KeithKHさんの映画レビュー・感想・評価

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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.5

既に公開から3週間経過し、多くの方が講評をリリースしている中、敢えて自分なりの見解を申し上げます。
多くのコメントで明瞭な反戦映画と評していますが、私はそうは思えません。ごくごく普通の平凡で根は小心な
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52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)

2.5

介護、ヤングケアラー、育児放棄、児童虐待、DV、性同一性障害・・・、現代社会が抱える社会問題をふんだんに盛り込んで突き付けてきて、ここまで深刻に提起されてくると、私は率直に言って顰蹙してしまいます。>>続きを読む

天国と地獄(1963年製作の映画)

4.0

日本映画発祥の地・京都のほぼ中心辺りにある京都文化博物館は、京都にまつわる映画フィルム原版を約800本所蔵し、テーマ企画に沿って館内のフィルムシアター(170席)で毎日上映しています。
先月、“アウト
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

2.5

各々精神疾患(PMS(月経前症候群)・パニック障害)を抱えて、人付き合いが下手でぎこちない日々を送る会社の同僚の二人、上白石萌音扮する藤沢さんと松村北斗扮する山添くんを主役に据え、その窮屈でもどかしい>>続きを読む

身代わり忠臣蔵(2024年製作の映画)

4.0

笑って、笑って、手に汗握って笑って、そして泣かせる、エンターテインメント時代劇の王道を行く作品が本作です。
多くの人が知る忠臣蔵をベースにしつつ、奇想天外なストーリーに脚色し荒唐無稽な人物設定にしてい
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.5

ヤクザの若頭補佐・成田狂児と合唱部部長の男子中学生・岡聡実、接することがあり得ない二人が、実に他愛なく、くだらない動機によって歌唱指導の先生と生徒になって絡んでいく話ですが、どう考えてもそもそもの設定>>続きを読む

ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)

4.0

巻頭いきなり日露戦争の203高地での白兵戦の戦闘シーンが延々と続きます。派手に肉体が吹っ飛び血まみれの日ロの兵士たちが、遠景での戦場全体、引きロングでの日ロの兵士たちの激突、そして寄せアップで兵士が1>>続きを読む

山猫(1963年製作の映画)

-

京都ヒストリカ国際映画祭で、187分の完全復元版を映画館のスクリーンでは初観賞しました。1963年のカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した、名匠ルキノ・ヴィスコンティが57歳で監督した名作で、今回の>>続きを読む

ツィゴイネルワイゼン(1980年製作の映画)

-

第15回京都ヒストリカ国際映画祭で上映され観賞。

1980年度の第4回日本アカデミー賞作品賞を受賞し、鈴木清順監督の代表作にして、独特の清順映像美学の行き着いた名作とされていますが、初めてスクリーン
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

3.5

ヴィム・ヴェンダース監督は、やはりロードムービーで、その切れ味が研ぎ澄まされるように思います。
カンヌ国際映画祭で高評価を得て評判になった本作は、いわば東京の公衆トイレを巡るロードムービーと言えるでし
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あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。(2023年製作の映画)

4.0

現代の女子高生が太平洋戦争の終戦2か月前にタイムスリップし、出撃直前の特攻隊員の青年と出会い互いに惹かれ合いながら、戦争により引き裂かれてしまうという、ネットで評判になり、その後出版されてベストセラー>>続きを読む

市子(2023年製作の映画)

2.0

貧困、障害者を抱える家庭、ヤングケアラー、格差、ジェンダーギャップ。
重篤で深刻な社会問題を物語の根底におきつつ、ミステリー仕立てにまとめ上げた本作は、巷間非常に高く評価されています。
一種のドキュメ
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怪物の木こり(2023年製作の映画)

3.0

サイコパスVS連続殺人鬼、超刺激サスペンス、「狂っている方が生き残る」という物々しくおどろおどろしいコピーで煽っているのが本作です。
巻頭のマッドサイエンティストの実験事件現場への家宅捜索、それに続く
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(2023年製作の映画)

3.0

北野武監督の系譜でいえば、『アウトレイジ』三部作の戦国版であり、いわば令和版『仁義なき戦い』といえます。
織田一家の子分たちによる跡目争いドラマであり、信長親分と子分である織田家臣群との腹の探り合いと
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法廷遊戯(2023年製作の映画)

4.0

非常に緻密に組み立てられた見応えのある傑作ミステリーです。

冒頭、ロースクールでの“無辜ゲーム”なる軽薄で子供じみた遊びが始まり、タイトルのゲーム・アニメめいた響きもあって、サブカルの際物映画という
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翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~(2023年製作の映画)

3.5

38年ぶりに悲願の日本一を達成した阪神タイガース、リーグ3連覇のオリックスバファローズとの日本シリーズは59年ぶりの関西対決、そしてクラブ創設から苦節29年にしてJリーグ初優勝を遂げたヴィッセル神戸。>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.0

ゴジラ70周年記念作品と謳われた本作は、決して特撮SFパニック怪獣映画ではありません。少なくとも私には全く異なって見えました。

本作の構成は、神木隆之介扮する主人公・敷島の一人称ドラマであり、巻頭か
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アナログ(2023年製作の映画)

2.5

男がいて、女がいて、二人が出会い、恋に落ちる。
古今東西、何十万回もスクリーン上で繰り広げられてきた恋愛ドラマは、映画の永遠のモチーフです。
本作は、30代半ばから40代前半くらいの男と女の出会いと結
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BAD LANDS バッド・ランズ(2023年製作の映画)

