ヒノモトさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

TAR/ター(2022年製作の映画)

4.0

『イン・ザ・ベッドルーム』のトッド・フィールド脚本監督によるかなり久しぶりの最新作。

ドイツの有名オーケストラで、女性としてはじめて首席指揮者に任命されたリディア・ターが、マーラーの交響曲第5番の
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アメリカン・ストーリーズ/食事・家族・哲学(1988年製作の映画)

3.7

東京日仏学院にて開催中の「シャンタル・アケルマンをめぐって」より、1989年の作品。

かなり実験的な構成で、ユダヤ系のニューヨーカーたちが、アメリカへ移住した時の苦労や経験をカメラ目線で語る独白と
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ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

3.3

任天堂のゲームキャラクター、マリオとルイージ兄弟を主人公とした3DCGアニメーション作品。
3Dの吹き替え版で鑑賞しました。

マリオの生みの親任天堂の宮本茂さんが関わっているだけあって、キャラクタ
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高速道路家族(2022年製作の映画)

2.5

高速道路のサービスエリアを転々としながら、訪問者からお金を借りつつ暮らす家族を描く作品。

想定よりも面白くなかったです。
面白くない理由は明白で、この家族の話というより、家族を助けようとする中古家
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故郷の便り/家からの手紙(1977年製作の映画)

3.5

「街をぶっ飛ばせ」と併映のため、連続投稿失礼します。

母国ベルギーから、ニューヨークへ渡った期間に、母親との手紙のやりとりをアケルマン自身のナレーションと、帰国後再訪したニューヨークの光景とともに綴
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街をぶっ飛ばせ(1968年製作の映画)

3.7

「シャンタル・アケルマン映画祭2023」より、併映された2作品について、短めに。

「街をぶっ飛ばせ」

アケルマンが18歳で初めて制作した短編作品。
ゴダールの影響を感じさせる箇所が多く、映像制作
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せかいのおきく(2023年製作の映画)

3.9

『半世界』『冬薔薇』などの阪本順治監督の最新作。
ほぼ全編モノクロ、スタンダードサイズ。
デジタルカメラによりカラーで撮影でされた素材をモノクロ変換したようです。
江戸末期の長屋を舞台とした、武家育ち
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EO イーオー(2022年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

「エッセンシャル・キリング」「アンナと過ごした4日間」などのイエジー・スコリモフスキ監督最新作。
サーカス団で活動していたロバのEOは、動物愛護団体の横やりにより表舞台から退き、その後の流転していく運
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HIDARI(2023年製作の映画)

-

伝説の彫刻職人「左甚五郎」を主人公とした、木彫人形によるストップモーション・アクション時代劇のパイロット版の上映イベントに行ってきました。

木や木目を生かしたキャラクター造形とそこから派生するギミ
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グレート・グリーン・ウォール ~アフリカの未来をつなぐ緑の長城~(2019年製作の映画)

3.2

世界平均の1.5倍の速さで気温上昇しているアフリカのサヘル地域は、気候変動を食い止めるために、2007年よりアフリカの国々主導により大陸を8,000kmにわたって横断する人類史上最大規模の植林プロジェ>>続きを読む

マリウポリ 7日間の記録(2022年製作の映画)

-

ウクライナ東部ドンバス地方のマリウポリにて撮影されたドキュメンタリー作品。

監督が亡くなられて、諸事情はあるかと思いますが、映画としては映像素材を一応繋いだだけに見えてしまい、何度か途中退出しよう
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私、オルガ・ヘプナロヴァー(2016年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

22歳のチェコスロバキアの女性が行った大量殺人の道程を冷徹な視点で描く作品。

ネタバレを含む感想となります。

オルガ・ヘプナロヴァーという人物が1970年代の当時に置かれていた精神的な病や性的
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ゴールデン・エイティーズ(1986年製作の映画)

3.7

引き続きシャンタル・アケルマン映画祭2023より、1986年のミュージックコメディ作品。

他のアケルマン作品と較べて、明るい色彩溢れた、コンパクトではありますが古き良き時代のMGMスタジオのような
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一晩中(1982年製作の映画)

3.5

シャンタル・アケルマン映画祭2023より、1982年制作の作品を初鑑賞しました。

ブリュッセルのある夏の夜、一晩の出来事、特に恋をする人たちの出会いや別れ、その束の間の時間を散文的に切り取った作品
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J005311(2022年製作の映画)

3.7

2022PFFグランプリ作品が、劇場公開が始まったので観てきました。

タクシーが捕まらず座り込んでいた男が、引ったくりをして逃げている男を見つけ、100万円を渡す代わりにある場所へ送ってほしいと依
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さくらももこワールド ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌(1992年製作の映画)

4.0

1992年公開のアニメちびまる子ちゃんの劇場用映画第2弾。
多くの有名楽曲が使用されているため、版権の問題か長い間DVDなど円盤化されていなかった作品ですが、4月からNetflixにて配信が開始された
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聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

『マザーズ』『ボーダー 二つの世界』のアリ・アッバシ監督の最新作。

実際に起きた連続殺人事件を元に、その犯人の深層心理というよりも、イラン国内における脈々と息づいてきた社会構造の歪みそのものが、犯
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search/#サーチ2(2023年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

PCの画面上で物語を展開させたサスペンス「search サーチ」シリーズの新たな作品。
前作の続編はないので、あえて復習する必要はないですが、頭の片隅に記憶しておくと、この前作自体が、ミスリードの種に
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孤独なふりした世界で(2018年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

