純さんの映画レビュー・感想・評価

純

1995

映画(456)
ドラマ(0)

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)

5.0

永遠に泳ぎ続けていたい夏だった。誰にも内緒の深さまで潜って、ふたりだけが浴びる光と感じる温度を、いつまでもどこまでも分け合っていられたらいい。これから訪れる全ての夏が最低なのはきみのせいだ。きみがいた>>続きを読む

ブエノスアイレス(1997年製作の映画)

3.7

「お前と見に行きたくてな」そう言ってくれたあのひとを思い浮かべながら、たったひとりで眺めるイグアスの滝はどこまでも高くて、轟音を響かせていて、それでいてとっても寂しかった。どんなに素晴らしい景色でも、>>続きを読む

白い馬(1952年製作の映画)

3.8

美しい少年と気高い白馬は、きっと真っ白でいることを望んだ。染まりたくないものから、一緒に逃げ出してしまいたかったんだよね。その逃避に寂寥の香りが漂ったとしても、ふたりの揺るぎない繋がりが辛い季節を飛び>>続きを読む

赤い風船(1956年製作の映画)

5.0

可愛いということは弱さの裏返しでもあって、でもその弱さゆえに結ばれる強い関係だってあるんだなと思った。ほとんどのことに背が届かない子どもも、言葉を持たない風船も、頼りない脆さを纏って生きている。でも儚>>続きを読む

名探偵コナン ゼロの執行人(2018年製作の映画)

3.8

スピード感の緩急がすごい。落ち着いてきたなあと思うと急に加速するから、二転三転ノンストップ!というテンポを大事なところに全部詰め込んだ感じだった。偏りすぎずに一人ひとりに見せ場を用意してくれている丁寧>>続きを読む

ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男(2017年製作の映画)

4.0

歴史は結果論でしか語ることはできなくて、そういう意味じゃ正誤や善悪なんてその大事な瞬間には何の説得力もないように感じてしまう。いまいち何が最善なのか掴めずに狼狽えているにも関わらず、時間は無情にも止ま>>続きを読む

ワンダーストラック(2017年製作の映画)

3.7

これはこぼれ落ちてしまう幸福を、ちゃんと元の場所に帰してあげる映画。沢山の不思議や優しさは私たちを見下ろしているから、そのささやかさゆえに足元の泥沼に気をとられてしまう。世の中には意地悪な出来事や人々>>続きを読む

勝手にしやがれ(1959年製作の映画)

4.8

「私はあなたに意地悪をしてしまった。あなたを愛してない証拠だわ」。それはないだろう、勝手にしやがれ!と言い放ってやりたい台詞の数々がもどかしいのに痛快で、どうしてこんなにロマンチックなんだろう。ミシェ>>続きを読む

大人は判ってくれない(1959年製作の映画)

4.6

大人は判ってくれない。居場所がない十二歳の孤独と反抗を。思いと裏腹に表に出てしまう行動に振り回されているのは、きっと大人たちではなくて子どもたちなんだろうな。知識や経験の数が違うだけで、子どもたちは自>>続きを読む

コーヒー&シガレッツ(2003年製作の映画)

4.8

珈琲はふたりで飲んでこそ。ふたりきりで向かい合って、何でもない不意に浮かんだ会話をして、明日には忘れていても良い。もちろん忘れられないならそれで良い。濃密さと軽さをブレンドした不思議な飲み物が珈琲だな>>続きを読む

ぼくの伯父さん(1958年製作の映画)

4.7

小さなものを見落とさないという優しさ。忙しない世界の片隅にこんなに穏やかでのんびりとした生き方があるんだなあ、と気が抜けちゃいそうな愛らしさが沢山溢れていた。モダンに近づくほど人間の占める面積が多くな>>続きを読む

希望のかなた(2017年製作の映画)

4.4

絶望だけが世界じゃない。曇り空の下、暗闇の中ではほんの少し正義も愛も優しさもぶっきらぼうで、でもちゃんと私たちに寄り添ってくれている。私たちは皆ひとりだけど独りぼっちではなくて、嫌なことも悲しいことも>>続きを読む

