櫻さんの映画レビュー・感想・評価

櫻

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映画(746)
ドラマ(11)

幕末太陽傳(1957年製作の映画)

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地獄も極楽もありゃしないなら、悲劇さえも笑い飛ばして生きてやろうじゃないか、とばかりに、ちゃきちゃきわいわい動きまわる佐平次。毎日てんやわんやの遊郭。賑やかに華やぐモノクロの画面が、だんだんと鮮やかな>>続きを読む

おもちゃの国(2007年製作の映画)

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なんとまあ、ふたり並んでピアノを連弾する姿のかわいらしいこと。昨日まで仲良くしていた友達がホロコーストに連れていかれるなんて息子に言えなくてついた母のやさしい嘘。それが'おもちゃの国'なんて魅力的な場>>続きを読む

日の名残り(1993年製作の映画)

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夕暮れは最も人々が待ちわびる時間であるらしいが、明るい光の中にあった日々を名残惜しむ時間でもある。車のハンドルを握り、あの頃を思い起こしながら、向かうはその光の中で共に過ごした忘れがたき女性のもとへ。>>続きを読む

エミリー(2013年製作の映画)

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「孤独はひとりで向き合うものよ」と彼女は言った。誰といても完全に埋まるはずのないものを、一度肌を重ねたくらいで埋まるようなら皆苦しまないはず。この言葉はずっと彼女の中にあったのか、事後にやっと出てきた>>続きを読む

ミルク(2008年製作の映画)

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まだ大人でもなく、少年でもない曖昧な危うさを秘めたその青い心が、鮮やかな葉が風に揺れるたびに、しずかにかき乱される。あたたかな母の眼差しがこちらだけに向いていないことを知ったその日から、なぜだか仄かな>>続きを読む

オリヲン座からの招待状(2007年製作の映画)

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8ミリカメラに残ったぼやりとした日々は、脳内では鮮明に色付きで思い出せる。朝の光のように良い時も曇天の暗い昼間のように悪い時も、いつも隣にいてくれたこと。蚊帳の中へ放たれた蛍のぽわっとした光が揺蕩うよ>>続きを読む

おじいちゃん、死んじゃったって。(2017年製作の映画)

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人が死んだら悲しいと思うのはきっと、名前を呼んでも返事が返ってこなくなるから、体温を感じられなくなるから、動かなくなるから、二度と目を覚まさなくなるから、自分と同じようにその人に生きてる実感を感じられ>>続きを読む

地球に落ちて来た男(1976年製作の映画)

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落ちてきたのはうつくしい赤毛の男。地球は汚染されていて、水だけがその身体の飢えを潤す。いつしか水が酒になり、すっからかんだった懐が抱えきれぬほどに増え、この星では何もかもが順調なはずだった。時はめまぐ>>続きを読む

人生に一度のひとめぼれ(2010年製作の映画)

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どれだけ年を重ねても、心だけはあの頃のまま。毎朝、彼女の読書する姿に一目惚れして、はじめて会ったみたいに言葉を交わす。微笑ましいのに切ない。やさしい嘘ってすきだな。寂しそうに笑う人がすきだ。

素晴らしき哉、人生!(1946年製作の映画)

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あなたがいない人生なんて、そんなもの考えられない。あなたの隣には彼女がいて、その向こうには彼がいて、彼女もいる。ちゃんと目を凝らして見れば、こんなにやさしい人たちに囲まれて生きていたんだよ。不運によっ>>続きを読む

(2007年製作の映画)

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生まれたばかりのように青々とした葉。うっすらと霧のかかった曇り空。淡く霞んで境目を隠して、静寂とうつくしさを放っている。やさしい顔をしたその人は遠くからやって来て、すっとまた消えていく。一番はじめにこ>>続きを読む

トウキョウソナタ(2008年製作の映画)

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ぼーっと辺りを見渡しても、見えるものなどひとつもないような薄暗がりの中。じわじわと足元に迫ってくるのは、濃度の濃い理不尽や不安などが溶けた水。あっという間に肩まで水位が上がってきて、もうどうしたらいい>>続きを読む

