jamさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

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もみの家(2019年製作の映画)

4.0

生きていく
自分の力で
けれど、決して人は独りでは生きてはいけない

彩花がどうして不登校になったのか
それはこの作品で触れることはなかったけれど
その硬く結んだ口元
伏せた眼差し
強張った肩のライン
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his(2020年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

映画を観る時、登場する誰に共感できるかがその作品を楽しむひとつのポイントだと思うのです。


そういう点で言えば、今泉監督のこの作品で私の心が寄り添えたのは、渚の妻、玲奈。
愛した人と結婚し、
その愛
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黒い司法 0%からの奇跡(2019年製作の映画)

4.3

絶望は正義の敵だ
希望があれば前へ進める


「アラバマ物語」を恥ずかしながら知らなくて
このドキュメンタリーのような映画の舞台、
モンロービルの人々が誇らしげに語るそのストーリー
白人弁護士が無実の
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一度死んでみた(2020年製作の映画)

3.6

人間ってなんで前もって後悔できないんですかね…

天国への案内人、火野氏(この名前も実は…笑)が計にしみじみと語る

いつでも出来ると思ってることが
いつか急に出来なくなる

ただひたすら笑いたい一心
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レ・ミゼラブル(2019年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

それぞれが必死に生きている
たとえそれがいけないことと分かっていても
そうすることでしか生き抜けない
そんな想いが観ている間じゅう頭の中を巡り


フランスを訪れたことがない者にとって
テレビや雑誌で
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星屑の町(2020年製作の映画)

3.9

最近は映画ばかり観ていて、
舞台を観る機会がめっきり減ったけれど
以前はストレートプレイ、ミュージカル、小劇場と、演劇の魅力に取り憑かれて足繁く通っていました。

生の舞台の良いところは
挙げればキリ
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ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方(2018年製作の映画)

3.9

自然は完璧だ。

ジョンとモリーが愛犬トッドを連れて移り住んだのは
LAから北へ1時間のカリフォルニア州


野生動物のカメラマンの夫と料理家の妻
食の質は作物の農法から。
夢はあらゆる食材を育てて、
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男と女 人生最良の日々(2019年製作の映画)

4.0

共に生きられなかったが
死ぬ時は一緒に


男は89歳
女は87歳


人の心と身体は
努力しても少しずつ、少しずつ張っていた糸が緩んでくる
そうすると一番表面の記憶が真っ先に消えてしまう


こんに
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初恋(2020年製作の映画)

4.0

うわぁ、ひっさびさの岩場に波ザブーンからの"東映"
…ごめんなさい、トーホーシネマズで観てしまいました。でもね、これは歌舞伎町で観るとまた格別なんです…

朝早くからぎっちぎちに仕事して、
残業を仄め
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ジュディ 虹の彼方に(2019年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

"客との間に生まれた愛をまだ信じてる"

あんなにもボロボロの状態でも
彼女はそう言った

そう
彼女…ジュディ・ガーランドを支えたのは愛

僅か47年の生涯
17歳でスターになる、その前から続く
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わたしはロランス(2012年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

今どこ?
何を着て 何をしてるの?
…答えが欲しかった 毎日

ほんとうにその人を愛していたら
姿かたちは問題にならない
そうは言うけれど

フレッドはロランスを愛していて
ロランスもまたフレッドをか
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マイ・マザー(2009年製作の映画)

3.9

僕が今日死んだら?
…明日死ぬわ…

思春期の青年にとっての母という存在
"こうあって欲しい"という理想とはかけ離れたユベールの母の姿
象徴的なのは度々映し出される食事風景
ユベールも"下品"と嫌がる
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地獄の黙示録 ファイナル・カット(2019年製作の映画)

4.6

さて。どうしましょうか…
映像、音楽、俳優さんの演技。
とても素晴らしく、見応え十分の作品です。
傑作です。
いざ、レビューを書こうと思い、
ウィラードの心について考え出したら…

困ったなぁ…
狂っ
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冬時間のパリ(2018年製作の映画)

3.5

奇跡なんて存在しない 現実よ
…幸せ?
…ああ…

ラストシーンで漸く、救われた…

《パリの出版業界を舞台に、〈本、人生、愛〉をテーマに描く、迷える大人たちのラブストーリー》
という謳い文句どおり、
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アニエスによるヴァルダ(2019年製作の映画)

4.0

アニエスにとって仕事を続ける=映画を撮る理由には3つのポイントがある

"ひらめき"
"創造"
"共有"

昨年、90歳でこの世を去るまで
60年以上に渡って精力的に映画をはじめとする芸術に携わったア
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1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

桜の花びらが舞い落ちる川をゆらゆら漂う
荒野のなかに、一本残った古木の根本に座り込む
黄色い野の花が咲き乱れる草原を…
走る
とにかく走る。

行手を阻む者は、たとえ味方の軍の者でも容赦せず押しのけて
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がんと生きる言葉の処方箋(2018年製作の映画)

4.1

やるだけのこと 全力を尽くして
心の中でそっと心配すればよい
どうせなるようにしかならない
 勝海舟の言葉


癌と診断されて、どうすればいいのか迷う
患者さんに「がん哲学外来」の樋野先生が穏やかに話
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タクシードライバー(1976年製作の映画)

4.2

ここんとこ完全に落ち込んでる
実はここから飛び出して
何かをやりたいと思ってる
でもよくわからないんだ

トラビスの孤独、かすかな焦燥

ベトナム戦争から帰還した元兵隊の彼は
不眠に悩まされ、夜の街を
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ミッドサマー(2019年製作の映画)

