たくさんの映画レビュー・感想・評価

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逃げきれた夢(2023年製作の映画)

3.9

平凡に生きてきた中年男が、痴呆の発症をきっかけに冷え切った家族関係をなんとかしようとあがく話で、いわゆる記憶喪失モノかと思ったら全く違った。もし自分も家族を持ったらこんな風になるかもと、何だか人ごとに>>続きを読む

ラブ・レター(1945年製作の映画)

3.6


悪気のないラブレターの代筆がもたらす思わぬ悲劇と恋のすれ違いを描く、ウィリアム・ディターレ監督1945年作品。ミステリーとベタなメロドラマが絶妙に融合した話で、映画デビュー間もないジェニファー・ジョ
>>続きを読む

ガチ星(2018年製作の映画)

3.8

落ちぶれた中年の元野球選手が競輪を通じて自分の人生を見つめ直すスポ根モノで、王道な筋書きの中で主人公のダメさ加減のリアルな描き方に引き込まれた。むさ苦しいダメ人間が競技に真摯に向き合っていく話はこない>>続きを読む

アトランティックス(2019年製作の映画)

3.6

セネガルを舞台に、格差社会における許されぬ恋路のなかで離れ離れとなった男女二人の恋の顛末を描いてて、いいかげん終盤まで意味が分からなくて何とも不思議な映画だった。邦題が複数形になってるのは、おそらく後>>続きを読む

その住人たちは(2020年製作の映画)

3.5

職を失った有名CMプランナーが、高い生活水準への未練から他人の人生を乗っ取ろうとする胸糞悪いサスペンス。主人公の動機がいまひとつ理解できなくて、確かにいちど手にしてしまった裕福な生活を失うことに対する>>続きを読む

ウーマン・トーキング 私たちの選択(2022年製作の映画)

3.8

あるコミュニティで男たちから繰り返し性被害に遭ってる女性たちが、自らの未来のために今後起こすべき行動を話し合う様子を描くサラ・ポーリー監督作品。彼女たちの古い宗教観や識字率の低さ、男たちの野蛮な振る舞>>続きを読む

退屈な日々にさようならを(2016年製作の映画)

3.7

ありふれた日常で起きる非日常的な出来事を描く今泉力哉監督作品。特にテーマ性は感じなかったけど、各エピソードが時間軸を前後しながら密接に絡み合う見せ方に引き込まれた。登場人物たちの何気ない会話のちょっと>>続きを読む

怪物(2023年製作の映画)

4.0

全く予想のつかない展開を見せる是枝監督の最新作。同じ時間軸を登場人物それぞれの視点から辿り直していく構成で、画面に出てくるあらゆる出来事が伏線となり、次第に真相が明らかになっていく筋書きが見事。タイト>>続きを読む

ハンガー:飽くなき食への道(2023年製作の映画)

3.5

タイ屋台の女性料理人が一流シェフに腕を見出され、その道の頂点を目指していく話で、胸熱展開よりも演出面でいろいろツッコミどころがあってそっちが気になってしまった。格差社会の象徴たる庶民の屋台と高級レスト>>続きを読む

返校 言葉が消えた日(2019年製作の映画)

3.6

白色テロ時代の台湾を舞台にしたホラーゲームの映画化。国民党政権下の台湾を舞台に、自由を求めて秘密の集会を行う高校の先生と生徒への弾圧を現実と幻想をないまぜにしながら描いてて、次第に真相が明らかになって>>続きを読む

殺人鬼から逃げる夜(2020年製作の映画)

3.0

聾啞者が殺人鬼に狙われる話で、全編にわたってグダグダな追いかけっこを見せられて途中で止めようと思ったくらい酷かった。障害者を主人公にした作品と言えば「見えない目撃者」という傑作があり、韓国オリジナル版>>続きを読む

ファンフィク(2023年製作の映画)

3.5

生き辛さを抱える高校生たちの不安定な心情を綴ったポーランド映画で、孤独な二人が世間の偏見を乗り越えて自己を受け入れる姿が繊細に描かれてた。周囲が男らしさ女らしさを外見だけで判断する描写が強調されてたの>>続きを読む

