かじられるさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

かじられる

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マリー・アントワネット(2006年製作の映画)

3.8

靴、ドレス、扇子、お菓子、髪飾り、プチ・トリアノン。全部ぜーんぶ見てて幸せになる色合いとデザイン。

特に不妊のストレスから豪奢に耽溺していく場面で、スピードよく写し出されて行く各アイテムのカワイさと
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小さな悪の華(1970年製作の映画)

3.4

似通った感情は、相方がいると倍増する。

協応し、個人の枠を越えて行くからだ。止めどなく、知らぬこともなく。実態を伴わず。

牧夫に体を許さず、小鳥を殺しては涙する少女たちは、偶発的にも重大な犯罪に手
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野獣死すべし(1980年製作の映画)

3.9

シェル・ショックで塗り固められた神経には一片の愛も届かず、狂気の道をまっしぐら。

「リップ・ヴァン・リンクル」の陶酔ぶりは、まるで神のよう。

でも神も狂気も紙一重。その存在を確かめるかのように音楽
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ショート・ターム(2013年製作の映画)

3.6

痛みは人に伝わらず、想像することしかできない。

同じ痛みを分かち合う者でさえ、最後は自分でその傷を乗り越えるしかない。

痛みには出口がない。見えない壁を互いの方向から眺め合い、アクションで示唆する
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フローズン・タイム(2006年製作の映画)

3.7

基本的に人が覚えているのは後になって後悔する一瞬だけ。

けど、日常は様々な意味に満ちた瞬時が絶えず更新されており、気づくこともなく過ぎて行く。

欠けがえのない美しい瞬間だけをカンヴァスに書き書き留
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ルビー・スパークス(2012年製作の映画)

3.5

甘ったるい理想を抱いていても、いつかは雫がこぼれて落胆するだけ。

それを自ら手放し、雫ごと受け入れようとしたカルヴィンは大人になったね。やろうと思ってもできることじゃない。

先に含みを持たせるラス
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アメリ(2001年製作の映画)

3.9

例えばネパールには行ったことはありませんが、地図や様々なニュースによれば、おそらく存在するのでしょう。

肌で触れたことのない現実でも、「多分そうなのだろう」と言う蓋然性の中で生きる、この怖ろしく楽観
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エスター(2009年製作の映画)

4.4

疾走感。背後に迫る恐怖。先の見えない闇。

サイコサスペンスの基本的要素を十二分に満たしています。

不思議なことにエスターの正体を知ってからは、同情する部分もありました。殺すことはともかく、誰にも受
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SOMEWHERE(2010年製作の映画)

3.9

退屈さを、退屈なまま、退屈に表現した映画。

同じ場所を延々と走り回る車。退屈なポール・ダンス・ショー。安っぽいセックス。石膏を塗り固められるワンショット。どこか噛み合わないイタリア人との会話。

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ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール(2014年製作の映画)

4.8

ジブリは見たことありませんが、「心を和ませる」「ほっとさせる」ものならば、この映画を愛するようにジブリも信じます。

ベル・アンド・セバスチャンのスチュアート・マードックが監督を務めたミュージカル映画
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空気人形(2009年製作の映画)

4.3

ラブドール、ノゾミは板尾さんの分身であり、自己愛の変形に過ぎません。
そしてそれはどこにでも転がる空虚な欲望の一例。

川べりでおじいさんが語る吉野弘の詩はこの映画の中核をなしています。そしてみな気付
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薔薇の葬列(1969年製作の映画)

4.0

ヒッピー、マリファナ、学生運動、乱交パーティと激動の時代を背景に繰り広げられる、愛憎劇。

前衛映画なんでしょうが、エディとレダの決闘シーンなどコミカルな場面多数。けど時折織りなされる不協和音が、エデ
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腑抜けども、悲しみの愛を見せろ(2007年製作の映画)

4.3

最初、この映画貸りる予定なかったです。けど、立ち去り際、このささるようなタイトルとサトエリの射すくめるジャケがどうしても目から離れなくて…

各々の口からは「家族」という単語が発せられますが、気ままな
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さくらん(2007年製作の映画)

3.0

監督が蜷川実花さんのため、原色まみれのかくも美しき世界。

主題歌を唄う椎名林檎がバックを盛り立てます。

何度となく繰り返される金魚のイメージ。

所詮、歌舞伎スター並の花魁も金魚のように輝ける世界
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誰も知らない(2004年製作の映画)

4.4


全体的にセリフが少なく、主人公の長男、明のふとした表情や視線、仕草がイメージとして重なっていく。

誰をも魅了するストーリーを持ち合わせているわけじゃないですが、観終わった後の、ずっしりとした余韻。
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おんなのこきらい(2014年製作の映画)

