ホリさんの映画レビュー・感想・評価

ホリ

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麦子さんと(2013年製作の映画)

3.7

絶縁状態から…
“関係性の再構築を描く”のがやはり、
吉田恵輔監督作品の醍醐味だなと。

最近、初期作を見返しているけど、
世界観が変わっても、
登場人物同士の関係性の描き方は
一貫している印象を受け
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なま夏(2005年製作の映画)

3.3

「昔から取り扱う題材は
そんなに変わっていないけど、
演出力が成長しているから、
見せ方の面でそれっぽく
観客に届けられるようになった」
「昔の作品は見返して、
恥かしくなる時がある」

インタビュー
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すべての夜を思いだす(2022年製作の映画)

3.9

「あの子の撮った写真は
 たくさんあるんだけど、
 映っているのは全然なくて」

「巻き戻しできるの?」
「変換中だから、
 今は無理かな。何で?」
「見たことある
 景色があったから。
 これってア
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.6

多様化する現代で、
感情も更に繊細化しているが、
その繊細さを取りこぼさない。

光の使い方が巧み。
山添くんが初めて自転車に乗り、
歩くことしかできない世界が
拡張される瞬間…
その際に、街に差し込
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WILL(2024年製作の映画)

4.5

「彼(東出昌大くん)には、
ずっと矛盾を抱えながら生きて欲しい」
by森達也

生きるという意味を
追求する上で
1種の完成されたドキュメンタリーと
思わされたな。

2つの環境下で
生きる姿が切り取
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あのこと(2021年製作の映画)

3.9

中絶が違法だった1960年代の
フランスが舞台。
中絶がもし発覚したり、
医者であっても手助けをすれば、
刑務所行きという
恐ろしい時代。

妊娠してしまった
大学生が
選択する権利すら与えられず…
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.0

良くも悪くも
“決定打のない”ことが、
観客の想像力を掻き立てている。

法廷映画だから尚更、
明確な答えを求めがちだが、
構成や演出を見ていると、
この映画が投げかけている
コンセプトはそこではない
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.4

眠っている記憶を呼び起こす
セッション。
記憶喪失で役者時代のことを
覚えていない男性と、
売れているとは言えない
監督の化学反応を
スクリーン上で見るという。

自分自身が映画を見て、
内に眠る感情
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ダンサー イン Paris(2022年製作の映画)

4.5

『バレエは完璧を求めて、
頑張ることができる。
でも、僕らのダンスは違う。
弱さや恐れを乗せることこそが、
良い表現に繋がる』

自分たちが話す言葉に、
色んな種類・表現があるように、
ダンスの世界も
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パリタクシー(2022年製作の映画)

3.7

『毎年、地球3周分の距離を走る。
12キロ。
この国から出たことはないが』
『娘のおかげで
パリを再発見できた』

タクシー運転手ならではの
会話を引き出しつつ、
客視点でタクシーという空間が
どのよ
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ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)

3.8

戦争シーンで死の描写を
残酷に切り取るからこそ、
生にしがみつく主人公たちの行動に
より深みが出ている。

グロテスクとまでは言わないが、
気付いたら、
爆破で身体の一部が損傷したり。
争いにおける暴
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彼方のうた(2023年製作の映画)

3.9

『何か、味が違う』
『これは春さんのオムレツ。
私のとは違う。それぞれの味が
あるんだよ』

杉田監督の作品って不思議。
登場人物たちの
後ろ姿を切り取ることや、
顔がよく見えない
引き映像が多いんだ
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

4.3

もうあの頃には戻れない
思いを乗せたカラオケ(紅)、

声変わりという要素、

巻き戻しできないビデオ、

子供から大人の階段を
登り始める部活引退というタイミング、

ヤクザの事務所がある
アーケー
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死体の人(2022年製作の映画)

3.9

役者として死体の役を
演じることが多い主人公。
バイトでも道路工事の警備員として
全く動かない様が、
生きたまま死んでいる
意味合いを感じ取れる。

風俗でも
言われるがままに
オプションを追加して、
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.8

ヨルゴス・ランティモス監督の
実験的な世界観が良い…
実験的だけど、
人間の本能と知性が
なぜ身に付いていくのか…
必要なのかを
問いかけてくる。

生まれ変わった大きな子供。
逆名探偵コナン。

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裸足になって(2022年製作の映画)

4.2

バレエの音楽を活用し、
華やかなバレエを練習するシーンと、
賭け事(闘羊)をするシーンを
組み合わせる演出が
印象深く残っている。

バレエダンサーになる
夢を持ち、
オーディションに合格するため、
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コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

4.5

『自分たちのルーツを
知ることは大切よ。
過去を知れば、
現在を容易に理解できる』
そう語るのは、
考古学を学ぶ学生の主人公。

古代の人々が
岩に掘った彫刻
『ペトログリフ』を見に行くため、
列車へ
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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.3

