いち麦さんの映画レビュー・感想・評価 - 30ページ目

いち麦

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台風のノルダ(2015年製作の映画)

3.0

台風襲う中学校舎を舞台に少年二人の対峙する姿を描く。台風の日の非日常性からくる不思議な興奮と不安感が巧みに映像描写に取り込まれている。表現方法が超現実的で幻想的。スタジオコロリドの持ち味か…。アニメ>>続きを読む

陽なたのアオシグレ(2013年製作の映画)

3.0

グズグズの男の子もやると決めたらトコトンやるのだ。疾走する気持ちを超現実&アレもコレものオマージュてんこ盛りで表現したクライマックスの絵がアニメーションならでは…とても爽快。まさかのハシビロコウもナ>>続きを読む

涙するまで、生きる(2014年製作の映画)

4.0

民族の掟に縛られたままの生き方を全うしようとする犯罪拘束者と現実的な生き方を強く教える教師の交流。二人の変容へと辿る対話がどれも味わい深い。荒涼としたアトラス高原の景色が二人の人間らしさを一際引き立>>続きを読む

ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男(2014年製作の映画)

4.0

ファンクの帝王JBへのリスペクト色濃いネタの厳選。幼少期や晩年、更に絶妙なカット技で単調な伝記モノに陥らず躍動感溢れるドラマになっている。絶頂期のパフォーマンス・シーンが最高に揚がる。

ベアリー・リーサル(2014年製作の映画)

3.0

(カリコレ) 隔離され養成された女暗殺者が夢見た普通の高校生活…体験するミスマッチ感とワクワク感が可愛く眩しい。映画ネタ多くイイ塩梅に丸まるラストまで青春コメディ色強い。もうちっとアクションで熱くさ>>続きを読む

誘拐の掟(2014年製作の映画)

5.0

アクションの派手さはそれ程じゃないんだがどんな状況でもL.ニーソンの声を聞くともう安心できるこの安定感は貴重。サイコ・クライムも犯人側や多くの登場人物の背景次第でまだまだ面白い作品になるとつくづく実>>続きを読む

少年(1969年製作の映画)

4.0

(大島渚レトロスペクティブ) 当たり屋で稼ぎ日本各地を転々と移りながら暮らす親子一家の不思議な浮遊感。交わす会話は凡そ団欒の体から程遠く実の親子か似非家族かと訝しげで強く惹きつける。少年の言葉の端々>>続きを読む

あん(2015年製作の映画)

4.0

樹木希林お家芸のコミカルなおとぼけ演技が優しさ表現として馴染みじんわりと胸を締め付ける。技ではなく徳江の心に次第に共鳴していく千太郎の憂いは重く終盤の永瀬正敏にもジンときた。差別や長きに亘った国の愚>>続きを読む

イン・ユア・アイズ 近くて遠い恋人たち(2014年製作の映画)

3.0

(カリコレ) Z.カザンの柔らかい魅力を十分生かし、特殊な視覚能力をごく自然にラブ・ストーリーに繋げていて心地よい。相手を特別な存在と思うのは普通の恋愛と同じ。終盤の高まる緊張感やコメディ色も良い。

新宿スワン(2015年製作の映画)

5.0

スカウトの世界から見た歓楽街の裏側が非常に興味深い。タツヒコの優しさはどこまで生き延びれるか思わず応援したくなる。王子様寓話の辺りはちょっと失速感があったが上手く盛り返していた。綾野剛も山田孝之も相>>続きを読む

善き人に悪魔は訪れる(2014年製作の映画)

4.0

(カリコレ) よくあるクライム・サスペンスがストレートに展開。親切を施した相手に対し殺意のスイッチがどう入ったかはなかなかの見所。劇伴が煽りまくるが却ってない方がスリリングだったかも。オチには思わず>>続きを読む

SEX エド チェリー先生の白熱性教育(2014年製作の映画)

4.0

(カリコレ) 童貞教師というプライドと屈辱を抱き合わせた様な屈折した役処が今のオスメントに重なる。やはり表情の端々に演技の上手さが迸る。彼にも良きメンターがおり、教室モノの盛り上がりもあって後味良い>>続きを読む

ロスト・リバー(2014年製作の映画)

