丸木さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

トキワ荘の青春 デジタルリマスター版(1995年製作の映画)

3.6

草の根マンガ劇場

ノスタルジックな雰囲気が作中全体を流れている。そこまで個々人について物語が展開されるのではなく、寺田ヒロオがトキワ荘を後ろから眺めているような印象。
漫画で評価されることの厳しさや
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ラストエンペラー(1987年製作の映画)

3.7

溥儀の人生

溢れ出る大作感。
あまり多くを語らせるよりは、魅せるスタイルで、場面場面で感情移入することができる。この映画では、くわしい裏事情まではわからないけど、生まれついた中国皇帝という立場にとこ
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みかんの丘(2013年製作の映画)

3.9

アブハジア紛争から戦争を知る

ジョージアから独立を求めるアブハジアの紛争が物語の舞台。
エストニア人×ジョージア人×チェチェン人×ロシア人とさまざまな立場の人物が物語を織りなす。

一部の人が分かり
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ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(2022年製作の映画)

3.7

サム・ライミin MCU

サム・ライミユニバースが、気まぐれにMCUの世界と接触を繰り返すような映画になった印象。スパイダーマンよりも他のサム・ライミ作品の影響を感じる。
そのためか、MCUシリーズ
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空海 ーKU-KAIー 美しき王妃の謎(2017年製作の映画)

3.1

黒猫の復讐

【時期】803〜806頃、750頃〜763年

前半は、空海の妖術ウォッチ。
後半から楊貴妃や玄宗皇帝、阿倍仲麻呂が生きていた50年前の物語になる。

日本語タイトルは、『美しき王妃の謎
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フェイシズ(2011年製作の映画)

3.4

全員怪人二十面相

殺人の容疑者の顔を見たにも関わらず、頭を打って人の顔が見るたびに変わってしまう障害を負ってしまう。
自分や他人の顔が見るたびに変わってしまうのは、もしかすると目が見えないよりも厄介
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我輩はカモである(1933年製作の映画)

3.5

こんなリーダーはやだ

ドリフなどに影響を与えたらしいナンセンスギャグの連続。
やや現代の基準から見て度が過ぎているので、笑えるかはわからない。マルクス兄弟も開戦のシーンは、ただ笑わせるつもりで作って
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踊る大捜査線 THE MOVIE 湾岸署史上最悪の3日間!(1998年製作の映画)

3.5

会議は踊る、現場は惑う

ドラマ未鑑賞。
かっこよければいいんだよ!
という姿勢が伝わってくるような演出の数々。テーマが流れると共に、走り出す青島は象徴的。名台詞も登場。
お話がコンパクトにまとまって
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ネオ・ヒロイック・ファンタジア アリオン(1986年製作の映画)

3.7

ギリシャ神話の登場人物を満遍なく登場させた一大スペクタクル。

ギリシャ神話については、ゲームの『God of War』をプレイしたくらいの知識。名前からそれぞれの登場人物について調べてみるとさらに面
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遠い空の向こうに(1999年製作の映画)

3.9

地下から空へ

【時期】1957年〜1960年

アメリカの教科書に載ってるNASAの技術者の若い頃の話。
田舎町で男の子4人がいると、スタンド・バイ・ミーを思い出す。彼らは旅に出るわけではないけど、
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ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー(2017年製作の映画)

3.7

生きる苦しみを形に

【時期】1939年〜1950年頃
【人物】J・D・サリンジャー

『ライ麦畑をつかまえて』未読。
作者のサリンジャーの伝記映画。小説の中の一節がおそらく頻繁に出てきているが、わか
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蜜蜂と遠雷(2019年製作の映画)

3.4

ピアノバトル

映像は綺麗だが、やや断片的でわかりにくい感じがした。主要人物が天才なので、なおさら感情移入がしにくい事態に。

漫画であるのだめカンタービレとは、硬派な雰囲気で対極の雰囲気の作品に。
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検察側の罪人(2018年製作の映画)

3.6

吠える検事

『検察側の証人』というアガサ・クリスティーの作品があるが、多分関係ない。
どのような罪を犯すのかが気になるところだったが、思った以上にしっかり罪を犯していた。

政治家関連の話が、ややノ
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15ミニッツ・ウォー(2019年製作の映画)

3.7

4人の犯人 5人の狙撃手

勝てそう、と思うがこの話は実話らしい。人質が1クラス分の子供であるだけに、当事者たちの緊張感は半端ではなかったと思う。スコープの十字で画面を4分割して時間の経過を表す手法は
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インサイド・マン(2006年製作の映画)

3.6

テェィヤテェィヤ

狼たちの午後的な何か。
豪華俳優陣の真面目なクライムドラマ
びっくり展開は起きないけど、現実的な銀行強盗の話。強盗がみんなこの手の人間だったら警察は苦労しそう。
なぜかインドっぽい
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陽のあたる場所(1951年製作の映画)

3.7

不倫の代償

前向きそうなタイトルに騙されそうになるが、悲劇である。前にも「太陽がいっぱい」で同じことを思った。

場面場面で見ると正当なラブロマンスに見えるが、主人公は愛の罠に陥っていく。
心で思う
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透明人間(2019年製作の映画)

3.7

現代版透明人間

近未来的な光学技術で実現できてしまえそうなところが、ありそうでなかった作品。20年くらい前のインビジブルは、薬で体全体が透明になるという設定で、アクション映画として楽しめた。

今作
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SF核戦争後の未来・スレッズ(1984年製作の映画)

4.2

この世の地獄

SF映画で軽々しく登場する核の恐ろしさを世代を超えて描く。
ドキュメンタリーのような映像で、本当に起こったことかのようなリアリティがある。耳に残るタイプ音も段々と音が減っていく。

