っ張り押し相撲ならば、西の横綱リンクレイターは上手も下手も自在な哲学会話相撲。今回は特にブライアン・クランストンが喋りまくりで権力のウソに斬り込んで>>続きを読む

ドアーズ(1991年製作の映画)

4.0

このドアーズ伝記映画、映画としてむちゃくちゃに良い訳でもないけど、大好きだし何回か観たしまた観たいと思わせてくれるのは何でか?思うにこの映画の魅力は陰影にあるのかな?時代の陰影、ジム自身の陰影、監督自>>続きを読む

ミミック(1997年製作の映画)

4.0

ギレルモ・デルトロの米デビュー作品ふとまた観たら今や宇宙最強ジョシュ・ブローリンがぴちぴちで出てたぞ。脚本よく見りゃスティーブン・ソダーバーグとジョン・セイルズまで入ってた。ミラ・ソルヴィノはやっぱ可>>続きを読む

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

3.5

伝説のバンドQueen。はその昔KISS,Aerosmithと共に新御三家とか呼ばれるちょっとアイドルな立ち位置のバンドだった。と思う。伝説化したのはやっぱりフレディが死んで以降、時代のふるいを超えて>>続きを読む