十一さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

十一

十一

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フロム・ダスク・ティル・ドーン(1996年製作の映画)

4.2

再見。ディテールの馬鹿馬鹿しさ。前半と後半のアクロバティックなツイストが堪らない。語るのが野暮な映画。

パージ(2013年製作の映画)

3.8

荒削りではあるが、主張や映画的なアイデア、分断を予感させる時代の空気がこれでもかと詰め込まれていて、不思議な勢いがある。シリーズ化されているのも頷ける。

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022年製作の映画)

3.5

ヒーロー映画でありながら、主役の不在を埋めていく過程がそのまま作品のテーマになっている不思議な作品。与えられたヒーロー像ではなく、自分自身の中にヒーローを引き受けていくのが、SNSのインフルエンサーは>>続きを読む

アメリカン・ビューティー(1999年製作の映画)

4.1

再見。序盤の皮肉の応酬は笑えるが、主人公の立場への共感から、徐々に暗澹とした気分がまさっていく。幸福であらねばならないという思い込み。幸せと感じることではなく、客観的に幸せと判断できるものがなければ、>>続きを読む

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

4.0

ダイアローグでも映像でもなく、手話という、演技と身体性、言語の要素を併せ持つ特殊な語り口を、第三のレイヤーに配置することで、主人公とその家族、および、その周辺についての関係性を描くに当たり、構造的な奥>>続きを読む

LAMB/ラム(2021年製作の映画)

3.9

受胎告知の裏返り。設定として都市部では成り立たない話だが、シナリオの都合である大自然の風景が寓話的な味になっているのが巧い。どうしてもアダのビジュアルに目が行くが、話の根幹にあるのは、一人の女を巡る兄>>続きを読む

殺し屋1(2001年製作の映画)

3.5

漫画を読破して面白かったので映画の方も見てみた。ポイントをよく拾って映像化してあるが、諸々の配慮と古いCGのチープさが、原作にあったアクの強さと衝撃を薄めている。エゴの極致にサディストを君臨させ、欲望>>続きを読む

エイリアン:コヴェナント(2017年製作の映画)

3.9

再見。初見では、未知の惑星でマスクをとる描写を初め、調査隊のプロフェッショナルと思えない、あまりに迂闊な行動の数々が気になったが、押井守の続編映画についての本で、敢えて烏合の衆として描いているという指>>続きを読む

プロメテウス(2012年製作の映画)

3.8

再見。異文化の衝突を描くのが、リドリースコットの描きたいテーマであるという押井監督の言葉を鵜呑みにしてみると、面白い。異星の文化を訪問する構造の中に、父娘の断絶と、人間以上の知性を有する天使、あるいは>>続きを読む

エイリアン4(1997年製作の映画)

3.4

再見。戯画的なキャラ付けと、SF設定の緩さで、シリーズ中、一番寓話的、というか、漫画的。戦う女のアイコンであるリプリーのキャラクタを膨らませ、男性社会である軍を崩壊させる力を持ったモンスターとして描く>>続きを読む

星を追う子ども(2011年製作の映画)

3.5

宮崎駿の物語の構造は、冥界下りとその帰還の往復運動にあるが、新海誠は本歌取りに近いオマージュに溢れながらも、安易な帰還を許していない点が大きく異なる。ラピュタは崩壊するし、湯屋はさらなる冥府の中間にす>>続きを読む

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.1

一試合に絞り、原作主人公以外のキャラクタから過去をカットバックして振り返って見せる構図をとっているのが、これだけの年月を経て、大人になった観客との距離の取り方として絶妙。何者かになろうと現在進行形で足>>続きを読む

フェーズ6(2009年製作の映画)

2.5

ゾンビ映画とロードムービーのテンプレ。車を消毒する場面を見ながら、コロナ後のパンデミック映画は描写のリアリティレベルが一段高くなるだろうと、関係のない感想を抱くなど。

トリプル・フロンティア(2019年製作の映画)

3.3

純粋なエンタメではなく、恐怖の報酬のような文芸味があるのだが、地獄の黙示録にあるような宗教的な雰囲気が脱臭されているのが現代的。結果、欲望を剥き出しにする生物としての人間の愚かさが前面に提示される形と>>続きを読む

オーシャンズ12(2004年製作の映画)

3.2

再見。ブルースウィリスを演じるブルースウィリスと、ジュリアロバーツのそっくりさんを演じるジュリアロバーツという仕掛けが虚々実々の世界観と危ういバランスでなりたっている。

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

4.4

監督がハルキチルドレンであることから、「かえるくん東京を救う」を補助線に構図を解釈してみる。無意識下で繰り広げられる、あらゆる心の傷跡に対する、フィクションを武器とした戦いであり、イマージュにおいて、>>続きを読む

モービウス(2022年製作の映画)

2.8

途中で寝たので記録のみ。バットマンが恐怖の象徴として蝙蝠を取り込んだのに対し、恐怖を克服するために、象徴と同化する。その辺りをうまく差別化できたら良かったのにと思わなくもない。

