エリオットさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

エリオット

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北の橋(1981年製作の映画)

3.9

ビュル・オジェとパスカル・オジェの母娘共演作。

意味不明なのはリヴェットの他の作品と同じだがぶっ飛びの方向が他の作品と若干違う感じで残念ながらハマらなかった。

でもパスカル・オジェはロメールの「満
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.4

とても正統派な続編だったので1時間前に前作を見直していてラッキー、でも見ていなくても十分分かる作りにはなっていた。

CGなど最新の技術は取り入れつつも作劇は昔ながらのオーソドックスな展開で、そしてそ
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トップガン(1986年製作の映画)

4.0

公開当時サントラがことさらに流行っていて本編もPVみたいな映画なんだろうと思って見逃していたが今回改めてアマブラで見てみた。

確かにいかにも80年代っぽい感じが古臭さを感じさせるところはあるが、空中
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犬王(2021年製作の映画)

4.1

ミュージカルというよりはロックオペラといった感じで今ではちょっとオールドスクールな年代のロックが鳴り響くところはちょくちょく見ている劇団☆新感線の公演のようだった。

大友良英が苦労して作ったという主
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ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(2022年製作の映画)

4.2

Dolbyシネマ3Dで鑑賞

「ワンダヴィジョン」「What if?」「ロキ」はいちおう鑑賞済みだが、特に見てなくてもなんとなく事情は想像はできそうな感じで作られているし、マルチバース間の移動も画面の
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デュエル(1976年製作の映画)

4.6

日活をクビになる前の鈴木清順も顔負けのとんでもノワール。とにかく自由かつ大胆な省略や飛躍が満載。
同録なのでホテルの一室で男女が恋の駆け引きをしている後ろでピアニストがしれっと劇伴してるのが映っていた
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セリーヌとジュリーは舟でゆく(1974年製作の映画)

4.3

冒頭セリーヌとジュリーの追っかけっこに先ず惹かれるが、その後、古い屋敷内でのメロドラマのような妄想の断片を見せられて訳がわからない状態に陥る。
しかし、後半、その幻覚のような映画内ドラマが繋がりを持ち
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勝手にしやがれ(1960年製作の映画)

4.2

何十年かぶりに劇場鑑賞
前に見たときはなんじゃこのクズ男はっていう感じだったが、今見るとジーン・ゼバーグも含めありかなしかで言うとなんかあるよなぁって思う
記憶に残るセリフやショットが多く、いわゆるキ
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ワン・セカンド 永遠の24フレーム(2020年製作の映画)

4.0

チャン・イーモウの新作なのにお客さん入ってないのが残念
確かに最近面白くなさそうな大作が多くてオリンピックの監督してる場合じゃないよ…だったけど本作は個人的に作りたい作品だったらしく以前のテイスト満載
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死刑にいたる病(2022年製作の映画)

4.2

白石和彌監督は「凶悪」のころからずっと韓国ノワールのような暴力描写を日本映画に導入してきたが本作も序盤はまるで「悪魔は見た」のよう

中盤以降は他人を殺める恐怖から他人を支配する恐怖に焦点が移り、そこ
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シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

4.0

「シン・ゴジラ」を見たときほどの衝撃はなかったが、50年以上前のヒーローがほとんどそのままの物語や設定で、そして何よりとても美しいフォルムで現代に蘇っただけで個人的には満足

そういえばフジ隊員が巨大
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評決のとき(1996年製作の映画)

4.1

初見。
とにかくマシュー・マコノヒーが若くてハンサムでなかなか感動的な作品。
ただジャン・グリシャム原作らしいが今もし作られたらまた違った感じ(もう少し複雑なテイスト)の作品になりそうな気がする…

マイスモールランド(2022年製作の映画)

4.3

さすがに文福出身の監督らしく、高校生同士の淡い恋愛や青春模様、父と娘の物語などを丁寧に描いていくので、在日難民というハードな問題に触れるには最適な入門編

主演の嵐莉菜はあらたな才能の発見!

流浪の月(2022年製作の映画)

4.2

広瀬すずと松坂桃李が巧いのは前から知っているが今回は横浜流星が慣れない役でがんばっていた。

感情が高まるシーンで流れる音楽のボリュームが大きいのがたまにキズだが、空や水辺の撮影はとても美しく世間から
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天国はまだ遠い(2015年製作の映画)

4.3

当初クラウドファンディングのリターンとして企画された作品らしいが「偶然と想像」のなかに置いたとしても全然おかしくなさそうなちょっとSF的設定のめっちゃ面白い短編
濱口作品常連の岡部尚と「偶然と想像」第
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永遠に君を愛す(2009年製作の映画)

4.0

「Passion」から1年後に作られた中編…河井青葉と岡部尚が「Passion」とは裏返しのような役柄を演じている。
結婚式当日を迎えた花嫁と婚約者と別の男の一日の話と聞けばなんとなく三谷幸喜のコメデ
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PASSION(2008年製作の映画)

4.4

2008年製作の藝大修了作品(濱口流行りの今、大手の本屋に行けば本作が入った修了作品集のDVDが売られている)にして既に完成されていることに驚く。

「偶然と想像」第2部の渋川清彦、第3部の河井青葉、
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何食わぬ顔(2003年製作の映画)

4.1

濱口竜介の長編デビューと言われている2003年の作品で映画を製作する学生たちの物語

このころから既にメタ視点や映画内映画の入れ子構造や乗り物、よく喋る登場人物たちとストレートな台詞の応酬による人と人
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春原さんのうた(2021年製作の映画)