雨の日は会えない、晴れた日は君を想う(2015年製作の映画)

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ぽっかりとした空虚な心。行方知らずの悲しみ。そこにはまるピースをうろうろと探しても、どこにも見当たらない。何を間違ってしまったのだろう。

探しまわって疲れて目を閉じると、君の姿が見えた。きれいに笑っ
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ジョニーは行方不明/台北暮色(2017年製作の映画)

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暮れゆく街をネオンが照らし、道路には止まらぬ車が走り続ける。故障して停車したままの車には目もくれず、ただ通り過ぎて行くだけだ。たくさんの人とすれ違うというのに、心を通わせることができる人はどれほどいる>>続きを読む

斬、(2018年製作の映画)

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かんかんと鉄の塊を強く叩く音が鳴り響き、スクリーンでは火花が飛び散っている。鉄を溶かし変形させる火は、何をも燃料としながら燃えさかり、どこまでものぼっていく。誰かが消火させない限りは、周辺のものが消滅>>続きを読む

エターナル・サンシャイン(2004年製作の映画)

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目が覚めたら、君のことも、君と過ごした時間も、そのすべてが記憶から消えていたなら。きっとそんなことも知らずに、朝食を食べて、身支度をして、電車などに乗って仕事先へ向かう。それでまた誰か別の人と出会った>>続きを読む

バルバラ ~セーヌの黒いバラ~(2017年製作の映画)

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"主人公はバルバラ?それともあなた?"

バルバラの吸う煙草の煙に巻かれて、あちらとこちらの境界はやわらかく纏わりつく。今観ているのは、ブリジット演じるバルバラなのか、ブリジットとしてのブリジットなの
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ストレイト・ストーリー(1999年製作の映画)

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いくつになっても忘れられないあの頃のこと。同じ空を見つめていた時のこと。君は覚えているだろうか?


終わりの始まり。出会いと別れ。その繰り返し。そうやって何人を見送ったことだろう。手を振りながら、風
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彼らが本気で編むときは、(2017年製作の映画)

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やさしく微笑むその顔には、数えきれぬほどの痛みを耐えてきた逞しさが滲んでいる。ゆっくりと動く所作のひとつひとつが丁寧でうつくしい。「あんな心のきれいな人に出会ったら、男も女も関係ないんだよ」一目惚れし>>続きを読む

PASSION(2008年製作の映画)

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私とあなたの関係はいとも簡単に崩れ落ちてしまう。共に過ごした時間、心に生まれた気持ちの強さ、私から見たあなたの良さについて、、、あなたと私に関する全てがどんなに強固なものに感じられようと、きっとそれは>>続きを読む

らくだの涙(2003年製作の映画)

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あるがままの大地で暮らす、モンゴル人の家族。風が砂を踊らせ、山々はできたての形で遠くに立ち、空はその上を青や黒に塗りつぶす。三層になった自然美は、障壁なしに辺りをぐるりと囲む。昼は青い空が静かに佇み、>>続きを読む

愛は死より冷酷(1969年製作の映画)

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ファスビンダー 長編1作目。無機質な白い壁と夜道の闇のコントラスト。真実を明かし合うことが許されないギャングたちは、飴の包み紙よりも薄い友情で繋がっている。男ふたりのホモソーシャルな関係に、女ひとりフ>>続きを読む

小カオス(1967年製作の映画)

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ファスビンダー 2作目の短編。日々の憂鬱を強盗で晴らそうとする若者たち。ターゲットの女性に拳銃を向けつつ、金銭のありかを探る。ワーグナーのレコードが流れる中、モディリアーニの裸婦の絵が燃えていく。大金>>続きを読む

都会の放浪者(1966年製作の映画)

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ファスビンダー 1作目の短編。街で何気なく拳銃を拾った男。抑えていた死への欲望が静かに湧き上がるが、実行する勇気がない。捨てることもできず、彷徨い歩く男の頭に積もる雪が哀愁を漂わせる。どうすることも赦>>続きを読む

