KentFさんの映画レビュー・感想・評価

KentF

KentF

Peace behind War。
2018年6月からの記録。Paris6区在住。

映画(194)
ドラマ(0)

皆さま、ごきげんよう(2015年製作の映画)

3.1

革命でのギロチンに喝采する女性たちから、略奪巻き起こる異国の戦争、そして世知辛い奇妙な現代へ。ばらばらに展開されているようで、実はゆるくつながっている世界。二人の初老の男性はその一部に過ぎないものの、>>続きを読む

海へのオデッセイ ジャック・クストー物語(2016年製作の映画)

3.2

二人のクストーをたどる海洋映画。二大国が大気圏外を目指して競っていた時代、未知なる別の世界に潜り込んでいくフランス人親子の物語。雄大な海中シーンは大きいスクリーンで鑑賞したくなる。Le Grand B>>続きを読む

ブロークン・フラワーズ(2005年製作の映画)

3.6

不思議な手紙が、昔の恋人に再会する旅への扉を開く。それは、破天荒に生きてきた男性にとって、自分の人生を振り返る旅。
「Paterson」(2016)で魅了された、平凡な生活に漂う奇妙で柔らかなJ.Ja
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ブランカとギター弾き(2015年製作の映画)

3.8

フィリピンのストリートに生きる人々への慈愛溢れる作品。母親を買いたい少女は「私飛べるのよ」と空に手を広げ、盲目のギター弾きは「目の見えない人間ばかりなら戦争は起こらない」と達観する。これが一種のドキュ>>続きを読む

ブルーム・オブ・イエスタディ(2016年製作の映画)

3.0

あたまの薄くなった病的なドイツ人男性と、しょっぱなベンツのシーンから異常さ全開の仏人女性が織りなすブラックユーモア溢れる世界。ホロコーストを扱うが現代を生きる人々の性と自我と家族の物語。ガンジーという>>続きを読む

かくも長き不在(1960年製作の映画)

3.7

バカンスで閑散とした町に訪れる不思議な時間。夢か現か。彼はアルベールではないのか。
長いシークエンスで観る側に十分な思索の時間を与えたと思ったら、さっと挟み込まれる短いショット。記憶の戻らぬ長い日々の
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ダウントン・アビー(2019年製作の映画)

3.3

目まぐるしく切り替わるシーン。何をそんなに急ぐのか。往年のテレビドラマファンの期待に応えるには、それでも足りなかったのかもしれない。由緒のある邸宅で繰り広げられる物語を、思いを巡らしながら鑑賞したかっ>>続きを読む

チャイナタウン(1974年製作の映画)

3.6

変死の謎を追いかけて、もつれる背景が次第に明らかになっていく。二時間ドラマの古典といえる作品だが、カリフォルニアの荒涼たる自然とチャイナタウンという背景、眼光鋭くも危うさ併せ持つJ.Nicholson>>続きを読む

素晴らしき放浪者(1932年製作の映画)

4.0

河の流れを変えたり止めようとするのはいかに浅はかなことか。雄大な河のような豪胆なBoudu。J.Renoirが描き出す人間と自然。戦争と恐慌による荒廃を経験した社会に送る、痛烈な皮肉を込めた、Lumi>>続きを読む

ダーティ・ダンシング(1987年製作の映画)

3.8

ピースコーに憧れる純真無垢な“ベイビー”の夏。
情熱的なDirty Dancingに惹かれる恋物語を縦糸に、穏やかな社交場に隠れた格差の現実が社会的な横糸として織りなす。
Stand by meと同時
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アタラント号(1934年製作の映画)

3.5

伝統的な村社会を飛び出して河の流れへ。行き着く先は、魅惑あふれるパリ。自由な世界を軽やかに描きつつも、男女の愛に落とし込んでいく古典さも兼ね備えて、
時代をつくった、後世に残る作品の意義は、映画史や時
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ジョーカー(2019年製作の映画)

