純さんの映画レビュー・感想・評価

純

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リンドグレーン(2018年製作の映画)

3.9

長閑で愛しいきらめきいっぱいの「長くつ下のピッピ」「ロッタちゃん」「やかまし村の子どもたち」を描いたアストリッド・リンドグレーン。

無邪気さを失わず、それでいて哀しみを静かに
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デスプルーフ in グラインドハウス(2007年製作の映画)

3.8

邪悪な変態バイオレンスを爽快に叩きのめす、とんでもないガールズパワーバイオレンス。おぞましいトラウマをこんなに頼もしい、気持ちのいい笑いに変えてしまうなんて、くだらないけどほんとうに「大好き!」って叫>>続きを読む

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.7

うつくしい行いを信じよう。人間の身体はいつか滅びるけれど、うつくしい心を守ることはできる。疑いを持ってどうして信じられるかを突き詰めるより、信じたいものを素直に信じる心を育てたいじゃない。大人の女は嬉>>続きを読む

エセルとアーネスト ふたりの物語(2016年製作の映画)

3.8

エセルとアーネスト。ふたりの物語の中に、たくさんのひとたちの暮らしがあった。みんなが、自分たちの物語を生きていた。朝が来て、働いて、引っ越して、争いが起こった昔のこと。大きな出来事の間に、当たり前に忘>>続きを読む

マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)

4.6

相手を好きな気持ちは、日常に散りばめられている。夜中に子どもが起こしに来ても大歓迎なところがすてき。歯に食べ物がついているときの指摘がさりげないのが長所。チャーリーもニコールも愛情深い声色が本当にあた>>続きを読む

メゾン・ド・ヒミコ(2005年製作の映画)

3.9

窮屈な場所でも、退屈しない生活。自分の羽を広げられる、わたしたちで守るわたしたちの家。翼を広げること、世界に飛び出していくこと、怖がらなくていい。あなたはすてきだから。皆が道を開けて「あなたを待ってい>>続きを読む

ジョゼと虎と魚たち(2003年製作の映画)

4.7

たった一度で構わないから、「ジョゼは壊れ物なんかじゃないよ」って恒夫に言ってほしかった。鎖をほどいて、海の底から彼女を光の届く場所へ連れて行ったなら、水面に揺れて映る彼女こそがうつくしいことを、どうか>>続きを読む

テルマ&ルイーズ(1991年製作の映画)

5.0

満たされた孤独が、あのふたりを未知の自由へと連れていく。行かないで、と声にならない涙と、「これでもう怖くないね」と手綱を手放す安堵。一緒に行こう。ここで終わっても、わたしたちの旅は最高だった。

数え
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ジョーカー(2019年製作の映画)

4.6

物語も、ジョーカーの笑顔が本物なのかどうかも、時間が進むほどどんどんわからなくなって、ゾッとした。理解を超えている恐ろしさに震えながら、理解できない自分にほっとして……。

凶暴性の奥には、底知れない
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今さら言えない小さな秘密(2018年製作の映画)

3.7

誰しもささやかな秘密を必死に隠して、平気なふりをして、一所懸命生きている。周りからすればささいなことでも、本人にとっては「たいしたこと」なのだから、その秘密を無理やり暴かせる必要はない。

だけど、も
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アンナ(1966年製作の映画)

3.6

くるくる回る表情、自由でのびのびとした仕草。アンナ・カリーナの永遠が、一瞬一瞬、鮮やかという言葉では控えめすぎるほどにはじける。まどろこっこしい展開とは対照的に、いろんな顔を見せてくれる彼女を、彼女を>>続きを読む

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

5.0


力強く、誰ひとり残さずに抱きしめてくれるような作品。哀愁のずっと奥にある、澄んだ祈りと愛。

バイオレンスが最も爆発したシーンには、その乱暴さに似合わない思いやりと、切実な祈りがあった。その描写だけ
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嵐電(2019年製作の映画)

