Kenyさんの映画レビュー・感想・評価 - 15ページ目

2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)

4.7

衝撃。シビれた。もうね、終始心の中で おお…!! ってなってた。息をするのも忘れるほどの映像と音響の融合には嗚咽が漏れそうになる。
アングラすぎて理解は困難だけど、キューブリック曰く「これは観賞する映
>>続きを読む

麦の穂をゆらす風(2006年製作の映画)

4.3

IRAもの。テロリストって言葉が安易に使われてる現代、考えるものがある。
正義なんてものは立場によっていかようにも形作られるわけだし、それは歴史だの宗教だのそれぞれの複雑なパッションに根付いてる。現実
>>続きを読む

クスクス粒の秘密(2007年製作の映画)

4.2

人間関係のしこりから垣間見える民族のつながり。クスクスが彼らの心の接着剤のよう、その一粒一粒に何か感じるものがある。アラブ系コミュニティのヨーロッパへの挑戦というか歩み寄りというのかな、全ては若い世代>>続きを読む

フルメタル・ジャケット(1987年製作の映画)

4.4

冷ややかに俯瞰しながら2段構えでアンチテーゼ。アメリカが作り出したのはフルメタルジャケットか自国の腐敗か。それはもうベトナム云々じゃなくて国家の性格とも言うのかな、傲慢なヒロイックさが個性を無碍にする>>続きを読む

ベニスに死す(1971年製作の映画)

4.0

芸術とは、美とは。
優美なベニスの街に内包する退廃はさながら美を型で考えた市民的芸術家たるアッシェンバッハ。究極の美として間違いなく存在する少年タジオのその神々しさを見ると、芸術とはやはり天賦の産物で
>>続きを読む

パリ、テキサス(1984年製作の映画)

4.4

誰しもテキサスの中でパリを探しているのかもしれない。しかし、しょせん荒野の中の幻想なのか。それは先進国民が抱く、拠り所の欠如と愛への妄信にも似ている。愛が全てを解決してくれるなんてそんな簡単な話ではな>>続きを読む

ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅(2013年製作の映画)

3.8

モンタナからネブラスカ、そしてリンカーン。地味な道のりからこぼれ出す父の地味でありきたりな人生。でも子にとって、家族にとって、それはささやかな亀裂を埋めるなによりのプレゼント。間違いなく彼らはPRIZ>>続きを読む

魂のジュリエッタ(1964年製作の映画)

3.9

幼少期の環境が人格形成に与える影響。女性の貞操観念。死のにおい。あらゆるファクターが理想を掲げた魂を縛りつけてるわけだ。ふざけた妄想より真面目に自分を装って生きることの方がよっぽどふざけているのかもし>>続きを読む

ファーゴ(1996年製作の映画)

3.7

イカれすぎ。こういうの別に苦手とかではないけどさすがに最後のはきつい。
クレイジー野郎に人生説いちゃうあたりがアメリカンポリスらしいというか。真っ白な雪の中で人間はあまりにも醜い。

理想の結婚(1999年製作の映画)

3.9

上辺だけの笑顔で探り合う腹黒い世界。他人と同じ様に装う野暮なブルジョワどもと現代先進国民を重ね合わせてみたり。
「良心なき通商が国家の魂を危うくする」どこぞの首相に聞かせてやりたいもんだな。
この映画
>>続きを読む

パンチドランク・ラブ(2002年製作の映画)

3.8

監督すごいな。常識的な思考では描けないよこれ。構図とプロットが異端的。
粗雑なのに繊細というか、まあ言い表せない。あのとにかく心がガチャガチャして波打つ感じはすごいわかる。形而上的なものを感じ取る映画
>>続きを読む

17歳(2013年製作の映画)

3.7

17。自分は大人なのか子供なのか。自分の中でわかんなくなるし、あがきたくなるし、親への尊敬に疑問符は付くし。触れたら壊れてしまいそうな複雑すぎる時期よ。じゃあ自分らしくあるために何をしようか。結局根源>>続きを読む

ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア(1997年製作の映画)

3.8

淡く儚くも感じたい、おれたちは生きていると。天国の扉へと向かう2人の表情がいい。多くは語らない、男の映画。

独裁者(1940年製作の映画)

4.5

チャップリンが1人の人間として世界に投げかけたかったメッセージを映画に託して。この映画から75年、人は果たして変われたのだろうか。
月並みだけど本当に心に響いた。

汚れた血(1986年製作の映画)

4.1

ほとばしる若さ。自分よがりで不満ばかりで視野が狭くて、でも純朴。
ゴダール的なプロットだけど、映像構成や画角、色使いがかなり緻密で美しい。監督自身が若いからこそ撮れた斬新で瑞々しい映像美。そしてラスト
>>続きを読む

俺たちに明日はない(1967年製作の映画)

4.1

動乱の世、アイデンティティクライシス。取り巻く環境に反旗を翻し、自分だけの理想郷を求める若者たち。古今東西変わらない若者の不安にモノを言う資格が大人たちにあるのか。本当に汚れているのは果たしてどちらか>>続きを読む

見知らぬ乗客(1951年製作の映画)

4.0

いやぁ、うまい。エンタメ作品といえばド派手なCG爆発系が目立つ今日だと、ヒッチコックのシンプルに魅了してくる作品の高尚さがわかるね。いい意味で地味、だけど無駄がない。
この映画に関してはヒッチコックの
>>続きを読む

灰とダイヤモンド(1957年製作の映画)