贅沢な骨(2001年製作の映画)

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割れやすい三角関係。この3人はミキサーに入れられた金魚と同じ。狭い部屋で、息苦しそうにぱくぱくと口を開けて泳いでいる。分かりやすい肌の感触を求めて、心は渇いていく。不確かさの中には一寸の光。煙草の煙は>>続きを読む

ドライブイン蒲生(2014年製作の映画)

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ドライブインは長居させちゃいけない。なぜならどこかへ行く途中にあるから。お腹を満たしたら、皆それぞれ違う場所に向かう。なんか違うなあと思ったら、また来た道を戻ればいい。ドライブインは同じ場所にがらーん>>続きを読む

絞殺のブルース(1980年製作の映画)

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「ボーイ・ミーツ・ガール」のベースとなる作品。闇の中に立つ男の顔は見えない。ライターの火に照らされ、胸元はぼうっと浮かび上がる。彼の姿よりも、早口のモノローグが耳の鼓膜を擦りながら素早く駆け抜ける。日>>続きを読む

ぼくを葬る(おくる)(2005年製作の映画)

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自分で自分を葬ること。死を目前にして、意味なく感じたものたちが、とても煌めいて見えてくる。生あるものはいつか死にゆくから、その煌めきもいつかは消えてしまう。愛する人たちの顔も、今見た景色も、全て覚えて>>続きを読む

生きてるだけで、愛。(2018年製作の映画)

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この世界のブレーカーはすぐに落ちてしまう。お惣菜すらも温められないほどアンペア数が低い。冷たいままでは嫌だから温めようとチンするけど、あっという間に真っ暗になる。何も掴むものがなくて、一生このままなの>>続きを読む

白夜(1971年製作の映画)

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闇夜にはぼうっとした光が揺らめき、寂しげな顔を照らし出す。灯ったり消えたりする光に浮かび上がるのは、言葉や秘めたる気持ち。身体はここにあっても心はどこか遠くにあるような女と、相手を見ているようで見てい>>続きを読む

愛、アムール(2012年製作の映画)

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どんな荒波も手を取りあって乗り越えてきただろうふたり。ともに過ごしてきた歳月の結晶のような家。止めどなく溢れようとする水と、それを止める手。少しずつだが確実に老いて衰弱していく愛する人。

生きていて
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パリ、テキサス(1984年製作の映画)

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どれだけ願っても会えない君のことが焼きついて剥がれない。長い間、時計の針は止まってしまって動かないまま。あの白い光の中で笑いながら隣にいた。夢のように幸せだった。今でも強く強くあの頃を想いながら、虚ろ>>続きを読む

百年恋歌(2005年製作の映画)

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(1966年)恋愛の夢
目が覚めても忘れられないあの夜。ビリヤードの玉をつく後ろ姿も、失敗した時にくしゃっとしかめた愛おしい顔も、かつかつという靴音も、すべて鮮明に思い描ける。君のことなどほとんど知ら
>>続きを読む

影の車(1970年製作の映画)

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物足りない日常から逃げるように、痴情の海に溺れていったふたり。不倫に後ろめたさを感じていた男は、不倫相手の子どもに幼少期の自分自身を想起するようになる。幼いながらに母の恋人に向けていた憎悪と、その末に>>続きを読む

13回の新月のある年に(1978年製作の映画)

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痛みや哀しみが喉元まできて溢れていってしまいそうなのを、ぐっと堪えて飲みこむようにして笑っていた彼女の最後の顔を思うたびに、胸がぎゅっと苦しくなる。何を間違えてしまったのか、何を間違えなかったのか。い>>続きを読む

第三世代(1979年製作の映画)

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意志と表象としての世界。現実と虚構の境界線はどこにあるのだろう。そんな質問はきっと愚問だ。嘘は真実であり、真実は嘘であるのだから。男子トイレの落書き、本の引用句のような会話も、何も意味を成さぬものだ。>>続きを読む

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