このレビューはネタバレを含みます
真実と嘘の境界が故意に曖昧にされた、プラトニックな愛の人間関係を描くムービー。
一度回想内で進んで過ぎ去った時系列に対して、また別の回想が挿入されて戻ってそれを補う、または修正する(洞窟のキスシーン>>続きを読む
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人間と動物の諍いと死を目の当たりにしながらも歩みを全く止めない自然、その風景の移ろいを収めたショットの数々に、荘厳さと美しさがまとわりついていた。
人間の諍いに自然は全く関与せず、その厳しさを保ち続>>続きを読む
この映画の意義の一つは、原爆の爆発と音の非同時性を描写した点にあるように思われる。つまり最初に爆発が遠くで起こり、その後に風と音がたどり着く。この距離感というのを原爆の描写に用いることにより、単なるキ>>続きを読む
淡い色合いで描かれる高知の風景に溶け込む一般の人達の生活音が、話し声がとても尊く聞こえてくる。その尊さを受話器を母機ごと持っていって廊下で友達と通話するとこなどのディティールの細かさが裏打ちしている。>>続きを読む
この断片だけではゴダールが何をしたかったかを理解するのは難しいが、トロツキー的逸脱により共産党を追放された作家シャルル・プリニエの『偽旅券』の映画化がコラージュの一つとしてあるようだから、それを解読し>>続きを読む
白と黒の、光と影の世界のイメージがたびたび挿入される。それは1日の終わりに定期的に挿入される夢幻のシーンだけではなく、役所広司演じる清掃人が撮影し現像される写真にも当てはまる。この2つに通ずるのは過去>>続きを読む
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入れ子構造になっている劇中映画の冒頭とラストシーンを、実際の尺の冒頭とラストに持ってくる。この構成から、ラストシーンへの観客の関心を向けるとともに、2つの「映画の幕を閉じる」観念を表現することへの固執>>続きを読む
キスショットが駅に出現した際に、阿良々木暦の背景で次々に街の電灯が消える演出がある。この時の黒と光の色に2極化されたモノクロチックな色彩が、アラン・レネ『二十四時間の情事』でエマニュエル・リヴァと岡田>>続きを読む
夫婦の関係が決定的に変わるところにしか、夫婦の役者にクロースアップを用いない点の徹底ぶりが見られる。そういう意味では、ジャン・リュック・ゴダールの監督作品にしては、夫婦関係の変化がわかりやすい作品に思>>続きを読む
ナチスの残党が作った集落を抜け出した少女が、隠れ家で出会った小ブタ二匹に人間の身体と知能を与えるというのがストーリーの大筋(モチーフは『三匹の子豚』だろう)だが、この映画の見せ所は、やはりコマ撮りア>>続きを読む
山の中腹でエンコした乗合バスに居合わせた運転手、車掌のほか、東京から里帰りした踊り子、戦争で片足を失った男、あんまなどが繰り広げる一期一会の会話劇を中心としている。
ほとんどのシーンが山あいでのロケ>>続きを読む
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多数の人間に相互に絡み合う恋愛模様をオムニバス的色彩を強めて描く映画。
女性社長とその友人にして部下の女性が、青を基調にした光に包まれながら、タバコの火を細い巻紙を通して直接に分け合うプールでの>>続きを読む
『おジャ魔女どれみ』がフィクションでありながら、リアルの人に与えざるを得ない影響について、製作陣が強く自覚できていたからこそ、この作品が生まれたのだろう。
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この映画の多くのシーンで暴力と殺人、それを象徴する血液や武器が登場することが多い中で、なぜ最後はサミュエル・L・ジャクソンが強盗を生かし逃がしたところで終わるのか。
これは、対比的に浮かび上がる生とい>>続きを読む
線の細く淡い色使いと暗く思いよどんだ色使いの使い分け。ひたすら動くショットと静かなショットの対比。テーマ曲の曲調の使い分け。悪魔と純潔。これらが、神権政治の抑圧と(性も含めた)解放のテーマを強調する。>>続きを読む
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戦争に対して冷ややかながら、軍事需要で利益を挙げるエリートとその子どもと、その子に対して敵意をぶつける子どもたちの漠然たる対立が髪型によって言外になされている。この時代に付与されがちな、安易な国民の画>>続きを読む
旧ソ連圏各国で市井の人々を撮影した映画。
ドリーまたは固定で撮影されるカメラと、それに撮られる人々との随所で変化する関係が興味深い。ある者は気まずさゆえかコーヒーカップにしきりに口をつけ、ある者はカ>>続きを読む
老いたヒーローの悲哀を描きつつ、ときおり身体的に無理の出ている感を隠さず、でもアクションはちゃんと面白く作っている冒険映画。
あの発明家に会うところの、感動しているにも関わらず、打ちひしがれていた現>>続きを読む