4.3

それぞれが愛する祖国のために、それぞれの信ずる理想のために。
終戦が即ち人々に戦いの終わりを告げるわけではない。戦争がめちゃくちゃにしたイデオロギーや文化、歴史こそが人々を苦しめる。正解のわからない中
>>続きを読む

ひまわり(1970年製作の映画)

3.9

死者たちの上に咲き誇る情熱の花の哀しきこと。イタリア人とは思えないほどに静かなこの映画は絵と空気、そして役者の目で訴えかけてくる。メッセージとしてはストレートだがなかなか味のある反戦映画。

テス(1979年製作の映画)

4.2

陰鬱で皮肉的で自嘲的、これぞイギリス文学映画。
ヴィクトリア朝下の気取った社会とブルジョワの勃興。それに伴い、より確立される"二つの国民"。もはやアンタッチャブルの状態になっていた両者の関係に警鐘を鳴
>>続きを読む

ダイヤルMを廻せ!(1954年製作の映画)

4.0

さすがのヒッチコック、アングルと光の使い方がうまい!純粋に、観る側をハラハラさせ楽しませる演出の妙が光りまくり。トニーの冷静さも悪役然としてて好み。グレースケリーは言うまでもない。

ターミネーター:新起動/ジェニシス(2015年製作の映画)

3.0

相変わらずサラコナー守るためにガチャガチャ頑張ってる。エミリアクラークの可愛さが作品の8割支えてた。んーきついね。

脳内ポイズンベリー(2015年製作の映画)

3.5

笑えるし可愛いし、楽しめた。それに地味に心に刺さるものも。脳内キャスティング抜群。

ザ・ビーチ(2000年製作の映画)

3.8

無理矢理なストーリー展開を無視すれば、ダニーボイル映画のスタイリッシュな音楽や表現はクールだし、ディカプリオ絶好調だし、海綺麗だし、普通に楽しめた。若者にしつこくまとわりつく欲望という名のヤクが人間自>>続きを読む

雪の轍(2014年製作の映画)

4.6

素晴らしい。
絵画のように壮大で、ロシア文学のように重厚。しかし、滲み出る人間臭さや心象風景の妙が映画らしい。まさに総合芸術。何が善で何が悪か、誰が正しくて誰が間違っているのか。この映画を観ると勧善懲
>>続きを読む

未来世紀ブラジル(1985年製作の映画)

4.1

逆ユートピアを自由にめちゃくちゃに描いたブラックユーモア映画。めちゃくちゃだけど伝えてる内容はなかなかにシリアスなのがさすが元モンティパイソン。暗澹とした世界観は意図的になのかチープに作られており、そ>>続きを読む

ビューティフル・マインド(2001年製作の映画)

3.9

よくあるアメリカンムービー、と思いきや途中から様相は一変。その見せ方がまあうまい見やすい。間違いない"いい映画"。天才ってのは大変だね。ナッシュ氏がこの前亡くなったってことがあるからまた思うところある>>続きを読む

FRANK ーフランクー(2014年製作の映画)

3.7

人間って自分以外の仮面を被った方が生き生きできたりするもの。天才と凡人は紙一重というか仮面一重というか。個人的には天才だと思い込んで誇りもってるクララが愛おしい。フランクが絶対的天才として描かれてない>>続きを読む

昼下りの情事(1957年製作の映画)

3.3

女たらしのダンディなおっさんに恋しちゃう初心なオードリーの映画。大した話じゃないくせにタラタラやってる。親父さんが1番かっこいいのと、プラットホームのシーンはいい。

さよなら、人類(2014年製作の映画)

3.8

シュールの極み。他に類を見ないまったく新しい映像。かなり緻密なアートって感じ。
美しくもあり、醜くもあり、くだらない、そんな人間という生き物にちっぽけさを感じつつも何か愛おしい感情を抱いてしまう。この
>>続きを読む

ワンダとダイヤと優しい奴ら(1988年製作の映画)

3.7

イギリスとアメリカの文化の違いをイギリス人とアメリカ人が自嘲してる映画。パッと見は派手さのないコメディだが、ディテールが笑いどころ満載。お互いの相手に対するコンプレックスが第三者の視点から見ると滑稽で>>続きを読む

ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)

3.5

ベルリンの壁崩壊直前に撮られた映画らしいが、それが劇中の人と人の間にある壁とリンクしているよう。自由の翼を得た人間の外面だけの彩りを天使の目線から俯瞰して哀れんだり羨んだり…。
まあ、伝えたいことはな
>>続きを読む

突撃(1957年製作の映画)

3.9

どの国もいっしょなんだな、戦争なんて。いったい誰と戦っているのかわからない、不条理な死の多さ。ラストシーンに表された権力に人権を蹂躙された兵士と市民たちの国境なき苦しみがなんとも。
キューブリックにし
>>続きを読む

ザ・ロイヤル・テネンバウムズ(2001年製作の映画)

3.8

個性的すぎる家族のちぐはぐな愛情が不器用でほっこりする。家族だから気恥ずかしいし、家族だから甘えたくなっちゃうよね。時は経てもそこにしかない、帰りたくなる関係性がある。

無防備都市(1945年製作の映画)

4.5

生きること、それだけに必死になっている民衆の中で不屈のプロテスト精神を持つ人々がいた。混乱で自分を見失う者がいる一方でただ真っ直ぐ前を見続ける者たちがいた。ただ一言、かっこいい。
映画史に残るあの名シ
>>続きを読む