枯れ葉が
若葉になる瞬間を
何度も見ることができて、
満たされるこの幸福感…

喪失から、
再び生きる目的を見出していく
再生の物語。

廃棄を不正に持ち帰り、
スーパーを首になる女性。
酒を飲みなが
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愛にイナズマ(2023年製作の映画)

4.2

石井裕也監督らしい演出や…
構成が前面に
反映された作品だった。

同時期に『月』という作品も
監督しており、
そちらで衝撃を
受けたばかりだったので…

『愛にイナズマ』の方が
平常運転だが、
個人
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福田村事件(2023年製作の映画)

4.5

加害者としての日本。
地震による災害時、
『朝鮮人が井戸に毒を入れたり、
家の物を盗むために襲ってくる』
という噂が広がる。

その姿を直接、
見た者は登場せず、
噂だけがどんどん広まっていく。

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市子(2023年製作の映画)

4.3

市子として新たに生きるための
伏線が、説明的になることもなく、
上手く張り巡らされている。

時間軸も
幼少期から現在に至るまでの
生い立ちが明かされていくので、
演じ切った杉咲花さんの
芝居が見事だ
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.0

迫力ある映像の世界観に
引き込まれる。

神木隆之介さん演じる主人公が
ファーストシーンから
向き合わないといけないものから
逃げ続ける。

逃げ続けた結果、
戦争に貢献できず、戦友を失いー
更には親
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正欲(2023年製作の映画)

4.7

息苦しさも
多様化している現代だからこそ、
偏愛というものを
しっかり『普通』と受け止められる
ようになりたい。

そもそも、
当たり前だと思っているものに
『それって、おかしいよね?』って事が
たく
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(2023年製作の映画)

4.6

深い森の中にある、
重度障害者施設。

“森の中に隠されているような”
意味合いから、
“人間の向き合いたくないもの…
見たくないもの”を
職員たちが障害者の方々を
介護する描写を通して、
切り取られ
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キリエのうた(2023年製作の映画)

4.0

『声が出ないです』
『歌う時だけ、声が出る。
不思議だね』
この辺に明確なリアリティーを
求めるかどうかで、
好みが分かれそう。

『私がマネージャーやろうか』
と切り出すあたりから、
“岩井俊二ワー
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.8

『生きている世界が違うから』
『じゃあ、私は?』

誰かと誰かの世界が…
影が重なり、
その日のルーティンが乱されたり、
PERFECT DAYSになったり。

小さな瞬間に幸せを見出している
主人公
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アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.8

『彼ら(宇宙人)の正体は分からないが、
きっと私たちに害は加えないと思う。
人間や地球がどんなものか
気になっただけだよ』

『どうしたの?その傷』
『ただのメイク。作りものよ』

アステロイド・シテ
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エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版(1994年製作の映画)

4.4

喜劇だよ。
後半になればなるほど、
登場人物達の悩みが可視化され、
一見それを真正面から
向き合うように撮影しているんだけど。
そういうシーンに限って
クスクスと笑い声が
聞こえてきた周囲の反応が
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バービー(2023年製作の映画)

4.2

人間世界を知ったケンが
先にバービーランドに帰ってしまい、
ケンランドに。

しかし、今度はケン同士で
格差が生まれる。

男らしさ、女らしさ、
男らしく、女らしく、

メッセージの主張が
想像以上に
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あしたの少女(2022年製作の映画)

4.5

『私がどんな仕事をやっているか
知っていますか?』
『客の要望や不安に応える
仕事だろう』

現実では客の解約を防ぐため、
会社利益で対応してしまう
ブラックなコールセンターという
環境下。
感情が失
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少女は卒業しない(2023年製作の映画)

4.1

・卒業まで1日…
取り壊される校舎…
という前提が作り上げられ、
メインキャラクターにフォーカスが。


・『先生、バスケットボールとか
持ち帰っていい?』
『ダメだぞう〜区のものなんだから』
→机の
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怪物(2023年製作の映画)

4.8

・社会そのものが怪物に見えてくる
という構成。
グレーのグラデーションで世界を描く。
ディスカッションドラマ的な要素も。


・街で起きた象徴的な火事を切り取り、
消防車のサイレン音をきっかけに
時間
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CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

4.7

まるで家族のように
仲が良かった少年2人。
地元の環境から、中学1年生になる事を
きっかけに環境が変化することで、
彼らの関係性に疑問を持つ声が。

『お前、女みたい』『気になっていたん
だけど、2人
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Girl/ガール(2018年製作の映画)

4.5

『ここにいる人は毎日の練習の積み重ねで
強い足を作る。足が痛くなるかも
しれないけど、頑張らないとね。
指を切るわけにはいかないし』

『私達の裸を毎日見てるのに、
あなたは見せてくれないの?
どう見
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アシスタント(2019年製作の映画)

4.0

このアシスタントに、後輩が出来た時に、
同じく機械的に物みたいに指導を
してしまうのだろうか…
環境の中で、
人は価値観が形成されていく。
彼女がこの環境でもし、
何年間も生き残るとしたら、
そういう
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