レイチェルさんの映画レビュー・感想・評価

レイチェル

レイチェル

トニー滝谷(2004年製作の映画)

4.2

20年も前なのに色褪せない作品。原作は村上春樹『レキシントンの幽霊』の中の短編のひとつ。前に既読。その世界観を損なうことなく美しい。すごく良かった。

特異な出自により孤独に慣れて孤独が平気なトニー滝
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スペースマン(2024年製作の映画)

3.8

アダム・サンドラーは何故か苦手だけど、これは良かった。静かなSFは好み。

時代背景は良く分からないけれど…
空に紫色の雲の集積物が現れた地球で、調査の為チェコが有人宇宙船を送り込む話。たった一人のミ
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M(1931年製作の映画)

3.8

フリッツ・ラングは本当に面白い映画ばかりなので期待値高めで鑑賞。

連続少女殺人事件…1930年代のドイツ。科学捜査がまだの頃は警察の捜査もなかなか進まず、ただひたすら市民生活を監視する状態に、犯人逮
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キル・ビル Vol.1(2003年製作の映画)

3.8

初鑑賞。最近アクション映画はドキドキして苦手。これはコメディ寄りで、ふふふとなった。血飛沫はアニメ化されたりモノクロ化されたり優しいタランティーノ。

復讐劇。日本ネタ満載。大好きなルーシー・リュー様
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ボヴァリィ夫人(1933年製作の映画)

3.8

有名タイトルを初鑑賞。原作未読。ボヴァリィ夫人のイラっとする半生に女の業を感じる名作。

町医者ボヴァリィさん。病弱な妻が亡くなるとかねてから憎からず思っていた娘と再婚。新妻が可愛くて仕方ない。何でも
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丘の上の本屋さん(2021年製作の映画)

3.8

温かい気持ちで安心して観ていられる良作。大好きな世界観。美しい景色。

イタリアの丘の上の古書店。店主は隣のカフェの店員ニコラや、お店の常連客などと毎日穏やかに過ごしていた。ある日、移民の少年と出会い
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クレールの膝(1970年製作の映画)

4.0

エリック・ロメール監督作品の中でもかなり変態寄り。部分フェチのロリコン危険人物が、人助けの皮を被って期待通りに動く大変な作品。面白すぎました。

とわさんのおススメはいつも最高です。ありがとうございま
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The Son/息子(2022年製作の映画)

4.0

『ファーザー』の監督・脚本家の新作。

深く心が揺さぶられて、しばらくレビューできなかった。

妻子を捨て、若い妻と乳児と暮らす弁護士(ヒュー・ジャックマン)。元妻(ローラ・ダーン)と暮らす17歳の息
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美しき諍い女(いさかいめ)(1991年製作の映画)

4.0

カンヌ映画祭で評価される作品はアカデミー賞よりも私好み。長尺でも飽きずに没入できた。

若い画家と若い妻マリアンヌ(エマニュエル・べアール)。ベテランの老画家(ミシェル・ピコリ)と永遠に美しい妻リズ(
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魂のジュリエッタ(1964年製作の映画)

4.0

フェリーニの妻ジュリエッタ・マシーナが役名もジュリエッタのまま、夫を愛し過ぎて壊れていく敬虔なキリスト教徒で真面目な妻。孤独になる事が不安という中年女性(共感)の心の闇が妄想になり現実との境目が曖昧。>>続きを読む

赤い砂漠(1964年製作の映画)

4.0

徹底的に病んでいる美女をひたすら眺める作品。ふわふわ揺れたりいきなり走ったり色々忙しくて目が離せない。

ジュリアーナ(モニカ・ヴィッティ様)はイタリアの工業地帯に技師の夫と幼稚園児の息子と暮らしてい
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名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊(2023年製作の映画)

