純

1995

突然炎のごとく(1961年製作の映画)

4.0

「戦争・死・月は男性名詞で、太陽や恋は女性名詞、そして人生は中性名詞」ひとつひとつの台詞とカットが、とにかく詩的で優雅。刺激的なのに上品で、馬鹿馬鹿しいのに切なく思えるのは、フランス映画独特の雰囲気と>>続きを読む

20センチュリー・ウーマン(2016年製作の映画)

4.7

政治も産業も何もかも高速で駆け抜けた20世紀。手に届く日常だけが守られたようにゆったりと過ぎていき、人々は不完全な自分と不恰好に向かい合って生きてきた。淡い光が切なくて眩しいひと夏がノスタルジックに描>>続きを読む

マンチェスター・バイ・ザ・シー(2016年製作の映画)

5.0

ひとは、どんなに辛い記憶でも、自力で背負って生きていく。こびりついた記憶は、目を背けても、暴言を吐いても、いつまでも痛く、重く、とんでもなく深く、寂しい。そんな記憶をひとりで抱えるのはあまりにも酷で、>>続きを読む

映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ(2016年製作の映画)

4.0

東京が眠らない街なんて嘘だった。確かにあちこちが光ってはいるけれど、街はきちんと静寂の傍にいて、目を閉じている。動いて、音を鳴らして、瞬きを繰り返して、生きているのは私たちだ。

大好きな最果タヒさん
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カフェ・ソサエティ(2016年製作の映画)

4.2

過去への羨望、懐古、哀愁といえばウディ・アレン。今作も、レトロな空気感の中に漂う曖昧さに酔いしれたり、キラリと光る一瞬に心を鷲掴みにされたりと、彼お得意の世界観の魅力がたっぷりの1本だった。

始まり
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美女と野獣(2017年製作の映画)

4.2

美しい。夢と魔法が詰まったアニメーション世界が、これでもかというくらい忠実に描かれていた。実写化作品は、オリジナルに馴染みがあるひとほどなかなか踏み出せないのがお決まりだけど、今作はむしろ逆。アニメ版>>続きを読む

夜は短し歩けよ乙女(2017年製作の映画)

4.2

93分間ノンストップ。身の程知らずの速度で駆け抜ける、京都の春夏秋冬と特別な一夜。鮮やかで極端な色彩はあまりにも非現実で、でたらめにぶちまけられた絵の具たちのよう。なのに、はじめはうるさく感じるかもし>>続きを読む

名探偵コナン から紅の恋歌(2017年製作の映画)

3.7

瑞々しい春に観る、紅葉色の112分。迷宮の十字路と同様に、京都に住んで観ると、一瞬自分の思い出と交錯する風景が何度かあって感慨深い。

前作とは打って変わって黒の組織は登場しないし、題名から推測できる
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ムーンライト(2016年製作の映画)

5.0

夜の月、夜の海は、いつだってひとを不思議な気持ちにしてしまう。月光下でしか輝けない青春そのものが不完全に青くて、ぞっとするほど純粋で、深くて、なんて優しい色をしているんだろうと思った。この映画を、ただ>>続きを読む

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)

4.8

この映画をデートで観た後に、隣に座る恋人じゃない別のひとを愛しく思えないなら、きっと心が錆びてしまっている。恋愛に限らずとも、この映画を観て頭に浮かぶひとは、観たひとにとって一生忘れられない、一生守り>>続きを読む

たかが世界の終わり(2016年製作の映画)

4.5

乱暴で騒々しいのに、繊細で濃密。感情が剥き出しなようで、実は誰もが、脆すぎるほどの密かな思いを、大事に大事に隠している。作品を通して雰囲気は暗く閉塞的で、不穏な空気に息が詰まりそうだった。観るひとによ>>続きを読む

未来を花束にして(2015年製作の映画)

4.5

闘うには覚悟がいる。何が捨てられなくて、何なら諦められるのか。ひとは誰かに訴えたいことがあるとき、全力で相手にぶつかっていく。最初は言葉で。そして中には、それがだめなら文字通り死ぬ覚悟で、体当たりする>>続きを読む

