かじられるさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

かじられる

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薬指の標本(2004年製作の映画)

4.4


死の誘惑は生の喜びと隣り合わせに。

主人公のイリスは工場で薬指の先端を失い、ふと迷い混んだ森の中で標本技術師の受け付けの職にありつく。

標本といっても依頼されるのは記憶から遠ざけたいものだけで職
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みちていく(2014年製作の映画)

3.7


手や足や口や耳なんかの奥に私があって小宇宙をかたどっている。

陸上部だから体を酷使することもできるけど、心の空虚感は去らない。

私って何?

そんな大人になる前の不安や悩みを掠めとるように機敏に
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ローラーガールズ・ダイアリー(2009年製作の映画)

4.2


何だか色々楽しい (^o^)

まずは配役の妙。

夢見るように瞳を潤わせハニカミ顔で視線を漂わせるエレン・ペイジ。

親の価値観を押し付けられ自信なさげな彼女もローラーゲームに出会うことで徐々に世
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レザボア・ドッグス(1992年製作の映画)

4.2

クールもクール。確かにクール。

「無意味」さのクール。

バケツをひっくり返して水一滴も出ないクール。

「ライク・ア・ヴァージン」を巡る会話、チップ論争、カラーネームでのミスターピンクの抵抗。
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打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?(1993年製作の映画)

3.8


慈しみが胸を離れなかった。

子供たちが世界を手探りする懸命さ。

大人の事情を垣間見て何かを察しようとする姿。

恋はいつも女の子の方がませていて、男の子は焦ったり馬鹿なことでごまかしたり。

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気分を出してもう一度(1959年製作の映画)

3.5

ブリジット・バルドー初見。

とにかくやたらにセクシー ♪(´ε` )

出るとこ出てるしセックス・シンボルとして一時代を築いたのも納得。

旦那さんにかけられた殺人容疑を晴らすべく奮闘するコメディ映
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胸騒ぎの恋人(2010年製作の映画)

4.5


植物の種子が風に煽られて飛散するように

ゲイもヘテロも無くて

恋は自由でどこにでもあるように振り回す側と振り回される側がいて

喜びも苦しみもスローモーションで胸に迫り

来たるべき期待と来たる
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かしこい狗は、吠えずに笑う(2013年製作の映画)

4.3

あるところに二人の女子高生がいました。

ひとりはチワワ似のカワイイ系イズミ、もうひとりはブルドッグ似のブサカワ系ミサ。

二人は同じ同級生にイジメられ友達もいなかったことから仲を深めていきます。
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フランシス・ハ(2012年製作の映画)

3.8

フランシスは走る。

心地良い寝床を探すため。

虚勢を張れる友人を探すため。

周りが次々と進むべき道を決めていく中、冷めた視線を浴びながらも。

爽快に見える足取りも地に足が着いてなくて彼女なりに
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白ゆき姫殺人事件(2014年製作の映画)

3.8

脳裏を流れたのはクリープハイプの「火まつり」の歌詞。

城野(井上真央)が容疑者に上がるや否や、同僚や知り合いや地元の人々はおろか、SNSに至るまで、まるでトランプを重ねるように疑惑の視線が高まってい
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おとぎ話みたい(2014年製作の映画)

4.1

10月10日メモ
山戸結希監督 要チェック

ジャン・ジュネばりの詩的なナレーションや独白が散りばめられていくバレエ少女の恋の物語。

セピア色の画面が奏でるように現実と虚構、過去と未来が折り重なり
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ゴーン・ガール(2014年製作の映画)

4.0


うーん、残念 (-_-;)

レビューを書こうにもネタバレになってしまうのでストーリーに触れることができない。なのでエイミー視点からポイントを俯瞰してみます。

当初、この作品に関して何の予備知識も
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横道世之介(2013年製作の映画)

4.2


特に起伏のあるストーリーでもなく、特に印象的な映像もなく、特に目立つ登場人物もいないのに、この「横道世之介」が沁み入るような温もりを持ち、あまつさえ涙まで誘うのは何故だろう。

世之介は心の扉をそっ
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裏窓(1954年製作の映画)

3.7

えーと、これヒッチコック監督の「裏窓」ですよね?間違いないですよね?自分にはラブコメディにしか見えなかったんですが、どなたかこの中に「俺も」とか「私で良ければ」という方はいらっしゃいませんか?

人間
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アイリス・アプフェル!94歳のニューヨーカー(2014年製作の映画)

4.2


アイリス・アプフェル。

彼女の周りに集うデザイナーや編集者の顔には常に笑顔や憧憬の表情が浮かんでいる。94歳にて最高のファッションアイコン。

普通これくらいの年齢になられると往時に思いを馳せ、過
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ちはやふる 上の句(2016年製作の映画)

3.9


いつの時代も青春映画が絶えないのは戻りたくても戻れない郷愁があるから。

だから時に思いが強すぎて綺麗事を並べるだけになっちゃう。

でもこの作品が違うのはいくつもの視点といくつもの層を重ねているこ
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リップヴァンウィンクルの花嫁(2016年製作の映画)

5.0


感動することなんて最初から分かっていた。

この映画は七海と真白が互いの孤独を回復することで物語性を獲得していくお話しですが、偽物と本物の変遷、変わりゆく価値観の鳴動などが描かれている分、二人の親密
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靴に恋する人魚(2005年製作の映画)

4.5


一般的な名作と画するように、あくまで個人的な名作ってありませんか?

