迷路のような旧市街。そこに息づく音と、重なり合う人の流れ。外に出れば、丘の上に立つ一本の大木を囲む、牧歌的な光と風。瑞々しく若い男女が求め合う。
それらが、失われていく。画一的な豊かさとやらと、引き換>>続きを読む
13分間のカオス。鼻歌交じりに、手狭なアパートで繰り広げられる孤独な円舞。最期の花火を打ち上げて、静けさと闇がセカイを覆う。玄関のドアに貼られた「GO HOME」の文字が閉塞感を煽る。
囚われの国からの脱出劇。
その国との攻防。
広大に魅せる荒野の戦。
見応えはあるが、一つの作品のまとまりとしてフラストレーションの残るエンド。
痛快。Margot Robbieがはまり役。伏線回収のエンターテイメント。
横浜フランス映画祭2024にて。
上映後にElise Girard監督と伊原剛志さんの対談。通訳には、作中の実際の通訳の方。監督の日本への愛着と、死生観、そして伊原剛志への好意をスクリーンに表現する試>>続きを読む
他のカウリスマキ作品と比べて、よく喋るし、よく動く。フランス人が黙って佇んでいても奇妙だけど。
Bohèmeは、こだわりを追いかける。プロレタリアートとは異なる、優先するものが異なる。
映画に遭遇してから、ジョン・フォードの世界線と出会うまで。Motion picturesの魅力に取りつかれた少年。ユダヤ人の出自と、学校での衝突、葛藤と、乗り越えていく情熱。巨匠の原点。
彼女の犯した罪と、
彼女が生きてきた意味。
彼女が奪った命と、
彼女から奪った命、
彼女がいなくなった家。
人を殺した背景と、
人を殺していい理由。
生きたかった人と、
殺してもいい人。
許される>>続きを読む
「事件」は目には見えない。「その後」から突然映画は始まる。何が起こって、どういう状況なのか。
足元のおぼつかない、崩れてしまいそうな砂の上。その上で静かに息を殺してバランスをとろうと試みている感覚。>>続きを読む
ラジオから聞こえてくる理不尽な攻撃と、死。遠く離れたものではなくて、想いを寄せるあの人にも、目の前のワンちゃんにも、その影は忍び寄る。
2020年代の時代設定に漂うレトロ感。
遠くて近い。新しくて古い>>続きを読む
映画を観に来る人、
映画をつくる人、
映画館を運営する人、
そして、映画館自体の物語。
傷つき、痛んでも。
食べて、癒して、触れ合って。
再び立ち上がって、歩み出す。
現代アルジェリアの不条理を暴き出す意欲作。90年代の内戦の傷、恩赦で繋がれた、目を閉じざるを得ない世界。声がない、上げられない、奪われた。運命を変えようとした友は海へ。
ラストの舞。声なく、それでい>>続きを読む
Une belle course。美しき旅路。
寄り道の連続。
フェミニシッドの一生に終わらない。
次の世代に受け継いでいく慈しみ。
岸井ゆきのと、下町の寂れた零細ボクシングジム、会長を演じる三浦友和の謙虚さ、それらを包む僅かな色彩の霞んだ世界。
ミットの音が、余計に甲高く響く。
理不尽で虐げられた労働者の社会で絶望の中で傷を負い、それでも一縷の希望を見出し生きていく、というKaurismäki作品の特徴が分かりやすい。
「労働者階級に祖国はない。」
フィンランドの監督がフラ>>続きを読む
誤報が生む葛藤。物語の主軸はそれがどう解けてまとまっていくのか。
しかし、夢に足を踏み入れた父の、無邪気な笑顔とパートナーへの素直な愛情が、実に微笑ましい。解けてほしくない魔法の時間。
スカラ座に行こ>>続きを読む
現代から過去への逆襲。下剋上、クーデターと言ってもいい。しかし「歴史」は簡単に屈しない。プライドを引き裂かれながらも、自ら、中から破壊し、生まれ変わっていく。次の50年に向けて。
最新技術を駆使した頭>>続きを読む
一人の希望溢れる少女を失った世界。
口を噤む先に真実がある、はず。
酒向芳と村上淳の異常さにぞくっとする。
飛び交う言説。
あいつは裏切った、殺すしかない。
真実は影の中。
ラストシーン、Simone Signoretの瞳の揺めきもまた、如何様にも見える。
影が美しい。何もかも包み隠しているようでそれ自体が>>続きを読む
ピアノの音色。
新幹線の中の光と声と。
生まれてきてくれてありがとう。
大きな傘。
機械に乗せられ、次々と生産されていく無数のマッチ箱。大量生産と消費。使い捨てられ、顧みられない。この過程の記録が、ひとりの女性の境遇と痛いほど重なる。
正義とは。Frontier Justice。
偏見のない処刑なんて可能なのか。