純さんの映画レビュー・感想・評価

純

1995

映画(471)
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オーシャンズ8(2017年製作の映画)

3.8

女の子は美しいおばかさんが一番だと、かつてある小説のヒロインは言った。でも、おばかさんにあの振り切れた美しさは似合わない。今夜、一緒に無敵になってやろうか。

超絶ベタな流れだし、少し間抜けなシーンも
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危険な関係(1959年製作の映画)

3.5

きっと殉教者のように美しかっただろう、なんて思う横顔に、私たちは出会ったことがあるだろうか。真っ白な世界でふたりきり、笑顔を向け合うにはあまりにも虚しくて、誰にも見られないからこそ美しい表情があった。>>続きを読む

早春(1970年製作の映画)

4.3

早すぎる春の憂鬱と狂気は、一瞬の美しさのために深く深く心をえぐっていくのかな。絶望はこんなにも生々しく美しいと、清らかな水の中で漂う若さは歌う。求められることじゃなく手に入れることだけを追い続ける瞳は>>続きを読む

セロ彈きのゴーシュ(1982年製作の映画)

4.5

「なぜやめたんですか。ぼくらならどんな意気地ないやつでものどから血が出るまでは叫ぶんですよ。」ああ、これまで何度この台詞にはっとして、背筋を伸ばしてきただろう。ぼんやりとした輪郭でしか想像していなかっ>>続きを読む

夜の浜辺でひとり(2016年製作の映画)

3.9

海という場所はこんなにもそっけなく、そしてこんなにもやわらかい。波の音が幸せを運んでくれなくても、私は不幸ではないと信じる心を取り戻すことはできるのだ。浜辺を歩くたびに感じる砂の感触も、潮風の匂いも、>>続きを読む

オンネリとアンネリのおうち(2014年製作の映画)

3.7

私たちは思い出せる。お金だけでは揃えられない幸せが転がっている小道や野原のこと。大金よりもキラキラ光るシールのほうが魅力的だった世界のこと。見返りを求めずに赦すという行為が、どんなに優しいものなのかっ>>続きを読む

ポルト(2016年製作の映画)

3.6

こんなにも涙が似合う朝があった。たったひとつの夜だけが永遠なこと、きっとどこまで行っても覆せない。どんなに走っても、触れても、記憶をなくしても、反芻するあなたの横顔は新しくて美しい。他のあらゆるものす>>続きを読む

ブリグズビー・ベア(2017年製作の映画)

4.6

小さい頃に信じていた英雄やお姫様の背丈を追い抜いたって、ハッピーエンドは作れるよ。怖いという気持ちが蓋をしてしまったきみの命は、すぐにでもまた踊り出せる。きみが大丈夫になれない世界なんてごめんだ。幸せ>>続きを読む

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)

4.6

優しいだけじゃ生き抜けないけど、優しさに救われる日々がどんなに素敵なものか、私たちは知っている。正しい行いはときに痛くて寂しくて、いとも簡単にひとを傷つけてしまう。正しさと優しさだったら、優しさを選ん>>続きを読む

サラの鍵(2010年製作の映画)

3.7

凛とした眼差しで黄金の麦畑を駆け抜けたあの少女は、もういない。この世では報われないことなんていくらでもあるけれど、他のどんな願いを犠牲にしてでも届けたい切実な声があるのに、どうしてよりによって、その声>>続きを読む

万引き家族(2018年製作の映画)

4.7

陽のあたる場所の正しさしか知らない人々の目なんて、盗んでしまえばよかった。そうして彼らだけが、仄暗くやさしい場所で、いつまでもいつまでも一緒に暮らしていけますように。非難する前に、あのひとたちをそんな>>続きを読む

レディ・バード(2017年製作の映画)

4.4

愛おしい退屈。相変わらずの嘘つきで見栄を張っていても、こんなにも今日彼女は新しい。いつもの街角に、隠れていた美しい景色を見つけたとき。あのときから、彼女はもう自分を守る理想の名前がなくても大丈夫だった>>続きを読む

