屋内のシーンが多いのに、窓越しに見える景色のおかげもあって、どのカットからも「ああ台北だ」と感じさせてくれる。登場人物の関係性を把握するのに時間がかかってしまったので、はやくもう一度観たい。
主演が菊地凛子でなかったならばけっして説得力をもたなかったであろう、奇跡的なバランスで成立している映画。ラストシーンはストレートながら心を打つ。何もかもが手遅れというわけではなかったのだ。
台湾ニューシネマの魂は、食事/ドライブへのショット長回しに宿る。青や緑のフィルター(サングラス)を介して登場人物の目とカメラを一致させるカットがよき
この作品は出来がよいのかどうか、新海誠のキャリアの中でどういう意味をもつのか、そんなこととは無関係な基準で受け継がれてゆくポテンシャルを『すずめ』は十分にもっている。
「フェイトがフェイトである」ことを肯定するには、相手の名前を呼び続けるしかない。それが愛だということを、なのははちゃんとわかっている。
コーネリアス『Fantasma』の巨大広告を背景に、パルコ横でコールバック待ちの通話をかける。圧倒的97年渋谷感!
73年製作だからそんな超古いわけじゃないけど、それでも古き良きハリウッド映画のカラッとした明るさが全開で浸れる
「カメラがイマジナリーラインを意図的に超えることにより、会話中の人物の「どちらがどちらか」が撹乱させられる」とか……そんなん初見でわからん………
全然思ってたのとちゃうかったけど、終わりよければヨシ!
こんなんタランティーノしか撮れんって!!彼自身がパルプフィクションでトラボルタ再ブレイクさせてるの考えると感慨深い。往年のハリウッド映画に精通してたらもっと小ネタ楽しめるんだろうな〜〜(マルタの鷹は発>>続きを読む
ボガードは『三つ数えろ』のマーロウよりこちらのスペードの方がしっくりくるように思える。あるいは単に春樹訳のチャンドラーから、線の細いマーロウのイメージがついてしまっただけなのかもしれない
不気味さが維持されるぎりぎりのラインで意味が与えられている。けっしてナンセンスな映画ではないし、ショット全振りの映画でもない
前半と後半、画の色彩が大きく変わったのが印象的だった。香港でイメージされる通りのオレンジ/緑が焼き付けられたあと、青で洗われていく
観終わった直後はそうでもなかったのに、ボディブローのように苦しみが増してゆく。とりわけトモヤがもう……
最高傑作とかいうレベルじゃなくて、三部作はすべてこのための布石だったんだという仕上がり。「二度目のチャンス」をもらった私たちはもうマトリックスを卒業しなきゃ
濱口監督これやりたかったんだろうなあ感がすごい。テーマを決めての短編連作映画がこんなに面白いなんて
未遂のシーンが壮絶。どれほど明るく健康的な毎日を送っていたとしても、いちど壊れてしまった人はすぐそばにある死とずっと並走していかなくちゃいけない
トランアンユン監督『ノルウェイの森』で積み残されていたレイコさんの存在は、霧島れいかの声としてサーブに反響する。「鼠」四部作における死と再生の街北海道で、ありえたかもしれない娘とともに、一種の母殺しと>>続きを読む
原作の孤独なマーロウ像に親しんでいると、最後ちゃんとラブロマンスになるのがびっくりする
SF映画かと思ったらアクション映画かと思ったらコメディ映画だった
50年代を舞台にした、90年代撮影のノワール。警官たちは誰も成長せず、単に相互の利害が一致した結果真実が明らかになる構造がグッド。メタフィクション好きとしては、本作全体が「名誉のバッヂ」かのようなラス>>続きを読む
間違っても『電気羊』の実写化だと思ってはいけない。本作にとって重要な、妻との冷めた関係もマーサー教も出てこない。とはいえ映画は別ベクトルでそこそこ楽しめる