3.0

打ち捨てられた街で起こる事件に虚実を忍ばせたホラー・サスペンスの香り立つクリーピー物。配色と構図に拘り抜いたスタイリッシュな映像美とクールな劇伴、代替映像や暗喩も多く良い意味でリンチや最近のレフン作>>続きを読む

チャッピー(2015年製作の映画)

4.0

人間のアイデンティティや意識の実体・在処という興味尽きぬ問いに人間が作ったAIはどう答えるか…面白い切り口。心の交流は陳腐で退屈したが怒涛の結末では知的興奮を醒ます。このテーマに最初からフォーカスし>>続きを読む

孤独の暗殺者 スナイパー(2015年製作の映画)

4.0

(カリコレ) 映像優位と抑えた演出で静かに畳み掛けるヴァンサンの心中が胸に沁みる。射撃名手ゆえの物語展開やラストまで妻や娘との距離が何度も変化していく辺り新鮮な味わい。主演のR.カティブは勿論、L.>>続きを読む

ピッチ・パーフェクト(2012年製作の映画)

2.0

弾けるR.ウィルソンや怪しいH.M.リーに笑い処があってそこは良かった。どの楽曲も見事な音の仕上がり。いや余りに美し過ぎるハーモニーで逆に舞台パフォーマンスはゴメン…見ているとちょっぴりキモかったワ>>続きを読む

追憶と、踊りながら(2014年製作の映画)

4.0

白く痩身な身体で愛し合うライトだがコケティッシュな姿。リチャードとジュン…夫々がカイへの深い愛の記憶に耽る美しい演出。失った者を挟み二人が互いに抱く複雑な感情が言語の壁を崩しぶつかり合う様に揺さぶら>>続きを読む

デッド・シティ2055(2015年製作の映画)

2.0

トーマス・ジェーン扮する刑事のむさ苦しい風貌にちょっと目がいったがレプリカントも開発者もVICE総督も含めてキャラが皆とても薄っぺら。違う意味での二回の覚醒は大切な場面の筈が演出不足で盛り上がりない>>続きを読む

サンドラの週末(2014年製作の映画)

4.0

密かに弱い労働者の権利が蔑ろにされていく時代に素の人間性を考えさせられる。心苦しいサンドラや過酷な状況に立ち向かわせる夫にすら次第に納得し引き込まれた。難しい役だがM.コティヤールの心情表現は素晴ら>>続きを読む

儀式(1971年製作の映画)

4.0

(大島渚レトロスペクティブ) 一族の穢れの根源ともいうべき人間により執り行われる葬式と異常な結婚式。過去から未来まで全てを奪われた男の深い哀しみは一族からの解放までも続く。日本人の内なる陰部を徹底的>>続きを読む

愛のコリーダ(1976年製作の映画)

5.0

(大島渚レトロスペクティブ) 常軌を逸した定の行動や心理を圧倒的な性愛描写で解く。吉蔵の男根に溺れる定も狂愛を受け入れ定を愛しみ身を委ねる吉蔵も表情が美しい。ポルノがネタを求めるのとは逆にテーマが最>>続きを読む

リスペクト(2021年製作の映画)

5.0

父親や夫は彼女の才能を認め広めてはくれたが、同時に彼女を脅し支配する存在でもあった。男達に虐げられた彼女の心の叫びが歌に乗り胸を刳る。心情と見事にシンクロしたJ.ハドソンの歌唱が素晴らしく、ドラマへ>>続きを読む

エターナルズ(2021年製作の映画)

3.0

何となくエヴァっぽかったりX−MENっぽかったりもするが都合よく反目や裏切りが繰り出される物語の荒唐無稽さはやはりMCUならでは。多様性に配慮されたキャラクター勢はそれぞれ味があり魅力。アンジー演じ>>続きを読む

リピーテッド(2014年製作の映画)

5.0

フラッシュ・バックの様に蘇る記憶の断片…次々と明らかになる新事実。クリスティーン同様に戸惑い混乱し動揺。結局辿り着いた真相にそれ程の驚きはないが、N.キッドマンの巧みな表情やサスペンスとしての演出が>>続きを読む

パイレーツ(2014年製作の映画)