3.6

ふしぎは、毎日の中にある。どこか遠い場所や、妖しげな道しるべだけが非日常のお母さんではなかったことに、安心した一瞬。ここに居ない誰かと向き合う、幻のような確かな夜を、わたしたちはこれから何度過ごすだろ>>続きを読む

ロケットマン(2019年製作の映画)

4.3

愛されたい。そう心から願う気持ちには、ひとりぼっちの寂しさと心許なさ、劣等感がずっと棲みついていた。

あんなに優しくてまろやかな心を歌うひとの胸に、涙で溺れてしまいそうな孤独がずっとずっとあったこと
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小さな恋のメロディ(1971年製作の映画)

4.1

そうだそうだ、小さい頃って日常の中にこんな風に冒険が潜んでいて、毎日が宝探しだったんだ。秘密の場所や、眼差しや、合言葉。昼下がりに抜け出して、こっそりあの古びた廃墟で本物の結婚式をしよう。これまでの1>>続きを読む

僕はイエス様が嫌い(2019年製作の映画)

4.0

神様のおかげで。神様がいたから。そういった心の在り方で今まで大事にされてきた清潔さが、ある日何もかも嘘になる。縋って、祈るほどには近くに居たイエス様が、もう見えなくなっていた。

100%の信仰と、そ
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HOT SUMMER NIGHTS ホット・サマー・ナイツ(2017年製作の映画)

3.6

向こう見ずな瞳の先に、見えていなかった破滅。夏はほんの少しの絶望を香らせて消えていく季節だと知っているけど、こんな暴力的な雨でも僕の夜を洗い流すことなんてできないよ。妖しいネオンの光できみを見つけ出す>>続きを読む

巴里祭(1932年製作の映画)

4.7

20歳というみずみずしい季節を思い出す。小さなことですぐ笑顔になったり膨れっ面に変わったりするアンナが抱きしめたくなるほど可愛くて。ひらひらと揺れる彼女の袖が雨でしっとり濡れている。雨宿りを口実に、き>>続きを読む

ライオン・キング(2019年製作の映画)

4.4

本当は、この姿を一番に見せたい相手はあなただった。あなたに褒めてもらえたら、の一心で突き進んでしまったあの日。守ることの怖さと大切さを、象の墓場に置いてきたのが、どうあがいても取り戻せない間違いで。>>続きを読む

リラの門(1957年製作の映画)

4.5

ろくでなしと蔑まされてきた男と、人でなしと恐れられてきた男。役に立てること、優しくしてもらえることが、ふたりには純粋に嬉しかった。ただそれだけだったはずなのに。

中身がない関係性であっても、気にかけ
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田園の守り人たち(2017年製作の映画)

4.0

それぞれの場所での闘いがある。守り方。正義の貫き方。優しさが信念に屈してしまう時代だった。罪悪感を一生背負う覚悟で、取り戻さないといけないことがあったとしても、ああ、奪ってはいけなかったのに。あんなに>>続きを読む

天気の子(2019年製作の映画)

4.4

これは、東京のさみしさに恋をする映画。雨が止んでも、マクドナルドがどんなにおいしくても、どこかで銃声がなっても、この街ではそんなことのすべてが一瞬で忘れ去られる。過去になる。だから、僕たちだけでも、ち>>続きを読む

グリーンブック(2018年製作の映画)

4.3

何も安全じゃなくて、でも痛みや悲しみは夜を越えれば過去になった。何度も何度も。リピートが止まらなくて、ほんとうはそんな旋律を奏でたいわけではないのに、わたしの人生を讃える曲は、いつだって短調の暗いメロ>>続きを読む

ガラスの城の約束(2017年製作の映画)

5.0

頬を撫でた風が心地よかったのは、あなたと駆け抜けたからだった。きっと、あなたと見上げた空だったから、わたしはあの金星が欲しくなったんだ。今はもう、夢見ていたガラスの城よりも、遠くで光るあの星がいい。あ>>続きを読む

メモリーズ・オブ・サマー(2016年製作の映画)