シェイプ・オブ・ウォーター(2017年製作の映画)

4.7

これは、間違った時代に生まれてしまった人々のお話。間違っていてもきみは素敵だと信じられる誰かがいることは、弱さであり愛だという真実で、そんな儚くも確かに存在する信頼を、優しく強く抱きしめたくなる物語だ>>続きを読む

グレイテスト・ショーマン(2017年製作の映画)

3.3

ミュージカルとしての歌やパフォーマンスは本当に圧巻で力強さを感じるけど、それを楽しむ映画なんだと割り切る必要のある作品だったと思う。こういうエンタメ大作を観ると少し批判的な意見を書いてしまうけど、それ>>続きを読む

パーティで女の子に話しかけるには(2017年製作の映画)

3.6

「あなたに感染したい」「きみのウイルスになりたい」。想像の1086倍くらいぶっ飛んだ設定と展開で102分びっくりが止まらなかった。それでも、大胆さの中に初々しく瑞々しい感性を潜ませている映画だなあとも>>続きを読む

ゴッホ~最期の手紙~(2017年製作の映画)

5.0

「愛か、狂気か。」のキャッチコピーが印象的だけど、愛と狂気って別々のものなのかな。狂気のない愛や愛のない狂気なんて存在するはずないよねって、そう確かめられる映画がこの作品なんじゃないかと私は思う。ゴッ>>続きを読む

エデンの東(1954年製作の映画)

4.6

自分が何者か知りたい。若者が必ずとも言っていいほどぶつかるこの疑問を、なんて繊細に、なんで暴力的に口にできるんだろう。ジェームズ・ディーンじゃないと嫌だって言い切れるくらい、彼の瞳が、表情が、好きだっ>>続きを読む

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ(1999年製作の映画)

3.6

「耐えることが多すぎて音楽をやめようと思った」。そう思っても尚、音楽に揺れる身体と口ずさんでしまう唇には嘘をつけない。長田弘さんの『失われた時代』で引用された作品に出てくる帽子屋の「この手だけが騙さな>>続きを読む

ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)

4.5

挫けそうなときにふっと誰かの優しさが自分を掬い上げてくれたり、あと一日だけ頑張ってみようかなと思えたりしたら、もしかしたらそれは天使のおかげなのかもしれない。心の隙間を縫い合わせてくれるような言葉をか>>続きを読む

動くな、死ね、甦れ!(1989年製作の映画)

5.0

理不尽で薄汚れた大人の世界でも、非力なふたりは染まることなく、失ってはいけないものをしっかりと抱きしめて、真っ直ぐに生きていたのにね。ずっと付き纏う嫌な予感が、あんな終焉に繋がっていくなんて。本当にや>>続きを読む

めぐり逢えたら(1993年製作の映画)

3.5

「車から降りるときに手を貸しただけでわかったよ」。素敵だね…。運命の相手なんて言うと胡散臭く感じるひともいるだろうけど、別に恋愛に限った話じゃなくても「ああ、このひとは自分にとって特別なひとだ」ってこ>>続きを読む

バグダッド・カフェ<ニュー・ディレクターズ・カット版>(1987年製作の映画)

4.5

乾いた砂地に少しずつ沁みわたっていく優しさと、「ずっとこのままでいられたら良いのになあ」と願いたくなる温度が心地良い。退屈を幸せにしてしまう珈琲を飲みながら、孤独が温もりに変わる瞬間を、焦らずゆっくり>>続きを読む

ルージュの手紙(2017年製作の映画)

3.7

自由を愛しているからと言って、ひとりぼっちが平気な訳じゃない。ベアトリスは確かに自由奔放に生きてきたけれど、同時に一途で真面目でか弱い部分だって持っていた。そして堅実さの塊のようなクレールだって、お茶>>続きを読む

日の名残り(1993年製作の映画)

4.8

一生必要とし、必要とされたい人とは別に、一度で良いから自分のせいで困ってほしい、きみがいた頃が自分の人生の黄金期だと、きみがいないから不幸だと言ってほしいひとはいて、それは愛だということにしていたい。>>続きを読む

