ベロッキオの幻想の描写はなぜか現実ではないとわかることが多いのだけど、アルド・モーロが生存して見つかるこのドラマ最後のシークエンスは、あまりに真実っぽく見える。フランチェスコ・コッシーガの顔と並行モン>>続きを読む
死にゆく人間の顔をちゃんと見たことがあるわけでもないのに、これは生々しい、とどうしても思ってしまう。死んでしまったら簡単に服を脱がされて、箱に詰められる。介護は面倒くさいけど死んだら当たり前に悲しい。>>続きを読む
ひたすら歩き続けて、最後に沢山電話がかかってきて終わり。シンプルさが極まっていてすごい。台詞も多すぎる。よくもまあ自分の恋愛観についてこんなにつらつらとしゃべり続けられるな……と感心する。複数の女に手>>続きを読む
本当に世界で一番面白い。エッチな『さらば冬のかもめ』だ、と言いいたくなるが実際はエロいシーンはごく短いというのが下品でない高潔なエロさを感じさせる。狭い檻に押し込まれて揉み合う豚、熱中症の犬、完璧なタ>>続きを読む
唐突に未来からのモノローグが始まってビビる。あの声シャブロルなんだ。鍵穴を覗いている息子にユペールの不倫相手の若い男が背後から近づくとこや、家政婦の中年女性が扉から出てくるとこ、人が出現する仕方にいち>>続きを読む
自分は死神かもしれない、と笑っていた時間がじわじわと大きくなり、最後に包丁を握らせてしまったような気がしてくる。こういう細部からくる行動の説得力がシャブロルの映画にはある。
大胆な臆病者が金を盗む冒頭から、ヴァカンス映画になり、最後は西部劇みたいになる。どんどん脇道にそれていく話は面白い。最初にいた場所からどこまでも離れていくような映画は好きだけど、それにしても長い。「F>>続きを読む
ベロッキオの幻想の描写は現実に起こっていたとしてもおかしくはないようなことを見せているのに、一目で現実ではないことがわかるのが不思議でいい。そのこと自体に興奮があって、それが最も高まるラストシーンが素>>続きを読む
『犬』 ★2.4
犬の芝居があまり嫌らしくなくてよかった。ただ開き直ったようなその知恵遅れ的な描写に、非現実の恐怖を女性の心理や欲望に投影するやり方に古さを感じてしまった。
『Rat Tat Ta>>続きを読む
超絶エモーショナル。何よりまず脚本が素晴らしい。恥ずかしがることも衒うこともせず、鞠や蝋燭を手渡しで繋いでいくことを見せる真っ直ぐな優しさにグッとくる。昼間の生徒が夜の生徒の仕事を隠れて見にいくけれど>>続きを読む
老いることの悲哀もユーモアもあまりに直球で、辛気臭く感じてしまいどうも苦手だった。優れた擬態としか思えない2人の芝居も好きじゃないし、特殊メイクには偽物感が滲む。昔から実年齢から離れた役を演じる映画も>>続きを読む
クソ暑い中夏の気持ちで見にいったのにまさか冬のブラック、しかもサスペンス。話は気持ち悪いというかもはやファンタジーだけど、緊張感があるのか弛緩しているのかわからない絶妙なムードでよかった。女性専用のダ>>続きを読む
最後にまた同じ哲学の授業が始まり、短い一年が過ぎたことに気がつく。恋人がああいう感じの男女グループとつるんでるの嫌すぎる。教え子に性事情を尋ねる哲学教師、娘の彼氏が好きすぎる母親、バスタブで鰻を飼う若>>続きを読む
竜巻ジャンキー達の大人の青春映画で最高。竜巻の中心から見る青空に4本の脚がCGで重なる、全く美しくないショットにグッとくる。倉庫の扉を閉める→シャイニングのジャック・ニコルソンが扉を壊す→竜巻が倉庫の>>続きを読む
小道具や舞台装置の異様さが目につく。家の前庭みたいな場所が広すぎる。ロージーにしてはシンプルな分、女性への漠然とした恐怖、強烈な劣等感という一点へと容赦なく突き進む。事故が音で処理されるのは『できごと>>続きを読む
今更ながら初見。こんな変な映画だと思っていなかった。カットが切り替わるたびに今が何か起こる前なのかもう起こった後なのかわからない緊張感がずっとある。たけし映画の文脈をふまえるとバイク乗りのグレート義太>>続きを読む
不快さが極まっていて最高。プールのシーンの地獄っぷりとかはカサヴェテスっぽい。夜中まで開いてるプールあるのいいな~~。煙草食ってゲラゲラ笑いながらテーブルに頭打ちつけまくるストーカー男、やばすぎる。
どこまでも暗くてどうしようもない話で落ち込む……。全てが崩壊してしまうわけではなく、ランダムな暴力が秩序をズタズタに引き裂いて終わるラストがよかった。絶望さえ満足にさせてくれない。女性が鶏を追いかける>>続きを読む
