映画好きの柴犬さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

イノセンツ(2021年製作の映画)

4.0

 「童夢」は昔読んだんだけど、ストーリーはもう覚えてなくて、大友克洋の緻密なペンで描かれる静かなるサイキック描写だけが印象に残っている。本作はまさにその雰囲気を感じさせてくれる。

 話自体は、言って
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せかいのおきく(2023年製作の映画)

3.8

 恥ずかしながら、ずっとタイトルを「せかいのきおく(世界の記憶)」だと勘違いしていて、その上モノクロってこともあって、重めのアート作品なのかなと思い込んでいた。ところが、ぜんぜん違っていて、ある意味下>>続きを読む

1秒先の彼(2023年製作の映画)

3.8

オリジナル「1秒先の彼女」も見て!

 台湾の大ヒットファンタジー「1秒先の彼女」のリメイク。流石に宮藤官九郎脚本だけあってラブコメとして十分に面白いし、キャスティングもハマってる。ただ、オリジナルと
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最後まで行く(2023年製作の映画)

3.9

 韓国映画のリメイクでは「22年目の告白 -私が殺人犯です-」がよかったけど、本作はそれにも負けないいいリメイク。

 オープニングシーケンスこそオリジナルを踏襲しているが、その後はほぼ独自の展開。物
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グランツーリスモ(2023年製作の映画)

3.9

 今一つパッとしなかったニール・ブロンカンプ監督久々の快作。ゲーマーから本当のレーサーになった、嘘のような本当の話。まあ、今時のレースゲームって、めちゃくちゃリアルだからね〜。

 映画の方は、リアル
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THE WITCH/魔女 —増殖—(2022年製作の映画)

3.7

 なるほど、一作目のラストシーンはそういう意味だったのね。でも、あの娘は妹じゃなかったんだ。

 ストーリーとしては、次作への繋ぎ的な話になってるのは致し方ないが、プロットが一作目の劣化版のような感じ
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犯罪都市 THE ROUNDUP(2022年製作の映画)

3.8

 マ・ドンソク無双なクライムアクション。凶悪な犯罪者をぶっ飛ばすマブリーの強烈な一発に、日頃の鬱憤がスッキリと吹っ飛んでいく最高な作品。

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

3.8

 大人になった娘が、子供の頃に父と過ごしたバカンスのビデオを見て、当時の父の苦悩に想いを馳せる。楽しいはずのバカンスの風景だけど、常にどこか不穏な雰囲気を漂わせていて、いつ何が起こるかと身構えてみてる>>続きを読む

不思議の国の数学者(2022年製作の映画)

3.9

 これは結構好きだな。学歴至上主義と脱北者の問題を背景にして、進学校に馴染めない落ちこぼれと、脱北してきた天才数学者の師弟関係を爽やかに描く。数学っていうチョイスがGoodだし、テーマを重く描き過ぎな>>続きを読む

Gメン(2023年製作の映画)

3.9

 これは掘り出し物。期待してなかったけど、面白かった。

 ヤンキーものだけど、「High&Low」シリーズみたいな男と男のバチバチ抗争アクションではなくて、恋愛青春ものの要素が強め。ほんわかとエロも
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アリスとテレスのまぼろし工場(2023年製作の映画)

3.7

 岡田麿里っぽい青春ファンタジーだけど、他の作品が夏のイメージが強いのに対して、この作品は冬。未来を閉ざされた世界は、色彩が薄く、感情も動かない。それを突破していくのが後半のスペクタクルになってくるん>>続きを読む

放課後アングラーライフ(2023年製作の映画)

3.7

 しかし「めざし」って、どういうつもりでつけたん?

 いじめられていた女子高生が、転校先の釣り好きグループとの交流で再起していく青春釣り映画。過去のいじめ自体には深く立ち入らず、新たな交流を前向きに
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ニモーナ(2023年製作の映画)

4.0

 これは傑作。中世ファンタジーと近未来SFが融合したような世界観も独特だし、「スパイダーマン スパイダーバース」以降の絵としてのCGアニメ表現にも味がある。

 何が善で何が悪かを軸に小気味よく進むス
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湯道(2023年製作の映画)

3.8

 正直言ってあんまり期待していなかったんだけど、予想以上に面白かった。銭湯を訪れる人たちの人間模様と、銭湯自体の存続の問題を、軽快に描く。まあ、ある意味ファンタジーなんだけど、変に重くしないで、風呂上>>続きを読む

小さき麦の花(2022年製作の映画)

3.8

 表向きは社会弱者の不器用ながらも慎ましいラブストーリー。不器用なふたりだから、めちゃくちゃセリフが少ないけど、お互いを思いやる気持ちが伝わってくる。

 物語の背景に、中国の近代化による格差の拡大な
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シュシュシュの娘(2021年製作の映画)

3.7

シュシュシュってそういうことか!