街の野獣(1950年製作の映画)

3.7

ロンドンのナイトクラブのしがない客引きがレスリング興行で一発当てようとするジュールズ・ダッシン監督1950年作品。全体的にフィルム・ノワール的な暗い色彩にダイナミックなカメラが躍動感を与えてた。リチャ>>続きを読む

波紋(2023年製作の映画)

3.8

今まで観た荻上直子作品で一番良かった。精神の安定を失って離散した家族の心の遍歴を描いてて、ドロドロした人間ドラマが荻上監督っぽくないなーと思いながら観たんだけど、そこに展開するのはどこかほのぼのした空>>続きを読む

THE WITCH/魔女 —増殖—(2022年製作の映画)

3.7

待ちに待った続編。予告で前作のジャユンも登場するということを知ってたのでワクワクしながら観たけど、今回は完全に次作に繋げるための真ん中の話で、前作のような緩い日常と覚醒後のギャップも弱く、ちょっと物足>>続きを読む

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

3.8

観終わってからジワジワ来るものがあった。でもこの作品は観る人を選びそう。夏のバカンスを過ごす父親と娘の仲睦まじいプライベートな空間をとらえた映像がひたすら続き、これは一体なんだろう?と思いながら観てる>>続きを読む

巴里の屋根の下 4K デジタル・リマスター版(1930年製作の映画)

3.6

パリの街で繰り広げられる一人の女性をめぐる恋の四角関係を描くルネ・クレール監督のトーキー第1作目。劇中で歌われる「巴里の屋根の下」の歌詞とは裏腹に、一筋縄ではいかない恋路にほろ苦い余韻が残った。ポーラ>>続きを読む

マザーズ(2016年製作の映画)

3.4

なんとも思わせぶりなアリ・アッバシ監督の長編デビュー作。子どものできない夫婦から代理出産を頼まれた女性の身に起こる異常な現象を描いてて、邪悪な存在を身ごもった妊婦といえばどうしたって「ローズマリーの赤>>続きを読む

私の知らないわたしの素顔(2019年製作の映画)

3.6

中年女性がSNSで若い女性になりすまして偽りの恋にハマっていく話で、現代社会でいかにもありがちな話と思ってたら、中盤から意外な展開を見せてなかなかスリリングだった。ジュリエット・ビノシュが年齢の割に美>>続きを読む

ル・ミリオン(1931年製作の映画)

3.7

借金漬けの芸術家が行方不明となった宝くじの当たり券を追って奔走するドタバタコメディ。「巴里の屋根の下」(未見)に続くルネ・クレール監督のトーキー2作目とのことで、サイレント演出とミュージカル調が多用さ>>続きを読む

ソフト/クワイエット(2022年製作の映画)

3.6

白人至上主義の女性達が起こす胸糞悪い事件の顛末を全編ワンカットで撮ってて、地獄のような90分だった。レイシストの話は最近だと「SKIN/スキン」があったけど、本作は単純な差別主義と違い、白人の逆差別を>>続きを読む

光の旅人 K-PAX(2001年製作の映画)

4.0

今まで観てなかったのが勿体無いくらい良かった!ヒューマンドラマとしてもミステリーとしても素晴らしく、プロートが最後の最後まで本当のことを言ってるのかただの妄想に囚われてるだけなのか分からないという筋書>>続きを読む

ワイルド・スピード/ファイヤーブースト(2023年製作の映画)

3.8

息子を守ろうとするドムと彼に父親の命を奪われた男の復讐劇という「父子の絆」を軸に展開するシリーズ10作目。前作で宇宙まで行ってしまい、インフレし切ったアクション演出をいったん基本に戻す感じになってて、>>続きを読む

自由を我等に(1931年製作の映画)

3.7

消費社会における大量生産が生む非人間的な暮らしを風刺したルネ・クレール監督の名作。サイレント映画の手法が多用され、ミュージカルありドタバタコメディありの賑やかな作品になってた。この5年後に公開される「>>続きを読む

