いち麦さんの映画レビュー・感想・評価 - 47ページ目

いち麦

いち麦

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LUCY/ルーシー(2014年製作の映画)

3.0

これ、スカヨハ好きには堪らないなぁ…次第に無敵化していく彼女をひたすらスクリーンで追い続けるシアワセ。嘘もあるしネジ曲げ過ぎな部分も多々あるが、様々な科学分野のネタを際限なく拡張した考察はなかなかの>>続きを読む

グレート デイズ! 夢に挑んだ父と子(2014年製作の映画)

3.0

肉体的にも精神的にもキツい歳なのに限界に挑む父と彼を突き動かした息子。次第に再生していく父と家族の絆。王道だがテンポよくコンパクトに纏まっていて好感。アルプス山岳地の景色の解放感も魅力。

ホットロード(2014年製作の映画)

4.0

和希の心中が実に分かりやすく冒頭から入っていけた。'80のコミックが原作だが見ていると'70の頃によく作られた虚構の世界の空気がありありと蘇ってきた。とても懐かしい。光を上手くあしらった美しい映像も>>続きを読む

マルティニークからの祈り(2014年製作の映画)

4.0

カリブ海の碧い海…夢の地での明けぬ悪夢に息が苦しくなる。隙もあった二人だし単に不運な事件と片付けられがちな物語でもあるところ流石は韓国映画…意外な悪役をきちんと定め徹底的にこき下ろす辺り抜かりない。

NO(2012年製作の映画)

5.0

反対諸勢力の束ね方と広告的手法が無気力棄権派に如何にアピールするかをつくづく実感。敢えてアナログVTRカメラで撮影した粗い映像だからこそ記録映像とも違和感なく繋がり全体の臨場感が持続。フッテージに意>>続きを読む

ケープタウン(2013年製作の映画)

4.0

人種差別に加えマンデラ政策の影をも背景に映し込んだクライムサスペンス。凄惨アクションを織り込みテンポよく闇の深部へと一枚一枚剥いでいく。つかず離れずのO.ブルームとF.ウィテカー演じる二人の対照的な>>続きを読む

ローマの教室で 我らの佳き日々(2012年製作の映画)

4.0

教師、生徒に関わらず人間を観る・理解することはなかなか難しい。夫々が真の姿を見せるラストのスライド感にドラマの躍動を感じた。学園モノ特有の説教臭さがない。よろめかぬスカマルチョ先生が渋かった。

クィーン・オブ・ベルサイユ 大富豪の華麗なる転落(2012年製作の映画)

5.0

もっと不愉快な気分になるかと覚悟していたが意外にも観賞後の気分は全く逆だった。D.シーゲル…ビジネス成功者に共通する、アイデアで多くの人たちを幸せにしたいと願う気持ちや根性。嫌みのない愛情いっぱいで>>続きを読む

グレート・ビューティー/追憶のローマ(2013年製作の映画)

5.0

普遍的な初恋懐古なのにもう圧倒的な映像と音楽の美しさで昇華し尽くされた世界にぐいぐい引き込まれる。主流に流れ込む幾つもの支流のエピソードも映画らしい演出で一瞬たりとも目が離せない。
ジェップのシニ
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リヴァイアサン(2012年製作の映画)

4.0

完全に映像のみで綴られる漁船ドキュメンタリー。カラカラと不気味な音をたてる漁網の鎖。甲板で揉まれ漂う一網打尽となった魚たちの接写映像…狩られた魚たちの視点。水中から空中が見え隠れするカメラが捉える不>>続きを読む

365日のシンプルライフ(2013年製作の映画)

3.0

テーマに反しスタイリッシュな映像や音楽でネガティブな印象を感じさせない演出は見事。実験結果の総括がラストやエンドロールに集約されてはいるが知りたかった困窮の実態が意外と描かれてなくて物足りなかった。

バルフィ!人生に唄えば(2012年製作の映画)

5.0

切なくも美しい純愛三角形。バルフィの豊かな愛情表現とジルミルのこぼれ落ちそうな愛らしい仕草が愛おしくて堪らない。ボリウッドの名優となったランビールとプリヤンカー…二人の言葉に頼らぬ演技力が素晴らしい>>続きを読む

