『捧げられた祈り』
語り尽くされたこの作品に、こんな風変わりな解釈を与えることは出来ないだろうか?
殺害現場となった廃屋を訪れたアナを発見した父親が、自分の目の前に居るアナを追い掛けなかったのは>>続きを読む
『マイダン革命・ウクライナ戦争を仕掛けた戦争屋おばさん』
驚くべきことだが、シカゴ大学の国際政治学者ジョン・ミアシャイマーによるとオバマ(当時の米大統領)とバイデン(当時の米副大統領)はウクライナ>>続きを読む
『寓話的マジック・リアリズム』
マジック・アワー(色彩豊かな薄暮)に流れる「Calling You」の幻惑的なコード感は我々の住む世界の直ぐ隣にある魔術的現実(マジック・リアリズム)への入り口をプ>>続きを読む
『無意識—創造の源泉—への旅』
心理学者カール・グスタフ・ユングが提唱した元型の一つである老賢者(old wise man—白髭の爺)こそは、この作品での大おじに投影された人格であると思われる。>>続きを読む
『タナトスの怪物』
とても難解な映画である。
憤怒。憎悪。怨念。嫉妬。悔恨。屈辱。
あらゆる負の感情の元となる黒くて邪悪なエネルギー。斯様なおぞましくネガティブなエネルギーが具象化して顕現したと>>続きを読む
『児戯の悦楽』
本作「シェイプ・オブ・ウォーター」の良さは、例えば10歳の頃にジュヴナイル小説を夢中になって読んでいる時に感じていた、あのこぢんまりとした箱庭的世界観にあると思うのだ。
一歩間違え>>続きを読む
『 blue 』
僕の部屋の片隅にはDVD「ベティ・ブルー」を包んでいたあの碧いスリーヴケースが飾ってある。
「ベティ・ブルー」がある種の神話性を帯びて見えるのは、ゾルグとベティのカップルがまる>>続きを読む
『夢見る映画』
"Everything begins and ends at exactly the right time and place."
>>続きを読む
『「スター・ウォーズ」と「パリ、テキサス」』
8ミリフィルムの中の若く美しいジェーンを観たハンターは言う。
「あれは遠い昔、遥か銀河系の彼方でのこと・・・」
このセリフは、「スター・ウォーズ」のオ>>続きを読む
『種と種を蒔く人』
監督ペドロ・アルモドバルは神話的なプロットを現代の設定の中に再現して見せることにより我々の倫理観や愛に対する価値観に揺さぶりを掛ける。
種を蒔く人、ベニグノ。
この物語は、自>>続きを読む
『神の視点』
とても温かで清々しく幸福な鑑賞後感に包まれる。
殺害現場となったビルの家の庭に巨大な星条旗がはためく。
アメリカ。
東欧からの異邦人であるセルマにとって憧れのミュージカル映画の都で>>続きを読む
『愛という名の支配』
終盤の3分間窒息ゲームでプールの水の中に潜らされたオスカーの姿は、彼のそれまでの人生そのものだ。
目を瞑(つぶ)り、身を屈め、頭を押さえつけられて息も出来ぬほどに抑圧された人>>続きを読む
『王国の在り処(ありか)』
"Why don't you do what you dream, Bastian?
CALL MY NAME!"
「無」に侵蝕され崩壊してゆくファンテイジアの王女で>>続きを読む
『冥府魔道(めいふまどう)』
本作のオープニングでの、イヴがファッション業界からの引退を宣言する記者会見のシーン。
虚ろな眼で息も絶え絶えに自らの業界での活動を振り返るその場面には、長年に渡る苦悶>>続きを読む
『ファッションと暴力と死』
アレキサンダー・マックイーンのデザインは、我々の内に潜む暴力性に火を点けてくれる。
小綺麗なだけで当たり障りの無いデザインばかりの昨今のファッションブランドとはかけ離れ>>続きを読む
『王子さまとは誰だったのか?』
主人公であるパイロットが降り立った場所。
物語の中でサハラ砂漠の何処かと説明されるその場所には、不思議な既視感が感じられる。
荒涼とした大地が広がる、世界の始まりを>>続きを読む
ジョニーがジェシーと再会したら、きっとこんなことを伝えるんじゃないかな。
ジェシーへ。
君が好きな「オズの魔法使い」に登場するカカシやブリキのロボットみたいに、僕たちは誰しも自分に重大な欠落があ>>続きを読む
『死の匂いに彩られた鮮烈な生』
ゴダールの映画を観る体験には、自分の中の過剰な自意識と対峙するという自虐の楽しみがある。
ベトナム戦争、アルジェリア戦争、第二次中東戦争・・・
全編に渡って付き>>続きを読む
『美しき虚無』
パトリシア(ジーン・セバーグ)は尋ねる。
「『野生の棕櫚(しゅろ)』(フォークナーの小説)読んだ?
