HeroMさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

HeroM

HeroM

映画(595)
ドラマ(0)
アニメ(0)

オーロラの彼方へ(2000年製作の映画)

4.3

90年代ハリウッド映画臭(正確には2000年作)ムンムンのタイムリープ物。
個人的には「ザ・ロック」と同じベクトルで好き。

完璧な伏線回収とカタルシスは他のタイムリープ物とは比べ物にならないクオリテ
>>続きを読む

殺人の追憶(2003年製作の映画)

3.8

人物描写の厚み、不穏な雰囲気、負のエネルギーが流石。時代背景を忍ばせる小技も効いている。

善悪、愛憎、理性と狂気が複雑に絡み合い解けなくなる。
そして最高の後味を残すラスト。
何かの答えを付け足すわ
>>続きを読む

サウルの息子(2015年製作の映画)

3.9

その極限状態で人は何に希望を見出すのか。
ある者は闘うことに、ある者は人間らしく生きることに。
ある事実が、より複雑な心理描写とラストの解釈に関する余白を浮き彫りにする。

カメラワークも面白い。
>>続きを読む

ミッション:8ミニッツ(2011年製作の映画)

4.5

止まる時間の描写が最高。ラストに関しては賛否あるだろうが答えの1つとして断然アリ。

サクサク進むテンポと限られたシチュエーションでコンパクトに纏まった良作。ツカミも良い。
「月に囚われた男」と同様、
>>続きを読む

彼女が消えた浜辺(2009年製作の映画)

4.0

良かれと思ってついた嘘が転がりだし、いつの間にか取り返しのつかない事態へと発展する。
負のエネルギーが増大し不穏な空気に飲まれていく。圧倒的に鮮やかな展開力。物語が表情を変え加速していく。

このモヤ
>>続きを読む

TENET テネット(2020年製作の映画)

4.5

この難解な世界観をあっさりとブチ上げる。その時間軸ずらしはクドくなく上品。
それだけに観客は圧倒的置いてけぼりをくらうのだが。
それでもモチーフや違和感を駆使して多少は分かりやすいか。
メメントほど尖
>>続きを読む

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

3.6

ワンカットによる圧倒的臨場感に大迫力の戦闘シーン。これはこれで唯一無二。

しかし、ワンカットのシームレスな展開は、副作用として「終始上手くいっちゃってる」感が出ている気がした。
あとRPGのゲームを
>>続きを読む

THE GUILTY/ギルティ(2018年製作の映画)

3.9

「ロッテントマト驚異の満足度」、「サンダンス映画祭総なめ」という地雷ワードが揃い踏み。
あと「今年度アカデミー賞正式出品」が揃っていれば死んでも見なかった。笑
最近で1番ジャケのキャッチで見る気を無く
>>続きを読む

パーティで女の子に話しかけるには(2017年製作の映画)

3.7

大人はいつも若者を食い物にする。
青春映画らしく、輝く言葉で彩りを与えつつ。SFをパンクにのせて。

パンクとSFという一見なんの関連もない所からまさかのシンクロをみせる。

表面的にはイロモノ扱いな
>>続きを読む

アンダー・ザ・シルバーレイク(2018年製作の映画)

3.4

何か意味が有りそうで無さそうで。全てが繋がっていそうでバラバラそうで。
なんとも言えないゆるーい意味の連環が味わい深い。
映画でしか成立しない絶妙な世界観にグニャっとした読了感。

TIME/タイム(2011年製作の映画)

3.8

さすがアンドリューニコル。設定と世界観は超一級品。
思わず走り出す主人公など視聴者の心理にグイグイくる作り込みは素晴らしい。

これが一流のサスペンスと融合したところを見てみたい。
本作はさすがにお粗
>>続きを読む

CLIMAX クライマックス(2018年製作の映画)