4.3

血の匂いなんかしないのに、なんて生々しくて冷ややかな夏だろう。誰の、何のせいにしたらいい?子どものときからお馴染みの楽しい時間の過ごし方は、もう卒業しないといけないのかな。ぼくが悪いんだろうか。ぼくが>>続きを読む

さよなら、退屈なレオニー(2018年製作の映画)

3.9

青いなあ。どこまでも。

レオニーは大嫌いなものがたくさんあって、とても寂しかっただろうなと思う。明日こそは好きになりたいなあと思って迎えた朝に、やっぱり顔を見るのも嫌なやつがいる。薄っぺらい関係性。
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未来のミライ(2018年製作の映画)

3.6

あのときのひとりひとりの小さな心の動きが、今この空の下にいるぼくの中の、大切な遺伝子たちなんだ。つまずいたこと。気を紛らわすためにはじめた散歩。思い出の公園。はじめての遊びを知った夏。きみの傷。笑顔。>>続きを読む

ワイルドライフ(2018年製作の映画)

4.4

もうこれ以上壊れないで、とどのくらい強く祈れば、わたしたちは大丈夫なままでいられたのだろう。

落ちていくときは一瞬なのだと、たったひとつの疑念や放棄が終わりへの始まりなのだと、あまりにたよりないわた
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バジュランギおじさんと、小さな迷子(2015年製作の映画)

4.5

そうだった、わたしたちはこんなにも赦したり愛したりできるんだった。受け入れることや慈しむことを恐れるようになったのはいつからだろう。誰かのお守りが、他のひとを縛る縄になったのはどうしてだろう。境界線な>>続きを読む

アラジン(2019年製作の映画)

4.0

美しい夜には、やさしい音楽が似合う。そしてやさしく気高いひとは、あたたかい場所に迎え入れられるんだろうなと思う。

たくさんの笑いと力強さのあるリメイク。新しくも懐かしい大好きな話を映画館で観られて、
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ビル・エヴァンス タイム・リメンバード(2015年製作の映画)

4.0

高みを目指すひとは、自分の底に向かって、深く深く潜ってゆく。彼にしかできない探し方だったのでしょう。他人の孤独だから美しく見えるのかもしれなくても、音楽を愛するひとすべて、あなたの指先を心でそっとなで>>続きを読む

名探偵コナン 紺青の拳(2019年製作の映画)

3.6

隠れ怪盗キッドファンなので、とても楽しませてもらいました。近年はよく劇場に足を運んで元気をもらっているなと思う(上映中耐えきれなくていつも笑ってしまう)。非現実すぎるシーンは、もはや常識を飛び越えて憧>>続きを読む

愛がなんだ(2018年製作の映画)

3.9

そうやって勝手に泣いて、勝手に歩いていけばいいさ。空腹で倒れちゃえばいい。とはいえ、きみは大事な象の飼育員だからねえ。どうしようもないのかなあ。きみの視線や笑い方は何だかとてもバランスが悪くて、たまに>>続きを読む

マイ・ブックショップ(2017年製作の映画)

4.0

曇り空の下で、味方でいてくれるひとのことを思う。好きだとか、大事にしたいだとか、そういうこころがぼろぼろにされることは暴力なのに、どうしてかなわないんだろう。抵抗という名前を持った正しさが負けても、平>>続きを読む

ビューティフル・ボーイ(2018年製作の映画)

4.3

最後に電話をかけたとき、すれ違えることさえ恋しく思えた。幸福はいつもするりと逃げていく。だけど、期待してしまうのは間違いじゃないと言ってほしい。信じさせてくれるのは、信じたいと願うのは、愛があるからだ>>続きを読む

ビフォア・ミッドナイト(2013年製作の映画)

3.7

甘い出会いの終着点がどこになろうとも、百年後もあの日のことは忘れないと誓える1日が、あなたには、わたしには、あるだろうか。今どんなにぶつかり合う日々に追い詰められても、きみがいない退屈な人生なんてまっ>>続きを読む

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