最後の文章が素敵なの
ー 悲しみと虚無では悲しみを選ぶ ー
どっちを選ぶ>>続きを読む
『最後の審判』
When my life is through
人生が終わる時
And the angels ask me to recall the thrill of them all
「ワク>>続きを読む
『ファニー&クール☆スウィンギン・ロードムービー!』
古来、この世で一番スウィングしてる奴等といえば猫!と相場が決まっている。
フランス産スウィンギン・キャッツどもの勇姿を堪能出来る、これぞ知る人>>続きを読む
『鞭打ち(Whiplash)の如きイニシエーション』
この映画における音楽の描写については賛否が分かれるところかも知れない。
しかし、物語を理解する上で添えるべき重要な補助線として、この作品は音>>続きを読む
『スウィングしなけりゃ意味が無い』
(☆この映画はDisneyプラスで観れるよ!)
痛みに満ちた青春映画といえば近年では「セッション」があるが、本作「スウィング・キッズ」もまた奇しくもスウィングジ>>続きを読む
『未来へと続くY字路』
算数のテストでの解答の記入法について、主人公バディのお祖父ちゃん(キアラン・ハインズ)は意味深長なアドバイスを孫に授ける。
「答えを書く時にはな、7と1をどちらにも読める>>続きを読む
『大英帝国の矜持』
戦時下の市井の人々の人生を描いた映画で、かつてこれほどまでに明るく胸のすくような、前向きなエネルギーに満ちた作品があっただろうか。
主人公の少年ビリーの父親は出征し、ドイツ軍の>>続きを読む
『宇宙的人生観』
ドレスデンとトラルファマドア。
二つの場を結び付ける鍵は、「観察者の視点」であろう。
三次元に生きる人類であるビリーには四次元の存在であるトラルファマドア星人を視認することは>>続きを読む
『∞ HANNAH ∞』
記憶とは不思議なものだ。
我々は時系列の掟を逃れて物事を体験することは出来ないが、思い出は時の縛りを軽々と飛び越えまるでランダムに我々の脳裏に甦って来る。
特に子供との思>>続きを読む
『「SING/シング:ネクストステージ」の予習編』
まさかボノが声優としてライオンを演じ、この映画の中でプレイされる曲が(2曲も!)アニメ映画で唄われる日が来る等とは当時映画館で本作を観ていたU2>>続きを読む
『青い影』
「俺たちは足取りも軽くファンダンゴを踊りまくった。
フロアを側転して駆け抜けるみたいに。
そしたらまるで船酔いしたみたいな感覚になっちまってさ。
けど客は「もっとやってくれ」なん>>続きを読む
『エデンの園を追われる者』
薬剤投与による知能障害改善実験にサンプルとして参加することで長年の夢であった知性を獲得し、劇的な知的進化を果たす主人公シャルル。
そうして彼が体験した人生は鮮烈な刺激に>>続きを読む
『Both Sides Now』
そよ風のようなエミリア・ジョーンズの歌声と同様に爽やかに過ぎてパンチの無い映画。
それでも、勿論十分に楽しめた。
バークリー音大の入学オーディションで歌われる>>続きを読む
前作「戦火のナージャ」と同様またもや破茶滅茶なストーリーの中に今作では更にメロドラマ的味付けが加えられ、観る者の感情に揺さぶりを掛ける。
結局のところ、全体主義国家の体制と戦争に為すすべもなく翻弄さ>>続きを読む
「太陽に灼かれて」の続編で三部作の真ん中にあたる。
前作「太陽に灼かれて」が製作された1994年はソ連崩壊からわずか3年後であり、その当時のロシア人が感じていたであろう挫折と悲哀がかつてのスターリン>>続きを読む
『火球と気球』
ロシアの歴史を知るために。
見るからにちっぽけなスターリンの気球に敬礼するドミトリ。その表情は狂気じみた自嘲的な笑みに満ちており空恐ろしいというほかない。
自身の私怨による理不尽>>続きを読む
『映画に潜まされたグローバリズム』
2月24日ロシアはウクライナに軍事侵攻を開始した。
日本のメディア上では「狂人プーチンの突然の暴発により、ロシア軍によるウクライナへの侵攻が始まった」という単>>続きを読む
再見してガラリと印象が変わり、演出の妙にいたく感心した映画。
この映画で描かれる主人公の少女ケイラの日常はイケてないなりに一見平穏が担保されているように見えるが、その日常の中に突然不穏な暴力性が忍び>>続きを読む