3.9

「鮮烈に、堕ちる。」
大変良く出来たキャッチだと思う。
鮮烈なダンスシーンと堕ちていくトリップシーン。

それぞれのバッドトリップをシームレスに長回しで撮る。
この狂乱を追体験するには十分過ぎる視覚効
>>続きを読む

存在のない子供たち(2018年製作の映画)

3.8

当事者にしか醸せない、自分を演じるからこそ伝わるヒリヒリとした現実味。

どこにも正義なんて無い。次々と押し寄せる社会問題を力強く生き抜く子供の視線で描く。
自分は出口の無い暗闇に立ちすくむちっぽけな
>>続きを読む

LORO 欲望のイタリア(2018年製作の映画)

3.7

政治とカネ、権力、酒、ドラッグ、セックス…好き放題ハチャメチャやってるイタリアの首相。ってくらいの前情報で鑑賞。

なんでこんなのが長期政権に就けたのか前から気になっていた。
やはり才能とカリスマ性な
>>続きを読む

ドクター・スリープ(2019年製作の映画)

3.3

凡百の能力バトルもの。
アメコミみたいで萎える。

キングのシャイニングでは無く、キューブリックのシャイニングが好きなんだと再認識できた。

スティーブン・キングに気を遣いつつ、恐る恐る商業的に続編を
>>続きを読む

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.2

第二次世界大戦とコメディ。前後半の対比、緩急、シリアスとのバランスがとにかく秀逸。

少年はその過酷な青春時代において周りから色々なことを学ぶ。
親から靴紐の結び方を教わるがごとく。

不意に日常を打
>>続きを読む

母なる証明(2009年製作の映画)

4.2

何かが起きそうな不穏な空気の演出はやはり上手い。
終始母親の目線で描かれる。結局誰が何を考えて何をしたのか。決して真実を伝えるような目線とは違う。
そんな表面的な事実なんかにこの映画のテーマは無い。
>>続きを読む

毛皮のヴィーナス(2013年製作の映画)

4.0

ワンシチュエーション。2人の濃密な会話劇。

2人が象徴する男と女、SとM、現実と虚構、現在と過去、演出と演者、舞台と客席、会話と台詞…。そのシームレスな繋ぎ目はより曖昧に溶け合っていく。その様は驚く
>>続きを読む

トム・アット・ザ・ファーム(2013年製作の映画)

4.0

同性愛というテーマをサスペンスの味付けで。
言うほどサイコスリラーでは無いか。閉鎖的な村で抑圧された男が、暴力と自由(かの国のメタファー)に憧れて陥る狂気。
そこに同性愛、ひいては普遍的な愛を絡ませサ
>>続きを読む

マイ・マザー(2009年製作の映画)

4.1

ドランの処女作。
その後の作品を彷彿とさせる構図やエネルギッシュな会話劇。
特に長方形の画面から正方形を切り取る手法。画面の外、奥行き、シンメトリー、アシンメトリーの使い方。
すべての始まりを観た気が
>>続きを読む

Dr.パルナサスの鏡(2009年製作の映画)

3.7

欲望渦巻くイマジネーション。
人間の想像力を信じる一方で、どこかそう綺麗事では済まされないと分かっている。
絢爛豪華なイマジナリウムと汚く狂った現実、善と悪の対比。この絶妙なバランスが映画を成立させて
>>続きを読む

20センチュリー・ウーマン(2016年製作の映画)

4.0

非自己に触れ、己の範囲を定義する。
そして世代を定義するのはひとりひとりの生き方。
20世紀に区切られた彼女は、1人息子を通してそれぞれの世代に触れる。
子育てとはこんなものなのかもしれない。

70
>>続きを読む

アキラ AKIRA(1988年製作の映画)

-

漫画の方が面白い。さすがに2時間には収まらんよ…
これはこれで映像としての凄さ、この時代におけるアニメの未来が詰まっていて必見。
その後の「大人向けアニメ」に多大な影響を与えたのは確か。ニワカの自分に
>>続きを読む