みかんの丘(2013年製作の映画)

5.0

隣人とは何か。敵とは何か。ひとばかりが増えすぎてしまった世界で、私たちは自分と「同じ」何かを持つひとなら自分を受け入れてくれるはずだと、自分に危害を加えるはずはないと勘違いして、またそんな頼りない希望>>続きを読む

スモーク(1995年製作の映画)

5.0

皆、嘘だ偽物だと知りながら、いつも何かのふりをして生きている。それは決して、逃げではなくて、また私たちの弱さから生まれたものでもない。現実や真実よりも何か守りたいものがあるから、私たちは今日も「気付か>>続きを読む

羊たちの沈黙(1990年製作の映画)

4.8

「なぜ夜に、しかもひとりで、こんな恐ろしい映画を観てしまったのか」という後悔を味わうと同時に「なんて完成された名作…!」と感動に浸ってしまう、超問題作であり大傑作の1本。今考えると周到に練られた内容や>>続きを読む

話の話(1979年製作の映画)

4.4

ストーリーというものがあるのだとしたら、その展開については全然理解できなかったけど、30分間漂う異様なほどの哀愁が頭から離れない。何がどうというわけではないんだけど、ひたすらに切なくて悲しくて不安にな>>続きを読む

霧の中のハリネズミ/霧につつまれたハリネズミ(1975年製作の映画)

5.0

「君がいなくちゃ、一緒に星の数を数えられないよ」生きていればたくさんのときめきに出会えるけど、私はハッと息を呑むほど心を掴まれる衝撃を受けて、その後に深くため息をついてしまうようなときめきが1番好きだ>>続きを読む

アオサギとツル(1974年製作の映画)

4.8

こんなにシンプルに、美しく、そして繊細に、恋のすれ違いを描いた作品はないかもしれない。浮世絵に影響された微細な画と淡い色彩が儚げでやわらかく、可笑しいようで愛おしく、哀しい人間臭さにありふれた、本当に>>続きを読む

キツネとウサギ(1973年製作の映画)

3.8

子ども向けとはいえ、100%可愛い画ではないことが逆に魅力的だと感じずにはいられないような作品だった。前半の2作品とは打って変わってザ・子ども向け!といった雰囲気はあるんだけど、はじめはあまりキャラク>>続きを読む

ケルジェネツの戦い(1971年製作の映画)

3.7

戦争に行く男たち。悲しみにくれる女たち。中世のフレスコ画をアニメーション化することで描かれる世界観が、今観ても斬新だった。

どの作品もだけど、動く静止画という印象がある。綿密に重なり合わされた切り絵
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25日・最初の日(1968年製作の映画)

3.6

台詞はほぼなく、抽象化された灰色または黒色の世界で、激しく疾走する赤が映える。

旧ソビエトにより搾取された当時の労働者たちが生きる、陰気で無機質な灰色の街にぽつんとたたずむ十字架が映るところから本作
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ダイヤルMを廻せ!(1954年製作の映画)

3.8

巨匠はいつまでも巨匠。ヒッチコック監督の無駄のないミステリーを公開当時の35mmフィルムでの劇場公開で堪能するという、贅沢すぎる贅沢に大満足でしかない。

古典作品としての見事なまでの完結性と単純明快
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エル・スール(1982年製作の映画)

5.0

素敵な言葉を囁くだけが愛じゃない。スペイン内戦が生んだ父と息子の分裂、そしてその息子と孫娘の頼りない親子の形が、冒頭から最後まで繊細に美しく、退廃的なスペイン北部の景色の中で描かれる。光と影、時間、沈>>続きを読む

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

5.0

名前はどうして存在するのか。私たちが名前を呼び合うという行為。それはあまりにも脆いけど、「私はあなたを必要としています」と強く相手に伝えられるかけがえのない希望なんじゃないだろうか。あなたの声が聞きた>>続きを読む