リード・モラーノ監督による終末期的SF作品。
アマプラなどでも配信されているようですが、JAIHOで観ました。

旧作なので、ネタバレしつつ短めに。

何らかの理由で町の人たちが死滅した世界で、空
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ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)

3.8

「シックス・センス」「オールド」のM・ナイト・シャマラン監督最新作。
ポール・トレンブレイの小説「終末の訪問者」を原作に、世界の終末期的な危機と家族の命を天秤にかける選択に迫られるお話。

※注意
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.3

「ブラック・スワン」「レスラー」などのダーレン・アロノフスキー監督最新作。
舞台劇として上演された作品の映画化で、恋人を亡くしたショックから、過食を繰り返したチャーリーが、歩行器がないと自重を支えられ
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世界の終わりから(2023年製作の映画)

3.8

『CASSHERN』『GOEMON』などの紀里谷和明監督の最新作にして最終作品。

事故で両親を亡くした高校生のハナが見た奇妙な夢をきっかけに、政府の特別機関からある任務を任されることになるお話。
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テトリス(2023年製作の映画)

3.5

AppleTV+にて配信が始まった、当時のソ連で開発された落ちものパズルゲームのパイオニア「テトリス」の販売権利を巡る攻防を描く作品を観ました。

実際にあった権利問題を題材に、米ソ冷戦時代から、ソ
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同級生マイナス(2020年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

「大仏+」のホアン・シンヤオ監督のNetflix配信中の台湾映画。

同級生だった中年男性4人の夢の続きのようなお話。
今作も不思議な味わいの映画でした。

ただ、全体的な印象としては、絶対的な貧
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エスター(2009年製作の映画)

4.1

「エスター ファースト・キル」の予習として、原点となる今作を改めて観直しました。

サイコスリラーとしては、今作の方が圧倒的に面白いのは間違えないですね。
子供の年齢の俳優が、大人の女性を演じること
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エスター ファースト・キル(2022年製作の映画)

2.9

養子として引き取られた少女が巻き起こす恐怖を描いた2009年の「エスター」の前日譚を描く作品。

当時エスターを演じたイザベル・ファーマンが25歳で、再び同役を引き受けたこととその容姿の変化を感じさ
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トリとロキタ(2022年製作の映画)

3.4

『ロゼッタ』『ある子供』のダルデンヌ兄弟による最新作。

過去作同様に、劇伴や過度な演出が全くなく、移民として理不尽な理屈でグレーな仕事しかできない子供だちの物語。

無説明すぎて、もう少し設定や
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マッシブ・タレント(2022年製作の映画)

3.4

ニコラス・ケイジ自身が、低迷していた時期になぞらえたような設定から、ある事件に巻き込まれていくアクションコメディ。

セルフプロデュース作品らしく、ニコラス・ケイジ自身が出演した作品の引用などもあっ
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ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー(2023年製作の映画)

4.3

殺し屋女子高生を描いた「ベイビーわるきゅーれ」の続編、阪元裕吾監督の最新作。

前作で不満に感じていたことが、すべて解消されている事と、アクションコメディとして緩急があり、脇役のキャラ立てがしっかり
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フレンチアルプスで起きたこと(2014年製作の映画)

3.6

「逆転のトライアングル」「ザ・スクエア 思いやりの聖域」「プレイ」と観てきたリューベン・オストルンド監督の2014年の作品。
 
記憶では映画館では観てなくて、WOWOWで一度観たぐらいだと思いますが
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大仏⁺(2017年製作の映画)

4.1

JAIHO配信中作品から、『同級生マイナス』のホアン・シンヤオ監督の長編劇映画デビュー作。
 
大仏を制作中の仏像工房に夜間警備員として勤めるツァイプーと友人の廃品回収業者ドゥーツァイが、暇つぶしに社
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零落(2023年製作の映画)

-

「無能の人」などの竹中直人監督の最新作。
原作未見です。
 
8年間の連載が終了した漫画家の鬱屈した気持ちや空虚感、中年期における停滞感を描く作品。
 
冒頭を試し読みした感じでは、原作の再現度は高い
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郊外の鳥たち(2018年製作の映画)

2.7

地盤沈下が進んだ地方都市に測量にやってきた青年が、廃校となった小学校で見つけた日記から、かつての子供たちの日常を想起していくお話。
 
今作が面白い面白くない以前に、大人たちのパートと子供たちのパート
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シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

庵野秀明監督脚本による最新作。
あらすじは書きませんが、若干内容のネタバレすることをお許しください。
 
感想を一言で言うと、浜辺美波さん演じる緑川ルリ子と本郷猛のロードムービーでした。
当時のTVシ
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オマージュ(2021年製作の映画)

3.3

ヒット作に恵まれない女性映画監督が、古い映画の修復の仕事を頼まれ、検閲により失われたフィルムを探す顛末のお話。

興味深いあらすじだったのですが、思ったほどではなかった印象でした。
女性の映画関係者
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バニシング・ポイント 4Kデジタルリマスター版(1971年製作の映画)

4.0

4Kデジタルリマスター版観てきました。
映画館で観るのは初めてでした。
過去作なので、ごく短めに。

忘れていた場面もありましたが、アメリカンニューシネマとしての映像の無軌道さに溢れていて、カーアク
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