泳ぎすぎた夜(2017年製作の映画)

4.2

夜の音。冬の音。景色が清らかな音を鳴らす映画だなあと思ったところで、「あ、話し声がしないんだ」と気が付いた。普段私たちの声にかき消される音がすべて、この映画では主役に抜擢されている。降り続ける雪も、晒>>続きを読む

犬ヶ島(2018年製作の映画)

4.2

守りたいものがある生き物の熱量は、ちゃんと目指す場所へ届くのだと思った。闘う理由、反抗する理由が曲げられない正義であるとき、自分を誇れるものであるとき、大きな力が私たちの味方をしてくれる。勝ち負けでは>>続きを読む

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(2017年製作の映画)

4.8

眩しさの理由は、いつだってその孤独な影だった。幸せな瞬間に値踏みなんて必要ないよね。きらきらと光る時間は、馥郁な香りを連れて私たちの目線を奪う。あんなに色彩豊かな世界でも、現実は確かに怖い顔をして私た>>続きを読む

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)

5.0

永遠に泳ぎ続けていたい夏だった。誰にも内緒の深さまで潜って、ふたりだけが浴びる光と感じる温度を、いつまでもどこまでも分け合っていられたらいい。これから訪れる全ての夏が最低なのはきみのせいだ。きみがいた>>続きを読む

ブエノスアイレス(1997年製作の映画)

3.7

「お前と見に行きたくてな」そう言ってくれたあのひとを思い浮かべながら、たったひとりで眺めるイグアスの滝はどこまでも高くて、轟音を響かせていて、それでいてとっても寂しかった。どんなに素晴らしい景色でも、>>続きを読む

白い馬(1952年製作の映画)

3.8

美しい少年と気高い白馬は、きっと真っ白でいることを望んだ。染まりたくないものから、一緒に逃げ出してしまいたかったんだよね。その逃避に寂寥の香りが漂ったとしても、ふたりの揺るぎない繋がりが辛い季節を飛び>>続きを読む

赤い風船(1956年製作の映画)

5.0

可愛いということは弱さの裏返しでもあって、でもその弱さゆえに結ばれる強い関係だってあるんだなと思った。ほとんどのことに背が届かない子どもも、言葉を持たない風船も、頼りない脆さを纏って生きている。でも儚>>続きを読む

名探偵コナン ゼロの執行人(2018年製作の映画)

3.8

スピード感の緩急がすごい。落ち着いてきたなあと思うと急に加速するから、二転三転ノンストップ!というテンポを大事なところに全部詰め込んだ感じだった。偏りすぎずに一人ひとりに見せ場を用意してくれている丁寧>>続きを読む

ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男(2017年製作の映画)

4.0

歴史は結果論でしか語ることはできなくて、そういう意味じゃ正誤や善悪なんてその大事な瞬間には何の説得力もないように感じてしまう。いまいち何が最善なのか掴めずに狼狽えているにも関わらず、時間は無情にも止ま>>続きを読む

ワンダーストラック(2017年製作の映画)

3.7

これはこぼれ落ちてしまう幸福を、ちゃんと元の場所に帰してあげる映画。沢山の不思議や優しさは私たちを見下ろしているから、そのささやかさゆえに足元の泥沼に気をとられてしまう。世の中には意地悪な出来事や人々>>続きを読む

勝手にしやがれ(1959年製作の映画)

4.8

「私はあなたに意地悪をしてしまった。あなたを愛してない証拠だわ」。それはないだろう、勝手にしやがれ!と言い放ってやりたい台詞の数々がもどかしいのに痛快で、どうしてこんなにロマンチックなんだろう。ミシェ>>続きを読む

大人は判ってくれない(1959年製作の映画)

4.6

大人は判ってくれない。居場所がない十二歳の孤独と反抗を。思いと裏腹に表に出てしまう行動に振り回されているのは、きっと大人たちではなくて子どもたちなんだろうな。知識や経験の数が違うだけで、子どもたちは自>>続きを読む

コーヒー&シガレッツ(2003年製作の映画)

