櫻さんの映画レビュー・感想・評価

櫻

星の数での評価はしません。

映画(699)
ドラマ(10)

うつせみ(2004年製作の映画)

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私たちはどこにいるのか、誰といるのか。私があなたといる夢を見ているのか。あなたが私といる夢の中に、私が入ってしまったのか。夢うつつを彷徨うでもなく、その境があわいにあるような不思議さ。浮遊するあなたの>>続きを読む

高校教師(1993年製作の映画)

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ひとりぼっちの僕たち。いくつもの失敗。廃墟になった水辺の公園。出港しない襤褸な船。あの日に立ちすくんだままで進めないのに、時は足早に去っていってしまう。傷だらけの空っぽの身体を、やさしくあたためてくれ>>続きを読む

アタラント号(1934年製作の映画)

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水中でじっと目を開けて、見えた顔はいつだってあなただった。きっと昨日も今日も明日だって変わらない。あなたは水中で何が見えただろう。私たちは船の上で、旅をするように一緒に生活する。同じ場所にとどまっては>>続きを読む

あみこ(2017年製作の映画)

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すぐに運命を信じてしまえるほどの純粋さも、見当はずれだったことへの熱量も、痛々しいのにものすごく眩しい。期待も絶望も昇華させて疾走できるのは一種の才能だ。眩しさの根源は、迷いのなさや執念深さによるもの>>続きを読む

うなぎ(1997年製作の映画)

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自分のことがいちばん分からない。ある時は静かで穏やか、またある時は凶暴で残虐な性質が顔を出す。自分と相手の間に生まれる愛。その強い引力は、信頼や優しさなどによって平衡が保たれているらしい。しかし、それ>>続きを読む

無頼漢(1970年製作の映画)

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江戸は天保の改革により質素倹約。文化娯楽が禁じられ、面白くない楽しくないと江戸の庶民の不満は膨らむ。いくら禁じられてもしたいことして暮らすんじゃなきゃ生きてる甲斐はない、と弾圧に耐えきれぬ芝居役者やら>>続きを読む

春夏秋冬そして春(2003年製作の映画)

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山奥の湖に夢幻の如く浮かぶ小さな寺に、僧と幼い坊主がいた。その寺は世俗とは隔てられており、船を漕がなければ外の世界の者は立ち入れない。彼らはどこから来たのか、なぜこんな場所にいるのか。それは誰にも分か>>続きを読む

永遠と一日(1998年製作の映画)

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私たちはどこから来て、どこへ還っていくのか。いつも霧がもやもやと目の前を霞ませて、行く手を見えなくさせる。私の足はどこへ向かっているのだろう。あの国なのか、それとも君なのか、あるいは、生か死か。

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顔たち、ところどころ(2017年製作の映画)

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私はこのふたりの旅の記録を観ることができて、ふわふわしたやさしいものに包まれたような幸福感を心底感じてしまっている。年の差なんてものはきっと互いの心の持ちようで、いくらでも寄り添えたり、離れたりできた>>続きを読む

空気人形(2009年製作の映画)

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心なんて持たなければよかった。所在不明でぼんやりとしたものなのに、なぜこうも惑わされたり、苦しめられたりして生きていかなければならないのだろうか。街では沢山の人とすれ違う。だけど、心は通わせず、互いが>>続きを読む

キスより簡単(1989年製作の映画)

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娘はだんだん母に似ていく、というけれど、いかほどに当てはまるのだろう。たしかに、まあこと母の行動は似ているのかもしれないが、似て非なるものなのだと思う。彼女の猫のような奔放さの所以は、あまり執着心を人>>続きを読む

愛について、ある土曜日の面会室(2009年製作の映画)

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ある刑務所の面会室へ、様々な思いを抱えて沢山の人がやってくる。制限された短い時間の中で、溢れんばかりの感情や思いを交わし合う。日常から切り離されたその狭い部屋で、ある者は決意し、ある者は戸惑い、悩む。>>続きを読む

ハッピーエンドの選び方(2014年製作の映画)

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誰にとっての幸せなのか。その先に死しかないのに、病室の中で苦しみながら生き長らえていく苦しみも、今まで簡単にできていたことができなくなって、覚えられていたことがどんどん忘れていってしまうことの哀しみも>>続きを読む

ダメージ(1992年製作の映画)

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人を愛する という行為に 狂気 が孕んでいることに気づいた頃には 時すでに遅し。家族も何もかもが破滅し、最後の悲哀に満ちたモノローグがその全てを物語る。ずっと終わらないと思っていた夢がとてつもない悪夢>>続きを読む

優しさ(2014年製作の映画)

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本当に突然のことだった。あの衝突事故のあと、気づいたらあなたは変わり果てた姿で地に横たわっていた。

冷たくなっていくあなたの身体。額と足からは血を流し、目は虚ろで、もうすぐあなたが遠くへいってしまう
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終わりゆく一日(2011年製作の映画)

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一日のはじまりは、おわりへのはじまり。明るい空がだんだんと暗くなり、街は翳りゆく。夜、暗くなった空、街はネオンで明るく照らされる。

幾度もかかってくる電話。受取手は、いつまでも不在を貫いている。返事
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寝ても覚めても(2018年製作の映画)

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いつかの夢、靄の中を歩いていく彼女は誰を待っていたのだろう。夢から覚めずに、だけど心だけははっきりとしていて、彼女すらも分からない方向へと足を進めていた。心の向くままに向かった先には、彼はいないかもし>>続きを読む

愛しのアイリーン(2018年製作の映画)

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愛だけではお腹はふくれないけれど、愛がなければ心は満たされない。その釣り合いを保つのは本当に難しいことだ。ふたりのはじまりが金銭の発生するものであったとしても、人と人が出会って、言葉を交わしながら探り>>続きを読む

