たくさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

3.8

17世紀の朝鮮を舞台に、当時の記録に残る王朝内の謎の死を巡って盲人が真相の暴露に奔走するサスペンスの手に汗握る緊迫感にハラハラした。一介の鍼医に過ぎない存在が王朝の最高権力者と対峙するという、どう見て>>続きを読む

PIGGY ピギー(2022年製作の映画)

3.5

自分をいじめてたクラスメイトたちが殺人鬼に誘拐される現場を目撃した少女が、自分の取るべき行動に葛藤するスペイン発のB級ホラーで、グロ要素は弱いし展開もグダグダなのでいま一つ入り込めなかった。主演のラウ>>続きを読む

揺れるとき(2021年製作の映画)

3.6

フランスで貧しい生活を送る多感な少年の思春期を描いてて、主演のアリオシャ・ライナートの大人びた演技が恐ろしいほどリアルだった。少年期の性自認を題材にした作品は最近だと「ミツバチと私」「怪物」「ある少年>>続きを読む

Here(2023年製作の映画)

3.7

「ゴースト・トロピック」が良かったバス・ドゥボス監督作品で、男女の一期一会の出会というプロットが同作と似た描き方だった。都会の喧騒と自然の静けさが対比的に映し出され、セリフを極力抑えた後半ではほとんど>>続きを読む

瞳をとじて(2023年製作の映画)

3.9

ビクトル・エリセ監督31年ぶりの長編で、前半が退屈だったけど、後半で話が動き始めてから惹きつけられ、ラスト10分くらいの映像マジックに完全に釘付けになった。「ミツバチのささやき」をスペイン内戦のメタフ>>続きを読む

フジヤマコットントン(2023年製作の映画)

4.0

すごく良かった!富士山の麓にある障害福祉施設で働く人々を暖かい目線で捉えてて、一人一人が持つ豊かな個性が愛おしい。「東京自転車節」の青柳拓監督が、健常者と障害者の垣根をすっ飛ばして現場に溶け込むことで>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

3.9

とても優しさに溢れた作品でジーンと来た。メンタルの障害を抱える男女二人が、適度な距離感を保ちながら互いを理解し合って前に進んでいこうとする姿に胸が熱くなる。上白石萌音の症状発症時の演技が怖いくらい上手>>続きを読む

ポップスが最高に輝いた夜(2024年製作の映画)

3.8

アフリカの飢餓を救済するためにポップス界の大物アーティストたちが集結し、たった一夜でレコーディングを行うという奇跡のような楽曲制作の模様を収めたドキュメンタリー。「ウィ・アー・ザ・ワールド」のレコーデ>>続きを読む

猫は逃げた(2021年製作の映画)

3.8

離婚寸前の夫婦とそれぞれの浮気相手との煮詰まった関係性を一匹の飼い猫が引っ掻き回すという、今泉力哉監督の愛らしい小品。一筋縄ではいかない人の心の不思議さを、猫が客観的に見つめる感じにほのぼのしたムード>>続きを読む

ドン・カミロ頑張る(1953年製作の映画)

3.6

政治的意見がかみ合わない司祭と市長のドタバタ騒動を描く、ジュリアン・デュヴィヴィエ監督1953年作品。冒頭で「ご存じドン・カミロです」という自己紹介に始まり、彼が地元を追われて辺鄙な土地に遣わされた経>>続きを読む

文化果つるところ(1951年製作の映画)

3.4

南海の島で原住民の生活を引っ掻き回しながら自滅していく男を描く、キャロル・リード監督の1951年作品。自分を救ってくれた船長の恩義を仇で返すしょうもない男を、「逢びき」「第三の男」のトレヴァー・ハワー>>続きを読む

ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)

3.8

終電を逃した女性がその夜に街を彷徨い帰宅するまでの、ただそれだけの取り留めのない話。固定カメラを多用した静的な映像の中から「ありふれた日常に潜むちょっとした非日常」が浮かび上がるところに、同じ毎日を繰>>続きを読む

