kaoruiさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

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レッド・ロケット(2021年製作の映画)

4.5

ベスト級に大好き!
テキサスの荒涼とした失われた街に沈澱し、しがみつくように生を営む人々。
我らがマイキーがパステルに色鮮やかな自転車で澱んだ街路を駆け抜ける。
夕暮れに俯瞰すると巨大工場がドーナッツ
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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

3.5

楽しいなー
有機物でできた宇宙船の造形、マッドサイエンティストの動物実験描写などグロテスクな画が目白押しで目が離せなくなる。主要登場人物はそれぞれに惚れ惚れするような見せ場がしっかりと用意されており、
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ヴィレッジ(2023年製作の映画)

2.0

ゴミ処理場にぽっかり開いた穴から聞こえる息吹、そして能面越しの呼吸、能面の様な老婆の顔。村の闇の底で繋がっていることを大きく描こうとしつつ着地にややしくじったきらいがあるが心意気やよし。
久しぶりに息
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スペース カウボーイ(2000年製作の映画)

2.5

青いフィルターのかかったざらざらしたモノクロの絵の中を切り裂くように雲を突っ切るオープニングでガツンとやられる。
現在に飛びカラーになり登場するイーストウッドの澱みない立ち姿の艶っぽいこと。
トミーリ
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ストリーマーズ/若き兵士たちの物語(1983年製作の映画)

1.0

鬼才アルトマンを持ってしても舞台劇を映画化することは難しい。
作風からして苦手分野であろうことは明らかなんだけど、敢えて自らを追い込み自身の可能性を試してみたくなるものなのかもしれない。
舞台では一方
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ゴスフォード・パーク(2001年製作の映画)

4.0

二十人近い癖のある登場人物達を流れるようにカメラが捉える。そしてカット間際で怪しげな思わせぶりな表情をする。
大好きなのはジェレミー・ノーサムの美声に合わせ使用人たちがダンスを踊るシーン。うっとりする
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いつかの君にもわかること(2020年製作の映画)

4.5

息子レコメンド。
残り僅かになった二人の時間を懸命に生きる。
抱きしめ手を繋ぎ優しく毛布をかける。
セリフは少ないが映像から二人の絆が伝わってくる。
養子に行く先を父親が探すのが大きなプロットになって
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レディ・イン・ザ・ウォーター(2006年製作の映画)

1.0

怪作!
王女様を助けるための能力をアパートの住民達(このアパート、ポテンシャル高すぎ!)が授かっているのだが当てずっぽうに「パズルをよく解いてるから君がシンボリスト!」みたいに決めてしかも結構間違えて
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ヴィレッジ(2004年製作の映画)

2.5


「語ってはならない者」の最初の見せ方にワクワクするが、やはりうまいなー。
サインでは衝撃映像の中で幼稚園の教室にケムール人みたいなのがばーっと入ってきたりするのだけど、今回はゾッとする見せ方だ。
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ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)

2.5

テレビに映し出される緊急ニュースでの衝撃映像、窓の外を見ると推力を失い墜落していく飛行機達。
監督作の中ではハプニングが一番好きなのだが、久々に同作の系譜に回帰しており、まずはお帰りなさい!
監督作で
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生きる LIVING(2022年製作の映画)

3.5

オリジナルのギラギラした部分、庶民の土に塗れたわい雑な部分が時に面映い部分(これは全くもって黒澤らしい)もあったのだが、紳士とアイロニーの国、イギリス風にソフィスケイトされて、ビルナイのジェントルな立>>続きを読む

ハズバンズ(1970年製作の映画)

4.5

親友の突然の死による喪失感を埋めるように悪ふざけに耽る残された三人。
監督作にしては例外的にきっちり作り込まれた構図と色彩設計の中を犬っころのように戯れあいそして舐め合う様をロングショットの長回しで撮
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オープニング・ナイト(1978年製作の映画)

4.5

冒頭、既に疲労困憊のまま雨の中ファンをかき分けかき分け車に乗り走らせた直後、一人の少女の生が一瞬で消失する驚愕のシーンが強烈に刻まれる。
ジーナローランズがおかしくなるきっかけとしての切り裂くようなフ
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レスラー(2008年製作の映画)

3.0


時代と家族に見放された滅びゆく男の物語であるところはホエールに通じるが、思ってたより作家性が薄く、良質なエンタテインメント作品で、大人の恋の物語でもある。ストリッパー役のマリサトメイとの大人の恋が切
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.0

海の底に閉じ込められたような部屋の中に雨音がザーと響く。悔恨と絶望の底で緩慢な死を自ら受け入れた主人公は海の底で朽ちつつある。
エッセイが何度も反復されるが、エッセイを書くことは対象を通して創作者の真
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こわれゆく女(1974年製作の映画)

5.0

盟友ジーナ・ローランズとピータ・フォークが異次元の存在感だ。二人の名演は映画史に残るといっても大袈裟ではないと思う。
完全にアドリブと思われるのだがジーナが台詞を言うでもなく唸るような奇声を発し、手話
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チャイニーズ・ブッキーを殺した男(1976年製作の映画)

4.5

今作の白眉は伊達男のグロテスクな歌唱とストリッパー達の怪しげなダンスのコラボだ。
異様なほど尺たっぷりで何を見せられてるんだ?という感覚に陥る。
姿を見せず反撃に転じるベンギャザラに怯えるマフィアとの
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フェイシズ(1968年製作の映画)

4.0

脚本を読み込み果てしないリハーサルを重ねてようやく俳優達の間に生まれるエモーショナルな感情、表情。顔、顔そして顔。直後にどんな行動を取るのか全く予測できない緊張感。
はしゃいでいたと思うと急にマジにな
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アメリカの影(1959年製作の映画)