3.5

嘗て『ブラック・レイン』(1989)では無機質的で不気味な混沌として描かれ、『極道の妻たち』シリーズでは極道たちの性欲と強欲が渦巻く犯罪の温床として描かれた“大阪”が、本作の舞台です。
本作で描かれる
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こんにちは、母さん(2023年製作の映画)

4.0

母と息子の間で、年明けから約半年間に起った、会社のリストラ、離婚、親子断絶、老いらくの恋と失恋・・・という悲劇的な波乱の物語が本作です。斯様に非常に悲惨で殺伐とした事情背景にも関わらず、山田洋次監督の>>続きを読む

リボルバー・リリー(2023年製作の映画)

3.5

綾瀬はるか扮するヒロイン・小曾根百合:通称”リボルバー・リリー“の冷徹非情ぶりと豪快で機敏なアクションは、大いに目を瞠らせ思わずスクリーンに引き込まれます。
いきなり巻頭から、謎に包まれたハードバイオ
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春に散る(2023年製作の映画)

4.0

人は誰も、己の来し方を振り返るたびに後悔するものです。ただ人は、「したこと」への後悔は懐かしく思い出しますが、「しなかったこと」への後悔は、一生苦く抱え込みます。
本作は、渡米してビジネスで功成り名を
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キングダム 運命の炎(2023年製作の映画)

3.5

最近の邦画では稀有な壮大なスケールで描かれるシリーズの第3作で、中国の広大無辺な大地を舞台に、今回も英雄たちの強欲と傲慢による権謀術数と暴力が渦巻くスリリングでエキサイティングなドラマが展開し、昂揚し>>続きを読む

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

4.0

これぞノンストップ・ジェットコースタームービーの極めつけでしょう。
巻頭いきなり始まる潜水艦シーン、そしてそれに続くCIA本部での密談シーン、息詰まる緊張感に満ちた展開は、本作の中では静的な映像とはい
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インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(2023年製作の映画)

3.5

サイレント映画から継承されてきた伝統的娯楽映画のプロトタイプ、即ち笑いとスリルとサスペンスが盛り込まれ、各ヤマ場がノンストップでジェットコースターのように延々と繰り返され、而も時間的空間的な奥行きと深>>続きを読む

リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

4.0

京都の街を南北に貫く鴨川、京都を象徴するこの川を遡った源流の一つに貴船川があります。古く神武天皇の皇母・玉依姫が浪花の津から水源を求めて遡り、当地に行きついて祠を建てたことに始まる、水を司る神・高龗神>>続きを読む

1秒先の彼(2023年製作の映画)

4.0

台湾映画のオリジナルをリメイクした本作は、舞台を京都に移したことでオリジナルにない一種独特の怪しさと甘酸っぱい青春の浮揚感を、実に自然に上手く塗せたと思います。

物語は岡田将生扮するハジメの一人称で
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大名倒産(2023年製作の映画)

3.0

嘗ての東映時代劇全盛期の中村錦之助主演モノを彷彿させる、軽妙でユーモラスな時代劇ドラマであり、勧善懲悪パターンを踏襲した時代劇の定番ストーリーですが、痛快無比とはいえず、明朗快活ともいえない仕上がりで>>続きを読む

怪物(2023年製作の映画)

2.5

カンヌ国際映画祭パルムドール受賞等など、輝かしい実績を誇り、今や日本を代表する映画監督といえる是枝裕和監督の最新作ですが、私自身は、これまでの是枝作品で満足感を得たものはありませんでした。どれもせいぜ>>続きを読む

最後まで行く(2023年製作の映画)

3.5

この映画に台詞は無用だったと思います。
カメラは徹底して岡田准一演じる主人公目線で捉え続ける一人称ドラマ、而も一刻も観客を冷静な気持ちにさせない恐怖と危機が主人公を襲い続ける、ノンストップ・ジェットコ
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劇場版TOKYO MER 走る緊急救命室(2023年製作の映画)

3.5

コロナ禍の最中、2021年7月期に平均視聴率13.6%、最終話は何と19.5%を記録した、今やTBS看板枠となった日曜夜9時に放送された、人気ドラマの映画化が本作です。

タイトルからも見て取れる、医
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せかいのおきく(2023年製作の映画)

4.0

あをによしの都・平城京が1240年前に廃都された理由の一つは、水の便が悪く排泄物処理に行き詰ったからと言われています。日本史の表に決して出て来ないけれど、ある意味で歴史を動かしてきた大きな要因でもある>>続きを読む

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.5

『シン・ゴジラ』を監督し、『シン・ウルトラマン』を総監修した庵野秀明監督が、昭和の子供向けSFヒーロードラマを、またも映画にリメイクした本作ですが、前2作を遥かに優る、濃密で強烈な思い入れと入れ込みが>>続きを読む

仕掛人・藤枝梅安2(2023年製作の映画)

4.0

つい2か月前に“1”が封切られた余韻残る中での続編“2”であり、主人公二人(藤枝梅安と彦次郎)は変わらないにも関わらず、1と2は全く異なる趣であり、その作り分けの見事さに脱帽します。

豊川悦司扮する
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ロストケア(2023年製作の映画)

3.9

伏線の仕掛けがあまりにも見事な作品です。

本作の紹介文としては、「42人もの老人の命を奪い、その殺人を“救い”あるいは“介護”であると主張する連続殺人犯と、彼の罪を強く非難する検事の対決を描き、な
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BLUE GIANT(2023年製作の映画)

1.5

原則としてアニメは映画館では観ないことにしているのですが、京都の映画ファンが集うカフェのマスターが絶賛されていたこと、曲がりなりにもSaxを嗜む一人として、ジャズに青春を捧げる物語ということなので、『>>続きを読む