3.6


陰で女性には毒を吐くだけ吐いて、一転オトコには媚を売る女の子の話。

だが次第に、男性からも美味しいとこどりで愛されてないことに気付き、あげく本気で好きになった人にもフラれる。

秀逸なタイトルは逆
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さよなら歌舞伎町(2015年製作の映画)

4.0

愛慾は時に最も反社会的行為であるがために、交接する二人の事情は最も社会的に密接していきます。

ただこの映画が暗くなく、どこかしら暖かいのは、そのほとんどの登場人物が「愛」と向き合っているから。

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百万円と苦虫女(2008年製作の映画)

4.2

ふとしたことから前科持ちになってしまった女の子が、罪悪感に耐えかね百万円を手にあちこち転々とする話。

彼女は自分や他人を傷つけるのが怖く、殻に閉じこもっている。笑顔が固い…バイト先の亮平に恋をするも
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ヴァージン・スーサイズ(1999年製作の映画)

4.2

フロイトは晩年、人には盲目的に生きる衝動と共に、「死の衝動」があることを発見していますが、セシリアの死はまさにそれで、彼女は単純に死にたくて死んだのでは?

最大の恐怖である死は、それを望む者にとって
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人のセックスを笑うな(2007年製作の映画)

3.7

恋愛初期にある、照れや甘さに焦点が当たっているためか、三角関係と言えども重苦しさがない。

キャストの演技もごく自然で、アドリブでやってない?と思うほど。スタンドを立てたまま自転車こぐとか、コトに及ぶ
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苦役列車(2012年製作の映画)

3.8

本能剥き出しの言葉が口癖で、どんどん人間関係を悪化させていく「ありのまま」(社会性のなさ)が悲しくも情けなくも、面白かった。とにかく生命力に溢れていて憎めない。

裸の全速力。何もないって、なんだって
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女子ーズ(2014年製作の映画)

3.9

怪人が現れても女子特有の人間関係で揉め出す。
闘っている最中に消臭剤を買いに行く。
桐谷さんなんて「ウ○コ、ウ○コ」と連発。
挙句の果てにはムロツヨシに電車移動で絡まれ…

お腹一杯のシュールな戦隊モ
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愛の渦(2013年製作の映画)

3.5

社会的身分は様々あれど、真の平等を思わせる乱行パーティもコトが終われば元の鞘。

短時間でも人間関係は構築しては破綻し、性の饗宴に影を投げ掛ける。

乱交というタブーに飛び込んだことを認める男と認めな
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イニシエーション・ラブ(2015年製作の映画)

3.8

ダマされることが分かってて、ダマされることの快感。あとはダマされ方次第ですが、楽しかったです。

ジャケットにここまで書いて大風呂敷を広げたけれど、負けていない。

オー・ヘンリー・エンディングの傑作
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海街diary(2015年製作の映画)

4.3

どんなに頑張っても美しい映画。鎌倉の風情が彩を添えています。

長女・綾瀬はるかの葛藤が面白かった。
プライドの高い人って、自分の弱さに目を向けたくないだけかも。

けど今作は、台本なし、監督指示のみ
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ヘルタースケルター(2012年製作の映画)

4.0


「美しくありたい」という女性に顕著な願望を自らの意志によって永遠化しようとし、その「美」すら消費されていく社会に対して徹底抗戦を試みるりりこ。

たとえそれが勝ち目のない戦いだとしても、彼女は折れな
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セッション(2014年製作の映画)

3.0

父性は屹立し、時に「殺し」の衝動さえ掻き立てるため、父親に認められてるニーマンにとっては、フレッチャーの狂気は初めての父性だったかも。情熱なんてとうに超えてるし。

いっぱしのプライドも努力もフレッチ
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マイ・インターン(2015年製作の映画)

4.3

インターンが70代という初期設定でもう勝ちだと思いました。仮想『続・プラダを着た悪魔』で観るとさらに面白い。

ベン(デ・ニーロ)の素晴らしいところは、
1.プライドにしがみついていない。
2.冷静沈
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闇のバイブル 聖少女の詩(1969年製作の映画)

3.7

何やらロリータ界のカルトムービーだそうで。

元々、旧チェコはルドルフ2世が魔術に耽溺した歴史もあるため、この映画でも、東欧のほの暗さに混じって、怪人や吸血鬼が出て来ます。とにかく幻想的で美しく、うっ
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プラダを着た悪魔(2006年製作の映画)

4.9


「あたし何やってるんだろ」とか、「昔と変わったね」とか言われながらも、目の前の仕事をこなしていくことで、人として成長していくリアリティ。

苦行にも似た試練でも、知らないところで羽根は伸びていくもの
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