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世界一キライなあなたに(2015年製作の映画)

3.3

お金持ちが最後までやりたいことやる話

エミリア・クラークがゲームオブスローンズとは別人のように親しみやすい女性に。

ONE PIECE FILM Z ワンピース フィルム ゼット(2012年製作の映画)

3.4

GTZ

自然現象に注目したスケールが大きい話
黄猿や赤犬もかつては子どもだったことを想像させてくれる作品。

バトル迫力はほぼよりないが、渋みを感じる大人テイストな仕上がりに。
色使いがカッコいい。

ハリエット(2019年製作の映画)

3.7

自由への線路を敷く

アメリカの紙幣に載る予定の女性のお話。
黒人奴隷を扱う映画の中では残虐な描写は少なく見やすい方。
主題歌がミュージカルの曲のようで、そのままみんなで踊れそうな感じ。

彼らは生きていた/ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールド(2018年製作の映画)

3.8

見る博物館

白黒の映画をカラー化する試みを最近よく目にするようになったが、この映画はその究極系のような気がする。

まるで現代のホームビデオでも見ているようで、疎遠に感じた昔の人々も今と地続きである
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落下の王国(2006年製作の映画)

3.7

絵画みたいな映画

想像力による救済。
自分自身で物語は良い結末へと導いていけるのだというメッセージを感じた。

昔のスタントマンが登場する場面の映像が、想像以上にすごくて驚いた。フレームレートが今よ
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ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

3.5

物語を描く物語

若草物語は何度も映像化されているようだが、初めての鑑賞。
他の作品よりは、4姉妹の年齢が少し高いらしい。少女時代は回想のように挟まれるためやや後日談とダイジェストを見ているような感覚
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ランペイジ 巨獣大乱闘(2018年製作の映画)

3.7

ゴリラvsウルフvsアリゲイター

ハリウッド版のゴジラでも人類はなかなか頑張っているが、今作では明らかに映像としておかしい人間が一人混じっている。

悪役が陳腐で拍子抜けするが、想像を上回る爽快バト
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砂の器(1974年製作の映画)

3.6

過去との戦い

やや冗長に感じるも、劇中の音楽がある場面とマッチしてとても良い。今作でもっとも評価されている部分だろう。また、タブーとして扱われたハンセン病の存在をエンターテイメントの領域まで押し上げ
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鉄道員(ぽっぽや)(1999年製作の映画)

3.5

ある車掌の救い

見ているだけで寒くなる冬の駅舎に対して、部屋の中や過去の描写では映像が暖かい。出てくる女の子があまりに都合が良すぎて呆れるが、全体として感動作に仕上がっている。無常な現実を前に健気に
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キャスト・アウェイ(2000年製作の映画)

3.8

アイランド・アローン

弾丸が製造されて誰かの脳天を撃ち抜くまでの過程を見せた「ロードオブウォー」の始まりのように、宅配の荷物が運ばれるところから始まる。

どこかの学校に入りどこかの会社に入って、い
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ネバーエンディング・ストーリー(1984年製作の映画)

3.8

世界を救うのは?

ミヒャエル・エンデの世界を映像化。
舞台劇のようで、登場人物の質感がすごい。子供たちが本を離れて、テレビやゲームに夢中になり始めた時代の物語。
今やスマホでスマホの悪影響を見られる
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バッド・ジーニアス 危険な天才たち(2017年製作の映画)

3.6

何のためのテスト

オーシャンズシリーズみたいな雰囲気の映画。試験をこんなにスタイリッシュに映像化できるのがすごい。登場人物たちが小賢しい奴らしかいない上、試験監督は追跡者と化しているため、社会派な要
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THE GUILTY/ギルティ(2018年製作の映画)

3.8

隣り合う愛と罪

『search/サーチ』は、PC画面のみでサスペンスを演出していたのに対して、こちらは、警察の通報司令室縛り。
私たちはオペレーターのヘッドホンを通して事件について知ることになる。
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運び屋(2018年製作の映画)

3.7

ジジイ×ト×マヤク

かつてアメリカとメキシコの境で戦ってきた男は、歳を取ってもなお過去と戦っていた。…という話ではないが、イーストウッドの演じてきた役をどこか感じてしまう。
イーストウッドは自分自身
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釣りバカ日誌19 ようこそ!鈴木建設御一行様(2008年製作の映画)

3.7

ハマちゃんの受難

いつも楽天家のハマちゃんが今回ばかりは絶望の連続。人生こういう時もある。
社員旅行で大分の別府。
派遣社員が案内することもあるのか。
今回はスーさんの出番がやや少なくて悲しいですが
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ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -(2019年製作の映画)

3.6

言葉を紡ぐ、言葉を届ける

原作未読。
前半は原作ありきで、後半はオリジナルらしい。テレビ版では代筆をするヴァイオレットが依頼者の要望を叶えつつも、人同士の繋がりについて学んでいく話。オリジナル部分で
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動乱(1980年製作の映画)

3.5

雪と消えた昭和維新

【時期】1932〜1936年
【出来事】
1932年 五・一五事件
1936年 ニ・二六事件

歴史的な背景を駆け足で紹介しつつ、ニ・二六事件の実行犯の一人である皇道派将校の悲恋
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ペンギン・ハイウェイ(2018年製作の映画)

3.5

ませた少年の成長物語

好奇心旺盛な少年は、宿題を出されていなくても常に自由研究のようなことをやっている。そしてお姉さんの胸の膨らみから存在論を問い始めるまでになる。このような少年が世界の謎を明らかに
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