私の場合「スモーク」「空気人形」「腑抜けども悲しみの愛を見せろ」「もらとりあむタマ子」「女子ーズ」あたりか。

そしてこのマイナ
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ビューティー・インサイド(2015年製作の映画)

4.0


この際、本音を言ってしまおう。

「外見だって立派な中身だと思うんです」

服装だって髪型だって喋り方だって、その人なりの考えやら個性やらが反映されてる訳で、同じ言葉を吐くにしてもリズムや声の高低、
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蜜のあわれ(2016年製作の映画)

3.8


人目を引く真紅のジャケット。

主演はふみ様。

じゃあ貸りるしか手はないっす。

擬人化した金魚の赤子と幽霊のゆり子と老作家のコメディタッチなラブストーリー。観終わった後はほっこりした余韻があるん
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時をかける少女(2006年製作の映画)

4.5


泣いた。

一夏に起こった刹那の瞬間をキレイに切り取っている。

マコトは不器用だけど人のことを考えてタイムリープしてる。

自分の気持ちから逃げてきたけど最後には勇気を振り絞って向き合ってる。
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時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)

4.8


ええい、もどかしい。痒い所に手が届かない。

前半まではそのセンスの凄さにため息が出た。

襲撃やレイプシーンでもクラシック音楽を常に鳴らし、典雅な印象を与えている。「雨に唄えば」や早回しの使い方。
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ヴァンパイア(2011年製作の映画)

3.6


かるーい気持ちで「リップヴァンウィンクルの花嫁」レンタル近いぜ祭と称して鑑賞。

が、岩井さんにしては抽象的で独創性が高くビビリました (・_・;

主人公サイモンは人の血を抜くことに密かな楽しみを
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娚の一生(2015年製作の映画)

3.9


その、照光降り注ぐ庭先で干された鮮やかな染物のように、つぐみの気持ちが揺れ出したのはいつからだろう。

姿見の前で髪を梳かした時から。

海江田に一喝された時から。

ひたすら強引で一途なその言動に
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ブリングリング(2013年製作の映画)

4.0


ダメだ。

ソフィア・コッポラのセンスが好きすぎる ( ^ω^ )

冒頭から映し出されるバッグやらパンプスやらジュエリーの後の射抜くようなイエローのタイトル文字「THE BLING RING」のド
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ほとりの朔子(2013年製作の映画)

3.8


今回のふみ様は「ヒミズ」や「私の男」のように想いの丈を叫んだりしません。自然体で年齢そのままの美しさを堪能できます。

でも演技はやっぱり上手くて、叔母から鼻の穴のことを指摘されて照れるところ、かわ
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神様なんかくそくらえ(2014年製作の映画)

3.8


ただ見入ればいい。

何も言葉はいらない。

全ては彼らの日々から語られる。

汚れた服装、耐えない口論、盗み、アルコール、抗不安剤、ヘロイン。

ストリートで暮らす現状が余すことなく映されていく。
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紙の月(2014年製作の映画)

4.3


本当の幸せって何だ?

確かに梅沢がやったことは犯罪でどこにも行き着かず、彼女が告白するように全部ニセモノの世界に過ぎないけど、それと一般的な幸せとの差は何だろう?

したり顔の「愛」なんていらない
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死刑台のエレベーター(1958年製作の映画)

3.4


実験『西野カナとジャンヌ・モローは手をつなぐのか』

「ジュテーム」と呟くだけで絵になるからフランスは卑怯 (^^)日本語だと「好いとーよ」(博多弁)あたりが好きですが。

この映画を語る上で欠かせ
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イット・フォローズ(2014年製作の映画)

3.7


この映画の場合、映像効果や奇妙なテクノサウンドはさておき、「それ」とは何か考えざるを得ない状況に追い込まれました。ホラーとかサイコサスペンスってシンプルな方が楽しいんですけどね 。

ややこしや (
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クワイエットルームにようこそ(2007年製作の映画)

3.8

「軽すぎず重くもない」と言えばまるでキャリーケースの評価みたいですがこの映画はちょうど良い質感を持って懐ろに収まってくれます。

とかく重たくなりがちな閉鎖病棟の話も個性溢れるキャラクターやシュールな
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アフター・ウェディング(2006年製作の映画)

4.2


clipしたのはこのジャケットに一目惚れしたから。

内容も予備知識も何もなし。高評価なのも何気に気になったし。

で、鑑賞後。

裏切られました。でもいい意味で。

ジャケットの女性アンは泣いてい
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ロシュフォールの恋人たち(1966年製作の映画)

4.8


ひゃっほい (^O^)

ココロが踊る。

男も踊る。

女も踊る。

軽妙に踊る。

恋をしてるんだ。Jazzyに身を任せて何が悪い?

ファッションは飾る。

ポップに魅せる。

色違いの美し
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アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)

3.8


まずレア・セドゥの変貌ぶりに驚きました。これが「美しい人」で気怠そうに振る舞っていた人?髪、青いじゃないすか。うーん、でも似合ってるし、男装喫茶みたいだから許そうと変に納得。

話の内容はレズビアン
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undo(1994年製作の映画)

3.7


「緊縛」なんて言葉を打つ日が来るとは…

岩井俊二監督デビュー作。トヨエツ若い!今は立派に枯れてきてるのに。

妻である萌美は夫婦間に吹き始めた隙間を埋めるため、色々なものを糸でぐるぐる巻きにして
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草原の実験(2014年製作の映画)

4.1


聡明な少女の瞳に最後に映ったものは何?

彼女が望むものはただひとつ。慎ましい毎日を過ごすことだけ。

この映画ではセリフが一切無く、全ては景色や表情の描写によって語られますが、その沈黙は重苦しいも
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