4.7

誕生するのは名高い悪役だけではない。いわば集団の狂気。白人中心主義で、勧善懲悪が主流だったハリウッドという世界が変わってきている中、その過去と現在をつなぐエポックメイキングな作品。その意味でこれは新た>>続きを読む

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

3.8

二大スターを配するが本当の主役はハリウッドという世界。群像劇が抜群の個性と演出をもって繰り広げられる。
Q.Tarantino作品にもつ観る側の先入観を利用し恐怖とスリルを掻き立てるあたり、心理トリッ
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アリー/ スター誕生(2018年製作の映画)

3.6

人は誰しも、特別な才能を持っているー。夏休み終わり新学期を前に生きづらさを感じる若者に向け、テレビである女優が「自分の大事な部分に自信を持とう」と呼びかけていた。コンプレックスな鼻をあげて唱う“La >>続きを読む

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

4.2

ロックに漂うオペラの香り。
耳にしたことのある音楽作品が臨場感溢れて再現され、人間模様と合わさり、心を震わせる。
同性愛でエイズに罹り早逝するフレディが主人公なるも、彼が愛したQueenメンバーや弁護
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スタンド・バイ・ミー(1986年製作の映画)

4.6

宝物を求めるのが少年時代のさが。しかし家庭にコンプレックスを抱えた田舎町の少年たちが線路に沿って目指すものは、死体。彼らにとって本当に大事なのは、ゴールではなく道の途中。オレゴンの自然を背景とした台詞>>続きを読む

ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生(2018年製作の映画)

3.9

新たな幕開けを表す冒頭の脱出シーンが効果的。期待の愛くるしいビーストたちはそこから少しずつ。アジア系やアフリカ系の絶妙な配置で、物語の持つミステリアスとファンタジーが格段に高まっている。ポッターシリー>>続きを読む

断崖(1941年製作の映画)

3.3

だれもが感じうる、ささやかな疑い。新婚のあやうさと相まって次第に膨れ上がり、得体の知れない恐怖につながっていく。
A.Hitchcockのサスペンスに対するエチュードのような作品。

グッバイ、レーニン!(2003年製作の映画)

4.1

8ヶ月で世界が激変した。政治的・社会的に記憶されている事変を、家族レベルに落とし込み凝縮して痛烈に送り返してくる作品。時折織り交ぜる早回しや、周りが忙しい中で妙に落ち着いた主人公D.Brühlの眼差し>>続きを読む

クイズ・ショウ(1994年製作の映画)

3.8

ショービジネスたるテレビ業界に群がる大衆とスポンサー。1950年代を描き、最初からテレビはこういうものだった、と突きつけられる。捜査官役R.Morrowの物憂げな視線がその無常さを際立たせる。意欲的で>>続きを読む

群衆(1941年製作の映画)

4.2

“Be a better neighbor”
大恐慌の30年代を抜けた1941年、企業に翻弄される市民に放つエール。国すなわち市民。米国の愛国心を垣間見る。ここから大戦を経て、同じく聖なる日を軸とした
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ダーウィンの悪夢(2004年製作の映画)

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ナイルパーチを世に知らしめた功績は大きい。罪悪感を掻き立て、富裕国の偽善を暴き出した点では「ブラッドダイヤモンド(2006)」に通ずる。
12年の月日(内6年のアフリカ滞在)を経て見返した衝撃作は、微
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ジャッカルの日(1973年製作の映画)

3.8

異なる二つの信念のチェイス。追って追われて、姿をくらまし、嗅ぎ付ける。不思議と暗殺者を応援していることに気づく。ジャッカルに対峙する飄々とした警視ルベルの凄みゆえ。ラストの「空白の1日」の効果が見事。>>続きを読む

シャーロック・ホームズ(2009年製作の映画)