4.8

珈琲はふたりで飲んでこそ。ふたりきりで向かい合って、何でもない不意に浮かんだ会話をして、明日には忘れていても良い。もちろん忘れられないならそれで良い。濃密さと軽さをブレンドした不思議な飲み物が珈琲だな>>続きを読む

ぼくの伯父さん(1958年製作の映画)

4.7

小さなものを見落とさないという優しさ。忙しない世界の片隅にこんなに穏やかでのんびりとした生き方があるんだなあ、と気が抜けちゃいそうな愛らしさが沢山溢れていた。モダンに近づくほど人間の占める面積が多くな>>続きを読む

希望のかなた(2017年製作の映画)

4.4

絶望だけが世界じゃない。曇り空の下、暗闇の中ではほんの少し正義も愛も優しさもぶっきらぼうで、でもちゃんと私たちに寄り添ってくれている。私たちは皆ひとりだけど独りぼっちではなくて、嫌なことも悲しいことも>>続きを読む

シェイプ・オブ・ウォーター(2017年製作の映画)

4.7

これは、間違った時代に生まれてしまった人々のお話。間違っていてもきみは素敵だと信じられる誰かがいることは、弱さであり愛だという真実で、そんな儚くも確かに存在する信頼を、優しく強く抱きしめたくなる物語だ>>続きを読む

グレイテスト・ショーマン(2017年製作の映画)

3.3

ミュージカルとしての歌やパフォーマンスは本当に圧巻で力強さを感じるけど、それを楽しむ映画なんだと割り切る必要のある作品だったと思う。こういうエンタメ大作を観ると少し批判的な意見を書いてしまうけど、それ>>続きを読む

パーティで女の子に話しかけるには(2017年製作の映画)

3.6

「あなたに感染したい」「きみのウイルスになりたい」。想像の1086倍くらいぶっ飛んだ設定と展開で102分びっくりが止まらなかった。それでも、大胆さの中に初々しく瑞々しい感性を潜ませている映画だなあとも>>続きを読む

ゴッホ~最期の手紙~(2017年製作の映画)

5.0

「愛か、狂気か。」のキャッチコピーが印象的だけど、愛と狂気って別々のものなのかな。狂気のない愛や愛のない狂気なんて存在するはずないよねって、そう確かめられる映画がこの作品なんじゃないかと私は思う。ゴッ>>続きを読む

エデンの東(1954年製作の映画)

4.6

自分が何者か知りたい。若者が必ずとも言っていいほどぶつかるこの疑問を、なんて繊細に、なんで暴力的に口にできるんだろう。ジェームズ・ディーンじゃないと嫌だって言い切れるくらい、彼の瞳が、表情が、好きだっ>>続きを読む

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ(1999年製作の映画)

3.6

「耐えることが多すぎて音楽をやめようと思った」。そう思っても尚、音楽に揺れる身体と口ずさんでしまう唇には嘘をつけない。長田弘さんの『失われた時代』で引用された作品に出てくる帽子屋の「この手だけが騙さな>>続きを読む

ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)

4.5

挫けそうなときにふっと誰かの優しさが自分を掬い上げてくれたり、あと一日だけ頑張ってみようかなと思えたりしたら、もしかしたらそれは天使のおかげなのかもしれない。心の隙間を縫い合わせてくれるような言葉をか>>続きを読む

動くな、死ね、甦れ!(1989年製作の映画)

5.0

理不尽で薄汚れた大人の世界でも、非力なふたりは染まることなく、失ってはいけないものをしっかりと抱きしめて、真っ直ぐに生きていたのにね。ずっと付き纏う嫌な予感が、あんな終焉に繋がっていくなんて。本当にや>>続きを読む

めぐり逢えたら(1993年製作の映画)

3.5

「車から降りるときに手を貸しただけでわかったよ」。素敵だね…。運命の相手なんて言うと胡散臭く感じるひともいるだろうけど、別に恋愛に限った話じゃなくても「ああ、このひとは自分にとって特別なひとだ」ってこ>>続きを読む

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