kaitoさんの映画レビュー・感想・評価

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ニューヨーク、アイラブユー(2008年製作の映画)

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監督ごとの短編が順番に収められているタイプのオムニバス映画化と思っていたら、ニューヨーカーを撮影し続ける女性のキャラクターによって微妙に一本筋のある映画になっていたので、ちょっと驚いた。

ニューヨー
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ヴェラ・ドレイク(2004年製作の映画)

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2004年の映画だったけど、20年後の今観てより意味のある映画になっていたと思う。

結局のところ、ヴェラを責めたり、裁いたり、許したりしているこの男ども中心の世界とそのシステムのおかげで、女性たちが
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ベルファスト(2021年製作の映画)

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ケネス・ブラナーの幼少期を描いた自伝的映画で、北アイルランド内のプロテスタント(スコットランド系)とカトリック(アイルランド系)の紛争を背景に、小さな家族の話を描く『この世界の片隅に』型映画。

現代
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軽蔑(2011年製作の映画)

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フツーに嫌な映画だった。

ギリギリの人たちによる閉塞感たっぷりの村社会。
特に誰もなんの成長もなく終わっていく、よく言えば無頼派純愛(笑)映画という感じ。

小学生の時に観ていた『六番目の小夜子』の
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ある貴婦人の肖像(1996年製作の映画)

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キスについての会話から映画がスタートし、その後に続く演劇のようなモノクロシーンからの女性の視線、手のひらと指に書かれた映画タイトル、からのニコール・キッドマンの涙。
という普通の時代もの映画だと思って
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芳華-Youth-(2017年製作の映画)

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何にも知らずに観たもんで、すっごい金がかかっていて驚いた。撮影の美しさにも驚いたし、全体的に長回しのシーンが多かったのも驚いた。

以前観た『小さな村の小さなダンサー』思い出したけど、時代設定近いのか
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眺めのいい部屋(1986年製作の映画)

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DVDの解説によれば、20世紀初頭のエドワード朝が舞台。
現代のイギリスよりも遥かにガチガチな階級社会が背景として描かれている。

『最終目的地』に続いて、立て続けにジェームズ・アイボリー映画を観たけ
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雪の轍(2014年製作の映画)

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人びとが一瞬留まっては通り過ぎていくという、ホテルのオーナーが主人公というのが良い。しかもこのホテルの名前が『オセロー』というのも絶妙に低俗感があってとっても象徴的。

序盤から中盤まで良いシーンが多
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最終目的地(2009年製作の映画)

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『リリィ、はちみつ色の秘密』に続いてまた養蜂シーンが出てきた!

DVDの特典ではコスモポリタニズムって表現されていたけど、誰一人血が繋がっていないこの感じは是枝映画を強く彷彿させた。不在の中心の存在
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カフェ・ド・フロール(2011年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

ヴァネッサ・パラディが主演しているほのぼのフランス映画かと勝手に思っていたら、不穏なオープニングでギョッとする。特に後でも登場するダウン症の子供たちが歩いてくる空港のタイトルシーンのオープニングが怖い>>続きを読む

イン・ザ・ハイツ(2021年製作の映画)

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日本版ミュージカルのラップ和訳歌詞をKrevaがやっているということで、話題になっていて、映画版を鑑賞。

ラテン系アメリカ人たちが主人公のヒップホップ・ミュージカルで、アフリカ系アメリカ人の差別もの
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地下鉄のザジ(1960年製作の映画)

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ザジすきっ歯で激かわよ!
1960年のパリが舞台ってことだけど、この映画もヌーベルバーグに分類されるのか?とにかく、面白い。いや、超面白い。

凄い角度からの画面とか、早送りとか、巻き戻しとか、アニメ
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ポビーとディンガン(2005年製作の映画)

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『ラースとその彼女』みたいな話で、イマジナリーフレンドものだけど、『フルモンティ』のピーター・カッタネオが監督をしているというのが面白い。

『フルモンティ』は炭鉱が舞台だったのに対して、こちらはオパ
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ビル・カニンガム&ニューヨーク(2010年製作の映画)

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『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』とか『セバスチャン・サルガド』みたいな写真家のドキュメンタリー映画。撮影する側を撮っているという構造そのものがちょっと面白い。

ハイ・ブランドに対しても世界一理解し
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ぼくを探しに(2013年製作の映画)

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ジャック・タチを描いたアニメーションの『イリュージョニスト』を観ていたのと、たしか、覆面ブロガーの三角締めさんが以前100点付けてたなー、と思って観賞。

ミシェル・ゴンドリーとかジャン=ピエール・ジ
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さよなら、人類(2014年製作の映画)

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フィックスの作り込まれた静止画のような画面と、白塗りの登場人物たち、とグレーがかったトーンにシュールな会話劇が続いて、エドワード・ゴーリーの世界観とアキ・カウリスマキの映画が合わさったような感じ。>>続きを読む

カルテット!人生のオペラハウス(2012年製作の映画)

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なんでダスティン・ホフマンこんな題材で映画撮ってんだ?って思ったけど、観終わってみるとかなり彼の自己言及的な映画だったという印象。登場する全ての老人がダスティン・ホフマン一人の中に内在しているようでも>>続きを読む

ブーリン家の姉妹(2008年製作の映画)

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これアン・ブーリンの話か!ってしばらく観始めてから気づく。昔、世界史でやったけどすっかり忘れてた。