ボンジュール、アン(2016年製作の映画)

4.2

寄り道なしの人生なんてつまらない。無駄のない近道を通ってちゃ見えない景色、知らない時間の流れ方があることを、ちゃんと覚えておきたいね。目的地や締め切りは大切だけど、たまには待たせちゃえばいいんだなって>>続きを読む

惑星ソラリス(1972年製作の映画)

3.5

記憶は物質化しないからこそ美しい。輪郭を持ってしまった途端、私たちのお守りでいてくれた過去は牙を剥き、おぞましい生き物に変わってしまうから。自分の中に生きる過去とは、近づきすぎたらいけないね。一定の距>>続きを読む

ノスタルジア(1983年製作の映画)

5.0

大切なのは幸福になることじゃないよ。はじめに教会で掛けられるこの言葉が、最後までずっと救いであり続けてくれる。大切ってなんだろう。幸福ってどんなものだろう。ひとから尋ねられても上手く説明できないのに、>>続きを読む

(1974年製作の映画)

5.0

永遠なんて、あるに決まっている。「僕はまたこの場所に帰ってくる」って、鏡の中の自分の目を見てはっきりと言えるような、痛々しいほどに懐かしく焦がれる感覚が脳裏に蘇らせるあの日の風景、匂い、面影。浮かび上>>続きを読む

アンドレイ・ルブリョフ 動乱そして沈黙(第一部) 試練そして復活(第二部)(1969年製作の映画)

3.7

聖人とされるイコン画家、アンドレイ・ルブリョフの喪失からの再生物語。3時間を超える尺の長さで、断片的な彼の記憶、渦巻く心の葛藤を見事なカメラワークで描き切った、文字通り巨匠の作品といった1本。

伝記
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リュミエール!(2016年製作の映画)

4.5

「映画は最初から世界に開かれた窓である」。こんなに豊かさが詰まった映像がひとの手で創造されたなんて、本当に感動的で心が躍った。たくさんの感情を視覚的、聴覚的に訴えてくれる今日の作品ができるまでそんなに>>続きを読む

ストーカー(1979年製作の映画)

4.1

私たちの救いの場所ってどこだろう。まとわりつくしがらみを振りほどけて、ちっぽけな自分をやわらかく包んでくれる、心をなめらかにしてくれる場所は、一体どこにあるのかな。どんなに信じていて、愛しているひとが>>続きを読む

南瓜とマヨネーズ(2017年製作の映画)

3.8

嫌いになりきれないって残酷で痛くてたまらないのに、実は一番身近で愛おしい感情なのかもしれない。どんなに嫌いなところがたくさんあっても、たったひとつでもそのひとの好きなところを消し去ることはできなくて、>>続きを読む

エンドレス・ポエトリー(2016年製作の映画)

4.5

人生なんて、全て比喩。これは、極限の透明度と彩度を共鳴させながら、断片的で瑞々しい記憶を、正直に、丁寧に、愛を込めて描いた唯一無二の自伝映画。全方向に強烈な感性が散らばって、また集まって、形や角度を変>>続きを読む

婚約者の友人(2016年製作の映画)

4.1

孤独を他人の優しさで埋めて生きるひとはきっといつまでもひとりぼっちのままなんだろうなと虚しくなると同時に、その優しさをどうか自分のために使ってあげてねと声をかけたくなるくらい優しいひとが、遠くない未来>>続きを読む

ドリーム(2016年製作の映画)

4.9

「理不尽」に立ち向かう姿勢は、そのひとがどんな信念を持っているかを語るし、逆境をどう生き抜くかは、そのひとの強さと誠実さを示すものなんだろう。

まだ科学技術が発達していない1960年代、宇宙開発に必
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人生フルーツ(2016年製作の映画)

5.0

豊かな暮らしは、きっと誠実さでできている。誰もができることを、誰よりも真剣に、丁寧に、心を込めて続けるのは、なんて難しくて、なんて気持ちのいいことなんだろうね。そのときにすべきこと、できることを、その>>続きを読む

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