ダム・マネー ウォール街を狙え!(2023年製作の映画)

3.8

面白かった!米株式市場を震撼させたゲームストップ株の乱高下の顛末を描いてて、専門知識に乏しく株取引の仕組みは良く理解できなかったけど、弱小な個人投資家と富を独り占めにするごく一握りの大富豪の対決という>>続きを読む

ビリーバーズ(2022年製作の映画)

3.5

孤島での更生プログラムを実践する男女3人を通してカルト宗教のおぞましさを描く城定秀夫監督作品。現実を逃れ、安住の地を求めて宗教に走る心理は分からなくはないけど、その心の弱さに付けこまれて利用されるのが>>続きを読む

Lift/リフト(2024年製作の映画)

3.5

凄腕の窃盗団がその腕を買われて警察組織に協力させられるというNetflixオリジナル作品で、スタイリッシュな映像と軽妙なテンポでサクサク観られるのは良いものの、観終わった後で何も残らないっちゃ残らない>>続きを読む

幼きものは訴える(1955年製作の映画)

3.7

終戦直後の日本を舞台に戦争孤児を取り巻く厳しい現実を描いてて、昨日観た「恋をするより得をしろ」の春原政久監督が同作とは天と地ほど異なるシリアスな題材を扱っててちょっと戸惑ったけど、堂々たる内容だった。>>続きを読む

恋をするより得をしろ(1961年製作の映画)

3.4

貧乏暮らしながら実はお宝を隠し持ってた清掃業の男をめぐり恋と儲け話が渦巻く騒動記で、清水まゆみ目当てで観たんだけど彼女は全くの脇役だったのが残念。でも小沢昭一の軽妙な関西弁が明るいムードを盛り立てて、>>続きを読む

子供たちは見ている(1942年製作の映画)

3.7

親の都合に振り回される子どもを描く、ヴィットリオ・デ・シーカ監督1943年作品。短い上映時間ながら、まさかの2部構成に驚いた。本作は「靴みがき」「自転車泥棒」といったデ・シーカ監督の代表作の前に撮られ>>続きを読む

みなに幸あれ(2023年製作の映画)

3.6

最初から最後までずっと変な空気が漂う奇妙なホラー。予想に反して観客を直接的に怖がらせる演出がほとんどなく、むしろ笑わせにきてるのかという演出に面食らった。でもごく当たり前の生活の裏に、もしこんな真相が>>続きを読む

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

4.0

まさか本作で号泣するとは思わなかった。愛のない家庭に育った少女が親戚夫婦に預けられて人生で初めて愛を注がれる話で、原題の”An Cailin Ciuin”(静かな少女)そのままの内容なんだけど、作品そ>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.0

面白かった!自殺によって死んだ身体をマッドサイエンティストに蘇生させられた女性がゼロから世界を再構築する話で、ある意味で神のような彼女に振り回される男がまさに「哀れなるものたち」だった。ヨルゴス・ラン>>続きを読む

ペトルーニャに祝福を(2019年製作の映画)

3.8

現代のマケドニアを舞台に、キリスト教の古めかしいしきたりを笠に着た男性の根強い女性蔑視を描いてて、男からの罵詈雑言や暴力に屈しないペトルーニャの毅然とした態度に神々しさが漂ってた。それに比して寄ってた>>続きを読む

荊棘の秘密(2016年製作の映画)

3.6

政治家の夫の選挙活動中に行方不明となった娘の真相を追う妻を描くサスペンスで、驚くべき真相がどんどん明らかになる終盤が圧巻。いわゆる「女の愛情、男の薄情」を描いてて、母性狂気モノとも言える。ここ最近観た>>続きを読む

奇蹟は一度しか起こらない(1950年製作の映画)

3.5

一世一代の恋路を戦争によって踏み躙られる男女を描くイヴ・アレグレ監督1950年作品。ジャン・マレーとアリダ・ヴァリという豪華な組み合わせで、特にアリダ・ヴァリの初心な乙女から世間を知った大人の女性への>>続きを読む

ほつれる(2023年製作の映画)