4.1

とてもとても穏やかで優しい映画

直接的なことはなにも描かれないので最初は主人公が誰なのか、何が彼女に起きたのかさえよく分からなかったが、徐々に彼女が何か大切なものを失いその後もその痛みの中で日常を過
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マリグナント 狂暴な悪夢(2021年製作の映画)

4.3

昨年中に見ていたら昨年のベスト10に入ってきていたであろうB級ホラーの傑作

物語世界の設定も、ホラーからスリラーそしてアクションへとジャンルを横断する展開も素晴らしいが、何といってもロケ場所(あの
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アンテベラム(2020年製作の映画)

4.0

「ムーンライト」「ドリーム」のあと、ここ最近は音楽アーティストとしての活動が多く2019年にはフジロックで来日もしていたジャネル・モネイ。
私もサブスクで結構楽曲を聞いていた彼女の最新主演作は「ゲット
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さがす(2022年製作の映画)

4.3

「岬の兄妹」が強烈だった片山慎三監督の長編第2作。同監督のオリジナル脚本でこちらもかなり喰らった。娘が失踪した父親をさがす…という程度の予備知識のみで見るべき。

西成というところは大阪に住む私も何度
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スティルウォーター(2021年製作の映画)

4.3

フランスはマルセイユを舞台に愛する娘の無罪を信じて真犯人を探す父親の物語。

「巴里のアメリカ人」ならぬマルセイユのアメリカ人だが、異国の中で右往左往する主人公とそれを助ける感じのいいフランス女性と
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ユンヒへ(2019年製作の映画)

4.1

2019年釜山国際映画祭でクイアカメリア賞を受賞し、翌年の韓国清龍映画賞で最優秀監督賞と脚本賞を受賞したという作品。

雪、小樽、手紙とくれば岩井俊二、特に「ラブレター」だが同作の東アジア圏での人気
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ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)

4.1

めちゃくちゃ豪華でスタイリッシュないわゆる2時間ドラマ(実際には2時間38分だけど…)を見た印象。

俳優は皆本作に出演しているのが楽しくて仕方ないといった感じで演じていて、それを見ているこちらもと
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クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

4.4

とても軽やかで優しい映画だった。

年老いたカウボーイと少年がメキシコからテキサス目指して旅をする物語だが、既に91歳のイーストウッドが無理して銃撃戦や壮絶な殴り合いをすることもなく、話はほぼ坦々と進
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ただ悪より救いたまえ(2019年製作の映画)

4.2

冒頭、殺し屋(ファン・ジョンミン)が暗殺する日本のやくざ(豊原功補)の名前が「是枝」というのに笑ってしまった。
そのやくざが在日韓国人で、その弟がやはり殺し屋(イ・ジョンジェ)、それも殺す相手を生きな
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GUNDA/グンダ(2020年製作の映画)

4.4

セリフも音楽も字幕もなくモノクロ画面に、ほとんどブタ、やや鳥や牛が動いているだけのドキュメンタリー映画

冒頭、藁が敷かれた小屋で寝そべっている1匹のブタ。その奥で何かが動いているかと思うと生まれたば
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ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男(2019年製作の映画)

4.3

マーク・ラファロってハルクだけじゃなく「フォックスキャッチャー」とか「スポットライト」とかにも出ていて、本作は環境汚染の問題で巨大企業と戦ってきたある弁護士の記事が載っていた新聞記事を読んだ彼がどうし>>続きを読む

世界で一番美しい少年(2021年製作の映画)

4.0

初めてヴィスコンティの作品を見たのは高校生のころで「家族の肖像」だったから1980年。
当時ちょっとしたヴィスコンティ・ブームがあって71年日本公開の「ベニスに死す」はリバイバルで見たと思うので、本作
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こんにちは、私のお母さん(2021年製作の映画)

4.2

主人公の娘が母親の若いころの時代(1981年の中国の地方都市)にタイムスリップする、こちらもある意味ではマルチバースの物語。
中国ではやはり親子愛の物語に共感する観客が多いらしく940億円の興行成績を
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裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)

4.7

ジャンヌ・ダルクの宗教審問での姿を描く1928年に作られたサイレント作品を劇場鑑賞。
英雄の物語といっても勇壮に戦う姿はなく、信念を貫きつつもときに弱々しく、ときに死を恐れて絶望する姿が描かれ、一貫し
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スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021年製作の映画)

4.4

劇場での予告編のみの前情報で鑑賞。
但しマーク・ウェブ版は見ていなかったので今回鑑賞してから祭りに参加して正解。

少々エモショーナル過ぎるきらいはあれど、エヴァやマトリックスなど「落とし前」「現代
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早春(1956年製作の映画)

4.3

お正月は古い邦画で始めることにしている…ということで今年は未見の小津監督作品

夫は作中ジェラール・フィリップにも例えられる二枚目の池部良、妻は慎ましい生活を送っている割にはとても上品な顔立ちの淡島千
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偶然と想像(2021年製作の映画)

4.6

ありえない偶然をブースターに物語が進み、更なる偶然により想像だにしない方向にそれが展開していく…

ロメールの弟子を公言する濱口監督の軽妙な会話劇だが、登場人物の不意の走り出しには感動するし、カメラの
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セールスマン(1969年製作の映画)

4.3

現代アートハウス入門vol.2 第4夜

メイズルス兄弟のドキュメンタリー作品を見るのはもちろん初めて。
説明なし、ナレーションなし、BGMなし、事前の打合せなしで坦々と被写体を撮影してそれを繋げると
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