 コロナ禍のミニシアター支援のために作られたって話だけど、入江悠監督はこういう自主制作的な作品の方が性に合ってるのかな。まあ、この作品もかなり荒削りではあるけど、「
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コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

3.6

 寒々しくて、セリフが少なくて、説明不足という、いかにも北欧系という感じのロードムービー。ありがちっちゃありがちな話だけど、孤独感の中でちょっとほっこりできるストレートな人情ってありがたい。

サイド バイ サイド 隣にいる人(2023年製作の映画)

3.4

 誰が生きていて、誰が霊なのかが曖昧な話で、雰囲気は嫌いじゃない。だけど、登場人物の相関からストーリーまで、全てがぼんやりとし過ぎていて、流石に観客を置いてきぼりにし過ぎなんじゃないかな。くっきりさせ>>続きを読む

M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)

3.6

 ミーガンのキャラクター設定が秀逸で話題作りには大成功という感じ。お話的には既視感のあるホラーで、まあまあ想定通りの展開だけど、そつない作りで70点満点で75点の満足度の佳作って感じかな。

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

3.9

 これはよくできてる。

 ゲームを全然やらないので、スーパーマリオもマリオカートもドンキーコングもやったことないんだけど、知ってる範囲のキャラクターは全然違和感なし。

 ところどころイルミネーショ
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

3.7

 いろんな事情はあるにせよ、自分で歩けないほどの肥満になってしまったチャーリー(ブレンダン・フレイザー)には、やっぱり同情はできないな。逆に言えば、チャーリーの行動に納得できるだけの理由を、映画から感>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

3.9

 ストーリーや演出はかなりバカっぽいというか、下手すると楽屋落ちになるギリギリのところ。その上に、バービー人形に投影された「女性」性と、それに相対化された「男性」性を多層的に描き出したバランスの絶妙さ>>続きを読む

わたしの幸せな結婚(2023年製作の映画)

3.8

 良い評判は聞いてはいたが、アイドル映画としては出色の出来。

 話はおおむね「シンデレラ」なのだが、今田美桜の大きい瞳を泳がせた幸薄いキョドリ演技がばっちりハマってた。添え物的美少女役が多かった今田
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ウエスタン(1968年製作の映画)

3.8

 「モリコーネ 映画が恋した音楽家」からの流れで鑑賞。子供の頃にテレビでやっていた西部劇の感覚が蘇る。

 今の作品なら90分で終わってしまいそうなシンプルなストーリーを3時間近くかけてねっとりと描き
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マッシブ・タレント(2022年製作の映画)

3.8

 最近レンタルしたDVDに、やたらと予告編が収録されていて、半分根負けして見てみたら、これが意外に出来がいい。

 最近めっきり見ることが減ったニコラス・ケイジの自虐的自己パロディなんだけど、パロディ
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宇宙人のあいつ(2023年製作の映画)

3.5

 冒頭のシーンで、「なんか見たことのあるような海岸線だなぁ」と思ってたら、ガッツリ地元高知が舞台だったのね。ぜんぜん知らんかったちや(いきなりの土佐弁)。

 内容は可もなく不可もなくのドタバタ人情コ
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ユンヒへ(2019年製作の映画)

3.9

 小樽が舞台で、手紙がきっかけってこともあり、ちょっと岩井俊二監督の「Love Letter」を思い出してしまう。

 それぞれに想いを押し殺してきた二人の女性の時が、手紙をきっかけに動き出す。もっと
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The Son/息子(2022年製作の映画)

4.0

 「ファーザー」のフローリアン・ゼレール監督によるもう一つの親子の物語。これはきつい。

 毒親に育てられた子供が毒親になってしまうことは、往々にしてあること。自覚しながらも自分にされてきたことをつい
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生きててごめんなさい(2023年製作の映画)

4.0

踏切エンドは良作の証?

 特別じゃないけど特別になりたい彼と、普通じゃないけど普通になりたい彼女の共依存ラブストーリー。

 憧れと同情という相反する感情に支配される共依存関係は、心地いいけど泥沼に
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モリコーネ 映画が恋した音楽家(2021年製作の映画)

3.8

 モリコーネの名前は知らなくても、聞き覚えのある曲がずらり。子供の頃にテレビで見た西部劇の内容は覚えてなくても、印象に残っている曲はモリコーネによるものだったのかな。

生きる LIVING(2022年製作の映画)

3.9

 残念ながら黒澤明監督のオリジナルは見たことなくて、かの名作のリメイクとはどんなすごい話なのだろうかと、ちょっと身構えてた。けれど、話自体は捻ったところもなくすごくシンプルで、それでいて説明しすぎない>>続きを読む

映画 ネメシス 黄金螺旋の謎(2023年製作の映画)

2.9

黄金螺旋の意味ある?

 TVシリーズを見ていないのが悪いとはいえ、ここまでつまらない作品は久しぶりだな。

 この手の作品は、よく考えると意味のないギミックでも、見ている間はそれらしく感じさせてなん
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名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊(2023年製作の映画)

3.7

 原作が短編ということもあってか、著名な前二作に比べると小品という感じはあるけれど、これまでにないホラーテイストが新鮮で、これはこれで味わい深い。

ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

4.0

 続編、あるよね?

 正直、あんなにヘロヘロになってたら辿り着く前に絶対殺られなきゃおかしいだろ、と思いながらもそうはならないお約束が心地よい。でも、作を重ねるごとに、作り上げた世界観に縛られて身動
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あのこと(2021年製作の映画)

3.8

 女性だからと言って、社会的に制約を課せられなければならない道理はないはずなのに、そういう理不尽な制約に将来を阻まれようとしている主人公の焦燥感は痛いほど伝わる。

 でも、この娘はちょっと身勝手とい
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ザ・メニュー(2022年製作の映画)

3.8

 ネタバレ厳禁ってほどじゃないけど、なかなかレビューの書きにくい作品。

 グルメ映画のように始まりながら、背景の説明をほぼ排除してエキセントリックな演出で見る人を困惑させながら、サスペンスフルな展開
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