3.6

アガサ・クリスティ原作のミステリーは安定の面白さで人間ドラマも良かった。

娘が自殺した母親。彼女の屋敷で霊能者を呼び降霊術会が行われ、そこへ引退した名探偵ポアロ、馴染みの警部、ミステリー作家が参加。
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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.0

大好きなアキ・カウリスマキ監督の最新作は「敗者三部作」にプラス1、あるいは「労働者三部作」にプラス1とでも言うような隅から隅までカウリスマキ節炸裂しており、ファン大満足の作品。

アル中の労働者くんが
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ディス・マジック・モーメント(2023年製作の映画)

4.0

ミニシアターでミニシアターについてのドキュメンタリー映画を観ました。

監督が日本全国のミニシアターを南から北へ移動しながら訪れて、そこの支配人や関係者にお話を聞くスタイル。

映画好きで運営している
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東京画(1985年製作の映画)

4.0

胸熱のドキュメンタリー。ヴィム・ヴェンダースの小津安二郎愛が溢れて大変。

小津作品に欠かせない笠智衆へのインタビュー、とても良かった。笠智衆は全て監督に言われたままに演技していたのだった。どんな細部
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アメリカ、家族のいる風景(2005年製作の映画)

4.5

大好きなヴィム・ヴェンダース作品の中でもこれはすごく好みだった。名優サム・シェパードが脚本・主演。素晴らしすぎる!

人気俳優だったが破天荒な振る舞いが多く、落ちぶれたハワード・スペンス(サム・シェパ
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アッシャー家の惨劇(1960年製作の映画)

3.0

エドガー・アラン・ポー原作。ジャケットの中にあれこれ書いてあることがほぼ全てだった。もし鑑賞するのならジャケットを拡大しないようにお気をつけください。

婚約者を迎えに来たイケメン。屋敷の前で執事に帰
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天使の影(1976年製作の映画)

4.0

ジャケットのシーンがとても印象的。ファスビンダーがシュミットと一緒に脚本書いているし、役者でも!

戦後ドイツのフランクフルト。ジャケットの女性は娼婦リリー(イングリット・カーフェン)。男はリリーの恋
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

3.8

鬱鬱とした気分になりたい時にぴったりのダーレン・アロノフスキー監督の最新作。

通常のぽっちゃりさんを遥かに超える大きな身体の男性の部屋の中だけで進行。元は舞台用の作品らしい。

辛い過去を語るのをほ
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マリア・ブラウンの結婚(1978年製作の映画)

4.5

ファスビンダー監督作品鑑賞3作目。これはカウリスマキ作品とは似ていないスタイル。

結婚翌日に夫が戦争へ。終戦しても戻らない夫をひたすら待つ若くて美しいマリア。彼女は「夫と結婚」しているけれど、他の男
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不安は魂を食いつくす/不安と魂(1974年製作の映画)

4.5

ファスビンダー監督に夢中!これも素晴らしかった。

60歳未亡人掃除婦と30歳移民自動車工。互いに孤独な二人が偶然出会い急速に愛し合い結婚。周りの無理解や反発や嫌悪感に晒されながらもお互いを想う気持ち
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ペトラ・フォン・カントの苦い涙(1972年製作の映画)

4.5

ファスビンダー監督作品初観賞!最高!

ドイツのファッションデザイナー、ペトラ・フォン・カント。超絶傲慢でキャリアを鼻にかけ、アシスタントのマレーナを奴隷のように扱い、幸せな結婚生活を送る友人を馬鹿に
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博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか(1964年製作の映画)

4.0

前から観たかったキューブリック監督作品。NHKBS様ありがとうございます。

ここのあらすじのまま。そのままだけど、観ないとこの感じは掴めないので観て良かった。

ピーター・セラーズが一人三役。
・マ
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愛と激しさをもって(2022年製作の映画)

3.8

良かった。という意見が少ない中、何故かとても沁みた。

若くない夫婦。
妻は魅惑のサラ(ジュリエット・ビノシュ様)でラジオのパーソナリティ。社会問題などインタビューして仕事はクール。
夫は元ラグビー選
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十二人の怒れる男(1957年製作の映画)

