JunichiSatoさんの映画レビュー・感想・評価

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春琴抄(1976年製作の映画)

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 山口百恵も三浦友和もよく知らず、ただただ谷崎作品の映画化ということで鑑賞した。 DVD のラベルには「山口百恵主演映画大全集」とあるし、文芸映画にアイドルビジネス方面での話題を掛け合わせて集客を狙っ>>続きを読む

コーリャ愛のプラハ(1996年製作の映画)

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ショーン・コネリー似の主人公の、貧乏なりに音楽とセックスに充実した日々が、コーリャの出現によって崩壊せしめられるのは、ソ連の進駐によって自由を押し潰されてきたチェコの歴史について触れているのだろう。な>>続きを読む

バーン・アフター・リーディング(2008年製作の映画)

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一介の米国市民が、突如巨大な秘密組織に狙われているような妄想を抱き調査を始めるが、やがてその謎のさらなる深みにはまり...というのはトマス・ピンチョンの『競売ナンバー49の叫び』が提示したモチーフだ。>>続きを読む

ミッドウェイ海戦(1942年製作の映画)

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なんの変哲もない青年たちがアメリカの前線を守るために戦い、邪悪な敵を返り討ちにしていますよ、ということを、戦場に息子たちを送り出した故郷の母親たちに報告する、という形式で語られる映像である。

これか
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新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に(1997年製作の映画)

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DEATH編単体での鑑賞であるが、これは企画の時点ですでに失敗していた作品としか思えない。オリジナル版を完走していないと理解できないにも関わらず、オリジナル版を経た目で鑑賞するとストーリーテリングが破>>続きを読む

パンピング・アイアン (鋼鉄の男)/アーノルド・シュワルツェネッガーの鋼鉄の男(1977年製作の映画)

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アーノルドの饒舌さに驚く。ドイツ語のアクセントが強すぎるせいで『ターミネーター』など寡黙な役柄を与えられたとか、言葉少ななその空恐ろしさも合間ってさらに人気を得た、とかいうような逸話をすべて否定して有>>続きを読む

ブルー・イン・ザ・フェイス(1995年製作の映画)

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オーギーと彼のタバコ屋周辺、という『スモーク』の枠組みを継承して、今度は舞台俳優による即興劇風に断片的でとりとめのない、しかし極めて「日常としてのブルックリン」を感じさせる映像集だ。役者はもとより、エ>>続きを読む

スモーク(1995年製作の映画)

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これもベルリンの映画館、BABYLON のニューヨーク特集で鑑賞。大学時代に心酔して以来定期的に観返していた作品だが、劇場で体験できるのは未だない機会と、上映スケジュールを見つけた瞬間から大興奮してス>>続きを読む

追憶(1973年製作の映画)

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大学で出会った男女が時を経て再開し恋に落ちる、というメロドラマの典型のような枠組みで構築された作品でありながら、恥ずかしくなるほど強く惹きつけられてしまった。

異なる友人関係を持ち、本来は交わること
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タクシードライバー(1976年製作の映画)

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共感を呼び起こすのが難しい性格の映画である。打ちひしがれた都市生活者の孤独、という意味ではこちらの心に触れる点もあるが、大したこともない失恋を受け止められず暴走してしまったり、偶像破壊を試みたり、娼婦>>続きを読む

新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に(1997年製作の映画)

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オリジナルアニメ版の完成度の高さ、特に最終話に向けて
1. 誇大妄想ばりに複雑に張り巡らされた設定が徐々に明らかになっていく
2. あるべきプロットが解体され、とりとめがなくなっていく
という二つの相
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情事(1960年製作の映画)

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人生は実につまらない。そのことをこの映画はこの上なく誠実に描き出している。女優気取りの高級娼婦、凡庸な芸術家の凡庸なナンパに身を任せてしまうジュリア、求婚を拒んだその舌の根も乾かぬうちから情愛に耽ける>>続きを読む

アラジン(2019年製作の映画)

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社会的身分がないに等しいアラジンと、社会的身分の頂点にいるジャスミンが、実は互いにその社会に囚われた不自由な身であるという構造を見せた上で、その障害を乗り越えて身分を超えた恋を育むというのは、「前近代>>続きを読む

アベンジャーズ/エンドゲーム(2019年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

ほんとに面白くなかったです。ただアベンジャーズ・サーガには肯定的なので、これでよかったのだと思っています。最終作がコケたことによって、いままでの各作品が「最終作に向けた伏線づくり」としての役割から解き>>続きを読む

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)

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列車をハイジャックするテロリストがテーマ、というくらいにしか情報を持たずに観たため、これでもかというくらい丁寧に描かれる前半生の物語にときおり襲撃のシーンが挿入されるという演出に、これはある軍人が壮絶>>続きを読む

サニー/32(2018年製作の映画)

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主人公の性格や日常といった根本的な世界観を描写するという手続きなしに攫われたところでそこにはなんの悲劇性も表れないのは当然のこととして、それにもかかわらず拙速かつ強引に進行していくということは、劇中人>>続きを読む

デヴィッド・リンチ:アートライフ(2016年製作の映画)

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この映画をわざわざ観に行くような人なら当然わかっているとは思うのだけれど、いくらリンチだからといってその人生のすべてに意味があって、ジョブズの例のスピーチよろしくはじめは無意味と思えた遠回りが結果とし>>続きを読む

ユージュアル・サスペクツ(1995年製作の映画)

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警察署でのシーンばかり印象に残っていたけど、改めてみるとNYからLAに派手に移動してたんだなあなんて思った。逆に言うとそれだけ注意しないと見落としちゃうくらい演出が落ち着いていて、カメラの使い方なんか>>続きを読む

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)

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近頃ではよっぽどのことがないと映画館まで行くこともなくなってしまったわけですが綿矢りさの実写化はどう考えてもよっぽどのことと思い立ってない時間をこじ開けてシネマカリテまで観に行きました。
原作ありの日
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インヒアレント・ヴァイス(2014年製作の映画)

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海外の劇場でリアルタイムで2回みていて、わけのわからない脚本はさておいてもレイドバックでシュール、なのにどこかクール、サウンドトラックと構図の美だけでも十分イカれてしまう麻薬映画、一生かけてつきあって>>続きを読む

パーマネント・バケーション(1980年製作の映画)

2.0

自意識過剰が歓迎されるという幸福の形があってもいいとは思いつつ、その悩める主人公が白人男性だという特権性が嫌というほど目について心中は穏やかでなかった。

女性、病人、浮浪者、黒人、といった人ら、つま
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