太秦ライムライト(2013年製作の映画)

5.0

正に長年斬られ役一筋で活躍してきた福本清三氏本人のための物語。殺陣も立派な日本伝統文化の一つだろう。脇役端役のまま仕事を続けるプロ根性に涙。熟年者から技を変わらぬまま受け継ぐ若手がいることも素直に喜>>続きを読む

憂鬱な楽園(1996年製作の映画)

2.0

《台湾巨匠傑作選》相手の声が聞こえない電話、棘のように引っ掛かるチンピラ同士の会話。空回りと堂々巡りばかりする虚ろな生活のイラつき感・鬱屈感いっぱいなだけに時折挿入される列車、車、バイクの滑るような映>>続きを読む

童年往事 時の流れ(1985年製作の映画)

3.0

《台湾巨匠傑作選》台湾に移住した子沢山の阿孝(アハ)の家族。さり気なく大陸との比較を窺わせたり老いた祖母の力強い姿で家族の重心を感じさせたり興味深い。雨を映した幾つかのショットが渋く作品を引き締めてい>>続きを読む

ウェディング・バンケット(1993年製作の映画)

4.0

《台湾巨匠傑作選》サイモンの健気な愛に支えられた人々の束の間の饗宴。偽装結婚披露宴の乱痴気騒ぎが実に可笑しい。口に出して謂わずともお互い分かり合えてる関係が心地良い。安らかな着地点にもジンワリ来た。

ヤンヤン 夏の想い出(2000年製作の映画)

3.0

《台湾巨匠傑作選》ヤンヤンのキャラも面白いが少年の視点はあまり感じられぬまま父や姉の夫々の物語が展開。家族がみんな自分だけの世界を抱えながら暮らしている…という日常。父と昔の女の話はしっくり来なかった>>続きを読む

推手(1991年製作の映画)

4.0

《台湾巨匠傑作選》言葉が通じない、異文化ギャップの上に世代間ギャップがのしかかる生活は厳しい。家族との関係やその意味が大きく変わっていく老いの寂しさ。だが最後まで尊厳を失わぬ姿を見せてくれる辺り東洋的>>続きを読む

恋人たちの食卓(1994年製作の映画)

5.0

《台湾巨匠傑作選》三姉妹と父親の生活が新たに動き出すまでの心の機微をテンポ良く描くアン・リー監督の手腕に脱帽。家族が揃う夕餉の豪勢な家庭料理に垂涎。繰り出される中華料理の技の軽やかなリズム感も心地よか>>続きを読む

アンナと過ごした4日間(2008年製作の映画)

4.0

《イエジー・スコリモフスキ特集》きっかけがどうであれ対象への激しい執着が始まったらそれは愛なのだろう。レオンの朴訥でいじらしい姿と陰惨な半生に胸が詰まる。カットが絶妙で時間が切り替わる瞬間が心地良い。

水を抱く女(2020年製作の映画)

4.0

人間の男性と一緒になると幾つかの宿命を背負う水の精霊“ウンディーネ(原題)”を下地にした現代のラブ・ストーリー。ミステリアスな展開に最後まで引き込まれた。ガイド=ウンディーネによる都市開発に因んだベ>>続きを読む

MISS ミス・フランスになりたい!(2020年製作の映画)

5.0

自分は何者か?というジェンダー・アイデンティティーを探し求めるアレックス。TではなくQであろう、その心の揺れと決意がよく伝わってきた。日々蔑視と闘う女性たちの支持を得ていく過程は胸を熱くさせる。個性>>続きを読む

プロミスト・ランド(2012年製作の映画)

4.0

社会的問題を背景に大切な人間性回帰を中心に据えた大テーマながら考える切り口を幾つも提供してくれる…そのくせ殆ど押しの強さを感じさせぬ淡さも魅力。様々な人物の味わい深い台詞を通した細やかな描写が心に残>>続きを読む

イントゥ・ザ・ストーム(2014年製作の映画)

3.0

PoV的演出が却ってドラマを嘘っぽく薄っぺらにしている。だがクライマックスの数十秒間…竜巻に呑まれた感覚だけは映像+音響の相乗効果で凄かった。大画面大音量の劇場で“イントゥ”しないとつまらないと思う>>続きを読む