ショート・ターム(2013年製作の映画)

4.2

人は愛されてこそ他人に愛を与えられる。
愛されなかったために。愛する自信を無くし、愛が何なのかさえ分からなくなる。
愛されなかった傷を自らの体に投射し血を流すことで慰める。見せかけでも「大丈夫?」とい
>>続きを読む

プリデスティネーション(2014年製作の映画)

4.1

異様に長いバーのシーンから堰を切ったように転がりだす物語。
巧みで難解なプロットだが年表にすると多少分かりやすい。

突風の中バイオリンケース抱えてよろめきながらタイムスリップごっこしたい。

何を書
>>続きを読む

地獄の黙示録・特別完全版(2001年製作の映画)

-

BSで途切れ途切れ観たけど初めてマジメに観た。

大義無きベトナム戦争の矛盾と欺瞞。
プロットをただ追いかける様な映画の見方では混乱するし消化不良だろう。
このモヤモヤとしたマクロな読了感が1つ大きな
>>続きを読む

12モンキーズ(1995年製作の映画)

4.1

現実、夢、妄想。全てが入り乱れ何がなんだか判別できなくなる。
自己が分裂する感覚に襲われる。

絶妙にリンクしたデジャヴと作り込まれたディティール、数々の伏線が説得力をもたせる。さながら統合失調症の頭
>>続きを読む

ゲット・アウト(2017年製作の映画)

3.9

サスペンス色の強いホラー。
この不気味さと違和感の醸し方は流石。
綿密に計算された表情の演技故か。
人を怖がらせる人間というものをよく分かっている。

ジョーダンピール2作目。
本格サスペンスに何でも
>>続きを読む

アンダー・ユア・ベッド(2019年製作の映画)

3.2

エログロ見せとけば衝撃でしょ、話題になるでしょ。てか。
ただ見せるだけのグロテスク。その下品さ幼稚さに気付いていただきたい。
子供じみた演出の連続で萎えるし誰にも入り込めない。

高良健吾は良い演技。
>>続きを読む

工作 黒金星と呼ばれた男(2018年製作の映画)

3.7

南北の分断を描く政治派スパイ映画。
ど派手なアクションやギミックは無いが、交錯する思惑は南北のパワーバランスとその裏側を反映していて面白い。

政治的背景と人物描写を両立させる難しさか。いまいちどっち
>>続きを読む

タイピスト!(2012年製作の映画)

3.4

女性のサクセス&ラブストーリー。
街も車も服もネイルもレトロな色使いと雰囲気で眼福。

17歳のカルテ(1999年製作の映画)

3.9

ウィノナにアンジー。自分を演じているからこそのリアルがある。

邦題(17歳のカルテ)、原題(girl, interrupted)、原作和訳(思春期病棟の少女たち)。それぞれ含みがあって的を射た題名だ
>>続きを読む

あの頃ペニー・レインと(2000年製作の映画)

3.8

背伸びする童貞な弟。自由に憧れて家を飛び出す姉。過保護で堅物な母親。遊び人だけど物悲しい目をしたグルーピー。2枚目だけど現状にどこか納得できないギタリスト。
全員がハマり役で、脇役も要所要所で良い存在
>>続きを読む

ラムシュタイン・イン・アメリカ(2015年製作の映画)

3.5

アホだなマジで。
炎を使ったド派手な演出、マジなのか悪趣味なのかアホなのか分からない下ネタ。
リンデマンの美声、独特なヘドバン、フラケのテクテクとかイジメられっぷりはどれも安定。

若干、全盛期を過ぎ
>>続きを読む

国際市場で逢いましょう(2014年製作の映画)

3.7

はい。8回泣きました。

初っ端から「泣かせてやろうホトトギス」が激しくてクサいけど。

朝鮮半島の南北。ドイツの東西。ベトナムの南北。
南北朝鮮。初めてこれを題材とした映画を観た。
かの戦争を、かの
>>続きを読む