この世界の片隅に(2016年製作の映画)

5.0

それでも、生活は続いていく。戦争前も、戦争中も、戦争後も、毎日どこで生きていても、生きている限り生活は続いていく。おいしいごはんを食べること、安心して眠ること、好きなときに好きな場所に行くことができな>>続きを読む

サクリファイス(1986年製作の映画)

4.0

今まで観た中で一番圧倒された映画かもしれない。ある意味じゃこの上なく映画らしいのに、カメラワークや時の流れのスピードが独特で、まるで演劇のような作品でもある。内容は超越しすぎていて、そしてあまりに宗教>>続きを読む

ポンヌフの恋人(1991年製作の映画)

4.8

アレックス三部作の最後にふさわしく、鋭すぎるくらいの美的感覚がすべてのシーンに散らばっている。全体的に暗めのトーンで物語は進んでいくんだけど、その荒んだ、色褪せた世界の中で、あるときはその闇に溶け込み>>続きを読む

ボーイ・ミーツ・ガール(1983年製作の映画)

4.7

「ぼくらはこうして今も孤独だ」このモノローグから始まった時点で、私は心を鷲掴みにされた。退廃的な白黒の世界で美しく暴走する、あまりに不完全な若さが、確かにそこにあった。

この映画、本当にいつ観ても「
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すれ違いのダイアリーズ(2014年製作の映画)

4.0

タイトル通りまさにすれ違いが多くてひたすらむず痒く、でもものすごくピュアなほっこり癒し映画だった。

タイの田舎では水上学校なる、湖の上に浮かぶキャンプ小屋のような学校があるようで、今回の舞台はこの水
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神のゆらぎ(2014年製作の映画)

4.8

人間なんて結局弱いんだよ、と残酷な現実を突きつけてくる容赦のなさと、それでも苦しんでもがいて生きる人間への慈しみ、その両義性が相殺されずにダイレクトに届いてくる作品だった。

今作は、それぞれに闇を抱
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ブルーに生まれついて(2015年製作の映画)

4.3

青、空、海、憂鬱、物悲しさ、哀愁、孤独、失望、ブルース。似通ってはいても微妙に違うそれぞれのblueが、すべての場面に様々な形で散らばっていて、途切れないblueのもどかしさ、断片的なBlueの危うさ>>続きを読む

ニュースの真相(2016年製作の映画)

3.9

真実を求める報道陣の表面化した闘いと知られざる闘いの両方を濃密に描いた、そう遠くない過去の実話。ジャーナリストたちの闘いを扱った映画だと、夏に観た『スポットライト 世紀のスクープ』が1番記憶に新しいけ>>続きを読む

オマールの壁(2013年製作の映画)

4.5

よく、映画は非日常を体験できる娯楽と言われる。だけど、これは間違いなく現実に起きているパレスチナ問題のひとつで、決してお遊びじゃない。

現実問題をベースにした映画としては、心理戦の要素も加えたしっか
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スタア誕生(1954年製作の映画)

3.6

人生の成功と破滅というテーマを、ハリウッドを舞台にエンターテイメントとして描いた大作。いつ終わるんだろう、と思ってしまうくらいには3時間弱という尺は長すぎたように思うけど、キャストの魅力を最大限に引き>>続きを読む

ボビー・フィッシャーを探して(1993年製作の映画)

3.5

どうして、チェスというゲームにはこんなにも魅力が詰まっているんだろう。あの白と黒で分けられた空間と、それぞれの駒の勇敢さ、孤高さ。どれをとってもため息が出るくらい魅力的だ。チェスというと愛読書である小>>続きを読む

ソフィーの選択(1982年製作の映画)

4.8

ずいぶん前からずっと観たくて、1ヶ月前にようやく鑑賞できた作品。メリル・ストリープ出演作ではダントツに好きだった。

若者が、過去と共に生きる隣人について語る形式が『グレート・ギャツビー』を思い起こさ
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