マクマーフィさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

マクマーフィ

マクマーフィ

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オフィサー・アンド・スパイ(2019年製作の映画)

4.0

巨匠ポランスキーの映画技法の素晴らしさ。シンメトリー、3分割法、一点透視図などでベルエポック時代のパリを再現する構図に息を呑む。いくつかのシーンでは印象派の絵画がモチーフにされていた。

ただ、あまり
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EUREKA ユリイカ(2000年製作の映画)

4.0

圧倒的なロングショット&長回し、緩やかで不穏なパン、映画が映画たる編集、ストーリー運び。前半の死の影、後半の旅と希望...本当に素晴らしい。R.I.P.

TITANE/チタン(2021年製作の映画)

2.5

クローネンバーグの超絶変態映画を期待していたのに、ミッドポンド以降は、分かりやすい親子の屈折したメロドラマに。うーん。クローネンバーグ嫌いな人にお勧めちゃうの、知らんけど。

アネット(2021年製作の映画)

4.0

異端児の帰還

トンデモ話で共感度ゼロ、アダムドライバー歌下手など色々ご批判はあると思うが、サイコーでした。

レオス・カラックスはやはり映像至上主義の個人作家。それが明確な起承転結で展開されるミュー
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THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

3.5

強烈なカーチェイスがハイライト。それ以降がちょっとダレたかも。
「クローバーフィールド HAKAISHA」のNYもそうだったが、マット・リーブスが描く大都会の夜が最高だ。

ベルファスト(2021年製作の映画)

3.8

想像していたよりミニマムな作品だったが傑作。

本作において北アイルランド ・ベルファスト出身者は、脚本・監督のケネス・ブラナーをはじめ、主人公9歳の少年バディを演じたジュード・ヒル、祖父役のキアラン
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コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

3.8

アメリカの精神風土を描く。

本作は米国のリバタリアニズム(個人の権利を尊重する思想、イーストウッド作品は全てこれ)が色濃く反映されている。

リバタリアンは自らの権利が侵されそうになったときに怒り、
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ハッピーアワー(2015年製作の映画)

4.3

今回初見。これぞ映画体験。

候孝賢、エドワード・ヤン、ジャ・ジャンクー、キアロスタミ、ホン・サンス など、ユーモラスをもって、ゆっくりと流れる時間の中、心のヒダを描くアジアンリアリズムの潮流を受けた
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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

3.0

一貫して共同体(家族、擬似家族、兄弟)の試練・冒険をコミカルかつシニカルに描き続けてきたウェス・アンダーソン。
今回は共同体の要素は控えめで、ウェスのディレッタントぶりが全面にでた作品。

書き割りの
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ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

3.0

本作は、ハリウッド黄金時代をモチーフにしたシーンが次々に登場する。特にヤヌス・カミンスキーの色彩(35mm Kodak撮影)でハリウッド博物館が現れ、その再現性に魅了される。カメラワーク、編集を含め映>>続きを読む

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

3.0

ディカプリオとジェニファーのダサい天文学者コンビがとても良かった。

ただ、ストーリーがインフレ過ぎて後半ついていけず。ホワイトハウスをはじめ、米メディア、SNSなどのブラックユーモアもステレオタイプ
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パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)

3.4

「パワー・オブ・ザ ・ドッグ」は一筋縄ではいかない西部劇。現代のジェンダー問題を内包した大平原のアンサンブル・サスペンスといったところか。

本作でジェーン・カンピオンは、ジョン・ウェインの大名作「
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偶然と想像(2021年製作の映画)

3.2

会話が笑える。3話が秀逸だった。
ホン・サンス とエリック・ロメールのエッセンスを散りばめたエチュードだと思う。

エターナルズ(2021年製作の映画)

3.3

クロエ・ジャオということで観劇。
コミックからのナラティブにはまったく無知であるが、テーマ性のひとつに中国の「道教=tao」が反映されている。

その意味でも本作は、ジャオの作家性の源泉である2人の監
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DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

4.0

神秘的な砂漠シーンと古代アラブのような建築美に圧倒される。
ヴィルヌーブらしさは、王子ポールと母親の関係に刻印され、ある意味、レベッカ・ファーガソンの映画であった。

ちなみにIMAXで鑑賞したが、I
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由宇子の天秤(2020年製作の映画)

1.7

作品への情熱はわかるが、全く刺さらず。ご都合主義のストーリーと会話劇で展開される脚本に辟易。登場人物の設定や関係性もよくわからず、置き去りにされる時間も。
あと、瀧内公美さんは素晴らしい俳優だが、いま
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空白(2021年製作の映画)

2.0

日本映画として重いテーマに挑み、ラストまで見せ切る群像ドラマに仕上げている。胸に刺さるシーンや演技もあった。

ただ、作品全体としてとても残念。

そのひとつ、マスメディアの描き方を例に取ると、刑事責
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

3.8

喪失と再生、村上春樹とチェーホフ、家福と高槻、音とみさき、広島と北海道…。対になった関係性が作品に深みを与え、いくつものメタファーを提示してくれる。
その中で、赤いSAABが象徴するもは、彷徨える魂だ
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モンタナの目撃者(2021年製作の映画)