5.0

袂を分かった者たちが大海原を舞台に四つ巴の抗争を繰り広げる。笑いありロマンスあり…ダイナミックなアクションや雄大な自然など見せ場も多く全く飽きさせぬ大スペクタクル・エンタメ作。男眉にしたソン・イェジ>>続きを読む

フロム・ザ・ダーク(2014年製作の映画)

2.0

(カリコレ) シンプルな作りのホラーで刺激が弱い。終盤ちょっと期待感高まったがそっち系には行かず…全く怖くなくて残念。アイルランドの泥炭地を嫌がうえにも五感に訴えかける映像、台詞で情報を垂れ流さない>>続きを読む

セシボン(2015年製作の映画)

5.0

(カリコレ) '70年代の韓国歌謡喫茶で出会った仲間同士が響かせるハーモニー。髪型もファッションも全てが懐かしい様な、ちょっと気恥ずかしい様なこの時間と空間の不思議な温もり。やがて炙り出される青春期>>続きを読む

ザ・ヴェンジェンス(2014年製作の映画)

3.0

(カリコレ) 兄ジーと弟タンの血沸き立つ熱き復讐劇…細かい説明はすっ飛ばしズンズン進む。まぁ音響過剰なんだが見ていて痛くなる程のアクションは素晴らしい。それにしても異常なまでの生命力よ。二人の人懐っ>>続きを読む

ビデオゲーム THE MOVIE(2014年製作の映画)

3.0

(カリコレ) 特にコアな話はないが数々のヒット・ゲームの画面に懐かしさ一杯。N.ブッシュネルやハマったゲームのデザイナー、P.モリニューらの登場が嬉しい。無性に古いゲーム機を引っ張り出して遊びたくな>>続きを読む

ひまわり(1970年製作の映画)

3.0

新・午前十時の映画祭。今でこそ気になる点も多いがそれでも色褪せぬ名作。太陽のように快活で激しいジョバンナだからこそ静かに身を引く姿が一層切ない。S.ローレン以上にリュドミラ・サベーリエワの寂しげな表>>続きを読む

ゼロの未来(2013年製作の映画)

2.0

人生の折り返し点を通過し鬱々と病んだ男の精神世界を目眩く色彩美映像で表現。T.ギリアムの持ちネタとも言える演出が濃すぎて更年期男の切なき足掻きが霞む。ヴァルツもデイモンもスウィントンも持ち味殺され見>>続きを読む

メイズ・ランナー(2013年製作の映画)

5.0

状況不明な世界に投げ込まれ先が予測できぬサスペンスと悪夢を見ているようなスリルを堪能。3部作の1作目だが一区切りまで見せてくれたのも好感。原作未読、余計な情報も入れなかった分楽しめた。逆に2作目以降>>続きを読む

エヴァリー(2014年製作の映画)

3.0

(カリコレ) 日本のヤクザと組長の元愛人女性の屋内での死闘。日本人男性キャスト勢活躍…微妙に違和感ある台詞も滑らかな日本語で繰り出す。そこにエヴァリー演じるサルマ・ハエックのお顔が美しくフィット。ゴ>>続きを読む

国際市場で逢いましょう(2014年製作の映画)

5.0

涙なくして辿れぬ男ドクスの人生。幼子に親から授けられた言葉が一生胸に刻まれ生き方をも左右する。ファン・ジョンミンがこんな役処を演じるようになって感慨深い。物語自体泣き処多いが感情を揺さぶる演出も見事>>続きを読む

スライ・ストーン(2015年製作の映画)

3.0

ファンク・シンガーのレジェンド…その半生と素顔を追ったドキュメンタリー。屈託ない彼の音楽活動が幼少期の家庭環境にあったと実感。終盤の本人インタビューで数々の曰わくがぶつけられるも優しい反応を返す姿は>>続きを読む

祖谷物語 -おくのひと-(2013年製作の映画)

4.0

辺鄙な山奥深い自然に一体化する過酷な生活を、熱しやすく冷めやすい都会の病質を繰り返し対比させることで一層神々しく魅せている。大きな展開見せる終盤での幻想的な映像、流転や輪廻を想起させる演出も映画らし>>続きを読む