FUNAN フナン(2018年製作の映画)

3.6

映画館で観ようか迷って結局見逃した作品。1970年代後半のクメール・ルージュ支配下のカンボジアに生きる民衆の想像を絶する苦しみを描いてて、過酷な政治状況下の生活をアニメで表現するのが「FLEE フリー>>続きを読む

ディープエンド・オブ・オーシャン(1999年製作の映画)

3.8

これは泣けた。アメリカのある家族で起きた幼児誘拐事件とその後の顛末を描いてて、家族の誰も悪くないのにそれぞれ葛藤に苦しむ姿が観てて辛かったね。生みの親と育ての親の問題は最近観たのだと「最愛の子」など多>>続きを読む

フラクチャード(2019年製作の映画)

3.5

娘の怪我の治療のために入った病院で行方不明になった娘と妻を探す夫の話で、夫が本当のことを言ってるのかどうか最後まで分からないという「バニーレークは行方不明」系の作りに引き込まれた。ホラー的な音響で緊迫>>続きを読む

ウィ、シェフ!(2022年製作の映画)

3.8

一流レストランを飛び出したシェフが移民受入施設の少年たちと料理を通して交流を交わしていく話で、よくある「その道の素人達が団結して夢を掴む」系のコメディかと思ったら、移民問題を絡めた重いテーマが込められ>>続きを読む

フリークスアウト(2021年製作の映画)

3.8

面白かった。ポスターにある「超人サーカス団vsナチス・ドイツ」の謳い文句に「アイアン・スカイ」みたいなおバカ要素を期待したんだけど、そんなことはなく立派な娯楽作品に仕上がってた。一度離散したフリーク達>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

3.9

クラシック音楽界の巨匠が頂点から転落して行く話‥と言ってしまえばそれまでだけど、支配欲に取り憑かれた男性中心主義的な女性の反ポリコレ的な感じが怖かったし、ラストが良く分からなくて一筋縄ではいかない作品>>続きを読む

マン・ハント(1941年製作の映画)

3.8

第二次大戦前夜のヨーロッパを舞台に、一人のイギリス人将校がナチス・ドイツに開戦の口実として利用されそうになる話。ナチス独裁体制の恐ろしさを描くと共に、イギリスの宥和政策の腰砕けを強烈に皮肉っており、フ>>続きを読む

僕の人生に追いつくとき(2022年製作の映画)

3.7

数時間過ごすたびに時間軸が1年後に飛んでしまう男の話。ジャンルとしてはタイムトラベルモノになるんだろうけど、日々の忙しさに自己を埋没させ、無意味に過ごす生き方そのものを寓話的に描くためにタイムトラベル>>続きを読む

うみべの女の子(2021年製作の映画)

3.6

幼馴染の男女が不器用ながらも自分の気持ちに向き合って行く話。どう見ても二人が高校生に見えるんだけど、中学生設定と知ってびっくり。性に関して何の恥じらいもなくあけっぴろげに描かれてて、最後までキスしない>>続きを読む

水曜日が消えた(2020年製作の映画)

3.6

モヤモヤするところもあったけど、なかなか面白かった。幼い頃の交通事故が原因で曜日ごとの人格に分裂した青年の話で、不自由な日常を生きる彼らの葛藤と最終的な選択にジーンと来た。人格分裂を、人間の多面性とい>>続きを読む

X エックス(2022年製作の映画)

3.7

これから公開の「パール」の予習ということで、映画館で見逃した本作を鑑賞。 1979年のテキサスを舞台にしたホラーで、特にひねりのないオーソドックスな展開だけど、見せ方が上手かった。ヒッピー文化を体現し>>続きを読む

帰れない山(2022年製作の映画)

3.8

幼馴染の男二人の変わらぬ友情を描くイタリアのベストセラー小説の映画化で、山を舞台にした映像が圧倒的に美しかった。世間に流されずに己を貫く生き方には孤独が伴うものだということが静寂の世界から伝わってきて>>続きを読む

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