3.5

「ボーダーライン」「最後の追跡」「ウインドリバー」など、テイラー・シェリダンが脚本&監督作を通じて描き続ける容赦なき暴力。
そこには人間の怖ろしさやアメリカが銃社会から逃れられない現実が浮かび上がる。
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ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結(2021年製作の映画)

2.0

不発。
ジェームズ ガン監督のロックンロールショウを観に行った。 

前作GOTG2では、フリートウッドマック「the chain」の使い方や捕虜から脱出するヨンドゥの無双シーンなどにシビれた。

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イン・ザ・ハイツ(2021年製作の映画)

2.5

USC映画学部出身(OBにはジョージルーカス、ロバートゼメキス、ロンハワード等)で、スピルバーグが才能を見出したジョン・チュウ監督。

NYストリートの一角を貸し切ったモブショットをはじめ、セリフと歌
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リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

3.8

#リバーオブグラス

アメリカンニューシネマ、伝説のロードムービー『断絶』(1971:原題two-lane blacktop)で知られるモンテ・ヘルマン監督が今年4月に91歳で亡くなった。

タランテ
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ライトハウス(2019年製作の映画)

3.8

よくこんな作品が作れたと思う。

クラシカルな画面サイズでモノクロ35mmフィルムでの撮影。19世紀末、米国ニューイングランドの孤島で二人の灯台守が狂っていく物語。

これは、若き鬼才、ロバート・エガ
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ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)

4.0

#ミークスカットオフ
遅ればせながら、イメージ・フォーラムで初ケリー・ライカート。噂通りの傑作。

西部開拓時代の主要路であるオレゴン・トレイルで実在した分かれ道~ミークス・カットオフを舞台に、案内人
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アメリカン・ユートピア(2020年製作の映画)

4.3

#アメリカンユートピア
古希を前にしたデヴィッド・バーンは本当にストイックなアーティストだと思う。
一貫してソリッドなロックやアフリカンビートを擁して、哲学的な作品を発表し続けている。
また彼はニュー
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クワイエット・プレイス 破られた沈黙(2021年製作の映画)

3.8

#クワイエットプレイス破られた沈黙
タイトルが出る前、いきなり本編がはじまるCOLD OPENが素晴らしい。1作目のそれが大評判だっただけに今作も相当気合を入れたのだろう。

ニューヨーク州アクロンの
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プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

3.2

#プロミシングヤングウーマン
netflix『THE CROWN』でチャールズ皇太子と密通するカミラ夫人を演じた女優エメラルド・フェネルが、初メガホンを取った作品。アカデミー賞の主要部門にノミネートさ
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逃げた女(2019年製作の映画)

3.0

愛するホン・サンスですが、寝不足だったため、途中何度か意識がなくなりました(涙)

ファーザー(2020年製作の映画)

2.5

良作だと思うが作品から舞台感が抜けず。サンペンスというより心理劇だと思う。

くれなずめ(2021年製作の映画)

2.5

とても演劇的なプロットとアンサンブル。
青春男子コメディで、肝となる出来事もゆるく描く。意外性もあるのだが、そのゆるさがクライマックスにも継続しいまいち心に刺さらず。
いいシーンはいくつかあった。例え
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街の上で(2019年製作の映画)

4.0

笑った。韓国のホン・サンスへの賛辞にに"恋の顕微鏡"という言葉かあるが、さながら本作は"恋とシモキタの顕微鏡"。
交わされる会話のナチュラルさや微妙なズレはアドリブだけでは生み出せない。脚本が素晴らし
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シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

3.0

前半から中盤はかなり楽しめたが、クライマックスはなんのことやら。完全に置いていかれた。
ただ、ロボットアニメのエンタメ性と自己の内面をモチーフにした作家性がぶつかり合った作品だということはよくわかる。
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ミナリ(2020年製作の映画)

4.2

何度も観たくなる名作。移民の苦労話というより、家族そして開拓者のアメリカ映画だった。
本作とジョン・フォード監督の『怒りの葡萄』(スタインベック原作)を比べる人が多いのも当然だろう。
また、家族が南部
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ノマドランド(2020年製作の映画)

4.0

魂が震える。それは人と大地への眼差しの強さなんだろう。

本作は、アカデミー主演女優賞を2度受賞したフランシス・マクドーマンド(63)がプロデューサーを務めている。

彼女はリーマンショック後に家を捨
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あのこは貴族(2021年製作の映画)

2.5

とても惜しい。

社会や環境の生きづらさの中、自分探しを主題とする小説や映画は昔から多い。それは各時代の生きづらさというスティグマが創作の発火点となり、同じ境遇を生きる者たちの共感を呼ぶからだろう。
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藁にもすがる獣たち(2018年製作の映画)

3.0

韓国映画界オールスターキャストで描く犯罪ノアール。
ある大金をめぐるコンゲームだが、伊坂幸太郎作品や内田けんじの『運命じゃない人』に近いと思った。
最大の見所は、チョン・ドヨン演じる女詐欺師の極悪っぷ
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