ハルアシュビーの遺作。面白い。一触即発の睨み合いのはずが歩きながらペチャクチャと喋っている変なシーンから、ロングショットに急に切り替わると雰囲気がガラッと変わって人が沢山死にまくる銃撃戦! かっこいい>>続きを読む
初ロバート・クレイマー。尻が痛すぎたがかなりよかった。ハッとするクローズアップがいくつもある。アメリカという国の分厚さ感じた。
今回も全く意味がわからなかったのだけど上映があるたびに必ず見に行ってしまう。見るたびに少しづつ身体に染み渡っていくような感覚。凍った川に取り残された魚の死骸、父を見送る娘の長く伸びる影、白煙を吐いて朝>>続きを読む
五月みどりの毛量がやばすぎる。ひたすら緩いけど、若い女子大生の身体よりも五月みどりの老いた身体が、東大の秀才よりもバカな男子学生たちが話の中心にあることになんだかグッとくる。ラストの同窓会も関係ないの>>続きを読む
暴力に次ぐ暴力だけど、ずっとどこか笑える笑ってしまっていい雰囲気がある。笑いと暴力は紙一重どころかこの映画の中ではまるっきり同じものだし、もっと言えばたけしにとって笑わせることとビビらせることが同じな>>続きを読む
テンポがよくて飽きずに楽しく見られる。雷管を自作するシーンなんか下北沢のスクリーンが爆発しそうなくらいの緊張感があった。でもこの前見たリュ・スンワンの新作とかラストマイルの予告編とか見ていても思ったけ>>続きを読む
仕事をサボったり手を抜いたりしてしまって、別に誰にも見られていないのに後ろめたさからみんなに見えるところでめちゃくちゃ張り切っちゃうみたいな気持ち、卑小な会社員としてすごくよくわかります。ただ職場は戦>>続きを読む
好きすぎて2回見た。移民街の路地を映して始まる映画が人種間のヒエラルキーを描くのではなく、いかに白人ばかりがそれを気にしているかということを暴くように進んでいく。「皆白人の試合が見たいはずだ」と話すの>>続きを読む
『にわのすなば』よりずっと面白かったが、その分さらにムカついた。ゆるふわで馬鹿みたいな台詞は平和ボケとしか思えない。歩く走るシーンの数々とロケーションはいいのだけど、この監督の言語感覚がどうしても好き>>続きを読む
感受性が豊かすぎて社会に馴染めないですみたいな人間が、そもそも馴染もうという気すらないくせに、好き勝手周りに合わせようともせずに生きてその結果、生きづらいみたいな話にはもう憎しみしか抱かなくなってしま>>続きを読む
主人公の男にムカつきすぎてスクリーンを切り裂いてしまいたい気分になった。知的障害という設定なら許す。
あんずちゃんは森山未來にしか見えないし、カエルも完全に吉岡睦雄だし、この映画が特にそうなのかもしれないがロトスコープは俳優の個性が絵を大きく超えて現れてくることを許している気がする。地獄に繋がるトイレ>>続きを読む
ずっと偉そうだったアダム・ドライヴァーが妻であるペネロペ・クルスの発砲に慌てふためく姿だけで、映画の(生涯の)最後まで彼女には勝てないことがわかる冒頭の一幕が鮮やか。実はこれがマイケル・マン初見でした>>続きを読む
今年一番くらい楽しみにしていた映画だったのだが、全然ハマらなくて残念……。ロルヴァケルの映画って画面も話も好きで、見てすぐの気分はいいのだが、後から考えているとどうも騙されたり、はぐらかされたりしてい>>続きを読む
ちょうどこの頃大江千里をよく聴いていたので、天啓に導かれるような気持ちで神保町シアターへ向かう。なぜか大江千里はめちゃくちゃ日焼けしているが、とんでもなく面白かった。日焼けは映画に全く意味ないので、プ>>続きを読む
金ピカに光る画面に映る人間は全員が神経症のキチガイ、徹頭徹尾狂った映画で怖かった。森の中で必ず出くわす、全裸乗馬男が面白すぎる。軍隊になんていたら気が狂ってしまうというのは『光あれ』から一貫して繋がっ>>続きを読む
濱口『うたうひと』と並んで(他の映画でも見たことあるけど忘れてしまった、Filmarksには自分の感想を検索する機能が欲しい……)、平気で顔と顔を正面から切り返す、面の皮が厚いドキュメンタリー。演出は>>続きを読む
上映に遅れてしまい、最後の30分しか見られなくて悲しい。後ろの通路で立って見ていたら真横で8mmの映写機が回っていて感動した。鈴木卓爾が階段の手すりを豪快に滑るシーンは見れた。いいもん見たなと思った。