すりごまさんの映画レビュー・感想・評価

すりごま

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ほつれる(2023年製作の映画)

5.0

試写にて。絶妙に友達になりたくない人物たちの物語。ほぼすべて人物を正面から捉えないカットで台詞は強いのに風景を見ている感覚。加藤拓也監督、一体どうやって生きてきたら20代でこんな映画を撮ってしまえるの>>続きを読む

せかいのおきく(2023年製作の映画)

3.8

試写会にて。

循環型社会を主題にするということを突き詰めた結果、我々が見慣れた時代劇もエシカルで誰も見たことがないものとして再創造されている。

我々は衛生的な世の中で暮らしているけれども、それは汚
>>続きを読む

Winny(2023年製作の映画)

4.1

実話に基づくストーリーでありながらもエンターテインメントとしても優れているばかりでなく、現代まで続く日本のエンジニアが抱える課題やおじさんたちのITリテラシーの低さに対しても問題提起をしている秀作。み>>続きを読む

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

4.5

画面の暗さやカット割り、台詞の聴き取りづらさなど、この映画には鑑賞する際にストレスとなりうる要素が少なからずある。アクションやCGも事前に決めた画を実現する「用意周到」な撮影を行っていればもう少し見や>>続きを読む

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

5.0

そもそもカウリスマキと列車旅が好きなのだからこの映画がハマらないはずがなかった。日本にはもう見ず知らずの人と相席になる寝台列車はないから、ある日突然他人と同じ個室で過ごさなければならないなんてことは起>>続きを読む

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.1

予想を裏切られる展開ばかりで、ふだんいかにパターンを想像しながら映画を観ているのかに気付かされる。作中に登場する退屈そうな人々、島の向こう側の戦争の音、不穏な劇伴や空の色と対照的に美しい島の景色、賢明>>続きを読む

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

2.9

ちゃんと感動するようにできているし泣けそうなところもあるけれど、ではその感動はどこから来るのか?と考えたとき、それは観客である我々が12年前に負った心の傷に依るところが大きく、このことに気づいた時点で>>続きを読む

柳川(2021年製作の映画)

3.8

柳川は堀割が張りめぐらされているところで、小舟に乗りながらまちを眺めたり、舟に乗りながら食べ物を買えるスポットがあったりと、日本のほかのまちにはない独特な雰囲気がある。かといってヴェニスとまで言われる>>続きを読む

こわれゆく女(1974年製作の映画)

4.0

画が全部よすぎてびっくりした。こんなに美しいシーンしかない映画ってあるんですね。移動するために車踏んづけるのってこの時代のアメリカでは普通だったんだろうか?映画館で上映されることがあればぜひ大きなスク>>続きを読む

ハズバンズ(1970年製作の映画)

3.0

序盤のシーンは楽しいが、居酒屋以降はかなり苦痛な時間であり二度と観たくはない。それぞれのシーンが、もういいからはやく次のシーンに移ってくれ!と感じてからさらに30分は続いているように思える。こいつらは>>続きを読む

そばかす(2022年製作の映画)

4.2

今年3作あった(NOT) HEROINE MOVIESの中でこれがいちばん好きだった。湯切りの練習をしながら帰るシーンが好き。1年前に別の作品で感じたのと同様、三浦透子はどうしてこんなに深みのある表情>>続きを読む

福岡(2019年製作の映画)

3.5

今から7年ほど前、九州にいたころよく訪れていた中洲や天神、大名あたりの街がたくさん映っており、その頃の個人的な記憶を思い出しながら鑑賞。入江書店懐かしいな、よい本屋だ。コロナ前の福岡は外に開かれ活気が>>続きを読む

別れる決心(2022年製作の映画)

4.5

Fan's Voice試写会にて。ロマンス&サスペンスの2時間ドラマを極限まで濃密にしたような作品。山や海などの高低差の画が好きだった。Filmarksでは似たような作品として「花様年華」がサジェスト>>続きを読む

流浪の月(2022年製作の映画)

2.5

出てくる個人も組織もすべて過去のトラウマや病理によってぱっと見健康ではないような状態になってしまっている。その中で流れに身を任せながら生きていけるようになるまでにはいろいろな痛みを伴うのだろう。
登場
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の方へ、流れる(2021年製作の映画)

3.8

本音も嘘も混ぜあわせながら感情をすっかり排除してしまった台詞を打ち返し続けることで相手の肚を探りながら関係性を深めようとしている姿は側から見るとどこまでも胡散臭い。だけど延々とこれを続ける2人の間では>>続きを読む

RRR(2022年製作の映画)

5.0

舞台挨拶付上映。インド人の観客の方々が始めたんだと思うんだけど見せ場で歓声を上げたりしていてほぼマサラ上映になり、大勢で拍手したりエンドロールも手拍子で一体感のあるハコで至福の空間だった!監督と主演の>>続きを読む

ベルファスト(2021年製作の映画)

4.1

2回目。やっぱりじいちゃんが好きすぎる。葬式のときに「じいちゃんは人気があったんだ」って言われたすぎる。ばあちゃんとの会話の名言「人が何かを学ぶには胸の高鳴りが必要だ」は"you don't usua>>続きを読む