3.6

不倫相手の死をきっかけに自身の結婚生活の破綻に向き合わざるを得なくなる女性を描いてて、終始気まずい空気が異様にリアルだった。自分の感情を押し殺して夫に接する門脇麦が上手くて、彼女がついに感情を爆発させ>>続きを読む

ありがとう、ごめんね(2023年製作の映画)

3.7

家族と断絶してた女性が夫の死をきっかけに再び家族と向き合っていく話で、なんだかんだいっても家族は一番身近な存在なんだよね。最近は「血が繋がってなくても本当の家族のようになれる」という「万引き家族」みた>>続きを読む

葬送のカーネーション(2022年製作の映画)

3.6

妻の遺体を埋葬するために孫娘を連れて妻の故郷に向かって旅をする老人の話で、冒頭1時間くらいほとんど何も起こらなくて面食らったけど、ラストで全部持ってかれた。妻との誓いを守ろうとする夫の一途さと、貧しい>>続きを読む

僕らの世界が交わるまで(2022年製作の映画)

3.7

互いに自分の世界に閉じこもった母子がすれ違いを繰り返しつつ、筋違いな方向へ空回りしていく「やらかし系」の話。全く違う価値観を持つ二人が実は似たもの同士というのは良くあることで、それを自覚することが互い>>続きを読む

最後まで行く(2023年製作の映画)

3.6

先に観た韓国のオリジナル版が面白く、映画館で観逃した評判の良い日本リメイク版で結末がどう描かれるか興味あって観賞。エンタメとしては充分面白かったんだけど、「新聞記者」の藤井道人監督ということで警察組織>>続きを読む

オーバー・ザ・レインボー(2002年製作の映画)

3.5

事故で記憶を失った男性が最愛の女性のことを思い出そうと奔走するラブストーリー。過去の手がかりを頼りに心当たりの女性を一人一人訪ね回るのが「舞踏会の手帖」みたいで、真相に至るまでの謎解きがなかなかワクワ>>続きを読む

アウトフィット(2022年製作の映画)

4.0

古典的なハリウッド映画の名作を思わせるような見事な密室劇に完全に引き込まれた。1950年代のシカゴの仕立店を舞台にマフィアの抗争劇に巻き込まれる店主を描いてて、マーク・ライランスの落ち着き払った名演技>>続きを読む

アルマゲドン・タイム ある日々の肖像(2022年製作の映画)

3.5


本作の監督であるジェームス・グレイの少年時代の実体験が基になってて、多感な少年が周囲になじめず、親に反抗しながら黒人の友人と悪さを繰り返す日々を描く。1980年のアメリカが舞台で、ロナルド・レーガン
>>続きを読む

ビヨンド・ユートピア 脱北(2023年製作の映画)

4.0

脱北を計る北朝鮮の一家族のリアルタイムな進行状況を中心に、一党独裁の北朝鮮の厳しい現実を描き出す戦慄のドキュメンタリーに釘付けとなった。脱北といえば38度線を超えるという単純な話かと思ってたら、北朝鮮>>続きを読む

東京自転車節(2021年製作の映画)

3.7

映画監督の青柳拓が2020年のコロナ禍の日本において収入を得るため、東京で自ら行ったウーバーイーツの活動を記録したドキュメンタリー。決して政府批判の一面的な描き方ではなく、あくまで個人の目線で非常事態>>続きを読む

ミツバチと私(2023年製作の映画)

3.7

性自認に悩む少年とその母親の葛藤から受容を描いてて、親が子どもの抱える問題から目を逸らすというのはどこにでもある普遍的な話だと思った。この母子を力強く導く祖母の存在が偉大だったね。アイトールが蜂との触>>続きを読む

王様になれ(2019年製作の映画)

3.5

躓きつつも自分の夢に向かって進む青年を描く青春映画で、岡山天音が「笑いのカイブツ」のプロトタイプみたいな役柄を演じてた。ちょっとありがちなストーリーにまとまりすぎてる感じはあったけど、安心して観られた>>続きを読む