王立宇宙軍 オネアミスの翼 4Kリマスター版(1987年製作の映画)

4.4

劇場で再見。10回ぐらいは見ているので、今更感想もないが、劇場で腰を据えてみると、最後のスピリチュアルなイメージカットの連続も中々味わいがあるように思えてくる。

RRR(2022年製作の映画)

4.5

バーフバリの興奮が再び。アクションエンタメはハリウッドと香港映画でやり尽くされたと思っていたが、そんなことはなかった。面白い映画はまだまだ作られうる。トップガンマーヴェリックを見た時、これが最期のアク>>続きを読む

マージン・コール(2011年製作の映画)

3.9

リーマンショック前夜。一夜の出来事として構成されているのが、ホラー映画の文法に通じ、夜明けは、際限ないマネーゲーム、狂騒と夢の終わりと共に訪れる。オフィスから朝焼けの紫雲に霞むニューヨークを見下ろすシ>>続きを読む

プリースト(2011年製作の映画)

2.9

エイリアン的な吸血鬼の造形と、ブレードランナー的な荒廃世界と中二病的な設定。

ONE PIECE FILM RED(2022年製作の映画)

3.8

ウタは、世代として、連載当初からルフィと一緒に旅立ったadoそのものであれば、シャンクスの娘であるというのも比喩以上の意味があろう。当時存在しなかったSNSによるインフルエンサーの台頭が時代の移り変わ>>続きを読む

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

4.1

映画の映画。怪物の矩形の開口はカメラのフレームであり、中身が虚なヒラヒラとした体は、幻想を焼き付けるフィルムなのだろう。カメラと被写体の関係は、見ることと見られることの相互的な力学の上に進展するもので>>続きを読む

レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦―(2009年製作の映画)

3.0

ジョン・ウーの映画らしく、とりあえず、鳩が出てくるので安心できる。

ライダーズ・オブ・ジャスティス(2020年製作の映画)

4.1

奇妙なテンションで不思議な物事の連鎖が描かれる。聖夜の奇跡を描くクリスマス映画の系譜にあたるが、起きた奇跡そのものがなんとも名状し難い偶然に支えられているのが、味わい深い。

フッテージ デス・スパイラル(2015年製作の映画)

2.9

前作の内容を忘れていたので、呪いを解く方法をが何だったか、本編の内容より、興味の焦点が前作に移ってしまったのは失敗。予習推奨。

劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM [後編] 僕は君を愛してる(2022年製作の映画)

4.3

アニメのキャラクタに「愛してる」と言われたところで、救われる程度の安い絶望を相手にしてどうすると思ったが、舞台挨拶で見た、少しはにかんだ幾原監督の、きっと何者かになれる、でしたっけ、という韜晦じみた一>>続きを読む

ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

3.7

上京物語のテンプレをなぞりつつ、ミートゥで都会と60年代への幻想を破壊していくブラックユーモアは、この監督ならでは。映像的に年代不詳の冒頭シーケンスから、ヘッドホンのカットで現代へと一気にジャンプする>>続きを読む

クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

3.7

一時代を築いたマチズモのアイコン、イーストウッドがマッチョについて語る。子供と動物という鉄板ネタを絡めたロードムービーは、隙のない話運びの横綱相撲だが、完璧すぎて、だからどうしたと言いたくもなる。

デモニック(2021年製作の映画)

3.6

エクソシストの特殊部隊など、ほんの数カットの描写に過ぎないのだが、中二病のレベルが高くて非常に良い。デジタル世代の世界観でアップデートされたオカルトホラーの恐怖の源泉は、宗教的な悪の概念や、人間心理の>>続きを読む

マスター・アンド・コマンダー(2003年製作の映画)

3.5

未踏の世界への羨望は、植民地主義的な世界観と親和性が高い。冒険は、未開で野蛮な土地や人々がいないと描けないものだが、世界が狭くなったせいか、ある世界をそのように描くのは政治的に難しくなったせいか、最近>>続きを読む

プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

4.0

男性への復讐の話と見せかけつつ、プロセスそのものが、贖罪のための自傷と自殺に至る過程であると仄めかされており、単純な対立構造を越え、男性優位の社会に加担しているあらゆるものへの糾弾となっている。

劇場版TRIGUN(トライガン) -Badlands Rumble-(2010年製作の映画)

3.1

再見。入門編として、トライガンの重要パーツを押さえてあり、劇場版の必要十分を満たしてはいるが、映画としてのストーリーラインや、絵としてのパンチが弱い。

レインマン(1988年製作の映画)

4.2

再見。漫画「ファイアパンチ」のトム・クルーズ論は秀逸だったが、その意味でこの映画が一番、トム・クルーズらしいと思う。もちろん、彼が本当はどういう人物なのか知る由もないのだが、少なくとも、彼がどういう人>>続きを読む

トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.6

配信サービスが映画に取って代わり、大作アクションという大艦巨砲主義が過去の遺物になろうとしている今、映画スターという言葉も色褪せてきた時代、このような熱量で、永遠の若さを演じ続けるトムクルーズが最後ま>>続きを読む