3.9

既成概念をぶち破る高揚感が真っ直ぐに伝わってくる快作。推理劇を主軸に残しつつも、痛快なアクションと、コメディタッチな人物設定と配役が絶妙。

ハドソン河のモスコー(1984年製作の映画)

4.0

「I defect !」1984年冷戦中に放たれた、異色の作品。もちろん共産社会への批判が軸だがプロパガンダでは決してない。ロシアに加えて、アフリカン、イタリア、ユダヤ。人種のるつぼで移民の悲哀と希望>>続きを読む

ブラッド・ダイヤモンド(2006年製作の映画)

4.1

ダイヤを追い、息子を追う。鮮烈な欧州との対比を繋ぐのはJ.Connellyの知的な眼力。
緊張と緩和、安堵からのスリル。王道の展開も含んだ社会派エンターテイメント。アフリカで、まるで記録映画のようなリ
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ヒューゴの不思議な発明(2011年製作の映画)

3.4

カチカチと歯車が噛み合う音が心地よく、不思議な世界に興味が掻き立てられるファンタジー。パリの駅舎で繰り広げられる人間模様は、話す言葉が異なるため、海峡向こうの魔法使い映画と重なる。「赤い風車」(195>>続きを読む

アフリカの女王(1951年製作の映画)

3.2

カナダ人と英国人を通じたアフリカ。自然と野生への畏怖を描くも、あくまで二人の異邦人中心の世界。“未開人”との交流はほぼなく、足を踏み入れて満足したかのよう。
がさつな三枚目役を放つH.Bogartの演
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ちはやふる ー結びー(2018年製作の映画)

3.7

上白石萌音の透き通った軸が戻ってきた。そして怪演・松岡茉優が巻き返す存在感。この共存が三作目にして叶ったことが何よりの魅力。
“人生の中で最も大事な時間”。文字通り光で包まれた世界に、目が眩む。

ちはやふる 下の句(2016年製作の映画)

3.1

癒しのトリオ。メインの方でなく、脇を固めるあの三人。
萌音という軸を欠いた、蛇足のようにも思える間延びした後編の中で、松岡茉優は怪演といっていい。

ちはやふる 上の句(2016年製作の映画)

3.4

かるたへの想いが伝わる。物語をすっと支えているのは、上白石萌音の透き通った声。百人一首についての語り口が、ナレーションのよう。かるたという日本文化へと誘う入門編。

ロミオ&ジュリエット(1996年製作の映画)

3.6

聖人の像が至る所で顔を見せる。信仰心の現れのような優しい聖顔が、次第に死神に見えてくる。
親友Mercutioの現代的描き方が逸品。配役、衣装、演出が見事。一時、主役二人の存在感を凌駕する。

ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日(2012年製作の映画)

3.8

主人公は地球上の生命。“Skinny vegetarian boy”の人生を通じて、畏敬と信仰を感じ、助け合うだけが共存ではないことを学ぶ。神を信じることは強みか愚かなことか。G.Depardieuが>>続きを読む

いまを生きる(1989年製作の映画)

4.8

ぼくらは誰でもすばらしい言葉を受けている。ただ気に留めず過ごすだけ。冒頭から登場するあの言葉に、きつねにつままれたような顔をする彼らのように。
彼らが恵まれていたのはその人が行動で示してくれたこと。そ
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愛と青春の旅だち(1982年製作の映画)

3.3

ベトナム戦争の生々しい記憶が残る中。もがく青年たちの物語。リアリズムと理想がせめぎ合う。世知辛い現実から理想を描いて抜け出し大人になろうとする少年少女が、結局ぶつかる現実。
R.Gereの脆さとクール
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プロメテウス(2012年製作の映画)

3.7

映像美が逆にスリルを掻き立てるホラー作品。人は何故か未知に誘われる。危ないものに手を伸ばし口にしてその見返りを受ける。と、古来より自らを納得させるため作られた理屈という神話。
一括りにしがちなゾンビや
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