物語内の偶然性により、最初に訪れた書店に、散歩した公園に回帰するタイプの映画。そして俳優に大きく依拠した作品である。
モノクロとワンシーンワンショットを徹底し、ひたすら長回しにより俳優の演技に基づく>>続きを読む
2023年の大映映画祭にて鑑賞。人生ではおそらく3回目の鑑賞となる。
役者を画面の中央に収めようとする努力に惜しみがなく、結果として見やすい画面が続いてありがたい。一方で、仲代達矢を収めるショットで>>続きを読む
二人の男の子を撮るショットは、定点とドリーで組み合わせるショットがほとんどであった。イジメを受ける子供をある種傍観的に見つめる。にもかかわらず、台風一過の清々しい草原を、障壁の取り去られた架線から境界>>続きを読む
ダンスをするショットと、病院で頭を寄せ合うショットにおける、ダスティン・ホフマンとトム・クルーズのツーショットが感傷に浸らせつつ、たびたび流れるハンス・ジマーのクールなテーマ曲によって抑えてあって、バ>>続きを読む
実際の戦争の記録映像を交えつつ、王政国家に徴兵された兄弟を軸に戦争を風刺した映画。
記録映像に残された死体や殺戮兵器の惨たらしさに対して、映画スタッフたちが撮った映像のショットがインパクト、誠実さ共>>続きを読む
ロバート・レッドフォードが演じる戦争に嫌気が差し町を捨て山に籠もった人物が、山で暮らす世捨て人・開拓者・商人等と出会い、ネイティブ・アメリカンの民族と交易・敵対し、または結婚するというような物語。>>続きを読む
ボストンの工事現場、ピーチ城での訓練、クッパ城の突撃等のシークエンスで挿入される横スクロールのアクションのショットが、スーパーマリオというコンテンツにおける大きな特徴は効果音とそれであることを示す。映>>続きを読む
誰の視点なのか分からない(あるいは神かもしれない)ショットが積み重なることで、抽象度が増し、ロバ自体の感情が読み取りにくくなっている。この点に、鑑賞者たる人間の単純な感情移入を妨げる異化効果があるよう>>続きを読む
ジェームズ・スチュワート演じる政治家が発展した町の開拓時代の頃の話を回想し、そこにジョン・ウェイン演じる早撃ちのガンマンやリー・マービン演じる用心棒リバティ・バランスが関わってくる。
暴力と銃による>>続きを読む
テレビシリーズの劇場版で、高山みなみ演じる江戸川コナンと林原めぐみ演じる灰原哀に対して、盗み出した顔認証システムによって彼らを追い詰める黒の組織との対決が主軸となる。
娯楽映画としてかなりの優等生ぶ>>続きを読む
ジェームズ・スチュワート演じる牧童とモーリン・オハラ演じる英国から来た未亡人を軸として、テキサスで繰り広げられる西部劇の様相を借りた、牧童としての成功物語。
西部劇としてみれば派手なアクションに乏し>>続きを読む
ババク・アハマドプール演じる小学生が、自分が間違えて持ってきてしまった友達のノートを返しに遠くの校区にある友達の家に行く話。そこに至るまでに、自らの生活を優先させる人々と瞬間的に会話するロードムービー>>続きを読む
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ロシアより暗号機械レクターを盗み出すためにイスタンブールに潜入したショーン・コネリー演じる諜報員ジェームズ・ボンドと、陰謀に利用されるダニエラ・ビアンキ演じる保安局員の逃亡活劇。当時の東西冷戦が背景と>>続きを読む
アメリカ政府が関わる判事暗殺事件の陰謀事件の真相にたどり着いたジュリア・ロバーツ演じる法学部生と、真相を追うデンゼル・ワシントン演じる新聞記者のバディものクライムサスペンス。
特筆すべきところは特に>>続きを読む
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鈴木亮平演じるゲイの編集者を軸として2部構成で展開され、前半は宮沢氷魚演じるウリ専のゲイ青年との同性愛を、後半は阿川佐和子演じる青年の母親との疑似親子愛を描いている。
脚本・映像ともに徹底的にナチュ>>続きを読む
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BSPの録画で鑑賞。
ベニスで療養するダーク・ボガード演じる音楽家が、療養先で出会ったビョルン・アンドレセン演じる青年に向ける感情が、コレラの蔓延によって廃墟化してゆくベニスを背景に描かれる。
ボ>>続きを読む
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【4回目】
亀有movixにて。そういえば、劇中に映画タイトルと同名かつ類似展開を推測させる劇が展開されるという点では、澤井信一郎の『Wの悲劇』と同じ入れ子構造にある映画だったとも言える。
【2回>>続きを読む
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二度目の鑑賞。
牧歌的な情景のなかで走り回る子どもたちをロングで撮影するカットの多用が印象的。また、船着き場から発着したり、海をたゆたいながら進む船を横から写したり、自転車で走るシーンは何度も挿入さ>>続きを読む