3.8

シドニー・ルメット監督作品は『狼たちの午後』『旅立ちの時』しか観ていないかも。超有名な傑作を初鑑賞。

もちろん素晴らしかった。

陪審員の中にヘンリー・フォンダ演じる男性がいなければあっさり終わった
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光の旅人 K-PAX(2001年製作の映画)

5.0

例えば、普段あまり映画を観ない人にいきなりおススメ映画を訊かれたら…

本作を激推しします。

ケヴィン・スペイシーは唯一無二の役者であることを再認識。もう、そろそろ復活しないのかな。

バナナを皮ご
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ロスト・レオナルド 史上最高額で落札された絵画の謎(2021年製作の映画)

4.0

1,175ドルの絵画が4億5,000万ドルになるまでのドキュメンタリー。面白すぎる。

レオナルド・ダ・ヴィンチの作品、かもしれないし彼に近い作者の物かもしれない。

美術史と美術マーケットを大きく揺
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カフカ「変身」(2019年製作の映画)

3.0

かなり前に原作を読んでいるはずだけれど、記憶とかなり違った。

毒蜘蛛的なイメージだったけど、ゴ〇〇リ的なビジュアル。羽は無し。

何故こんな事になったのか不明。不条理極まりない設定の為、その後の家族
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マネーボーイズ(2021年製作の映画)

3.8

とても切なくて重いストーリー…

お金の為に男娼になり、気ままに暮らす話かと思いきや、主役の男子は元々田舎の母に送金する為に売っていたのね。

恋人のあの事件は複雑な心境!自分の為に…でも自分は…
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ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

3.8

エクソシスト(悪魔祓い)の映画は大好き。エンタメ寄りかと期待せずに観たけれど、正統派だった。

悪魔の◯◯を知ると大抵勝てるのが原則だと思う。

ラッセル・クロウがカフェ・オ・レを勧められてエスプレッ
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イノセント(1975年製作の映画)

5.0

ヴィスコンティ監督の遺作は私の大好きがてんこ盛りで最高。

イタリア貴族の愛憎物語。夫は妻に、愛人への愛を熱く語る!
「官能的な美女なのだ!」はぁ?
妻のことは妹のように愛しているが、許して欲しいと。
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エリザベス 神なき遺伝子(2014年製作の映画)

3.3

ここの評価は低めだけど、そんなに悪くなかった。

クローン技術による人間の新生児を誕生させた博士は、その前にある秘密を隠していたのだった…

密かにこんな実験をしている科学者は世界のどこかに絶対いると
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

5.0

大好きな作風。余白が多いのに沁みるのは、音楽の使い方が秀逸だから。楽曲を作ったミュージシャンの背景が映画の主題とリンクして素晴らしい。

映画の音楽って旋律が美しくて物語に馴染んで素敵ならそれだけでも
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次郎物語(1987年製作の映画)

3.8

以前原作を読んだ思い出の作品。感動の名作。

3人兄弟の2番目次郎。母親(超絶美しい高橋惠子様)が病弱の為、生まれてすぐ里子に出された次郎。里親(若くて優しい泉ピン子)は次郎を溺愛し、実家が迎えに来て
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もっと遠くへ行こう。(2023年製作の映画)

3.8

この監督は『ライオン25年目のただいま』が素晴らしかった!本作は静かなSFの雰囲気とジワるサスペンスが融合しており、夫婦の在り方と自身の存在証明に関する近未来的ストーリー。

ヘン(シアーシャ・ローナ
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BLUE GIANT(2023年製作の映画)

4.2

え…こんなに素晴らしいとは。良いとは聞いていたし、良さそうとは思っていたけれど、その何倍も良かった。ジャズのライヴに行ってみたい。

熱い。かっこいい。とても良かった。内緒だけどちょっと泣いた。

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