現代の家父長制の問題やフェミニズムについて描くなら、王室というのは恰好の題材なのかも、って思ったけ
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リリィ、はちみつ色の秘密(2008年製作の映画)

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1960年代の黒人差別問題を、女性を中心に描いていているということで、『ヘルプ』を連想させた。

メイが特別感受性が強いということで、映画の中でよく涙を流していたけど、あまりに世界がクソ過ぎて彼女の方
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イブラヒムおじさんとコーランの花たち(2003年製作の映画)

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ポール・ハギスの『クラッシュ』のワンパートに似たような話があった気がしたけど、よくよく思い出してみると、店が似てるだけでまったく全然違う話だったわ。

けっこう悲惨な話だけど、音楽の力もあってわりと軽
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人生はビギナーズ(2010年製作の映画)

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一輪挿しの花の静止画から、積まれた段ボール、窓、ドアとカーテンなど閉塞的な部屋と四角を強調した構図、からのユアン・マクレガーのウォークイン・クローゼットの揺れる不安感のある手持ちカメラ風映像、二面性の>>続きを読む

ラブソングができるまで(2007年製作の映画)

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オープニングのミュージックビデオがデフォルメされた80's感丸出しでサイコーだけど、80's警察的な人たちからするとどう見えるんだろう?

あれだけもろに東洋思想にかぶれた感じのコーラのモデルになって
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海を飛ぶ夢(2004年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

障害を持つ人物の生への希望の話かと思いきや、死への渇望とその理解を求める話で驚く。しかも実話モノ。

安楽死と聞くとヨーロッパではこの前ゴダールが亡くなったスイスとかのイメージだったけど、これはスペイ
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デブラ・ウィンガーを探して(2002年製作の映画)

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先日、アトロクでグッチーズ・フリースクールの吉田夏生さんがご紹介されていたので、中古DVDを購入し観賞。

2002年の公開から20年経った今これを観ると、この作品の重要性がはるかに増しているのを感じ
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輝ける女たち(2006年製作の映画)

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人間関係の把握に最初ちょっと手間取るけど、分かると絶妙。

店の成り行きや、キャバレー自体を描くことよりも、微妙な家族関係を描くことに重点を置いていて、そこが面白い。
複雑な家族映画、一種の実家帰省も
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この森で、天使はバスを降りた(1996年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

音楽もいいし、大自然の景色も素敵だし、なんかフツーにいい映画だなーって思っていたら、話が進むにつれ、映画のテンションは変わらないままに、ヘビーな内容へと変容していくのが面白い。

地方都市の閉鎖感、戦
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トゥ・ザ・ワンダー(2012年製作の映画)

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初テレンス・マリック。

めっちゃカット多い。短いカットが延々と連なって、フィックスのショットがほぼない。そして、そのどれもが過剰に美しくて、まさに記憶をそのまま映像化したような映画。

台詞が少なく
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ウェディング・シンガー(1998年製作の映画)

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98年に13年前の85年を描いた、作られた80年代音楽映画。
ウェディング・シンガーというカルチャーがあったということ自体を知れて良かった。今もあるのか?
タイムマシーンじゃないデロリアンが出てきたの
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サン・ジャックへの道(2005年製作の映画)

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オープニングから巡礼スタートまでのテンポがすっごい良くて、対照的に巡礼がスタートするとただ歩いて、食べて、昼寝しての単調な繰り返しが続いてこれもまた良い。その中で美しい景色だけがころころ変わっていく感>>続きを読む

くれなずめ(2021年製作の映画)

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友人死別映画。
青春が終わりつつある暮れなずむ瞬間を描いてもいる。
なにより結婚式の二次会までの時間を切り取る、というこの着眼点が凄い。

冒頭の長回しでいきなりかましてくる感じも良く、このオープニン
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地上5センチの恋心(2006年製作の映画)

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乗り物酔いの激しい人間としては、バスに乗りながら本を読んでいて酔わないのか心配になったけど、浮いてたら安心した。
申し訳程度のささやかなミュージカルシーンと浮き始めるシーンは、本人の浮かれ具合がいい感
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9人の翻訳家 囚われたベストセラー(2019年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

作中作の『デタリュス』なる小説の端々に垣間見えるクオリティが、ハードル上がりすぎている分、気にはなる。
そもそもそんな小説ある?って感じだったけど、『インフェルノ』出版時のエピソードをもとにしているら
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ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)

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いじわるで絶好調な今のリドリー・スコットの傑作。
リドリー・スコットの映画を観るとトルストイの『戦争と平和』を連想するんだけど、たぶん運命というものの絶対的な力とか、人間の無力さみたいなものを感じてし
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街の上で(2019年製作の映画)

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なんか『パターソン』感。

死の匂いなんかも微妙に漂わせながら、変わりゆく街下北沢を描いた、まさに街映画でありながら、そこを舞台に繰り広げられるコミュニケーションというものについて描かれた映画。
人と
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スパイの妻(2020年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

『マダム・フローレンス!夢見るふたり』とか『ファントム・スレッド』とかの夫婦について考えさせられるタイプの夫婦映画。

昭和40年代の日本が舞台だったけど、現代が舞台じゃない黒沢清映画は初めて観た。黒
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ヤンヤン 夏の想い出(2000年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

僕の大好きなひと夏映画。
しっかり群像劇なので、終盤までヤンヤンにはあまり主人公感がない。

アーバンな感じと編集のテンポ、音の演出がめっちゃ森田芳光感。余裕で2022年の今観ても色あせない現代感。
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