3.5

行き場のない主人公と悪友達が街を屯する。場末のバーで戯れあう彼らの息吹がカメラにかかるほど密着する。
所謂ニューヨーク的なショットはほとんどなく構図も思いつくままに入れ乱れるがニューヨークの猥雑な空気
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映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)

1.5

作品の本質に全く関係ないけれど、西洋人設定?の主演二人がどう見ても日本人で、最後まで違和感が消えなかった。
融資のシーンは半沢直樹のようで、ヒネテシマッテイル僕は今ひとつ乗れなかった。

コンピュータ
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べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)

3.5

メイドカフェでの瞬間湯沸かし器のような高石さんのガンアクション、そして伊澤さんと三元君の未見性に満ちた肉削り骨軋む格闘シーンが芯にあるので、全く自然に地続きの二人の日常のアドリブ演技が活きる(モゴモゴ>>続きを読む

ちひろさん(2023年製作の映画)

3.5

一人ぼっちでいることは辛いことだが、自身の孤独を抱きしめて生きていくことは強く美しい。そんなちひろさんの周りに一人で生きることが不安な人々が集まり肩寄せ合い少しだけ勇気をもらって一歩踏み出す物語。
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オットーという男(2022年製作の映画)

2.5

愛妻を亡くし人生に絶望した男が生きる意味を見出し一歩踏み出すハリウッド王道の物語。前半トムの苛々が観ているこちらにも伝染し苛々するが、フラッシュバックにより愛妻との来し方が明らかになるにつれ愛すべき存>>続きを読む

アラビアンナイト 三千年の願い(2022年製作の映画)

3.5

物語の持つ力をミラー監督の振り切った映像で堪能できる。シヴァの前で弦楽器を奏でるソロモンの傍でゴブリンがパーカッションを奏でるフリークな絵は怒りのデスロードを彷彿とさせる。イブラヒムのエピソードもオチ>>続きを読む

少女は卒業しない(2023年製作の映画)

3.0

佐藤緋美君のエピソードがピカイチで「刹那四世と呼べ」「今それいいから」彼女の返しが心地よい。とんでもない逆境を前にして堂々とした佇まい。そして音程が定まらないまま始まるダニーボーイには驚いた。声が講堂>>続きを読む

カランコエの花(2016年製作の映画)

4.0


アドリブであろう女子高生達の日常で交わされる会話の口跡が鮮やかで、
緻密な脚本は一番残酷なタイミングで残酷な一言を今田さんに言わせてしまう。
両者が良質なジャズの如く絶妙なバランスで共存している。
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.5

宇宙は無限で、別の次元でアライグマを頭に乗せた男と一緒に働くこともあり得るし、手がソーセージな世界に生きることもありうる。石ころしかない世界に生まれることもあり得る。
一見どこにでもある事件なのだが、
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2046 4Kレストア版(2004年製作の映画)

2.0

欲望の翼、花様年華のパラレルワールドの迷宮を彷徨う。
トニーレオンは今作でも追いかけても永遠に届かない女性を追い続け、一人迷宮に放り込まれたチャンツィイーが彷徨い傷つき孤独に堕ちていく。
秘密を穴に告
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フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.5

大傑作。
監督が映画本来の恐ろしい本質に向き合う。撮るべき時が今来たのかもしれない。
カメラを回すだけでありのままがフィルムに定着してしまう。被写体の撮られることを意識した作られた顔。撮影者の意識の底
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ザ・プレイヤー(1992年製作の映画)

3.5

映画人に愛される監督が映画界を舞台に描いた群像劇として知られるが、一級品の倒叙推理劇だ。ライル・ラヴェットがレベッカの家政婦の如くそこにいて生理的にゾッとするが、最初の台詞のカントリーシンガーとして鍛>>続きを読む

恋する惑星 4Kレストア版(1994年製作の映画)

1.5

ダークな欲望の翼から一転、軽やかで楽しい。軽やかさを金城武が牽引し、トニーレオンが一切眉間に皺を寄せることなく引き継ぐ。デニスブラウンの蕩けるルーツロックからのカリフォルニアドリーミングへ。
全編手持
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欲望の翼(1990年製作の映画)

3.5

後のカーウェイ作品に繰り返し用いられるモチーフの一つである時計(トキ)の描写は今作からか。共に刻んだ1分。
同じく監督作品を彩ることになる夜の雨、そして鏡の描写も既にスタイリッシュで、若者たちは皆孤独
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コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

4.5

オリマキはモノクロだったからわからなかったが、この監督の色彩感覚は凄い。
ロシアの寂寞とした汚れた白い絵の中に深い青を溶け込ませる。
二人の孤独が深ければ深いほど寄り添っていくが、彼の孤独はあまりに深
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エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)

2.5

海辺の映画館という最高のロケーションをロジャー・ディーキンスが撮る。館内の抑えた色彩と屋外の海の香り溢れる陽光いっぱいの絵は満足度が高い。孤独な女性を演じるオリヴィアコールマンは今作も素晴らしい。
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BLUE GIANT(2023年製作の映画)

1.5

息子レコメンドで嫁さんも泣きそうになってたけど、うーんハマらなかった。
刃牙のように挿入される後日談インタビュー、そして遠景で挿入されるモーションキャプチャCGの違和感に集中力を削がれてしまった。モン
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三つ数えろ(1946年製作の映画)

2.5

スモーキーで一途なバコールとボギーを中心に据え、僕達はただ迷宮のように入り組んだプロットに酩酊しながら彷徨い彷徨い、物語は着地しないまま(したのかもしれないけれど)名セリフと共にナタでぶった斬られるよ>>続きを読む