紙の月(2014年製作の映画)

2.9

横領した瞬間から元手相当分を稼ごうとせずに消費する一方であり破滅が約束されているホラーを見ているような気分。最後の全力疾走はよかったがラストのラストは好きじゃない

よだかの片想い(2022年製作の映画)

3.3

タイトルが片想いなのが切ない。でも恋愛を通じてどう変わっていくかに片想いか両想いか、付き合っていたかいないのかって実はそんなに重要なことではないのかもしれない。中島歩の決して不誠実ではないはずなのに全>>続きを読む

(2022年製作の映画)

4.0

さわ子がおじさんに向かってあなたは外見しか褒めないと言うとおり、おじさんは若い女性を記号として消費しようとしており、その描写の絶妙なキモさに感心する。対してさわ子の方はおじさんを観察することを通して彼>>続きを読む

彼女のいない部屋(2021年製作の映画)

5.0

ずっと心に残るシーンというのはたとえばこの作品の中のクレープを焼くシーンのことを指すのだろう。この映画を劇場で2度見て2週間が経つが、日を追うごとにあの食卓の会話や表情が脳裏に濃く蘇ってくるようになっ>>続きを読む

草の響き(2021年製作の映画)

3.0

東出昌大がハマりすぎている
事務所との契約を解消された彼はいまどこでなにをしているのだろう

太陽を盗んだ男(1979年製作の映画)

4.0

とにかくジュリーが美しいし、アクションシーンも見応え十分である上笑えるポイントもたくさんある、70年代の東京の街の様子もたくさん映っており過去を眺める目的だけでも楽しい映画だ。今の感覚からすると戦争か>>続きを読む

サヨナライツカ(2009年製作の映画)

2.2

外部から理解できないような非倫理的な愛ってあると思うけれどこれはなんだかフーンて感じだ、キモいけどいいじゃんみたいになればよかったのだが…悪い方の辻仁成感

さかなのこ(2022年製作の映画)

4.7

自分が好きなことをあきらめずにずっとやり続けることは簡単ではないが、愚直な情熱が周りに影響を与えて道が拓けてゆく。こういうのがいちばん魅力的な人生だと思う。沖田修一監督作品らしくほとんど誰も何も否定し>>続きを読む

LOVE LIFE(2022年製作の映画)

5.0

公開前、深田監督の最新作のタイトルは矢野顕子の曲から付けられていると知り、今回は珍しくハートフルな話なのかと早とちりしていたが、当然そんな予想は序盤でもろくも崩れ去った。
深田監督の映画は上映中ずっと
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PLAN 75(2022年製作の映画)

4.8

現代の姥捨山的作品ということで『楢山節考』に言及しているレビューも多いが、まさしく同じことを思った。健康診断を受けながら「長生きしたいと思われているようで恥ずかしい」というようなことを言うシーンがあり>>続きを読む

わたしは最悪。(2021年製作の映画)

4.2

突拍子もないことが起こるわけではないし、激しく感情を揺さぶられるわけでもないが、人生の意味を考えさせられる映画。過去の思い出や物に執着しがちなアクセルについ自分を重ねてしまい、彼の言葉のひとつひとつが>>続きを読む

生きててよかった(2022年製作の映画)

3.7

格闘シーンはよかった
今野浩喜も今まででいちばんよかったbetcover!!の主題歌もよかった

最後の格闘、創太は生きることの目的を達成することができたのだろうか?彼の叫ぶ世界に含まれる世界はものす
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死刑にいたる病(2022年製作の映画)

4.5

期待を上回るよさ、映画としての完成度がかなり高い。観客が途中で引っかかるところにはちゃんと応えてくれるし、終盤の展開には惹き込まれると同時にこれが良質なエンターテインメントであるのだということが感じら>>続きを読む

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)

3.6

金属を食べることは明らかに普通の状態ではないのに、ヘイリーベネットの髪や肌との融和性が高すぎて美しいことのように感じられてしまった。もちろん彼女がそうなってしまった背景を考えると手放しに美しいと言って>>続きを読む

永遠に君を愛す(2009年製作の映画)

3.8

「偶然と想像」と「THE DEPTH」の間くらいのイメージ。裸を見たから好きになっちゃうとか、めちゃくちゃばかばかしくて最高。
結婚式に登場する牧師(作中では牧師とも呼ばれるし神父とも呼ばれていたので
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コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

5.0

マスクを着けて表情もわからないいまま会話せざるを得ない今の私と比べると、テンポよく歯に絹着せない一家の手話による表現のなんと豊かなことかと思わされた。「プッツン娘」みたいに新しいことばも自由に作れるし>>続きを読む

小さいおうち(2013年製作の映画)

2.7

山田洋次監督らしいと言えばらしいけど、本作はちょっとノスタルジーに寄りすぎだと感じた。倍賞千恵子を起用するための現代パートなのだろうが、若い鑑賞者がもう少し妻夫木聡と同じ目線を持てる仕掛けがあるとよか>>続きを読む

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