西北西(2015年製作の映画)

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その心がどこにあるのか、何を考えているのか分からないから、目線の先を追っている。同じ部屋にいるのに、あなたのことがわからない。祈るべき方向を見失ってしまったから、孤独の皮膜を何層にも重ねて分厚くしてし>>続きを読む

グッバイガール(1977年製作の映画)

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いつもさようならなんだ、と彼女はがっかりした顔で言っていたけれど、本当にそうだよね。出会いも別れもそれなりに経験してきたつもりだから、彼女ほど生きていない小娘でも、すべて減っていく一方なのだとなんとな>>続きを読む

世界一美しい本を作る男 ―シュタイデルとの旅―(2010年製作の映画)

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世界一美しい美術書をつくる彼のもとへ、世界中からオファーがやってくる。量より質、なによりも丁寧に本を制作したいという気持ちが強い彼は、ひとりひとりと直接打ち合わせをするために、世界中を飛び回り納得がい>>続きを読む

悪い男(2001年製作の映画)

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これが純愛ならば、世のほとんどが純粋であることになってしまう。もう私は何が純であるのかすら分からなくなってしまった。もしかしたら純愛は清らかで穏やかなものではなく、暴力的でエゴイスティックなのかもしれ>>続きを読む

浮雲(1955年製作の映画)

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ふたりは漂流の共犯者であった。どこまでも流されていく。追いかければ逃げていき、反対に避ければ駆け寄ってくる。上手く歩み寄れず、思いきりよく離れられもしない。ひとりがもうひとりを見つめればもうひとりは俯>>続きを読む

ロッタちゃん はじめてのおつかい(1993年製作の映画)

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ロッタちゃん、あなたは本当に楽しい子。金髪ボブに白い肌、赤がとってもよく似合う。あたし何でもできるのよって得意げに言うおしゃまさん。笑った顔も、ふてくされた顔も、べそかいちゃった顔も、ころころ変わる表>>続きを読む

おとぎ話みたい(2014年製作の映画)

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「どうしようと思った時には心はいつもどうしようもなく足りないと思うことは、かつて満ち足りていたという証左に他ならないのだが、いつも不在だけがその人の輪郭をかたどるように今私が手にしているものなど何もな>>続きを読む

わが恋せし乙女(1946年製作の映画)

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彼の恋せし乙女は、白い洋服に包まれて捨てられていたところをやさしい彼の家族に拾われた子であった。血の繋がらない兄と妹、されど兄は兄でしかなかった。それ以上の熱情を静かに燃やしていた彼のことを知るよしも>>続きを読む

野良猫ロック ワイルド・ジャンボ(1970年製作の映画)

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からから笑い転げながら、ジープを走らせる。いつまでも遊んで暮らしたい、面白ければなんでもいい。外野なんて気にするな、自分たちだけ楽しければいい、とばかりに好き勝手やる若者たち。それでも、満たされない。>>続きを読む

スイートプールサイド(2014年製作の映画)

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君が欲しいものを持っている僕と、僕が欲しいものを持っている君。全然違うのにどこか似ている僕たちは秘密を共有した。隠れ家にした橋の下の影で、ジョリジョリと音を立てて、取れていくものと増えていく気持ち。新>>続きを読む

自由が丘で(2014年製作の映画)

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流されているのは人なのか、それとも、時間なのか。手紙という時間の器を落としてばら撒けば、現在が過去になり、過去が現在になる。行ったり来たりを繰り返して、風の少ない日の川のように日々を過ごす。想い人を探>>続きを読む

潜水服は蝶の夢を見る(2007年製作の映画)

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長く深い眠りの海から浮き上がった時、彼は伝えるための声を無くした。記憶も、現在も、未来も、すべてが閉じ込められ、身体の自由を奪われた。右目を縫い閉じられ、半分だけになった世界はなんて眩しくて、残酷で、>>続きを読む

玉城ティナは夢想する(2017年製作の映画)

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「ああ、もしかして私は、そんな女の子たちの心の、集合体なのかもしれない。」

少女の口からことばが吐き出される時、すべてが詩となって浮遊する。憧憬も羨望も、どろどろした感情も、醜さも、風とともに踊り出
>>続きを読む

神様なんかくそくらえ(2014年製作の映画)

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路上でのその日暮らし。退屈な街の雑踏を生きのびていくための物乞いとドラッグ。押さえきれぬ感情をむき出しにして、時の刹那を流れていく。命の尊さや明日への希望なんて言葉は、彼らにとってはただのガラクタ。>>続きを読む

人生はビギナーズ(2010年製作の映画)

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いつもはじまりはおわりで、おわりははじまりだった。仄暗い雲の中で、ひとりきりで佇んでいた。誰にも知られずにいつも涙を流していた。誰かを必要としていながら、誰かといることが怖い。しだいに膨れ上がった雲は>>続きを読む

こわれゆく世界の中で(2006年製作の映画)

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輪の中に入れた者と疎外された者。人と人を繋ぐものとは何か。血縁なのか、愛なのか、時間なのか、、、。輪の中にいる者は、外にいる者の気持ちはもちろん、なぜ入ってこられないのかも分からない。だから、輪に入れ>>続きを読む

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)

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きみはどこへ向かって飛んでいく。分からない、という歌がきこえる。僕らには、朝も夜も関係なかった。ふらふらと彷徨いながら、これからも生きていくのだと思っていた。

あいつは何を考えて生きている?どこを目
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人生フルーツ(2016年製作の映画)

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人は空と土の間で生きているのだと、毎日は手づくりしていくものなのだと。日々頭の片隅で考えてはいながらも、どうしても難しいと諦めそうになっていた、生活の中の穏やかな光、その豊かさ。コンクリートの硬い壁に>>続きを読む

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