4.0

ダニー、めんどくさい…

私が一方的に話すばかりで
毎回だから面倒になったかも
私が重荷になったかも

彼の電話から微妙な空気を(勝手に)読み取って、
一人焦って友達に泣きを入れる女の子

そりゃ、彼
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名もなき生涯(2019年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

こんな戦争は間違いだ
罪なき人は殺せない

時が経ち、歴史を振り返り、
何が間違いで何が正しいのかを判断すれば
フランツが頑なに主張したことは
当たり前のことだとわかる

けれども
その時代、その土地
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写真家 ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと(2012年製作の映画)

3.9

9. 快い混乱
その通りに、
彼のアトリエはたくさんのもので溢れている
膨大な箱入りのネガ
痛んでしまったそれらを惜しみつつ、

"全てを知るのは良くない
心地良い混乱状態"のそれらは
晩年、漸く現れ
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スウィング・キッズ(2018年製作の映画)

4.2

もしも舞台が日本だったら。
戦時下という状況の中でも、ダンスを通じて絆を深めた仲間たちの青春ストーリーになったかも…
と、妄想するくらいには、ヘヴィな終盤で。


大好きなジャスのリズムに、タップダン
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ラストレター(2020年製作の映画)

4.0

手紙、書いてますか?
メールじゃなくて、手書きの。
今みたいにPCや携帯が普及する前は、葉書や手紙を折々に綴っていだけれど…

じゃあ、Love letterは?
…うーん…貰ったことも、書いたことも
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殺人の追憶(2003年製作の映画)

3.8

つらい…

1986年に韓国で実際に起こった連続殺人事件を題材としたサスペンス
力づくで捜査を進める地元警察のパク刑事、チョ・ヨング刑事、ク・ヒボン課長
そこにソウル市警から科学捜査に長けたソ・テュン
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グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇(2019年製作の映画)

3.8

気が多い、女好き、優しい…
田島周二はやはり太宰なんですね。
ひとりひとりに向かい合う時、
おそらく彼はそれぞれに真剣なんだと思います。

けれども、数多くの愛人よりも大切なのは、
離れて暮らす愛娘。
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無垢なる証人(2019年製作の映画)

4.5

自閉症でさえ無かったら?
…それだと、ジウじゃない
ジウに障害がなければいい、そうは思わない

それは
全てを受け止めて、ジウを護り育ててきた母だからこその言葉
そもそも面識がなく、障害を抱えた人たち
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スピリッツ・オブ・ジ・エア(1988年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

終始、あの乾いた空間を漂って

ぼくは子どもの頃
人が死ぬと雲になると思っていた…

空へ飛びたつことに取り憑かれた男、フェリックス
どこまでも蒼い空とテラコッタの大地
十字架に見守られ、飛行機の製作
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ザ・ピーナッツバター・ファルコン(2019年製作の映画)

3.8

男の子の映画だな…
自由を求めた、ハックルベリーフィンとジムの道行きのような


ダウン症のザックがそれまで暮らしていた老人養護施設を脱走することから物語が始まる
ボディソープでツルッと外に出たその様
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ファンシー(2019年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

無性に永瀬正敏が観たくて、通りすがりのテアトルに吸い込まれるように入ってしまった。
以前、チラシを見たことはあったけれど、予備知識はほとんど無し。


寂れた温泉街
訳ありそうな彫師
そこだけ異質な詩
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影裏(2020年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

綾野剛には、仄暗い役がほんとうに似合う
松田龍平には、本心が窺えない役が良く似合う


震災前後の盛岡を舞台に描かれる二人の男
煌く水面に映える緑のなか、並んで竿を垂れる
地酒を酌み交わし、たわいもな
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ヲタクに恋は難しい(2020年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

福田節、炸裂!

BL、アニヲタ、ゲームヲタ、
アイドルヲタ≠声優アイドルヲタ…
独自の進化を遂げるヲタクの世界を
福田雄一監督がお馴染みの"福田組"の濃いキャラをつかって描くミュージカル

専門用語
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コンプリシティ/優しい共犯(2018年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

時の流れに身を任せ
あなたの腕に寄り添い
一度の人生それさえ
捨てることも構わない
だからお願いそばにおいてね
今はあなたしか見えないの


私もソラで歌えたテレサ・テン
中国では、みんな歌えます…
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だってしょうがないじゃない(2019年製作の映画)

4.2

サオリちゃん(仮名)は今年うちの病棟に3人入った一年生のなかで、唯一の女の子
ちょっとおっとりしていて、けれどもいつも一生懸命

はじめは、少しものを覚えるのが苦手なのかと思ったけれど
同期の男の子た
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殺さない彼と死なない彼女(2019年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

未来の話をしよう

ずっと私の前を歩いてくれて
たまに振り返ってくれたら
同じ景色を見たいの 君のそばで


誰かと誰かが繋がる
ほんの僅かなきっかけで

高校生の時って、こんな感じだったかな…
死ね
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大脱走(1963年製作の映画)

3.9

中学の吹奏楽部で何度も何度も演奏した
「大脱走マーチ」イントロのスネアドラムを聴くだけで、鮮やかに記憶が甦る

けれど
映画自体は、未鑑賞で。
スティーブ・マックイーンという名前は知っていても
どんな
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37セカンズ(2019年製作の映画)

4.4

彼らは何かひとつかふたつ、
私たちよりもできないけれど。
それ以外は全く同じ人間なんだ。

先日観たばかりの「渚のふたり」のイ・スンジュン監督の言葉をしみじみと思い出す


生まれた時に37秒間呼吸が
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