ローマ環状線、めぐりゆく人生たち(2013年製作の映画)

3.0

人生の1コマ1コマの断片を綴っているのに人間の終着駅を見届けるまでの壮大なドラマを見るような不思議な感覚が沸き起こった。害虫駆除に勤しむ植物学者の言葉が全体のナレーションの様にも響いた。

ソニはご機嫌ななめ(2013年製作の映画)

4.0

ホン・サンスお馴染みの配役と俳優陣。チョン・ユミ演じる今作の女子大生は図らずもがななんだが実は始終男どもからチクチクとやりこめられっぱなし。モテモテでチヤホヤされてる分だけ彼女の自尊心はどこか満たさ>>続きを読む

ヘウォンの恋愛日記(2013年製作の映画)

3.0

女子大生の夢想の様な恋愛話。恋人は妻子持ちの大学教授…何とも甘えん坊の幼稚な男で笑える。“秘密”が聞いて呆れるほどアッケラカンのイ・ソンギュンのさらけ出しが最高。これまたホン・サンス的キーワードに溢>>続きを読む

フィル・ザ・ヴォイド(2012年製作の映画)

4.0

《三大映画祭週間)》ユダヤ文化を垣間見る…想像を膨らませる面白さ。ラビ:指導者の存在感。日本とは似て非なるお見合い。娘が心を開かぬのなら母も腹を割らぬ。日本人の本音と建て前、口数少ない奥ゆかしさとは全>>続きを読む

サムソンとデリラ(2009年製作の映画)

3.0

《三大映画祭週間》台詞少なく映像詩のよう。現代アボリジニの貧困から脱せぬ生活を考えさせられる。自由奔放は不十分な教育と慣習や思考を容易に変えぬ意固地さの裏返し…善悪とは別の次元でも歯痒い。少女の変容と>>続きを読む

ヴィクとフロ、熊に会う(2013年製作の映画)

4.0

《三大映画祭週間》物語の細部は語られぬが強烈なインパクト…何とも不快で不気味な作品。パーカッションを使った音響や不穏なショットが警告のように何度も入りただならぬ結末を早くから予感させる。タイトル(原題>>続きを読む

フットノート(2011年製作の映画)

4.0

《三大映画祭週間》 研究分野も被る同じ大学教授でライバル同士の父と息子。研究職そのものやアカデミズム全体への皮肉たっぷりに展開する実に人間臭い悲喜劇。漂うイスラエル流スノッブさが何となく鼻についたがこ>>続きを読む

ロンドン・リバー(2009年製作の映画)

5.0

《三大映画祭週間》同時多発テロから連絡を絶った娘の身を案じた母がロンドンで娘探しを始める。異文化の人間同士が理解を経て辿り着く救いは激しく胸を打つ。驚きや不安感を一緒に感じるほどブレンダ・ブレッシン>>続きを読む

ムーンライティング(1982年製作の映画)

5.0

《イエジー・スコリモフスキ特集》3人の技術工を従えワルシャワからロンドンに入国し部屋改修の不法就労をする男。時代背景も織り込み危うい均衡が次第に失われていく基調に細かいスリリングな問題が絶えず付きま>>続きを読む

出発(1967年製作の映画)

3.0

《イエジー・スコリモフスキ特集》軽妙にシーケンス繋がる青春暴走劇。ポルシェに惚れ込みハイテンションではしゃぎまくるジャン=ピエール・レオが眩しい。鏡との戯れ、車の開き等印象的。ジャズの疾走感とシャン>>続きを読む

ザ・シャウト/さまよえる幻響(1978年製作の映画)

3.0

《イエジー・スコリモフスキ特集》アボリジニの呪術を身につけた闖入者クロスリーと靡く妻レイチェルの不快さ。クロスリーの回想かアンソニーの見届けか…二人の抗争を象徴している様な曖昧で不思議な入れ子構造が>>続きを読む

ダニエル・シュミット-思考する猫(2010年製作の映画)

4.0

インタビュー、フッテージ、作品の引用から構築される映像のしっかりしたドキュメンタリー。ファスビンダー、シュレーター、カーフェン、ベルタ…彼を取り巻く人々や作品の俳優達の素顔を見られて嬉しい。